遊戯王ARC―V TAG FORCE VS   作:鉄豆腐

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第143話 鉄砲玉

辺りが暗き闇に覆われ、天に輝く三日月の光が、不気味な魔王城と化したサーキットを照らし出す。フレンドシップカップ、1回戦最終試合、迷宮を駆けるのは2人のD-ホイーラー。

ジャック・Dが散々暴れてくれたお蔭でラストホイーラー、ダニエルことコナミまで引っ張り出され、相手は3人がかりで漸く倒したジャック・Dに続き、クロウ・ゴースト。

 

彼は驚く事にクロウ・ホーガンと全く同じ姿をしており、彼のD-ホイールを改造したブラック・バード・アルビオンに登場している。

ターンはジャック・Dが倒されたばかりの為、セカンドホイーラーのクロウに移る。彼はバイザーの奥のカメラアイでコナミのフィールドを捉えながらデッキよりカードを引き抜く。

 

『何と言う事でしょう!ジャックに続き、セカンドホイーラーはチーム革命軍のメンバー、クロウ!兄弟か何かか!?』

 

『この大会そっくりさん多過ぎるだろ……』

 

「俺のターン、ドロー。速攻魔法、『魔力の泉』を発動。相手フィールド上に存在する表側表示の魔法、罠の数だけドロー。俺は4枚ドロー。そして俺のフィールド上に存在する表側表示の魔法、罠の数だけ手札を捨てる。3枚を墓地へ」

 

クロウ・ゴースト 手札5→9→6

 

「墓地に送られた『妖刀竹光』の効果により、『黄金色の竹光』をサーチ。永続魔法、『黒い旋風』を発動し、『BFー蒼炎のシュラ』を召喚!」

 

BFー蒼炎のシュラ 攻撃力1800

 

登場したのはやはり『BF』。クロウが操るカードと同じカテゴリだ。シュラはこの中でも切り込み役、青い羽毛を伸ばした細身のモンスター。

 

「『BF』が召喚されたこの時、『黒い旋風』の効果発動。シュラの攻撃力より低い攻撃力を持つ『BF』モンスター、『BFー疾風のゲイル』をサーチ。そして同名カード以外の『BF』がフィールドに存在する事で、『BFー砂塵のハルマッタン』を手札から特殊召喚する」

 

BFー砂塵のハルマッタン 守備力800

 

次は脚の長い、首に赤い数珠を巻いた『BF』。このカードはクロウも持っていないカードだ。どうやらこのクロウ・ゴースト、ただのそっくりさんと言う訳ではないらしい。

 

「更に同条件を持つ『BFー疾風のゲイル』も特殊召喚」

 

BFー疾風のゲイル 攻撃力1300

 

次は『黒い旋風』でサーチした、『BF』でも特徴的なチューナーモンスター。頭には髪のような緑の羽毛、身体には紫の羽毛を纏っている。

 

「ゲイルの効果発動。1ターンに、1度、相手モンスターの攻守を半減する。俺は『オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン』を選択」

 

オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン 攻撃力2800→1400

 

「チッ」

 

「更に同条件を持つ『BFー残夜のクリス』を特殊召喚」

 

BFー残夜のクリス 攻撃力1900

 

更に展開。現れたのは民族衣装のようなものを纏った鳥獣族だ。

 

「そしてクリスをリリースし、手札の『ABFー霧雨のクナイ』を特殊召喚」

 

ABFー霧雨のクナイ 攻撃力2100

 

クリスと入れ替わりにフィールドに登場したのは『BF』の強化体、『ABF』の名を冠するモンスター。その名の通り、忍者のような風貌をしており、爪はクナイになっている。

 

「この方法で特殊召喚したクナイはチューナーとして扱う。レベル2のハルマッタンに、レベル5のクナイをチューニング!漆黒の翼翻し、雷鳴と共に走れ!電光の斬撃!シンクロ召喚!降り注げ、『ABFー驟雨のライキリ』!」

 

ABFー驟雨のライキリ 攻撃力2600

 

シンクロ召喚、クナイが5つのリングとなって弾け飛び、2つの星となったハルマッタンを包み込む。そして閃光がフィールドを覆い、一筋の剣閃によって晴らされる。現れたのは『ABF』シンクロモンスター。黒と白、鳥類と機械の翼を伸ばし、武者鎧を纏った、鋭い輝きを放つ刀を持ったモンスターだ。

 

「『BF』を素材としてシンクロ召喚に成功したこのカードはチューナーとして扱う。そしてライキリの効果発動。1ターンに1度、このカード以外の『BF』モンスターの数まで相手フィールド上のカードを対象として破壊する。『スターダスト』とアブソリュート・ドラゴンを破壊」

 

「『スターダスト』の効果により、このカードの破壊を防ぎ、アブソリュートの効果により、エクストラデッキから『オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン』を呼ぶ!」

 

オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン 攻撃力2500

 

アブソリュートの氷がひび割れ、氷の鎧を脱ぎ捨てて、深緑に染まった体躯を翻し、4枚の翼を持った竜へと生まれ変わる。態々アブソリュートの攻守を半減しておいての破壊。何を考えているか分からないが、ここは乗っておこう。

 

「ボルテックスの効果により――ここはライキリをバウンス!」

 

迷う所ではあるが、シュラを戻せば次のシンクロを防げはするが、手札が増え、次のターンで『黒い旋風』の種となってしまう。モンスターの数でもこちらの選択を選ぶ。

 

「レベル4のシュラに、レベル3のゲイルをチューニング!黒き旋風よ、天空へ駆け上がる翼となれ!シンクロ召喚!『BFーアーマード・ウィング』!」

 

BFーアーマード・ウィング 攻撃力2500

 

今度は旧型の『BF』モンスター。黒い鎧に身を包んだ、機械族と見間違えてしまいそうなモンスターだ。新旧交えての『BF』デッキ。これは中々手強そうだ。

 

「バトル、アーマード・ウィングでボルテックスへ攻撃。ブラック・ハリケーン!」

 

アーマード・ウィングが羽を弾丸として撃ち出し、ボルテックスの翼を砕き、貫き通して破壊する。ボルテックスも最後の力を振り絞って応戦するも――アーマード・ウィングは黒羽を折り畳み、盾として防ぐ。

 

「アーマード・ウィングは戦闘破壊されず、このカードの戦闘で発生する俺へのダメージは0になる。ターンエンド」

 

クロウ・ゴースト LP4000

フィールド『BFーアーマード・ウィング』(攻撃表示)

『黒い旋風』『補給部隊』

手札2

 

「オレのターン、ドロー!『刻剣の魔術師』を召喚!」

 

刻剣の魔術師 攻撃力1400

 

現れたのは剣を持った少年『魔術師』。利便性が高く、応用の効くカードだ。

 

「そして刻剣の効果により、このカードとアーマード・ウィングを除外、バトル!『スターダスト』でダイレクトアタック!」

 

「アクションマジック、『ブラインド・ブリザード』。バトルを終了させる」

 

「賤竜とジョウゲンを守備表示に変更。カードを1枚セットし、ターンエンド」

 

ダニエル LP3300

フィールド『オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン』(攻撃表示)『閃光竜スターダスト』(攻撃表示)『賤竜の魔術師』(守備表示)『黄昏の忍者ージョウゲン』(守備表示)

『妖刀竹光』『補給部隊』セット1

Pゾーン『竜脈の魔術師』

手札1

 

「俺のターン、ドロー。魔法カード、『強欲で金満』な壺を発動。エクストラデッキからランダムに6枚のカードを除外し、2枚ドローする」

 

クロウ 手札2→4

 

「俺は『BFー上弦のピナーカ』を召喚」

 

BFー上弦のピナーカ 攻撃力1200

 

現れたのは弓矢を構えた小さな鳥。『BF』の中では優秀なサーチ効果を持ったチューナーだ。

 

「『黒い旋風』の効果で『BFー白夜のグラディウス』をサーチし、特殊召喚」

 

BFー白夜のグラディウス 守備力1500

 

続けて現れる。鎧を纏った鳥。『BF』はこう言った類いの特殊召喚条件を持ったモンスターが多く、召喚権で困る事が少ないのが強みだ。

 

「レベル3のグラディウスに、同じくレベル3のピナーカをチューニング!シンクロ召喚!『BFー星影のノートゥング』!」

 

BFー星影のノートゥング 攻撃力2400

 

またもシンクロ。現れたのは美しい波紋を刃に広げた剣を持つ鳥人だ。単なるレベル6のシンクロモンスターとしても汎用性が高く、『BF』ならば更に強くなるモンスターでもある。

 

「特殊召喚時、相手に800のダメージを与え、『スターダスト』を対象とし、攻守を800ダウン」

 

「墓地の『ダメージ・ダイエット』を除外し、効果ダメージを半分にする!」

 

ダニエル LP3300→2900

 

閃光竜スターダスト 攻撃力2500→1700

 

淡々と、機械的に効果を発動し、コナミを追い詰めるクロウ・ゴースト。その展開と違い、静けさを帯びた姿は不気味でもある。

 

「装備魔法、『D・D・R』を発動。手札を1枚捨て、除外されているアーマード・ウィングを特殊召喚し、このカードを装備する。更に墓地に送られた『妖刀竹光』の効果で『黄金色の竹光』をサーチ」

 

BFーアーマード・ウィング 攻撃力2500

 

「バトル、アーマード・ウィングでメテオバーストへ攻撃」

 

「『補給部隊』の効果でドロー!」

 

ダニエル 手札1→2

 

アーマード・ウィングが自身の黒羽を引き抜いて刀とし、黒き剣閃を走らせ、メテオバーストを討つ。砕け散るメテオバーストの胸の宝玉。『スターダスト』の効果は――使わない。使えない。例え破壊を逃れても、アーマード・ウィングに楔を打ちつけられるだけだ。

 

「ノートゥングでジョウゲンへ攻撃」

 

「『スターダスト』で破壊を防ぐ!」

 

ダニエル LP2900→2500

 

「カードをセットし、ターンエンド。この瞬間、墓地に送られたピナーカの効果で『BFー月影のカルート』をデッキからサーチする」

 

クロウ・ゴースト LP4000

フィールド『BFーアーマード・ウィング』(攻撃表示)『BFー星影のノートゥング』(攻撃表示)

『D・D・R』『黒い旋風』『補給部隊』セット1

手札2

 

「オレのターン、ドロー!刻剣の効果でアーマード・ウィングを除外!」

 

「罠発動。『威嚇する咆哮』」

 

「……オレは全てのモンスターを守備表示に変更し、ターンエンドだ」

 

ダニエル LP2500

フィールド『閃光竜スターダスト』(守備表示)『賤竜の魔術師』(守備表示)『黄昏の忍者ージョウゲン』(守備表示)

『妖刀竹光』『補給部隊』

Pゾーン『竜脈の魔術師』

手札2

 

「『BFー月影のカルート』を召喚」

 

BFー月影のカルート 攻撃力1400

 

現れたのはゲイルと良く似たモンスター。本来ならば手札誘発として手札に置くのが定石であるが――今の彼の布陣ならば問題はない。

 

「『黒い旋風』の効果で『BFー極北のブリザード』をサーチ。そしてノートゥングには『BF』モンスターの召喚権を増やす効果がある。たった今手札に加えたブリザードを召喚」

 

BFー極北のブリザード 攻撃力1300

 

ノートゥングの施しと『黒い旋風』を合わせる事で1ターンに2枚のカードをサーチしながら展開する強力なコンボが完成する。この男、本物のクロウ並みに『BF』を使いこなしている。

 

「ブリザードの召喚時、墓地の『BFー上弦のピナーカ』を蘇生。更に『黒い旋風』の効果で『BFー砂塵のハルマッタン』をサーチ」

 

「ブリザードの効果にチェーンして手札の『増殖するG』を捨て、効果発動!このターン、相手がモンスターを特殊召喚する度に1枚ドローする!」

 

BFー上弦のピナーカ 守備力1000

 

ダニエル 手札1→2

 

「そして『BFー砂塵のハルマッタン』を特殊召喚」

 

BFー砂塵のハルマッタン 守備力800

 

ダニエル 手札2→3

 

「ハルマッタンの特殊召喚時、ブリザードを対象に効果発動。このカードのレベルを対象のブリザードのレベル分アップする」

 

BFー砂塵のハルマッタン レベル2→4

 

「レベル4のハルマッタンに、レベル3のピナーカをチューニング!シンクロ召喚!『ABFー驟雨のライキリ』!」

 

ABFー驟雨のライキリ 攻撃力2600

 

ダニエル 手札3→4

 

「装備魔法、『折れ竹光』をライキリに装備、魔法カード、『黄金色の竹光』を発動、2枚ドロー」

 

クロウ・ゴースト 手札0→2

 

「手札の『BFー突風のオロシ』を特殊召喚」

 

BFー突風のオロシ 守備力600

 

ダニエル 手札4→5

 

「ライキリの効果発動。『スターダスト』、『賤竜の魔術師』、『補給部隊』、『竜脈の魔術師』を破壊する」

 

「『スターダスト』の効果で自身を守る!」

 

『スターダスト』の効果を使えども、残る3枚が斬撃を受けて砕け散る。汎用性は高いが、本家『スターダスト・ドラゴン』ならば守れた効果だ。

 

「レベル3のカルートに、レベル2のブリザードをチューニング!シンクロ召喚!『BFー煌星のグラム』!」

 

BFー煌星のグラム 攻撃力2200

 

ダニエル 手札5→6

 

2連続シンクロ召喚。本家スピードスターに並ぶ程の腕前を披露し、現れたのは白銀の鎧を纏った鳥人。余り強力な効果は持っていないが――素材に使うならば充分だ。

 

「レベル5のグラムに、レベル1のオロシをチューニング!漆黒の力!大いなる翼に宿りて、神風を巻き起こせ!シンクロ召喚!吹き荒べ、『BFーアームズ・ウィング』!」

 

BFーアームズ・ウィング 攻撃力2300

 

ダニエル 手札6→7

 

3連続シンクロ召喚――更に実力を発揮し、現れたのはアーマード・ウィングと似たモンスター。尤も、アーマード・ウィングと違い、頭部から伸びた赤い羽根や羽毛等、野性的な見た目をしており、その手には銃剣を持っている。

 

「オロシの効果で『スターダスト』の表示形式を変更」

 

「アクションマジック、『ミラー・バリア』!『スターダスト』に効果耐性を与える!」

 

「バトル、アームズ・ウィングでジョウゲンへ攻撃!ブラック・チャージ!」

 

襲い来るアームズ・ウィング。銃剣から何発もの弾丸を放ち、雨のようにジョウゲンに降り注ぐ。このモンスターは守備表示モンスターへ攻撃する際、攻撃力を500アップし、貫通ダメージを与える効果がある。

 

「手札の『虹クリボー』をアームズ・ウィングに装備し、攻撃を封じる!」

 

だから防ぐしかない。突如ジョウゲンの眼前に虹色の角を持った小さなモンスターが現れ、大きく息を吸い込んで体を膨らませ、銃弾を跳ね返す。何とか難は逃れたが――所詮、一時凌ぎに過ぎない。キュイッ、とクロウ・ゴーストのカメラアイが収束して唸る。まだ刀は、2本ある。

 

「ノートゥングでジョウゲンを、ライキリで『スターダスト』を攻撃!」

 

2羽の『BF』による攻撃がコナミのモンスターに襲いかかり、フィールドががら空きになってしまう。『スターダスト』がいるにも関わらず、ここまでボロボロにされるとは。

 

「……『妖刀竹光』の効果で『黄金色の竹光』をサーチする」

 

「ターンエンド。ピナーカの効果でデッキから『BFー月影のカルート』をサーチ」

 

クロウ・ゴースト LP4000

フィールド『ABFー驟雨のライキリ』(攻撃表示)『BFーアームズ・ウィング』(攻撃表示)『BFー星影のノートゥング』(攻撃表示)

『折れ竹光』『黒い旋風』『補給部隊』

手札2

 

『クロウ・ゴーストの猛攻!嵐のような攻撃でダニエルのフィールドを掻き混ぜる!対するダニエルは流石に2連戦で疲労しているのか、防ぐしかない!』

 

『不味いのはそれだけじゃない!防御に徹すればデッキ枚数的に不利なのはダニエルだ!』

 

そう、攻撃にしろ、防御にしろ、カードをドローすればドローする程、可能性はデッキから削り取られていく。このままではクロウを倒しても次でデッキ切れなんて事になりかねないのだ。

 

「オレのターン、ドロー!魔法カード、『打ち出の小槌』。手札を2枚交換。オレは『アメイジング・ペンデュラム』を発動!エクストラデッキより、『竜穴の魔術師』と『竜脈の魔術師』を回収し、セッティング!そして手札からペンデュラムモンスターを捨て、竜穴の効果で『黒い旋風』を破壊!」

 

「手札の『増殖するG』を捨て、効果発動」

 

「ペンデュラム召喚!『賤竜の魔術師』!『慧眼の魔術師』!『竜穴の魔術師』!『E・HEROブレイズマン』!」

 

賤竜の魔術師 攻撃力2100

 

慧眼の魔術師 攻撃力1500

 

竜穴の魔術師 守備力2700

 

E・HEROブレイズマン 守備力1800

 

クロウ・ゴースト 手札1→2

 

長期戦ではコナミが不利だが、同時に有利なものもある。一番その要素が強いのがこのペンデュラムだ。ペンデュラムモンスターをエクストラデッキに蓄え、一気に解放する。墓地が第2の手札、除外ゾーンが第3の手札なら、エクストラデッキは第4の手札と言える。

 

「賤竜の効果で墓地の『曲芸の魔術師』を、ブレイズマンの効果で『置換融合』をサーチ!そして発動!ブレイズマンと竜穴を融合!融合召喚!『E・HEROアブソルートZero』!」

 

E・HEROアブソルートZero 攻撃力2500

 

クロウ・ゴースト 手札2→3

 

融合召喚、現れたのはこの逆境を覆す最強の異名を冠する『HERO』。白銀の鎧を纏い、マントを風に揺らす、神々しささえ感じさせる、美しく洗練された氷の英雄。どんなモンスターが相手でも、このモンスターがいれば百人力だ。

 

「墓地の『置換融合』を除外し、ボルテックス・ドラゴンをエクストラデッキに戻し、1枚ドロー!」

 

ダニエル 手札5→6

 

「カードを3枚セット、バトル!アブソルートでアーマード・ウィングへ攻撃!瞬間凍結!」

 

「迎え撃つ」

 

アブソルートZeroが手を凍らせ、氷で形成された刃を作り出し、二刀流の手刀でアーマード・ウィングに挑みかかる。アーマード・ウィングもまた背から伸びる黒羽を2本引き抜き、切り結ぶ。鳴り響く剣戟の音、しかし決着は一瞬。アブソルートの氷の剣がアーマード・ウィングの胸を貫き、どうだと言わんばかりにアーマード・ウィングを睨む。だがアーマード・ウィングは何ともないと言わんばかりに二刀を交差させ、アブソルートZeroを切り裂く。勝者はアーマード・ウィング。が、英雄はここで終わらない。アーマード・ウィングを貫いた腕から凍らせていき――相手フィールド全体を覆う程の冷気を放ち、『BF』達を氷の像に変える。

 

「アブソルートZeroがフィールドを離れた事で、相手フィールドのモンスターを全て破壊!」

 

「……!『補給部隊』の効果でドロー」

 

クロウ・ゴースト 手札3→4

 

「賤竜でダイレクトアタック!」

 

「手札の『BFー熱風のギブリ』の効果発動。相手の直接攻撃宣言時、このカードを特殊召喚する。更にアクションマジック、『回避』。賤竜の攻撃を無効にする」

 

BFー熱風のギブリ 攻撃力0

 

「新手か……メインフェイズ2、刻剣の効果でこのカードとギブリを除外する。ターンエンドだ!」

 

ダニエル LP2500

フィールド『賤竜の魔術師』(攻撃表示)『慧眼の魔術師』(攻撃表示)

セット3

Pゾーン『竜穴の魔術師』『竜脈の魔術師』

手札3

 

「俺のターン、ドロー」

 

「罠発動、『貪欲な瓶』!墓地の『貪欲な壺』、『黄金色の竹光』、『妖刀竹光』、『マジカルシルクハット』2枚を回収し、1枚ドロー!」

 

ダニエル 手札3→4

 

「魔法カード、『貪欲な壺』を発動。墓地のカルート、ゲイル、グラディウス、クリス、ブリザードを回収し、2枚ドロー」

 

クロウ・ゴースト 手札3→5

 

「魔法カード、『打ち出の小槌』。手札を3枚交換。永続魔法、『黒い旋風』を発動。そして『BFー黒槍のブラスト』を召喚」

 

BFー黒槍のブラスト 攻撃力1700

 

現れたのはその異名の通り、巨大な黒い槍を持った『BF』。本来なら自身の特殊召喚効果によって呼び出すのだが、その条件を満たしていない為、通常召喚だ。

 

「『黒い旋風』の効果で『BFー疾風のゲイル』をサーチし、特殊召喚」

 

BFー疾風のゲイル 攻撃力1300

 

「ゲイルの効果で慧眼の攻撃力を半減」

 

慧眼の魔術師 攻撃力1500→750

 

「そしてレベル4のブラストに、レベル3のゲイルをチューニング!シンクロ召喚!『BFTー漆黒のホーク・ジョー』!」

 

BFTー漆黒のホーク・ジョー 攻撃力2600

 

現れたのは『ABF』でも、『BF』でもない、『BF』を操る『BF』のテイマー。赤髪を揺らし、白き衣を纏った人型のモンスターだ。種族も戦士族であり、他の『BF』と違う事が窺える。

 

「ホーク・ジョーの効果、1ターンに1度、墓地のレベル5以上の鳥獣族モンスターを蘇生する。『ABFー驟雨のライキリ』を選択」

 

ABFー驟雨のライキリ 攻撃力2600

 

「ライキリの効果で賤竜を破壊」

 

これが『BF』を統べるテイマーの効果。中盤でこそ真価を発揮する強力な蘇生効果だ。これは少々厄介。

 

「バトル、ライキリで慧眼へ攻撃」

 

「罠発動!『マジカルシルクハット』!」

 

「……ならバトルを中断、魔法カード、『一時休戦』を発動」

 

クロウ・ゴースト 手札0→1

 

ダニエル 手札4→5

 

「ターンエンドだ」

 

クロウ・ゴースト LP4000

フィールド『BFTー漆黒のホーク・ジョー』(攻撃表示)『ABFー驟雨のライキリ』(攻撃表示)

『黒い旋風』『補給部隊』セット1

手札0

 

「オレのターン、ドロー!2枚目の『貪欲な瓶』を発動!『マジカルシルクハット』と『死者蘇生』、『No.39希望皇ホープ』、『オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン』、『E・HEROアブソルートZero』を戻し、1枚ドロー!」

 

ダニエル 手札6→7

 

これで一応はデッキ切れの心配はなくなった。『貪欲な壺』と『貪欲な瓶』で墓地のカードを使い回す事で何とかするしかない。とは言ってもペンデュラムモンスターは通常エクストラデッキに行く為、戻せないが。

 

「魔法カード、『金満な壺』を発動!エクストラデッキと墓地のペンデュラムモンスターを合計3枚デッキに戻し、2枚ドロー!」

 

ダニエル 手札6→8

 

「刻剣の効果により、ホーク・ジョーと共に除外!」

 

「ホーク・ジョーの効果発動。このカードが攻撃、効果の対象になった場合、別の『BF』へ対象を写す。ギブリを選択」

 

「そんな効果まで……!ならばペンデュラム召喚!『賤竜の魔術師』!『竜穴の魔術師』!『竜脈の魔術師』!『曲芸の魔術師』!」

 

賤竜の魔術師 守備力1400

 

竜穴の魔術師 守備力2700

 

竜脈の魔術師 守備力900

 

曲芸の魔術師 守備力2300

 

幾度も揺れ動く振り子の軌跡により、フィールドに4体の『魔術師』が呼び出される。扇を持った目付きの鋭い賤竜。竜穴と竜脈の『魔術師』師弟。更に派手な衣装の曲芸と色とりどりだ。

 

「賤竜の効果で慧眼を回収。そして竜脈の効果で捨て、ホーク・ジョーを破壊!」

 

「させない。永続罠、『ディメンション・ガーディアン』を発動。ホーク・ジョーに戦闘、効果破壊耐性を与える」

 

「魔法カード、『一騎加勢』!賤竜の攻撃力を1500アップ!」

 

賤竜の魔術師 攻撃力2100→3600

 

「バトル!賤竜でライキリへ攻撃!」

 

「アクションマジック、『大脱出』。バトルを終了させる」

 

「カードを3枚セット、ターンエンドだ」

 

ダニエル LP2500

フィールド『竜脈の魔術師』(守備表示)『賤竜の魔術師』(守備表示)『竜穴の魔術師』(守備表示)『曲芸の魔術師』(守備表示)セットモンスター

セット3

Pゾーン『竜穴の魔術師』『竜脈の魔術師』

手札2

 

「俺のターン、ドロー。ホーク・ジョーの効果により、墓地からアーマード・ウィングを蘇生」

 

BFーアーマード・ウィング 攻撃力2500

 

ホーク・ジョーの下に集う3体の『BF』モンスター。このコンボこそ彼の主軸となる。通称、3羽烏。ライキリが相手の戦線を突破し、防御において起点たるホーク・ジョーが狙われれば戦闘耐性を持つアーマード・ウィングへ移行する。かなり厄介な3体が揃ってしまった。

 

「面倒な……!」

 

「ライキリの効果により、ペンデュラムを破壊する」

 

「ッ!」

 

「バトル、ライキリで曲芸を、ホーク・ジョーで竜脈を、アーマード・ウィングでセットモンスターへ攻撃」

 

「チッ、曲芸の効果でこのカードをペンデュラムゾーンへ!」

 

確実に、一歩一歩とこちらの手を潰すクロウ・ゴースト。機械的で淡々としたその戦術にコナミが冷や汗を垂らす。全く熱の籠っていない相手だ。血が通っていないかのような、こちらを観察するデュエル。正直不気味で仕方無い。

 

「カードを1枚セット、ターンエンド」

 

「罠発動。『転生の予言』。墓地の『貪欲な瓶』を2枚回収」

 

クロウ・ゴースト LP4000

フィールド『BFTー漆黒のホーク・ジョー』(攻撃表示)『ABFー驟雨のライキリ』(攻撃表示)『BFーアーマード・ウィング』(攻撃表示)

『黒い旋風』『補給部隊』『ディメンション・ガーディアン』セット1

手札0

 

「オレのターン、ドロー!刻剣はフィールドに戻る。そして効果発動!狙いのはホーク・ジョー!」

 

「ホーク・ジョーの効果により、対象をギブリに」

 

「だがこれでホーク・ジョーの効果は使い切った。オレは『貴竜の魔術師』をセッティング!」

 

「罠発動。『ゴッドバード・アタック』。ライキリをリリースし、『貴竜の魔術師』とセットカードを破壊」

 

「ぐっ!?」

 

悉く、コナミの策が看破されていく。このままではジリ貧、何か大きな手を打ち、打破したいが――何もない。

 

「ターン、エンド……」

 

ダニエル LP2500

フィールド『賤竜の魔術師』(守備表示)『竜穴の魔術師』(守備表示)

セット1

Pゾーン『曲芸の魔術師』

手札2

 

「俺のターン、ドロー。魔法カード、『マジック・プランター』を発動。永続罠、『ディメンション・ガーディアン』を墓地に送り、2枚ドロー」

 

クロウ・ゴースト 手札0→2

 

「そしてホーク・ジョーの効果でライキリを蘇生」

 

ABFー驟雨のライキリ 攻撃力2600

 

「更に『ゴブリンドバーグ』を召喚」

 

ゴブリンドバーグ 攻撃力1400

 

現れたのは玩具の飛行機に乗ったゴブリン。彼が操る中で、初めて『BF』以外のモンスターが召喚された

 

「召喚時効果により、手札の『BFー弔風のデス』を特殊召喚」

 

BFー弔風のデス 守備力1000

 

次に現れたのもまた、初めて見る『BF』モンスターだ。今度は一体どんな効果で攻めて来るのか、コナミは押し黙って観察する。

 

「ライキリの効果発動。竜穴、セットカード、曲芸を破壊」

 

「……!」

 

再びライキリの斬撃がコナミのフィールドを粉々に砕く。

 

「レベル4のトルネードに、レベル4のデスをチューニング!漆黒の風を纏い、末世から飛翔せよ!シンクロ召喚!『玄翼竜ブラック・フェザー』!!」

 

玄翼竜ブラック・フェザー 攻撃力2800

 

レベル4モンスター2体によるシンクロ召喚で、姿を見せたのは予想外のモンスター。黒き鬣、黒き翼、鋭い嘴を持ち、細長い体躯をしならせ、赤いラインを輝かせる黒羽の竜。コナミも良く見たモンスターの姿であり、彼の持つ『スターダスト』、ジャック・Dの『レッド・デーモン』と同じ決闘竜にして、クロウ・ゴーストが誇るエースカードだ。

 

「ブラック・フェザー……!」

 

「バトル、アーマード・ウィングで賤竜へ、ライキリでダイレクトアタック」

 

「アクションマジック、『ダメージ・バニュシュ』により賤竜の戦闘ダメージを0に、墓地の『光の護封霊剣』を除外し、ダイレクトアタックを封じる!」

 

「ターンエンド。この瞬間、墓地に送られた『弔風のデス』の効果で1000ポイントのダメージを受ける」

 

クロウ・ゴースト LP4000→3000

 

「そしてブラック・フェザーの効果発動。1ターンに1度、戦闘、効果ダメージを受けた時、デッキトップから5枚のカードを墓地に送り、その中にモンスターカードがあった場合、ターン終了まで攻撃力を400アップする」

 

玄翼竜ブラック・フェザー 攻撃力2800→3200

 

ブラック・フェザーの翼に光が灯り、その力を増す。5枚もの墓地肥やしと確率性の高い攻撃力アップ。それがブラック・フェザーの効果だ。

 

クロウ・ゴースト LP3000

フィールド『玄翼竜ブラック・フェザー』(攻撃表示)『BFTー漆黒のホーク・ジョー』(攻撃表示)『ABFー驟雨のライキリ』(攻撃表示)『BFーアーマード・ウィング』(攻撃表示)

『黒い旋風』『補給部隊』

手札0

 

「オレのターン、ドロー!刻剣がフィールドに戻る。そして装備魔法、『妖刀竹光』を刻剣に装備し、魔法カード、『黄金色の竹光』を発動!2枚ドロー!」

 

ダニエル 手札1→3

 

「魔法カード、『アメイジング・ペンデュラム』発動!『竜穴の魔術師』と『曲芸の魔術師』を回収し、セッティング!ペンデュラム召喚!『賤竜の魔術師』!『慧眼の魔術師』!『竜脈の魔術師』!」

 

賤竜の魔術師 守備力1400

 

慧眼の魔術師 守備力1500

 

竜脈の魔術師 守備力900

 

「賤竜の効果で『相生の魔術師』を回収!『ジェット・シンクロン』召喚!」

 

ジェット・シンクロン 攻撃力500

 

現れたのは青と白のカラーリングのジェットエンジンを模したモンスター。レベル1のチューナーであり、自己蘇生効果を持った優秀なカードだ。

 

「レベル4の慧眼に、レベル1の『ジェット・シンクロン』をチューニング!シンクロ召喚!『ジェット・ウォリアー』!」

 

ジェット・ウォリアー 守備力1200

 

続けてシンクロ召喚、現れたのは重厚な黒のボディを煌めかせる、ジェット機を模した機械戦士だ。ギャリギャリと己の脚部に着いた刃で地を削り、フィールドに着地。そのままクロウ・ゴーストのフィールドに突き進む。

 

「『ジェット・ウォリアー』の効果発動!ホーク・ジョーをバウンス!更に素材になった『ジェット・シンクロン』の効果で『ジャンク・コレクター』サーチ!」

 

「対象をギブリに変更」

 

「そう、そうするしかない。刻剣の効果でホーク・ジョーを除外!」

 

「ッ!」

 

『ジェット・ウォリアー』と『刻剣の魔術師』、二段構えの策でホーク・ジョーを攻略。これで厄介な蘇生は潰した。

 

「『妖刀竹光』の効果で『黄金色の竹光』をサーチ。カードを1枚セット、ターンエンド」

 

ダニエル LP2500

フィールド『ジェット・ウォリアー』(守備表示)『竜脈の魔術師』(守備表示)『賤竜の魔術師』(守備表示)

セット1

Pゾーン『竜穴の魔術師』『曲芸の魔術師』

手札4

 

「俺のターン、ドロー。魔法カード、『打ち出の小槌』を発動。アクションカードと共に手札を交換。『BFー蒼天のジェット』を召喚」

 

BFー蒼天のジェット 攻撃力100

 

「『黒い旋風』の効果でギブリをサーチ。ライキリの効果発動。ペンデュラムを破壊」

 

「罠発動!『スキル・プリズナー』!ペンデュラムを対象とするモンスター効果を無効!」

 

「ッ!バトルに入る。アーマード・ウィングで竜脈を、ライキリで『ジェット・ウォリアー』に、更にアクションマジック、『セカンド・アタック』によって攻撃権を増やし、賤竜へ攻撃」

 

『BF』大暴れ。コナミのモンスターを倒し、破壊する事でフィールドを更地に変える。これでコナミのモンスターはまたも全滅。対するクロウ・ゴーストはブラック・フェザーによる攻撃権が残っている。だが――。

 

「ブラック・フェザーで攻撃。黒怒尖闘撃!」

 

「墓地の『機甲忍者アクア』を除外し、攻撃を無効!」

 

「知っている……」

 

キュイッ、クロウ・ゴーストのカメラアイが細められる。そう、計算高く、デュエルを綿密に組み上げる彼はコナミ達が墓地に落とした公開情報ならば全て覚えている。勿論、『虹クリボー』の事も。だが使わせなければ何時までも残る。使わせる時に使わせなければ、クロウ・ゴーストとしても攻め切れない。

 

「ターンエンド」

 

クロウ・ゴースト LP3000

フィールド『玄翼竜ブラック・フェザー』(攻撃表示)『ABFー驟雨のライキリ』(攻撃表示)『BFーアーマード・ウィング』(攻撃表示)『BFー蒼天のジェット』(攻撃表示)

『黒い旋風』『補給部隊』

手札2

 

「オレのターン、ドロー!スタンバイフェイズ、刻剣はフィールドに戻る。魔法カード、『金満な壺』を発動!エクストラデッキ、墓地のペンデュラムモンスターをデッキに戻し、2枚ドロー!」

 

ダニエル 手札4→6

 

「ペンデュラム召喚!『賤竜の魔術師』!『竜脈の魔術師』!『慧眼の魔術師』!『ジャンク・コレクター』!」

 

賤竜の魔術師 攻撃力2100

 

竜脈の魔術師 攻撃力1800

 

慧眼の魔術師 攻撃力1500

 

ジャンク・コレクター 守備力2200

 

再度ペンデュラム召喚。現れたのは3体の『魔術師』とコナミの奥の手である『ジャンク・コレクター』だ。このモンスターを召喚したと言う事は――既に手は打ってあると言う事だろう。

 

「賤竜の効果で竜穴を回収!」

 

「手札の『エフェクト・ヴェーラー』を捨て、効果を無効に」

 

「『ジャンク・コレクター』と墓地の『エレメンタルバースト』を除外し、効果をコピー!相手フィールドのカードを全て破壊する!」

 

『ジャンク・コレクター』が閃光に包まれ、弾け飛び、中より4つのエレメントが溢れ出す。押し寄せる津波が、沸き立つ火柱が、荒々しき旋風が、隆起する大地が、クロウ・ゴーストのフィールドを焦土と化す。これならば対象等関係なくホーク・ジョーを含めて全てのカードを潰せる。クロウ・ゴーストの扱う『BF』の最も厄介なのは繁殖力。特にアーマード・ウィング、ホーク・ジョー、ライキリの3羽は1体でも残しておくとそれだけで突破力になりかねない。だから――纏めて全部叩くしかない。お蔭で貴重な『エレメンタルバースト』の2発目を切ってしまった。

 

「……ッ!」

 

「『相生の魔術師』を召喚!」

 

相生の魔術師 攻撃力500

 

「カードをセット、バトル!竜脈でダイレクトアタック!」

 

「手札のギブリの効果発動」

 

BFー熱風のギブリ 守備力1600

 

「そのまま叩く!そして刻剣でダイレクトアタック!」

 

クロウ・ゴースト LP3000→1600

 

「ッ!」

 

刻剣の剣がクロウ・ゴーストの肩口を切り裂き、ダメージを与える。残るLPは1600。これならば――。

 

「賤竜で攻撃!」

 

クロウ・ゴースト LP1600→0

 

「――ッ!」

 

賤竜の攻撃が真正面から入り、クロウ・ゴーストのLPを削り尽くす。白煙を上げ、停止する白いD-ホイール。勝者、ダニエル――。

残るD-ホイーラーはただ1人。コナミは荒くなった息を整え、ラストホイーラーである白帽子に指先を向け、挑戦状を叩きつける。

 

「残るはお前ただ1人……さぁ、来い!決着をつける時だ!」

 

「……面白い……!」

 

夜空に映える月下で、2人のデュエリストが吠える。今こそ雌雄を決する時。白コナミは腰を上げ、右手を空へと翳し、信頼する愛機を呼び出す。

漆黒の夜空で輝く明星。その存在はドンドンとサーキットへ近づき、流星の如く舞い降りる。先端が二又に別れた、翼を持った戦闘機のような巨大な純白のD-ホイール。サーキットに現れたマシンを見て、観客達がざわざわと騒ぎ出す。

 

『こっこ、これはお面ホイーラーの機体!?と言う事はまさか、お面ホイーラーの正体はコナミだったのか!?』

 

その間にも白コナミはぴょんと自らのD-ホイールに搭乗し、エンジンをかけ、フィールドを疾駆する。1回戦最終試合、2回戦に駒を進める、決着を賭けたラストホイーラー同士の対決。そして、コナミ同士の決着を賭けた一戦が今――始まる。

 

「「ライディングデュエル、アクセラレーション!!」」




と言う事でクロウ・ゴーストのデッキはABFを投入したBFデッキです。
クロウ・ホーガンのデッキはアニメ5D'sに登場したBF+ホーク・ジョーを除いた漫画BF+一部のOCGオリジナルBFとなっております。ARCーV登場のBFはABFでなくとも投入されておりません。

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