アクションフィールド、『破邪の魔法壁』によって光輝くサーキットにて、チーム沢渡とチームデニスによるファーストホイーラー、アリトと権現坂のライディングデュエルが行われていた。防御を固めながら闘う権現坂に対し、アリトが取ったのは『No.51怪腕のフィニッシュ・ホールド』のカウンターを溜め、全てを破壊すると言う豪快にして単純な手。戦闘でも破壊されないこのカードに対する手は『超重武者』においては少ないが、権現坂はどう出るか。
「俺のターン、ドロー!スタンバイフェイズ、効果で破壊されたシノビーA・Cを蘇生する」
超重忍者シノビーA・C 守備力2800
再び権現坂のフィールドに現れる黒い鎧を纏った『忍者』。クルクルと棍棒を振り回し、火花を散らす先端をアリトのモンスター達へ向け、威嚇する。今の所アリトに対抗出来るカードと言えば、このカード位しかない。
「そして『超重武者テンBーN』を召喚!」
超重武者テンBーN 攻撃力800→1100
続けて天秤を肩に担いだ深緑の武者。自身の特殊召喚効果と蘇生効果を持ち、優秀なカードだ。
「テンBーNの効果発動!蘇生するのは『超重武者ダイー8』だ!」
超重武者ダイー8 守備力1800
続けて黄緑の鎧を纏った台車引きがフィールドを走る。このデュエル中、チュウサイと組み合わせて何度も大型『超重武者』を呼んだカードだ。
「そしてシノビーA・Cのレベルを1つ下げ、墓地のコブーCを蘇生する!」
超重忍者シノビーA・C レベル7→6
超重武者コブーC 攻撃力900→1200
次は小さな身体に大きな拳を構えたオレンジ色のモンスター。レベル2、自己蘇生効果を持ったカード。『超重武者』専用の『レベル・スティーラー』と言って良いカードだ。
『権現坂選手、モンスターを大量展開!ここから巻き返せるか!』
「レベル4のテンBーNに、レベル2のコブーCをチューニング!雄叫び上げよ。神々しき鬼よ!見参せよ。悪の蔓延る戦場に!シンクロ召喚!いざ出陣!『超重神鬼シュテンドウーG』!」
超重神鬼シュテンドウーG 守備力2500
地響きと共に赤き装甲の鬼が降り立つ。側頭部には天に反り立つ2本の角、胸には青白い宝石が埋め込まれており、肩には黄色いパーツが装着されている。そして腰からは左右4本、合計8本の吹奏楽器のようなものが伸びており、右手には巨大な金棒を握っている。
「シンクロ召喚時、相手フィールドの魔法、罠を全て破壊!」
「甘い!破壊されたのは2枚とも『運命の発掘』!墓地にはこいつ等を含め3枚!よって6枚ドロー!」
アリト 手札0→6
「裏目に出たか……ならダイー8の効果!攻撃表示に変更し、『超重武者装留チュウサイ』をサーチ!ダイー8に装備し、リリースして『超重武者ソードー999』をリクルート!」
超重武者ソードー999 守備力1800
「止めるぜ、手札の『エフェクト・ヴェーラー』を捨て、無効だ」
「ならシノビーA・Cの守備力を半分にし、ダイレクトアタックを可能に!」
超重忍者シノビーA・C 守備力2800→1400
「バトル!シュテンドウーGでリードブローへ攻撃!この瞬間、バスター・ガントレットを捨て、守備力を倍にする!」
超重神鬼シュテンドウーG 守備力2500→5000
アリト LP2900→1700
「ぐうっ――!」
シュテンドウーGが天に向かって跳躍した途端、空より一筋の光が飛来し、シュテンドウーGの拳に装着される。そう、その正体はバスター・ガントレット。火炎を吹き出して勢いを増し、強烈な正拳突きをリードブローへと食らわせる。
「シノビーA・Cでダイレクトアタック!」
アリト LP1700→300
「がはっ!」
更にシノビーA・Cがフィニッシュ・ホールドの巨腕を軽々と掻い潜り、アリトへと棍棒の一撃をお見舞いする。モンスターが倒せなくてもプレイヤーは別、ダメージを蓄積させて倒す寸法か。次のターンまでシノビーA・Cを守れば或いは勝利が見えてくる。
「効いたぜ、お前のパンチ……!」
「俺はこれでターンエンドだ」
権現坂 昇 LP4000
フィールド『超重神鬼シュテンドウーG』(守備表示)『超重忍者シノビーA・C』(守備表示)『超重武者ソードー999』(守備表示)
手札0
「俺のターン、ドロー!墓地の『手札抹殺』を除外し、『マジック・ストライカー』を特殊召喚!」
マジック・ストライカー 守備力200
「魔法カード、『二重召喚』を発動!『マジック・ストライカー』をリリースし、『光帝クライス』をアドバンス召喚!」
光帝クライス 攻撃力2400
「クライスの効果でこいつとソードー999を破壊!互いにドロー!」
アリト 手札3→4
権現坂 昇 手札0→1
「永続魔法、『補給部隊』を発動し、『BKスイッチヒッター』を召喚!」
BKスイッチヒッター 攻撃力1500→1800
「召喚時効果で墓地のグラスジョーを蘇生する!」
BKグラスジョー 攻撃力2000→2300
「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れろ、『No.』80!猛りし魂に取り憑く、呪縛の鎧!狂装覇王ラプソディ・イン・バーサーク!」
No.80狂装覇王ラプソディ・イン・バーサーク 守備力1200
バサリと紫のマントを翻し、フィールドに登場する2枚目の『No.』。巨大な拳を持つ黒き覇王はステータスこそ低いものの、アリトにとって頼れるモンスターだ。
「魔法カード、『RUMーリミテッド・バリアンズ・フォース』!ラプソディ・イン・バーサークをランクが1つ高い『CNo.』へとランクアップする!オーバーレイ・ネットワークを再構築!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!現れろ、『CNo.』80!魂を鎮める旋律が、十全たる神の世界を修復する!我にすがれ、葬装覇王レクイエム・イン・バーサーク!」
CNo.80葬装覇王レクイエム・イン・バーサーク 守備力2000
『おおーっとランクアップ!これも未知の召喚だ!』
ランクアップ、あの隼の得意とする戦術は何も彼だけのものではない。このアリトにも1枚だけであるが、ランクアップをさせるべく投入された『RUM』と『CNo.』が存在するのだ。
黒き覇王は白金の鎧を纏い、フィールドに再び降り立つ。『CNo.』、『No.』を進化させたこのカードは、並外れた覇気を放ち、権現坂を睨む。
「レクイエム・イン・バーサークのCORUを1つ取り除き、効果発動!シノビーA・Cを除外する!」
「ならば墓地のカゲボウーCを除外する事でその発動を無効にし、破壊する!」
「しまった、ここでカウンターか!」
レクイエム・イン・バーサークの効果によって破壊を通さず除外し、シノビーA・Cを除去しようとしたアリトだが、カゲボウーCの墓地発動効果で防がれた上、破壊されてしまう。しまったと表情を歪めるアリト。このカードの存在を忘れてしまっていた。
「『補給部隊』の効果でドロー!」
アリト 手札1→2
「魔法カード、『一騎加勢』!フィニッシュ・ホールドの攻撃力を1500アップする!」
No.51怪腕のフィニッシュ・ホールド 攻撃力2900→4400
除外出来ないならせめて戦闘で、アリトが発動したカードによってフィニッシュ・ホールドの両腕が更に膨れ上がり、強化される。強引な突破方法だが――これも中々彼らしい。
「バトル!フィニッシュ・ホールドでシノビーA・Cを攻撃!」
「ぐっ――!」
フィニッシュ・ホールドの必殺パンチによってシノビーA・Cが装甲を砕かれながら宙を舞う。重い一撃、流石の『超重武者』でも堪え切れない。
「バトルフェイズ終了時、シュテンドウーGも破壊!カードを1枚セットし、ターンエンドだ!」
アリト LP300
フィールド『No.51怪腕のフィニッシュ・ホールド』(攻撃表示)
『補給部隊』セット1
手札0
「俺のターン、ドロー!『超重武者ヌスー10』を特殊召喚!」
超重武者ヌスー10 守備力1000→1300
「このカードをリリースし、『補給部隊』を破壊し、自分フィールドにセット!発動する!モンスターをセットし、ターンエンドだ!」
権現坂 昇 LP2300
フィールド セットモンスター
『補給部隊』
手札0
「俺のターン、ドロー!『補給部隊』を取られたか……!『BKスイッチヒッター』を召喚!」
BKスイッチヒッター 攻撃力1500→1800
「召喚時、墓地の『BKグラスジョー』を蘇生する!」
BKグラスジョー 攻撃力2000→2300
「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!『BK拘束蛮兵リードブロー』!」
BK拘束蛮兵リードブロー 攻撃力2200→2500
現れる3体目のリードブロー。アリトにとってエースと呼べる攻撃力の高いアタッカーはこのカード位しかいない。昔は心の底から信頼するエースが存在した気がするのだが――気のせいか。
「バトル!フィニッシュ・ホールドでセットモンスターへ攻撃!」
「セットモンスターは『超重武者ツヅー3』!破壊された事で、シノビーA・Cを蘇生!『補給部隊』の効果でドロー!」
超重忍者シノビーA・C 守備力2800→3100
権現坂 昇 手札0→1
フィニッシュ・ホールドの豪腕が風を切り裂き、セットモンスターに叩きつけられる。しかし破壊されたのは太鼓の形をした『超重武者』。叩かれる事を想定したカードだ。ゴォンと音を響かせ、墓地に眠る仲間を呼ぶ。
「チッ、フィニッシュ・ホールドの効果で破壊……ターンエンドだ」
アリト LP300
フィールド『BK拘束蛮兵リードブロー』(攻撃表示)『No.51怪腕のフィニッシュ・ホールド』(攻撃表示)
セット1
手札0
「俺のターン、ドロー!スタンバイフェイズ、シノビーA・Cを蘇生!」
超重忍者シノビーA・C 守備力2800
「シノビーA・Cの守備力を半分にし、ダイレクトアタックを可能に!」
超重忍者シノビーA・C 守備力2800→1400
「バトル!シノビーA・Cでダイレクトアタック!」
「罠発動!『ガード・ブロック』!ダメージを0にし、1枚ドロー!」
アリト 手札0→1
「止めるか……ターンエンド」
決死の攻撃も無効にされ、下唇を噛み締める権現坂。一応他にもコブーCを蘇生し、レベルが下がったシノビーA・Cと共にシンクロを行い、『超重忍者サルトーB』を召喚。効果を使ってアリトのセットカードを破壊し、500のダメージを与える方法もあったが――それで勝ったとしても、これはチーム戦、黒咲にフィニッシュ・ホールドが引き継がれ、成す術もなく破壊され、倒されてしまうだろう。保険の為にシノビーA・Cで攻めるのも、決して間違ってはいない。だが、今回ばかりは判断を誤ったようだ。
権現坂 昇 LP4000
フィールド『超重忍者シノビーA・C』(守備表示)
手札2
「俺のターン、ドロー!魔法カード、『暗黒界の取引』!互いに1枚ドローし、1枚捨てる!魔法カード、『命削りの宝札』を発動!3枚ドロー!」
アリト 手札0→3
「カードを3枚セット、ターンエンドだ!」
アリト LP300
フィールド『BK拘束蛮兵リードブロー』(攻撃表示)『No.51怪腕のフィニッシュ・ホールド』(攻撃表示)
セット3
手札0
「俺のターン、ドロー!」
「永続罠、『召喚制限ー猛突するモンスター』!モンスターが特殊召喚した時、そのモンスターは攻撃表示となり、可能な限り攻撃を行う!」
「シノビーA・Cの効果発動!」
「カウンター罠、『エクシーズ・ブロック』を発動!リードブローのORUを取り除き、シノビーA・Cの効果発動を無効にし、破壊!」
「くっ……!」
BK拘束蛮兵リードブロー 攻撃力2200→3000
これでシノビーA・Cを撃破。権現坂が新たな『超重武者』を出しても高い守備力を利用した攻撃を行えなくなると言う寸法だ。だが――権現坂が使用するシンクロモンスターの中で、1枚だけ、そう、1枚だけであるが、この状況を覆すカードがある。
「手札の『グローアップ・バルブ』を捨て、『パワー・ジャイアント』を特殊召喚!」
パワー・ジャイアント 攻撃力2200→2500 レベル6→5
現れたのは身体中が宝石で作られたゴーレム。何処かブロックで作られた玩具のようであるが、容易な特殊召喚効果を持ち、攻撃力も高く、戦闘でも有利な効果を持っている。更にレベル調節も可能と権現坂にとってかなり有難いモンスターだ。
「『超重武者ココロガマーA』を召喚!」
超重武者ココロガマーA 攻撃力100→400
次は緑の甲冑を纏った『超重武者』。レベル3にして守備力2300と比較的高い守備を誇るが、今回権現坂がこのモンスターを召喚した狙いはそこではない。
「次だ!デッキトップをコストに、墓地の『グローアップ・バルブ』を蘇生!」
グローアップ・バルブ 攻撃力100→400
続けて現れたのは植物から目を生やした不気味なモンスター。デュエル中で、1度であるが、自己蘇生効果を持ち、その条件もデッキトップの1枚をコストにすると言う、むしろ墓地肥やしとして自身が有利となる効果である為、長い間禁止入りしていたレベル1の汎用チューナーだ。当然権現坂もその汎用性に目をつけて利用している。
「シンクロか……だがキュウーBじゃ俺のモンスターを倒せない!」
「誰がキュウーBを出すと言った?」
「何……?」
「俺はレベル5の『パワー・ジャイアント』とレベル3のココロガマーAに、レベル1の『グローアップ・バルブ』をチューニング!白銀の鎧輝かせ刃向かう者の希望を砕け!シンクロ召喚!出でよ!『XXーセイバーガトムズ』!」
XXーセイバーガトムズ 攻撃力3100→3400
現れしは勇者の剣。戦友との絆、白銀の鎧が陽光を反射し、真紅のマントが風に揺れる。二又に別れた剣を掲げた威風溢れる騎士のモンスター。このカードは、師、刃から預かったカード。本来の権現坂のモンスターではない為、『召喚制限ー猛突するモンスター』の中でも充分稼働可能となる。
「『Xーセイバー』だと!?」
「さぁ、バトルだ!ガトムズでリードブローへ攻撃!」
「くっ……!リードブローのORUを1つ取り除き、破壊を防ぐ……!」
BK拘束蛮兵リードブロー 攻撃力3000→3800
アリト LP300→0
騎士王の聖剣より、眩き剣閃が幾重も走り、蛮兵を拘束する枷が破壊。吹き飛ばされた破片がアリトに向かって降り注ぎ、LPを削り取る。
これで――アリトは敗退。だが、権現坂もまた、アリトのモンスターを破壊し切れなかった。残るは1度の破壊耐性を残した『BK拘束蛮兵リードブロー』と、戦闘破壊耐性を持ち、全体破壊効果を有した『No.51怪腕のフィニッシュ・ホールド』。どちらも厄介過ぎるカードだ。どちらか1体でも除去出来ればまだ安心出来たが――権現坂は口を一文字に引き締め、悔しいそうな表情をする。
勝負には買った。だがこれはチーム戦、如何に個人で勝とうと、チームと言う大局で勝たねば意味が無い。
「倒し切れなかったか……!だけど繋いだぜ……!黒咲ィ!」
白いスモークを上げ、減速するアリトのD-ホイール。アリトは何とかピット前で停止させ、バトンをセカンドホイーラー、黒咲へ渡す。すると黒咲はガッ、と袖を捲り上げるような仕草をし、右腕の力瘤を見せる。何時も通りのムッツリとした表情で口を開く。
「お兄ちゃんに、まっかせなさーい☆」
「どうしたお前!?」
彼はこの試合の前、柚子を救出する為に働き、その末に愛する妹に再開し、1つの約束をした。それは妹へカッコいい所を見せる事。
そう、現在黒咲は妹、瑠璃へ格好つける為にハリキリボーイモードなのだ。明らかに空回りしている。
その不気味な姿に思わずアリトが動揺し、何があったんだと口調を荒げる。こんな気持ち悪い隼は初めて見る。しかし彼が呆ける間にも、隼はD-ホイールを一気に発進、猛スピードで権現坂の背を追走し、彼に並ぶ。
ライディングデュエルで言えば、地下で何度か行っている隼の方が分があると言う事だろう。それに権現坂の性格上、彼とライディングデュエルは相性が良くない。
「行くぞ権現坂!相手が貴様とて容赦はせん!」
「う、うむ。こちらとて同じだ!」
『黒咲選手、やる気は充分!自分1人でも勝ち上がる気合いだ!それとも権現坂選手が阻むか!いずれにせよ、この勝負が流れを決めるに違いない!』
キッ、鋭い目付きで権現坂を射抜き、指先を向け、隼が鼻息荒く彼に挑戦状を叩きつける。その鬼気迫る様子に権現坂が僅かに怯む。
「「ライディングデュエル、アクセラレーション!!」」
権現坂のターンが強制的に終了し、ターンが隼へ渡る。彼は減速する事無く猛スピードで走り、デッキから1枚のカードを引き抜く。とは言ってもアリトの残した『召喚制限ー猛突するモンスター』は隼にとっても邪魔となるカードだ。
序盤の彼は自ら攻めるような戦法を取らないし、取りたくは無い。最初は防御を固め、手札アドバンテージを稼ぎながら盤上を整えつつ堪え、一気に反逆する。能あるハヤブサは好機が来るまで爪を隠すのだ。その戦法はどこかセルゲイに似ているが――本人に言えば否定されるだろう。
沢渡辺りが追求すればボコボコにされるに違いない。
「……心配は無用か。有難い、俺のターン、ドロー!」
「スタンバイフェイズ、シノビーA・Cを蘇生!」
「無駄だ!手札の『D.D.クロウ』を捨て、シノビーA・Cを除外!リバースカード、オープン!魔法カード、『マジック・プランター』!永続罠、『召喚制限ー猛突するモンスター』をコストに2枚ドロー!」
黒咲 隼 手札5→7
アリトが残してくれたカードを使い、不要なカードを取り除きつつ、手数を増やす。後続の事も考えてくれて有難い事だ。これで表示形式の自由を取り戻し、攻める手段も増えて来る。意外な事にナイスアシストが多いアリトだ。
「魔法カード、『強欲で貪欲な壺』!デッキトップから10枚のカードを除外!2枚ドロー!」
黒咲 隼 手札6→8
「『RRーシンギング・レイニアス』を特殊召喚!」
RRーシンギング・レイニアス 守備力100
現れたのはエクシーズモンスターが存在する場合、特殊召喚可能な『RR』だ。ステータスが極めて低く、レベル4の為、回収しやすく、ランク4の素材となる。展開が大事な『RR』では重宝するカードだ。パタパタと小さな翼を羽ばたかせ、黒い身体が揺れる。
「そしてシンギング・レイニアスを対象に、手札の『RRーペイン・レイニアス』の効果発動!対象のモンスターの守備力分のダメージを受け、特殊召喚!対象と同じレベルとなる!」
黒咲 隼 LP4000→3900
RRーペイン・レイニアス 守備力100 レベル1→4
次は緑のメタリックボディに白い顔を持つ機械鳥。その効果故に例に漏れず特殊召喚しやすいモンスターだ。シンギング・レイニアス等を相手に使えば、ダメージも軽減出来る。
そしてこれで、早速レベル4のモンスターがフィールドに並ぶ。アリトと同じく、エクシーズ召喚を中心とした戦法が火を吹く。
「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!冥府の猛禽よ、闇の眼力で真実を暴き、鋭き鉤爪で栄光をもぎ取れ!エクシーズ召喚!飛来せよ!『RRーフォース・ストリクス』!」
RRーフォース・ストリクス 守備力2000
エクシーズ召喚。隼の本領が発揮する。黒と緑、2羽の猛禽が重なり、姿を見せる、青と茶色を基調としたカラーリングの梟型の『RR』。小さく、一見頼り無さそうなモンスターであるが、勿論この梟、ただの梟ではない。むしろこのカードこそが『RR』の主力と言って良いだろう。守備力も高く、場持ちが良いカードだ。
「フォース・ストリクスのORUを1つ使い、デッキから『RRートリビュート・レイニアス』をサーチ、召喚!」
RRートリビュート・レイニアス 攻撃力1800→2100
RRーフォース・ストリクス 守備力2000→2500
ターン1のサーチ効果、展開力が高いが為に手札消費が激しい『RR』にとって、必要不可欠の効果だ。この効果を使って隼の手札へと飛来し、召喚されたのは青い翼を持ち、レーザービットを浮かせた機械鳥。ブースターからの噴射で猛スピードで隼を追尾し、彼の隣に並ぶ。
「トリビュート・レイニアスの召喚、特殊召喚したターンのメインフェイズ、効果を発動!デッキから『RRーミミクリー・レイニアス』を墓地に送り、ミミクリー・レイニアスの効果によりこのカードを除外、デッキから『RRーレディネス』をサーチ」
デッキから墓地へ『RR』カードを落とす効果。そのまま墓地肥やしとしても運用出来るが、こうしてミミクリー・レイニアスと合わせる事で、サーチ効果に生まれ変わる。展開力が高い割にはサーチにも恵まれたテーマだ。それ故に高い実力を持った隼が使えば鬼に金棒状態にもなる。
「永続魔法、『RRーネスト』を発動!デッキから『RRーファジー・レイニアス』をサーチし、フィールドに『RR』が存在する事で特殊召喚!」
RRーファジー・レイニアス 守備力1500
RRーフォース・ストリクス 守備力2500→3000
今度は紫と銀の体躯をした『RR』だ。シンギング・レイニアスと並び、『RR』では必須級のカードを担っている。そしてこれでまた、レベル4が2体。恐ろしい展開速度だ。最速のシンクロ使いがクロウ・ホーガンならば、最速のエクシーズ使いと聞けば黒咲 隼の名が上がるであろう。
「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!『RRーフォース・ストリクス』!」
RRーフォース・ストリクス 守備力2000→2500
2体目のフォース・ストリクス。ターン1であるが、名指しで制限されていない為、3体並べれば3枚サーチ出来ると言う訳だ。しかも同族が並べば攻守も上がる。展開の胆であり、鉄壁の盾ともなるモンスター、それがフォース・ストリクスなのだ。故に隼は真っ先にこのカードを並べる事にしている。沢渡がワンパターンだと文句をつけるのも仕方無い。言ったデュエルでは勿論ボコボコにしたが。
「フォース・ストリクスのORUを1つ取り除き、『RRーミミクリー・レイニアス』をサーチ!更に墓地に送られたファジー・レイニアスの効果で同名サーチ!カードを3枚セットし、バトル!リードブローでガトムズへ攻撃!」
「ぬぅぅ……!」
権現坂 昇 LP4000→3000
リードブローの槍のようなジャブがガトムズの白銀の鎧を貫き砕き。最後のフィニッシュブローがガトムズを吹き飛ばしてきりもみ回転して地に叩き伏せられる。
「フィニッシュ・ホールドでダイレクトアタック!この瞬間、墓地の『スキル・サクセサー』を除外し、フィニッシュ・ホールドの攻撃力を800アップ!」
No.51怪腕のフィニッシュ・ホールド 攻撃力2900→3700
権現坂 昇 LP3000→0
「ぐっう――!」
そして――フィニッシュ・ホールドの拳が、権現坂のLPを削り取り、0を刻む。1勝1敗、ここから隼の快進撃なるか。後方でスモークを上げる権現坂のD-ホイールにバトンを渡されるのは黄金の鎧を纏う騎士、ジル・ド・ランスボウ。彼は鎧と同じく金色に輝くD-ホイールを駆り、隼へ追い縋ろうとする。随分高そうな&重そうなD-ホイールだ。彼の鎧も加味し、高速で走行出来るのかと心配になる。
「頼むぞ、ジル殿……!」
「任せよ権現坂殿!我が金の馬に、追いつけぬものは無し!ハイヨーッ!」
権現坂のバトンを受け取ったジルが、意外にも見事なライディングで隼の後ろにピッタリとつき、プレッシャーをかける。デュエルはセカンドホイーラー同士の闘いに縺れ込み、2人のデュエリストが今、激突する。
「「ライディングデュエル、アクセラレーション!!」」
毎回の如く黒咲さんにボコボコにされる沢渡さん。何だかんだ言ってこの2人仲が良いと思います。