遊戯王ARC―V TAG FORCE VS   作:鉄豆腐

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(人の子よ……私の声が聞こえますか……?更新再開……更新再開です……休み過ぎて正直すまんかったと思っていますし、休みの間にエクシーズ次元までは行ってやるぜ!と思ったのに忙しくて行けなかったり、久し振りに書くの何か面倒臭いですがそれでも更新再開……更新再開なのです……前の自分良く週間投稿出来たな……アホかよ……)


第135話 スリーカウント

「なぁ、俺達、間違ってるのかな……?」

 

シティ、フレンドシップカップの会場にて。榊 遊矢とシンジ・ウェーバーのデュエル。その内容に魅せられた1人のコモンズが、ポツリと仲間に対して呟く。

シンジの想いに賛同し、遊矢の言葉に僅かであるが、心を打たれた者だ。自分の小さな変化に戸惑い、仲間に同意を求める。

 

「はぁ?……知るかよ、そんな事……」

 

男の問いに対し、仲間が眉を伏せ、もごもごと口を動かしながら言い淀む。男は変わろうとしていて、一方こちらの仲間はまだ、と言ったところだろうか。

遊矢がたった1度想いをぶつけた所で、全てのシティの人間が一気に変わる訳では無い。変われないのだ。そう簡単に。

変わると言う事は、今までの自分が間違っていると認める事に近くて、無意識に恐れている。

現状は、少人数が、僅かに変わろうとしているだけ。だが――。

 

「……俺にも、分かんねぇよ……」

 

少しずつ、少しずつ、それでもシティは、変わろうとしている。そんな光景を――少年、サムは無言で見つめていた。遊矢とジャックのデュエルを見て、そしてシンジのデュエルを見て、彼の心も、揺れ動き出す。

 

「ジャックは……僕に、何を伝えたかったんだろう……」

 

最近になって、思い出す。自分がジャックに、『調律の魔術師』を渡された日の事を。最初は弱いモンスターを渡して、お前にはお似合いのカードだと馬鹿にしているんだと思っていた。だけど――今はもう、そうは思えなくなってきた。

 

――――――

 

「……無関係の子供に見つかり、風魔 月影を逃がした、か」

 

「……」

 

治安維持局のある一角にて、ベンチに座り込んだジャック・アトラス・Dが、黒いマントを纏った男の報告に対し、訝し気に金の眉を上げ、男の顔色を覗き込むように見上げていた。視線の先には黒いフードの奥に隠された機械的な瞳。ジャック・Dはフム、と顎に手を当て、僅かに思考した後――クックッと可笑しそうに喉を鳴らす。

 

「良いのではないか?ロジェ達には俺から上手く言っておこう」

 

「……?しかし……」

 

男の失態自体を気にする事もなく、むしろそれで良いと言わんばかりに笑みを深めるジャック・D。彼は上機嫌に立ち上がり、男の肩に手を乗せ、ポンポンと叩く。

 

「まぁ、捕獲した所で、チームが1つ脱落し、俺達が不戦勝と言う満足出来ん結果になっていたからな。それに――貴様が変わろうとしているのは、素直に良い事だと、俺は思う」

 

「……変わる?」

 

「そうだ、奴の影響もあるのだろうが、子を見逃すと言う事は、貴様にも心がある、と言う事なのだろう」

 

「……心」

 

「フ、機械が心を語るのが可笑しいか?俺はそうは思わん。例え機械の身体でも、心や魂は宿るのだ。かつて俺を作った者がそうであったようにな。まぁ……貴様の心はまだ未熟……これからゆっくりと成長させるが良い。俺はそれを楽しませてもらおう」

 

まるで弟を慈しむように、ジャック・Dは薄い笑みを張りつけ、その場から去っていく。残された男は、胸に手を当て、1人佇む。

 

「……心、魂……」

 

――――――

 

数時間後、フレンドシップカップ会場、サーキットにて、沢渡と隼、アリト達、チーム沢渡と、デニス、権現坂、ジルのチームデニスの姿があった。

一回戦第3試合、いきなりのランサーズ同士のぶつかり合いだ。

 

だが例え敗北した相手が地下送りになろうとも彼等は容赦はしない。遊矢が与えた希望、キングになる事で地下のメンバーも助けられるのだ。デュエリストとして、手加減はしない。

両チーム、覚悟を宿し、ファーストホイーラーがD-ホイールを並ばせる。

 

チーム沢渡からはアリトが、チームデニスからは権現坂が出る。フルモンスター型のデッキを使う権現坂がファーストホイーラーになるのは予想通り、それに対しアリトをぶつけて来た。

 

「ランサーズ同士のデュエルになっちまったが、手加減はしねぇ、全力で行くぜ。権現坂ぁ!」

 

ヘルメットを被り、背中に決闘上等と書かれた特攻服を纏い、派手なD-ホイールに跨がるアリトが、ビシリと指を権現坂に向ける。相変わらず一昔前の不良ファッションが似合う男である。

 

「それはこちらとて同じ!勝負と言う以上、全力で行かせてもらう!」

 

ギン、権現坂も鋭い視線を投げ掛け、アリトに答える。味方と言えど、いや、味方だからこそ、本気でやらなければならない。

 

『さぁ、ホイーラーの準備も万端、時間も押しているようですし、早速始めましょう!ライディングデュエル――』

 

「「アクセラレーション!!」」

 

2人がD-ホイールを発進させると同時に、サーキットが光の粒子に包まれ姿を変える。アクションフィールド、『破邪の魔法壁』。ターンによってモンスターの攻守を変化させるカードであるが――どちらのフィールドにもある以上、特に意味はないだろう。

光輝く紋様が走るサーキットを駆け、一早くコーナーを取ったのは――アリトだ。荒々しく豪快なD-ホイール捌きで猛スピードで無理矢理権現坂の真横を通り過ぎ、減速する事なく前に出る。かなり危なっかしい運転だ。その証拠に本人でさえ焦っている。

 

『アリト、凄まじい速度でコーナーを取る!見ていてハラハラものだぁ!』

 

「うおっと危ねぇ。俺のターンだな、『BKヘッドギア』を召喚!」

 

BKヘッドギア 攻撃力1000→1300

 

現れたのは鍛え抜かれた青の肉体に、赤いヘッドギアとグローブを身につけた、鋭い眼光が特徴のモンスター。『BK』、ボクシングをモチーフとした、攻撃的なカード群だ。このモンスターはそのエンジン部分に当たる。

 

「召喚時効果でデッキから『BKスパー』を墓地へ送る。そして魔法カード、『戦士の生還』!スパーを回収し、こいつの効果で特殊召喚!」

 

BKスパー 守備力1400

 

ワンツーのコンビネーションでヘッドギアからスパーへ繋ぐ。洗練された美しい流れだ。アリトにとって朝飯前の展開から放たれるのは――勝利を繋ぐ、リードブロー。

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!魂に秘めた炎を、拳に宿せ!エクシーズ召喚!『BK拘束蛮兵リードブロー』!」

 

BK拘束蛮兵リードブロー 攻撃力2200→2500

 

『いきなりエクシーズ召喚!アリト、飛ばしていく!』

 

アリトのD-ホイールに並ぶように黒い渦が出現し、ヘッドギアとスパー、2体の『BK』が光となって吸い込まれ、小爆発を引き起こす。中より姿を見せたのは巨大な首枷で拘束された拳闘士。アリトの得意とするブローであり、勝利には必要不可欠の頼れるモンスターだ。

『BK』では素材が緩く、2回の破壊耐性と攻撃力アップと優秀で強力であり、相手にとっては面倒なカードだ。

アリトを相手にするならこのカードを攻略しなければならない。権現坂はこの高速のジャブを掻い潜り、アリトの懐に辿り着けるか。

 

「こんな所か、俺はカードを2枚セットし、ターンエンドだ」

 

アリト LP4000

フィールド『BK拘束蛮兵リードブロー』(攻撃表示)

セット2

手札1

 

「俺のターン、ドロー!俺は『超重武者ダイー8』を召喚!」

 

超重武者ダイー8 攻撃力1200→1500

 

現れたのは荷車を走らせる緑色の機械族モンスター。権現坂のD-ホイールに並走し、ガサゴソと荷を漁る。彼のデッキにとって優秀のモンスターだ。何せ彼のフルモンデッキではサーチカードは貴重なのだから。

 

「召喚時、守備表示となり、おれの墓地に魔法、罠が存在しない事でこのカードを攻撃表示に変更し、デッキの『超重武者装留チュウサイ』をサーチ!」

 

そしてこのカードこそがダイー8を万能リクルートへ変化させる。

 

「チュウサイをダイー8に装備!装備モンスターをリリースし、デッキから『超重武者ビッグベンーK』をリクルートする!」

 

超重武者ビッグベンーK 守備力3500

 

ダイー8とチュウサイのコンボにより、高速で特殊召喚される『超重武者』のキーカード、ビッグベンーK。実質攻撃力3500を誇るこのカードならば、リードブローに比肩するだろう。

 

「まだだ!俺は手札の『超重武者装留ダブル・ホーン』をビッグベンーKは2回攻撃が可能!」

 

権現坂の手札より、牛の頭部を模したような機械が飛び出し、空中で分裂、ビッグベンーKの両肩にドッキングする。これでリードブローの戦闘耐性にも対応可能となった。

 

「バトル!ビッグベンーKでリードブローに攻撃!このカードは守備表示のまま攻撃出来る!」

 

『防御は最大の攻撃!権現坂選手、巨大な壁で押し潰す!』

 

『ミラーフォース系統も封じられる戦法だ!』

 

「罠発動!『ダメージ・ダイエット』!ダメージを半分にし、リードブローのORUを1つ取り除き、破壊を防ぐ!更に枷が外れた事で、リードブローの攻撃力が800アップ!」

 

アリト LP4000→3350

 

BK拘束蛮兵リードブロー 攻撃力2200→3000

 

ビッグベンーKが刺股を振りかぶって投擲し、リードブローを貫こうとするも、リードブローが逆にそれを利用し、僅かに軌道を逸らす事で枷を盾にし、破壊させる。

 

「2回目の攻撃!」

 

「リードブローの破壊を防ぐ!」

 

アリト LP4000→3100

 

BK拘束蛮兵リードブロー 攻撃力3000→3800

 

2回の攻撃がリードブローを攻め立て、アリトのLPを削る。とは言えこれでリードブローの枷は全て破壊され、攻撃力もビッグベンーKの守備力を上回った。ピンチはチャンス、今度はアリトの有利になる。

 

「やるじゃねぇか……だが俺の鉄拳は砕けねぇぜ?」

 

「フッ、面白い……俺はこれでターンエンドだ!」

 

権現坂 昇 LP4000

フィールド『超重武者ビッグベンーK』(守備表示)

『超重武者装留ダブル・ホーン』

手札4

 

「俺のターン、ドロー!フルモンだからバックは気にしねぇで済むが……その分手札誘発があるか。見えねぇ分、こっちの方が厄介だな。なにがあるか分からねぇ……だが……」

 

冷静に分析し、首をコキリと鳴らすアリト。熱血漢な彼であるが、デュエルに対しては意外とクレバーな面がある。

権現坂のデッキは全てがモンスターの為、バックの魔法、罠を気にせずに済むが――勿論相手の動きを妨害する為、手札誘発を多く詰んでいる。伏せない分、フットワークが軽く、何をしてくるか分からない怖さがある。

 

「だからって止まる気はねぇ!フルスロットルだ!『BKラビット・パンチャー』を召喚!」

 

BKラビット・パンチャー 攻撃力800→1100

 

次に登場したのはヘッドギアに怪しいマスク、オレンジ色の髪を伸ばした小柄なモンスターだ。ラビットパンチ、ボクシングにおいて後頭部を狙う反則技、ガード不可とも言えるものだが――このカードの効果も、ガード不可能。防御はお構い無しだ。

 

「そのカードは……!」

 

「ま、散々特訓したんだ。効果も割れちまってるだろうよ。さぁ、バトルだ!ラビット・パンチャーでビッグベンーKに攻撃!」

 

『おっとアリト、どうした事か!攻撃力で劣るモンスターで攻める!』

 

「ラビット・パンチャーが守備モンスターを攻撃した場合、ダメージ計算を行わず破壊する!」

 

「させん!手札の『超重武者装留ファイヤー・アーマー』を捨て、ビッグベンーKの守備力を800ダウンし、戦闘、効果破壊耐性を与える!」

 

「がら空きだぜ!カウンター罠、『ジョルト・カウンター』!『BK』モンスターが存在する場合、バトルフェイズ中に発動したモンスター、魔法、罠の効果を無効にし、破壊する!」

 

『アリトのカウンターが突き刺さる!』

 

ビッグベンーKが炎の鎧を纏い、ラビット・パンチャーの攻撃を防ごうとするも、スルリと腕が伸び、鎧の防御が届かぬ後頭部へ拳を叩き込んで砕く。

 

「ぐっ、カウンターか……!」

 

「そう、いくら手札誘発とは言え、俺のカウンターの方が一歩上、対抗するならお前もカウンターを使うしかねぇが……お前のデッキはフルモンだ!」

 

そう、手札誘発とカウンター罠、比べるならカウンターが速い。そしてアリトはカウンター罠の名手。権現坂にとって、相性が悪い。

 

「そぉらワンツー!リードブローで、ダイレクトアタック!」

 

「まだだ!手札の『速攻のかかし』を捨て、攻撃を無効にし、バトルを終了させる!」

 

がら空きの脇腹へと、リードブローのジャブが炸裂する寸前、三角帽子とワインレッドのサングラスを装着したかかしが現れ、2本の木の枝をクロスさせ、拳を受け止める。

 

「押し切れなかったか。カードを1枚セットし、ターンエンドだ」

 

アリト LP3100

フィールド『BK拘束蛮兵リードブロー』(攻撃表示)『BKラビット・パンチャー』(攻撃表示)

セット1

手札0

 

「俺のターン、ドロー!俺のフィールドにモンスターが存在せず、お前のフィールドにモンスターが存在する事で、手札の『超重武者テンBーN』を特殊召喚!」

 

超重武者テンBーN 守備力1800

 

権現坂のD-ホイールの後部に秤を担いだ深緑の武者が飛び乗る。そして秤を地面に発生した渦へ下ろし、一気に引き上げる。

 

「テンBーNの効果で、墓地のダイー8を蘇生!」

 

超重武者ダイー8 守備力1800

 

引き上げられた秤にダイー8が登場。テンBーNが勢い良くぶん投げ、くるりと宙を舞い、見事地面に着地する。

 

「攻撃表示に変更し、チュウサイをサーチ、ダイー8に装備し、リリースしてビッグベンーKをリクルート!」

 

超重武者ビッグベンーK 守備力3500

 

「そして『超重武者ツヅー3』を召喚!」

 

超重武者ツヅー3 攻撃力300→600

 

お次はその名の通り鼓の形を模したモンスター。『超重武者』唯一のレベル1チューナーだ。これでチューナーと非チューナーが揃った。アリトのエクシーズに対抗し、権現坂のシンクロが放たれる。

 

「レベル8のビッグベンーKに、レベル1のツヅー3をチューニング!動かざる事連山の如し。大岩に宿りし魂、今、そびえ立つ砦となれ!シンクロ召喚!出でよ!『超重魔獣キュウーB』!」

 

超重魔獣キュウーB 守備力2500→3400

 

『権現坂、シンクロ召喚で逆転なるか!?』

 

シンクロ召喚、ツヅ3が1つのリングとなって弾け飛び、ビッグベンーKを包み込んで閃光が炸裂する。眩い光と共に姿を見せたのは、炎の尾を九つ伸ばした白い機獣。その手には杖のような銃火器を握っている。

 

「バトル!キュウーBでラビット・パンチャーへ攻撃!この瞬間、手札の『超重武者オタスーK』を捨てる事で、ダイー8の守備力をキュウーBに加える!」

 

「罠発動!『ガード・ブロック』!ダメージを0にし、1枚ドロー!」

 

超重武者キュウーB 守備力3400→5200

 

アリト 手札0→1

 

キュウーBが杖を振るい、その先端にある砲門をラビット・パンチャーへ向け、エネルギーを充填、一筋の光線を撃ち出す。守備力5200、豪快な攻撃、しかしアリトは即座にバリアを発生させて手札に書き換える。

 

「くっ、リードブローを狙えば良かったか……ターンエンドだ」

 

権現坂 昇 LP4000

フィールド『超重武者キュウーB』(守備表示)『超重武者テンBーN』(守備表示)

手札2

 

「俺のターン、ドロー!俺は『BKグラスジョー』を召喚!」

 

BKグラスジョー 攻撃力2000→2300

 

現れたのは筋骨隆々、緑色の超人染みた肉体を誇るボクサーだ。攻撃力も見た目と比例して高いが、レベル4、効果モンスターで攻撃力2000越えと言うならば当然デメリットもある。

 

「バトル!リードブローでキュウーBへ攻撃!」

 

「ぬぅっ……!」

 

拘束を解かれたリードブローのジャブのラッシュがキュウーBから飛来する熱線をも弾く。左、左、左の連続、地道に、徐々に踏み込んで近づき――神速のジャブがキュウーBの装甲を砕く。

 

「グラスジョーでテンBーNを攻撃!」

 

更に畳み掛けるラッシュ。グラスジョーの唸る大砲、右ストレートがテンBーNを一撃で吹き飛ばす。ガードごと捩じ伏せるこの威力、とんでも無いにも程がある。

 

『アリト、攻める攻める!権現坂防戦一方だ!』

 

「カードをセット、ターンエンドだ」

 

アリト LP3100

フィールド『BK拘束蛮兵リードブロー』(攻撃表示)『BKグラスジョー』(攻撃表示)

セット1

手札0

 

「俺のターン、ドロー!俺はモンスターをセット、ターンエンドだ」

 

権現坂 昇 LP4000

フィールド セットモンスター

手札2

 

「おいおいそれで終わる気か?そんなガードじゃ俺の拳は止められねぇぜ!俺のターン、ドロー!魔法カード、『バーニングナックル・スピリッツ』!デッキトップを落とし、墓地の『BKスパー』を蘇生!」

 

BKスパー 守備力1400

 

「バトルだ!グラスジョーでセットモンスターへ攻撃!」

 

「セットモンスターは『超重武者グロウーV』!墓地に送られた事でデッキトップから5枚の順番に入れ替える!」

 

「リードブローでダイレクトアタック!」

 

「墓地の『超重武者グロウーV』と『超重武者オタスーK』を除外し、効果発動!まずはグロウーVの効果でデッキトップを捲り、そのカードが『超重武者』なら手札に加え、リードブローの攻撃力を0にする。『超重輝将サンー5』!ルール上、『超重武者』である為、リードブローの攻撃力を、0に!そしてオタスーKの効果により、墓地のビッグベンーK蘇生!」

 

BK拘束蛮兵リードブロー 攻撃力4100→0

 

超重武者ビッグベンーK 守備力3500→4100

 

「チッ、メインフェイズ2、2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!『BK拘束蛮兵リードブロー』!」

 

BK拘束蛮兵リードブロー 守備力2000

 

「ターンエンドだ」

 

アリト LP3100

フィールド『BK拘束蛮兵リードブロー』(攻撃表示)『BK拘束蛮兵リードブロー』(守備表示)

セット1

手札0

 

「俺のターン、ドロー!俺は『超重輝将サンー5』と『超重輝将ヒスーE』でペンデュラムスケールをセッティング!これでレベル2から7のモンスターが同時に召喚可能!ペンデュラム召喚!『超重武者ワカー02』!」

 

超重武者ワカー02 守備力2000

 

『ペンデュラム召喚が放たれる!反撃の狼煙となるか!』

 

権現坂のフィールドの上空に2本の光の柱が伸び、その中から登場した赤と緑、煌めく武将が光の線を結んで魔方陣を描き出す。そして孔が開き、中から姿を見せたのは青いボディを持った重厚な武者だ。

 

「バトル!ワカー02で攻撃表示のリードブローへ攻撃!」

 

「させねぇ!墓地の『BKリベージ・ガードナー』を除外し、リードブローを次のスタンバイフェイズまで除外する!」

 

「かわしたか……ならばビッグベンーKで残るリードブローへ攻撃!」

 

「ORUを取り除き、破壊を防ぐ!」

 

BK拘束蛮兵リードブロー 攻撃力2200→3000

 

「そして墓地へ送られたグラスジョーの効果により、俺は墓地の『BKラビット・パンチャー』をサルベージ!」

 

「モンスターをセット、ターンエンドだ」

 

権現坂 昇 LP3600

フィールド『超重武者ビッグベンーK』(守備表示)『超重武者ワカー02』(守備表示)セットモンスター

Pゾーン『超重輝将サンー5』『超重輝将ヒスーE』

手札1

 

「俺のターン、ドロー!この瞬間、リードブローはフィールドへ戻る。リードブローを攻撃表示に、ラビット・パンチャーを召喚」

 

BKラビット・パンチャー 攻撃力800→1100

 

「バトル!ラビット・パンチャーでビッグベンーKを、ORUの無いリードブローでワカー02を、もう1体のリードブローでセットモンスターへ攻撃!」

 

「セットモンスターは『超重武者タイマー2』!戦闘破壊されない!」

 

アリトの猛ラッシュが炸裂し、『BK』がパンチの連打で権現坂のモンスターへ攻める、攻める、攻める。しかし最後に残ったセットモンスター、炎を吹き出すタイマー2は戦闘耐性によって破壊を防ぐ。

 

「そう来たか……カードをセット、ターンエンドだ」

 

アリト LP3100

フィールド『BK拘束蛮兵リードブロー』(攻撃表示)×2『BKラビット・パンチャー』(攻撃表示)

セット2

手札0

 

「俺のターン、ドロー!やりにくい相手だ……俺は手札の『超重武者装留マカルガエシ』をタイマー2に装備!これで装備モンスターは1ターンに1度の効果破壊耐性を得た!ターンエンド!」

 

「チッ、罠発動!『トゥルース・リィンフォース』!デッキからレベル2以下の戦士族モンスター、『BKビッグバンテージ』をリクルートする!」

 

BKビッグバンテージ 守備力1400→2000

 

現れたのは身体中にバンテージを巻き付けたレベル2の『BK』だ。『BK』にレベル2は特に必要ないのだが、このモンスターにはレベル調節効果がある。

 

権現坂 LP4000

フィールド『超重武者タイマー2』(守備表示)

『超重武者装留マカルガエシ』

Pゾーン『超重輝将サンー5』『超重輝将ヒスーE』

手札1

 

「俺のターン、ドロー!このままバンテージを使ってランク4を出すのも良いが……それじゃ芸がねぇ。俺は『BKシャドー』を召喚!」

 

BKシャドー 攻撃力1800→2100

 

次にフィールドに現れたのは真っ黒な出で立ちにマフラーを巻いた、まるで『忍者』のようなボクサーだ。軽く左を打ち出す速度はかなり速く、その腕前を窺える。

 

「『BKビッグバンテージ』の効果により、除外されているリベージ・ガードナーを選択。俺のフィールドの『BK』のレベルをリベージ・ガードナーと同じ3に変更!」

 

BKシャドー レベル4→3

 

BKビッグバンテージ レベル2→3

 

「これでレベル3が3体……3体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!『No.51怪腕のフィニッシュ・ホールド』!」

 

No.51怪腕のフィニッシュ・ホールド 攻撃力2600→2900

 

3体のモンスターを素材とし、アリトのフィールドに新たな『No.』が入場する。真っ赤に燃える体温により、白煙をも吹き出す熱き肉体に、角つきマスクを被り、身体の半分以上を占める巨大な両腕。ボクシングと言うよりはプロレス寄りのデザインであるが、怪腕とは正にピッタリなカードだ。

 

「『No.』51……初顔だな……」

 

「素材が素材だからな。隠していた訳じゃねぇ。バトル!フィニッシュ・ホールドでタイマー2へ攻撃!」

 

「何……!?」

 

フィニッシュ・ホールドが凄まじい脚力でタイマー2へ接近、肉薄し、その巨大な拳を叩きつける。バギィッ!重々しい嫌な音が鳴り響き、タイマー2が吹き飛ばされる。まさかこのカードには戦闘と効果破壊耐性に対する何らかの効果があるのかと思ったが――タイマ―2は破壊されてはいない。

 

「安心しろよ、今は破壊出来ねぇさ。フィニッシュ・ホールドが戦闘を行ったダメージステップ終了時、ORUを1つ取り除き、このカードにカウンターを乗せる。……カウンター、くぅ~良い響きだぜ!」

 

No.51怪腕のフィニッシュ・ホールド カウンター0→1

 

戦闘を行った事でカウンターを乗せるカード。このカウンターに何かがあるのだろう。1つ乗ってもなにも効果が発動されない事から、複数個必要なのか――いずれにせよ、放置するには不安が残る。

 

「ターンエンドだ!」

 

アリト LP3100

フィールド『BK拘束蛮兵リードブロー』(攻撃表示)×2『No.51怪腕のフィニッシュ・ホールド』(攻撃表示)

セット1

手札0

 

「俺のターン、ドロー!不気味なカードだ。放って置く訳にはいかんが――手はない。ターンエンドだ」

 

『権現坂選手、ドローしただけでターンを終了。手札が悪いのか!?』

 

『彼のデッキはフルモンスター、こう言う事もあるだろう』

 

権現坂 昇 LP4000

フィールド『超重武者タイマー2』(守備表示)

『超重武者装留マカルガエシ』

Pゾーン『超重輝将サンー5』『超重輝将ヒスーE』

手札2

 

「俺のターン、ドロー!こっちは遠慮なく行かせてもらおうか!バトル!フィニッシュ・ホールドでタイマー2へ攻撃!」

 

No.51怪腕のフィニッシュ・ホールド カウンター1→2

 

ORUがカウンターへと変わる。これで2つ目、ORUは残り1つ、つまりは計3つのカウンターが乗ると言う事だが――3つ乗った時、何が起こるのか。

 

「ターンエンドだ!」

 

アリト LP3100

フィールド『BK拘束蛮兵リードブロー』(攻撃表示)×2『No.51怪腕のフィニッシュ・ホールド』(攻撃表示)

セット1

手札1

 

「俺のターン、ドロー!良し、これで……俺は『超重武者ヒキャーQ』を特殊召喚!」

 

超重武者ヒキャーQ 守備力1800

 

現れたのは真っ赤なボディを煌めかせた飛脚のモンスター。脚部に取りつけられたタイヤを回転させ、権現坂のD-ホイールに並走する。このカードでこの膠着状態を解きたいのだが――果たして――。

 

「ヒキャーQをリリースし、手札の『超重武者ツヅー3』と『超重武者カゲボウーC』を相手フィールドに特殊召喚する!」

 

超重武者ツヅー3 守備力100→700

 

超重武者カゲボウーC 守備力1000→1600

 

ヒキャーQがグッと親指を立て、相手フィールドに2体のモンスターをお届けする。何故アリトのフィールドに――敵に塩を送るにしても、過ぎる気がするが――。

 

「ヒキャーQの効果で送りつけたモンスターの数だけドローする!」

 

権現坂 昇 手札0→2

 

成程、多少のリスクを含んだドローだったか。手札は必要になるが、権現坂はそれを補うように墓地に送られた時、自分のメリットとなるカードを送り込んでいる。後はドローカードだが――。

 

「『超重武者タマーC』を召喚!」

 

超重武者タマーC 攻撃力100→400

 

現れたのはバレーボールのような形状とサイズのモンスター。可愛らしい姿をしているが、中々エグい効果を持ったチューナーだ。尤も、相手がエクシーズ使いなら効果は半減するが。

 

「タマーCの効果!カゲボウーCとこのカードを墓地に送り、レベルの合計分の『超重武者』シンクロモンスターをシンクロ召喚扱いでエクストラデッキから呼び出す!『超重剣聖ムサーC』!」

 

超重剣聖ムサーC 守備力2300

 

カゲボウーCとタマーC、2つのCにより呼び出される3体目のCは、2振りの刀を持つ侍のモンスター。髷はブースターになっているのだろう。火炎を吹き、赤、黒、黄を基調としたボディは胴着を模しており、正しく剣聖。宮本武蔵をモチーフとしたデザインのモンスターが地に降りる。しかし残念な事に2回攻撃は出来ない。

 

「ムサーCの効果により、墓地の『超重武者テンBーN』を回収!ただしこのターン、この効果で回収したモンスターとその同名モンスターを召喚する事は出来ないがな。ペンデュラム召喚!『超重武者コブーC』!」

 

超重武者コブーC 攻撃力900→1200

 

現れたのは4体目のC、タマーCを成長させたかのようなモンスターだ。

 

「バトル!コブーCでツヅー3へ攻撃!ツヅー3の効果で『超重魔獣キュウーB』を蘇生!」

 

超重魔獣キュウーB 守備力2500→5200

 

コブーCがツヅー3を割ると同時に、権現坂のフィールドに白い九尾が現れる。これで更なる追撃が可能となった。

 

「キュウーBでORUを持ったリードブローへ攻撃!」

 

「リードブローの効果発動!」

 

BK拘束蛮兵リードブロー 攻撃力3000→3800

 

「ムサーCで攻撃力2200のリードブローへ攻撃!そしてコブーCの効果発動!自分の『超重武者』が相手モンスターを戦闘破壊したバトルフェイズ、このカードを含むモンスターを素材にシンクロ召喚する!俺はレベル5のムサーCに、レベル2のタマーCをチューニング!速き事風の如く!静かなる事林の如し!音無く忍び止めを刺せ!シンクロ召喚!出でよ!『超重忍者シノビーA・C』!」

 

超重忍者シノビーA・C 守備力2800

 

更に2本のCによるシンクロ召喚で新たなCが目を覚ます。黒い装甲を纏い、先端から火花を散らす棍棒を持った超重の『忍者』。追撃からの追撃、終わらぬ猛攻撃が炸裂する。

 

「シノビーA・Cでフィニッシュ・ホールドへ攻撃!」

 

シノビーA・Cが棍棒を振るい、先端が爆発を起こし、黒煙が上がる。不気味にカウンターを溜めるフィニッシュ・ホールドを除去する為の判断だが――。爆煙が晴れたそこには――。

 

「馬鹿な……!」

 

傷一つ無い、フィニッシュ・ホールドの姿。

 

アリト LP3100→2900

 

「フィニッシュ・ホールドは戦闘で破壊されねぇ……!」

 

No.51怪腕のフィニッシュ・ホールド カウンター2→3

 

カウンターが3つ溜まる。一体ここからどうなるのか、権現坂はゴクリと唾を呑み込む。特殊勝利ならば目も当てられない。

 

『フィニッシュ・ホールドにカウンターが3つ溜まった!鳴動のスリーカウント!一体何が起こるのか!?』

 

「くっ、バトルを終了!」

 

「この瞬間、フィニッシュ・ホールドの効果発動!このカードが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時、このカードにカウンターが3つ置かれていれば、相手フィールドのカードを全て破壊する!」

 

「何だと!?」

 

何と戦闘するだけでフィールド全滅させる。『サンダー・ボルト』と『ハーピィの羽帚』を合わせた強力な効果。マカルガエシによってタイマー2は破壊されないが、マカルガエシ自身は別だ。振るわれる巨腕によって吹き飛ばされ、粉々になるカード達。最悪の展開だ。

 

「くっ、ターンエンド……!」

 

権現坂 昇 LP4000

フィールド『超重武者タイマー2』(守備表示)

手札1

 

「俺のターン、ドロー!」

 

「この瞬間、効果で墓地に送られたシノビーA・Cは蘇生される!」

 

超重忍者シノビーA・C 守備力2800

 

「へぇ……まぁ、戦闘で破壊すれば良いんだろ?魔法カード、『手札抹殺』!手札を交換、バトル!まずはフィニッシュ・ホールドでタイマー2に攻撃し、リードブローでシノビーA・Cへ攻撃!」

 

「タイマー2の効果で攻撃対象をこのカードに変更!」

 

「チ、そいつがあったか。メインフェイズ2、フィニッシュ・ホールドの効果で相手カードを破壊。魔法カード、『命削りの宝札』を発動!カードを3枚ドロー!」

 

アリト 手札0→3

 

「カードを3枚セット、ターンエンド」

 

アリト LP2900

フィールド『BK拘束蛮兵リードブロー』(攻撃表示)『No.51怪腕のフィニッシュ・ホールド』(攻撃表示)

セット3

手札0

 

遅い来る剛腕、『No.51怪腕のフィニッシュ・ホールド』を前にして、次第に追い詰められる権現坂。戦闘耐性と全体除去を兼ねるこのカードに対し、権現坂は攻略出来るのか――。

 

 




と言う事で久し振りに投稿開始、大分前のストックなので禁止制限は大幅に遅れています。つまりこの作品ではテンペストは死んだままです。安らかに眠るしょご。

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