遊戯王ARC―V TAG FORCE VS   作:鉄豆腐

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勝鬨「自分人気すぎてさぁ、使用カードがOCG化されてさぁ。本当参っちゃうよね」
シンジ「テメェ!おいセルゲイ、お前も何とか言ってやれ!」
セルゲイ「放置プレイ……!」
シンジ「駄目だコイツ!」


第131話 どっちだろう、分からない

「やはり、お前達はアカデミアではなかったか」

 

フレンドシップカップが行われる裏側にて、見事万丈目と三沢の2人に勝利したユートと隼は、彼等の案内の下、柚子がいると言うエリア内に足を運んでいた。その道中、話の種は2人の正体、隼が高性能アカデミア探知レーダーによってアカデミアとは別のデュエリストとバレた2人は面倒そうに身分を明かす。

 

「正確には元アカデミアだな。俺達のようにアカデミアのやり口に嫌気が差している奴もいると言う事だ。まぁ、行動に移すのは極一部だが」

 

「だろうな、幾ら反感を持とうと自身の意志を持たん奴は集団に流される。奴がやっているなら俺も……とやっていく内に染まるのだろう」

 

「数と言うのはこれだから厄介だ。数こそが正義……否定はせん。だからこそ俺達もアカデミアに対抗出来る戦力を見定める為、スタンダード次元への遠征に参加したんだからな」

 

隼と万丈目が溜め息を吐いて共感する。アカデミアが厄介な所は軍隊である事だろう。統率の取れた連携に一定の水準を越えた錬度、そしてその兵が大量にいる。だからこそエクシーズ次元は壊滅に近い打撃を受けた。スタンダード次元が救われたのは赤馬 零児の対策や隼達エクシーズ次元民の協力が大きい。

 

「現在アカデミアから離反した奴は二組に分かれ、手を結んでいる。俺達はその1つ、アカデミアに潜り込んで情報を。カード化のメカニズムを調査している男の任務を受けていたんだ」

 

「カード化は俺達でも未解明の部分が多いからな」

 

三沢が説明し、万丈目が舌打ちを鳴らす。アカデミアでさえ詳しくは知らないカード化の謎、レジスタンスもあくまで彼等のデュエルディスクを解析し、組み込んだに過ぎない。しかもカード化については瑠那曰く、現在全く別の方法を取られている為、ますます厄介な事になっているのだろう。

 

「成程な、柚子を連れ去ったのは何故だ?」

 

「アカデミアから狙われている奴を放って置くわけにもいかんだろう。このシンクロ次元には俺達にも知らされていないアカデミアの人間がいると言うしな」

 

「やはりセキュリティはアカデミアと繋がっていたか……」

 

三沢が肩をすくめ、ユートが苦虫を噛み潰した表情を浮かべる。道理でこのシンクロ次元だけ無事で綺麗過ぎると納得する。静かに着々と魔の手は迫って来ているのだ。

 

「だからこそ動き辛い。知り合いのヤブ医者がエクシーズ次元も現在厄介な事になっていると言うしな」

 

「エクシーズ次元が……?それにヤブ医者……隼」

 

「……いや、ユート。確かに奴は医者を目指していたし、そんな頭をしていたが流石に……」

 

「あそこはもう別番組だと言っていたな」

 

「何があったんだ……!」

 

ユート達の知らぬ間にエクシーズ次元でもただならぬ変化があったらしい。気になる気持ちも山々だが、その話は後にしようとユートは思考の片隅に追いやり、彼等に聞きたかった事――頼みたかった事を口に出す。

 

「それは後で聞こう。万丈目、君に、頼みがある」

 

――――――

 

「あれ?どこに行くんだユーゴ」

 

「ん、いや、ちょっとトイレにな。何だか気が抜けたらウンコしたくなっちまったぜ。ダハハハハ!」

 

時は少し進み、シティ湾岸沿いに存在するスタジアム、選手用のベンチにて、コソコソと裏に引っ込もうとするユーゴを見て、遊矢が疑問を感じ、問いかける。何やら様子がおかしい。鈍感では無く、察しが良い遊矢は彼が口に出したそれを直ぐ様嘘だと見抜く。

ユーゴが分かりやすいのもあるだろうが。その原因を理解した遊矢は難しい顔をした後、「そうか」とユーゴを見送る。彼が1人になった理由は恐らく、遊矢自身も経験がある事。

 

こんな時は1人になりたい気持ちも充分理解出来る。が――頭に装着したゴーグルを掴んで視界を覆い、唇を噛んでジタバタと悶える。

やはり――苦しんでいる誰かを、悩んでいる誰かを見て、放って置く事なんて出来そうに無い。嫌われたって良い、怒られたって良い。それで彼と気持ちを分け合う事が出来るなら。ゴーグルを外し、覚悟を決めた赤い眼を耀かせ、遊矢は誰でもない、仲間であるユーゴの下へ向かう。大きなお節介を焼きに――。

 

「ちょっと、行って来る!」

 

「キー!」

 

去り際に、背中にかけられたSALの鳴き声が妙に頼もしかった。

 

「私のターン、ドロー!」

 

一方、スタジアムのサーキットにて、チームランサーズのセカンドホイーラー、セレナがDーホイールを発進し、チーム革命軍のファーストホイーラー、クロウ・ホーガンの背を追い、デッキより1枚のカードを引き抜く。

 

相手はユーゴの必死の健闘により、既にデッキ枚数は0、次のターン、自動的に敗北が決まっているとは言え、やる事はある。

クロウのフィールドには『D・D・R』によって帰還した戦闘耐性、及びこちらのモンスターを弱体化させるクロウのエースカード、『BFーアーマード・ウィング』が1体。『BF』を『ガジェット』化させる『黒い旋風』が3枚存在している。後者は後続のDーホイーラーが『BF』使いで無い限り魔法、罠ゾーンを圧迫する為、有難い。ユーゴが残したもう1つの釣果だ。

 

「充分だ。全く良い仕事っぷりだぞ融合。褒めてやる!」

 

ここにユーゴがいれば「融合じゃねぇ、ユーゴだ!」と怒声が飛んでいただろう。セレナとしてはかなり褒めているが。ユーゴは自分以上の相手に対し、プライドを捨ててまで手を尽くし、クロウと相撃ちに持ち込んだのだ。その覚悟に応えねばならない。

 

「魔法カード、『強欲で貪欲な壺』カードを2枚ドロー!」

 

セレナ 手札5→7

 

「魔法カード、『魔力の泉』を発動!4枚ドローし、2枚捨てる!」

 

セレナ 手札6→10→8

 

「『チキンレース』の効果発動!」

 

セレナ LP4000→3000→2000 手札8→9→10

 

『チキンレース』の効果で手札を10枚まで確保。手数を増やし、アーマード・ウィングの撃破、そしてセカンドホイーラーに備える布陣を敷く。少々手間だが、ユーゴがやった事に比べれば何て事は無い。

 

「速攻魔法、『手札断札』!互いに手札を2枚交換、私はアクションカードを1枚捨てよう。更に手札の『月光黒羊』を捨て、デッキから『融合』をサーチ!そして『月光虎』をペンデュラムスケールにセッティング!その効果で墓地の『月光黒羊』を蘇生!」

 

月光黒羊 守備力600

 

流れるようなカードの動きでセレナのフィールドに現れたのは燕尾服を纏った羊の獣人。肩から捻れた角を伸ばしたこのカードこそ『ムーンライト』のキーカード、『融合』に必須と言えるサーチ、サルベージ効果を併せ持っている1枚だ。素良の扱う融合特化の『ファーニマル』、『エッジインプ』、『デストーイ』と違い、これ1枚の回し方が重要だ。

 

「そして魔法カード、『融合』を発動!フィールドの『月光黒羊』と手札の『月光紫蝶』を融合!紫の毒持つ蝶よ!漆黒の闇に潜む獣よ!月の引力により渦巻きて新たなる力と生まれ変わらん!融合召喚!現れ出でよ!月明かりに舞い踊る美しき野獣!『月光舞猫姫』!!」

 

月光舞猫姫 攻撃力2400

 

融合召喚、セレナの背後に青とオレンジの渦が広がり、紫の蝶人と黒い羊の獣人が混ざり合い、閃光が炸裂する。そして赤い毛並みを揺らし、美しき舞と共に登場したのは2刀のナイフを振るう、踊り子のような風貌の猫の獣人。セレナのエースカードだ。

 

「『月光黒羊』の効果で『月光紫蝶』回収、墓地に送り、舞猫姫の攻撃力を1000アップ!」

 

月光舞猫姫 攻撃力2400→3400

 

「モンスターをセット、バトルだ!舞猫姫でアーマード・ウィングに攻撃!」

 

「むっ」

 

「この瞬間、手札の速攻魔法、『禁じられた聖杯』を発動!アーマード・ウィングの攻撃力を400アップし、効果を無効!」

 

BFーアーマード・ウィング 攻撃力2500→2900

 

アーマード・ウィング撃破、無効化されたアーマード・ウィングに、捕食者である猫の牙、2刀のナイフが突き立てられる。これで後続の憂いは振り払った。

 

「カードを2枚セットし、ターンエンド」

 

セレナ LP2000

フィールド『月光舞猫姫』(攻撃表示)セットモンスター

セット2

Pゾーン『月光虎』

手札3

 

「俺のターン、この瞬間、デッキ枚数0の俺はドローカードが無い為、自動的に敗北、次のDーホイーラーに引き継がれる」

 

キィッとクロウのDーホイール、ブラック・バードがチーム革命軍のベンチで停止し、セカンドホイーラー、デイモンにバトンタッチする。

 

「すまねぇな、場に良いカードを残せねぇどころか、フィールドを圧迫しちまって」

 

「まぁ1人倒したんだ。充分だ。デイモン、行けるか?」

 

「奴さんがやりやがるからな。ちと厳しいが、ぼちぼち頑張るさ」

 

デイモンがメットを被り、Dーホイールに跨がりながらリーダーであるシンジに答える。少々厳しい所だが、幸い相手のモンスターの攻撃力はそれ程高くない。それに、『黒い旋風』の対処策ならある。後攻めの有利もある事だ。好きにやらせてもらうとデイモンがセレナを追ってDーホイールを駆けさせる。

 

「……なぁ、シンジ……」

 

「あん?何だクロウ」

 

俯き、暗い顔をしたクロウの呼び掛けに、シンジが眉をひそめて顔を上げる。

 

「俺達、やっぱ間違ってんじゃねぇのか?」

 

「……馬鹿言え、それじゃあ今のシティが正しいとでも言うのかよ?」

 

シンジのシティの異常な格差社会を無くす為、革命を起こすと言う考えに対し、クロウが疑問をぶつけるも、シンジは何かに取り憑かれたように一蹴する。そうだ、シンジの考えは間違ってはいないし、正しいとさえ言える。

クロウも子供達に貧しい思いをさせない為に彼に賛成したのだ。間違っているのはシティ、だから――迷う必要は、無い筈なのに。

 

「そう、だよな。ワリィ、変な事言った。ちょっとトイレ行って来る」

 

「おう」

 

そう、その考え自体は、間違ってはいないのだ。

 

「さぁて、お次は俺だ。クロウの仇……はもう取れねぇが、お前さん位は倒させて貰うぜ!」

 

「そう簡単にいくかな?」

 

『さぁ、ユーゴ、クロウ、両者のファーストホイーラーが倒れ、セカンドホイーラー同士の対決へ!果たして次はどのようなデュエルになるのでしょうか!』

 

『第2ラウンドに突入だ!』

 

「「ライディングデュエル、アクセラレーション!!」」

 

デイモンがデッキより5枚のカードを引き抜く。まずまずの手札と言った所か。焦る必要は無い。こちらも通常のドローに加え、『チキンレース』の効果もある。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

「罠発動、『針虫の巣窟』!デッキトップからカードを5枚墓地に送る!」

 

「『チキンレース』の効果発動!」

 

デイモン・ロペス LP4000→3000→2000 手札6→7→8

 

LPを削り、一気に2枚のドローで8枚の手札に。こちらもブレーキ無しのフルスロットル。アクセル全開で駆け抜け、セレナに並走する。

 

「速攻魔法、『「A」細胞組み換え装置』!舞猫姫を対象とし、デッキから『エーリアン・ヒュプノ』を墓地に送り、そのレベル4つ分のAカウンターを乗せる!」

 

月光舞猫姫 Aカウンター0→4

 

「カウンターか……」

 

「チューナーモンスター、『エーリアンモナイト』を召喚!」

 

エーリアンモナイト 攻撃力500

 

現れたのは棘つきの殻を被ったアンモナイト型の『エーリアン』。『エーリアン』唯一のチューナーであり、シンクロ召喚を可能とするモンスターだ。

 

「召喚時、墓地のレベル4以下の『エーリアン』、『エーリアン・ヒュプノ』を特殊召喚!」

 

エーリアン・ヒュプノ 攻撃力1600

 

『エーリアンモナイト』で吊り上げたのは頭部が膨れ上がり、指先が水色の宝石のようになり、胴体からはカプセル状になった『エーリアン』だ。

 

「レベル4のヒュプノに、レベル1のアンモナイトをチューニング!シンクロ召喚!『宇宙砦ゴルガー』!!」

 

宇宙砦ゴルガー 攻撃力2600

 

『エーリアンモナイト』がクルクルとUFOのように旋回し、殻の隙間から淡い光を発して光のリングに変化し、ヒュプノを包み込む。そして閃光が炸裂、光を裂き、山のような巨体を誇る、形容し難い異形が姿を見せる。

 

「これがお前のエースか……!」

 

「ゴルガーの効果!フィールドの表側表示の魔法、罠カードを任意の数手札に戻し、その枚数分、フィールドの表側表示モンスターにAカウンターを乗せる!俺はお前の『月光虎』、俺のフィールドの3枚の『黒い旋風』をバウンスし、ゴルガーに4つのカウンターを乗せる!」

 

宇宙砦ゴルガー Aカウンター0→4

 

「チッ、『黒い旋風』を回収し、フィールドの圧迫を逃れたか……!」

 

ゴルガーを使う事により、残されていたカードを『黒い旋風』を利用するデイモン。これで相手の拘束は解かれた。

 

「魔法カード、『手札抹殺』を発動!互いに手札を捨て、その枚数分ドロー!お前には『月光虎』を捨てて貰うぜ!」

 

「む……!」

 

これで『黒い旋風』を捨て、ドロー数を増やしながらセレナの『月光虎』を安全に排除した。この男、中々見事な手腕だ。

 

「永続魔法、『「A」細胞培養装置』、『古代遺跡コードA』、『「A」細胞増殖装置』を発動!」

 

「良いのか?そんなに専用の永続魔法を使って。また次のDーホイーラーの動きを制限するぞ」

 

「ゴルガーをフィールドに残すか墓地に置いときゃ心配ねぇさ」

 

そう、ゴルガーを後続のホイーラーに使えるようにするだけでフィールドを圧迫するカードも手札コストに変換出来る。これでセレナ達はプレッシャーをかけられなくなった。

 

「そして舞猫姫のAカウンターを2つ取り除き、『エーリアン・リベンジャー』を特殊召喚!」

 

月光舞猫姫 Aカウンター4→2

 

エーリアン・リベンジャー 攻撃力2200

 

「A」細胞培養装置 Aカウンター0→1

 

Aカウンターを使いこなし、様々な恩恵を与えていく。これこそが『エーリアン』デッキの力、このデイモンもクロウに劣らない。

 

「フィールドのAカウンターが取り除かれた事で『「A」細胞培養装置』にAカウンターを1つ置く!そしてリベンジャーの効果でお前のモンスターにAカウンターを乗せる!」

 

月光舞猫姫 Aカウンター2→3

 

「舞猫姫のカウンターを2つ取り除き、ゴルガーの効果で破壊する!」

 

「アクションマジック、『ミラー・バリア』!舞猫姫に効果破壊耐性を与える!」

 

月光舞猫姫 Aカウンター3→1

 

「A」細胞培養装置 Aカウンター1→2

 

「ゴルガーのカウンターを2つ取り除き、コードAの効果で墓地の『エーリアン・ヒュプノ』を蘇生!」

 

宇宙砦ゴルガー Aカウンター4→2

 

エーリアン・ヒュプノ 攻撃力1600

 

「A」細胞培養装置 Aカウンター2→3

 

「バトル!『エーリアン・リベンジャー』で舞猫姫へ攻撃!そしてこのカードがフィールドに存在する限り、Aカウンターが乗ったモンスターが『エーリアン』と戦闘を行うダメージ計算時、Aカウンター1つにつき攻撃力を300ダウンする!」

 

「私もこれを使おう!罠発動!『幻獣の角』!舞猫姫の攻撃力を800アップ!」

 

「アクションマジック、『突撃』!リベンジャーの攻撃力を600アップ!」

 

月光舞猫姫 攻撃力2400→3200→2900

 

エーリアン・リベンジャー 攻撃力2200→2800

 

デイモン・ロペス LP2000→1900

 

セレナ 手札4→5

 

Aカウンターを使い、戦闘を有利に進めるデイモンだが、戦闘面で上回ったのはセレナだ。下げられたのなら上げるだけ。これで戦闘においてAカウンターの効力は失われた。

 

「コードAの効果!『エーリアン』モンスターが破壊される度にこいつにAカウンターを乗せる!」

 

古代遺跡コードA Aカウンター0→1

 

「ゴルガーでセットモンスターを攻撃!」

 

「セットモンスターは『月光蒼猫』!破壊された事で『月光紅狐』をリクルートする!」

 

月光紅狐 攻撃力1800

 

蒼猫が去り、入れ替わりに現れたのは紅の狐。緑の狸のライバルである。

 

「ここでストップか。仕方ねぇ、ターンエンドだ」

 

デイモン・ロペス LP1900

フィールド『宇宙砦ゴルガー』(攻撃表示)『エーリアン・ヒュプノ』(攻撃表示)

『「A」細胞増殖装置』『「A」細胞培養装置』『古代遺跡コードA』

手札4

 

「『チキンレース』の効果でドロー!」

 

セレナ LP2000→1000 手札6→7

 

「『月光白兎』を召喚!」

 

月光白兎 攻撃力800

 

現れたのは月の面を被った兎の獣人だ。餅つきの槌を携え、戦闘にフィールドに舞い降りる。

 

「召喚時、墓地の『月光黒羊』を蘇生!」

 

月光黒羊 守備力600

 

「そして白兎の効果発動!フィールドの『ムーンライト』カードの数まで相手の魔法、罠をバウンスする!私の『ムーンライト』は3枚!丁度だな!カウンターもろとも戻ると良い!」

 

「させねぇよ!墓地の『スキル・プリズナー』を除外!『「A」細胞増殖装置』を対象に取るモンスター効果を無効に!」

 

「ふん、構わん!魔法カード、『置換融合』を発動!『月光紅狐』と『月光黒羊』を融合!融合召喚!『月光舞猫姫』!!」

 

月光舞猫姫 攻撃力2400

 

「『月光黒羊』の効果で『月光虎』を回収し、『月光紅狐』の効果でヒュプノの攻撃力をターン終了まで0にする!」

 

エーリアン・ヒュプノ 攻撃力1600→0

 

「『月光虎』をセッティング!効果で『月光紅狐』を蘇生!」

 

月光紅狐 攻撃力1800

 

「魔法カード、『融合回収』!墓地の『融合』と『月光黒羊』回収、発動!手札の『月光白兎』と『幻獣の角』を装備していない『月光舞猫姫』を融合!融合召喚!月光の原野で舞い踊るしなやかなる野獣!『月光舞豹姫』!!」

 

月光舞豹姫 攻撃力2800

 

融合進化、舞猫姫が更なる力を得て進化を遂げる。黒い髪を目を隠した所で切り揃え、野太い腕を持った豹の姫君。舞猫姫が戦闘破壊耐性を持っているなら、こちらは効果破壊耐性を持っている。

 

「墓地の『置換融合』を除外し、墓地の舞猫姫をデッキに戻し、ドロー!」

 

セレナ 手札4→5

 

「手札の『月光黒羊』を捨て、『置換融合』をサーチ、発動!フィールドの舞豹姫、紅狐、白兎を融合!現れ出でよ!月光の原野の頂点に立って舞う百獣の王!『月光舞獅子姫』!!」

 

月光舞獅子姫 攻撃力3500

 

そして――更なる融合を。3連続融合によって現れたのは白い鬣を伸ばした、白刃を煌めかせる獅子の女王。セレナの最強の切り札が今、フィールドに顕現する。

 

『3連続融合!強力なモンスターがフィールドを舞い踊る!その攻撃力、3500!』

 

「カードをセット、バトル!舞猫姫でゴルガーへ攻撃!舞猫姫の効果発動!」

 

「アクションマジック、『ブラインド・ブリザード』!バトルフェイズを終了させる!」

 

デイモン・ロペス LP1900→1800

 

「チッ、ターンエンドだ」

 

セレナ LP1000

フィールド『月光舞獅子姫』(攻撃表示)『月光舞猫姫』(攻撃表示)

『幻獣の角』セット1

Pゾーン『月光虎』

手札3

 

強力な融合モンスターによる猛攻を仕掛けるも、すんでの所でアクションマジックを発動。彼等の間に氷の壁が出現し、剣を弾く。だがセレナのモンスターは2体共強力なモンスターだ。早々越える事は無いだろう。

 

「俺のターン、ドロー!スタンバイフェイズ、『「A」細胞増殖装置』の効果で相手モンスター1体を対象とし、Aカウンターを乗せる!」

 

「舞獅子姫は効果の対象にならない。必然的に舞猫姫にカウンターが乗る」

 

月光舞猫姫 Aカウンター1→2

 

「ゴルガーの効果でコードAと自身のカウンターを取り除き、セットカードを破壊!」

 

「墓地の『スキル・プリズナー』を除外し、セットカードを対象に取るモンスター効果を無効!」

 

宇宙砦ゴルガー Aカウンター2→1

 

古代遺跡コードA Aカウンター1→0 

 

「A」細胞培養装置 Aカウンター3→4

 

「『チキンレース』の効果でドロー!」

 

デイモン・ロペス 手札1800→800 手札5→6

 

「魔法カード、『打ち出の小槌』、手札を交換、墓地の『「A細胞組み換え装置」』を除外、デッキの『エーリアン・リベンジャー』をサーチ!」

 

「手札の『増殖するG』を切る!」

 

「ゴルガーと舞猫姫のカウンターを2つ取り除き、特殊召喚!」

 

宇宙砦ゴルガー Aカウンター1→0

 

月光舞猫姫 Aカウンター2→1

 

エーリアン・リベンジャー 攻撃力2200

 

「A」細胞培養装置 Aカウンター4→5

 

セレナ 手札2→3

 

「そしてリベンジャーの効果で相手フィールドの全てのモンスターにAカウンターを乗せる!この効果は対象を取らない。舞獅子姫相手でも有効!」

 

月光舞獅子姫 Aカウンター0→1

 

月光舞猫姫 Aカウンター1→2

 

「舞猫姫のカウンターを2つ取り除き、コードAの効果で『エーリアンモナイト』を蘇生!」

 

月光舞猫姫 Aカウンター2→0

 

エーリアンモナイト 守備力200

 

「A」細胞培養装置 Aカウンター5→6

 

セレナ 手札3→4

 

「そしてレベル4のヒュプノにレベル1のアンモナイトをチューニング!シンクロ召喚!『宇宙砦ゴルガー』!!」

 

宇宙砦ゴルガー 攻撃力2600

 

セレナ 手札4→5

 

現れる2体目のゴルガー。並ぶ山を見てもセレナの表情に動揺は見られない。それは自身の切り札への絶対的な信頼によるものだ。確かに舞獅子姫は対象にならず、効果で破壊もされず、互いに攻撃力を持っていると来た。Aカウンターが乗っていてもその数は1、攻撃力をダウンされても3200とデイモンのモンスターでは突破出来ない。だが――デイモンの手札には、丁度無効化するカードがある。

 

「『エーリアン・マーズ』を召喚!」

 

エーリアン・マーズ 攻撃力1000

 

現れたのは額や身体に赤い宝玉を埋め込んだ触手を持つ『エーリアン』。攻守共に1000と低いステータスだが、このモンスターの登場と共に、2体の『ムーンライト』モンスターに貼り付いたAカウンターが活性化し、2体の動きが鈍る。

 

「これは――」

 

「マーズがいる限り、マーズ以外のAカウンターを持つモンスターの効果は無効化する。勿論、対象を取らないぜ」

 

「チッ……!」

 

これがデイモンの策、確かにこれならば舞獅子姫の効果を無効化し、ゴルガーの効果で破壊が可能となる。こんなカードまであるとは。

 

「もう1体のゴルガーにより、培養装置のカウンターを取り除き、舞猫姫を破壊!」

 

「A」細胞培養装置 Aカウンター6→4→5

 

「罠発動!『月光輪廻舞踊』!フィールドの『ムーンライト』モンスターが破壊された事で『月光狼』と『月光彩雛』をサーチ!」

 

「ゴルガーの第2の効果により、コードAと『月光虎』をバウンスし、モンスターにAカウンターを乗せる!」

 

「手札の『エフェクト・ヴェーラー』を捨て、その効果を無効!」

 

「ならもう1体の方も効果発動!」

 

「2枚目の『エフェクト・ヴェーラー』を切る!」

 

「速攻魔法、『トライアングル・エリア』!Aカウンターを乗せた舞獅子姫を破壊し、デッキの『エーリアン』モンスターを特殊召喚!」

 

「やらせん!墓地の『月光紅狐』を除外、その発動を無効にし、互いのLPを1000回復!」

 

セレナ LP1000→2000

 

デイモン・ロペス LP800→1800

 

「やるな、だが回復したLPを払い、もう1枚の『チキンレース』の効果発動!」

 

デイモン・ロペス LP1800→800 手札3→4

 

「永続魔法、『暗黒の扉』を発動、カードを1枚セットし、ターンエンド」

 

デイモン・ロペス LP800

フィールド『宇宙砦ゴルガー』(攻撃表示)×2『エーリアン・リベンジャー』(攻撃表示)『エーリアン・マーズ』(攻撃表示)

『「A」細胞増殖装置』『「A」細胞培養装置』『古代遺跡コードA』『暗黒の扉』セット1

手札2

 

「私のターン、ドロー!速攻魔法、『手札断札』!互いに手札を2枚交換!」

 

「こっちはアクションカードを捨て、同時に墓地に送られた『絶対王バック・ジャック』の効果でデッキトップを操作!罠発動、『ハーフ・アンブレイク』!お前の舞獅子姫に耐性を与える!」

 

「更に魔法カード、『貪欲な壺』!モンスターを5体、墓地から回収し、2枚ドロー!」

 

「バック・ジャックを除外し、デッキトップから罠をセット!」

 

セレナ 手札4→6

 

「『月光狼』をセッティング!『月光彩雛』を召喚!」

 

月光彩雛 攻撃力1400

 

現れたのは黄金に輝く雛鳥の獣人。『ムーンライト』の思い素材を軽減する優秀なモンスターだ。

 

「雛鳥の効果でエクストラデッキの『月光舞豹姫』を墓地に落とし、同名として素材に出来る!そして『月光狼』のペンデュラム効果を使う!彩雛と墓地の白兎、紫蝶を除外し、融合召喚!『月光舞獅子姫』!!」

 

「手札の『増殖するG』を捨てる!」

 

月光舞獅子姫 攻撃力3500

 

デイモン・ロペス 手札2→3

 

『2体目の舞獅子姫登場!セレナ、容赦無く斬りかかる!』

 

2体目の切り札の登場。並び立つ白獅子の女王。美しくも凛と佇む舞獅子姫の姿に、デイモンの顔色が一気に変わる。これは少々、不味い事になってしまった。

 

「逃がさんぞ。彩雛の効果でバトルフェイズ中、お前は効果を発動出来ない。『チキンレース』の効果でLPを1000払い、相手のLPを1000回復!」

 

セレナ LP2000→1000

 

デイモン・ロペス LP800→1800

 

「『月光虎』のペンデュラム効果で『月光蒼猫』を蘇生!」

 

月光蒼猫 攻撃力1600

 

デイモン・ロペス 手札3→4

 

「罠発動!『亜空間ジャンプ装置』!『ハーフ・アンブレイク』の効果を受けた舞獅子姫とマーズのコントロールを入れ替える!」

 

「チッ、だが舞獅子姫が攻撃したダメージステップ終了時に、相手フィールドの特殊召喚されたモンスターを全て破壊する!」

 

「ならこいつだ!アクションマジック、『透明』!舞獅子姫に効果耐性を与える!」

 

「バトルに移り、舞獅子姫で『エーリアン・リベンジャー』へ攻撃!」

 

デイモン・ロペス LP1800→500

 

古代遺跡コードA Aカウンター0→1

 

舞獅子姫が振るう白刃が黒き『エーリアン』を切り裂き、爆発を巻き起こしてデイモンのモンスターを吹き飛ばす。

 

「良かったのか?これでお前は俺に傷をつけられねぇ」

 

「どうかな?『エーリアン・マーズ』を守備表示に変更し、ターンエンドだ。この瞬間、『月光虎』の効果で特殊召喚された『月光蒼猫』は破壊され、デッキから『月光虎』をリクルートする」

 

月光虎 守備力800

 

デイモン・ロペス 手札4→5

 

セレナ LP1000

フィールド『月光舞獅子姫』(攻撃表示)『月光虎』(守備表示)『エーリアン・マーズ』(守備表示)

Pゾーン『月光虎』『月光狼』

手札4

 

「さぁ、トリックスター、デイモン様の力を見せてやるぜ!」

 

ぶつかり合うセカンドホイーラー対決。意外な伏兵、顔に似合わぬトリックスター、光の侵略者、『エーリアン』の使い手、デイモン・ロペスを相手にセレナは苦戦を強いられる。予想だにしないトリッキーな戦術を前にし、セレナはどう対処するか。ユーゴから受け取ったバトンを魂に刻み、彼女は決死の想いで闘いに挑む――。

 

――――――

 

一方、柚子捜索へと出向いたユートと隼は、万丈目と三沢の案内の下、道を進む。

 

「成程、良いだろう、その頼み、引き受けてやる」

 

「本当か?万丈目!」

 

「さん、だ!」

 

どうやらユートが万丈目に何かを頼み、それによって発生するメリットで万丈目が折れたらしい。他人の命令等滅多に聞かない彼だが、そんな彼が動く気になったのだ。一体何に動かされたのだろうか。

 

「構わんだろう、敗者が勝者に従うのは仕方あるまい。ただし、今回だけだからな!」

 

「ああ、それで良い。これであいつも余計な事に悩まずに済む」

 

「む、話している内に着いたな。ここが俺達のアジトだ。柊 柚子の無事を確認するが良い」

 

と、ここで彼のアジトに辿り着いたのか、2人が立ち止まった。少々古いが、小綺麗な廃墟へと足を踏み入れる4人、彼等は階段を登り、一室の部屋に足を踏み入れる。そこに、いたのは――長い髪を後ろで留めた、2人が見慣れ、最も会いたかった、1人の少女。

 

「瑠……璃……!?」

 

「――兄さん?ユート――?」

 

次元を越え、漸く再会したレジスタンスの3人、その再会は、余りにも唐突なものだった――。

 

 

 




最近更新が遅れて申し訳ないですん。

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