遊戯王ARC―V TAG FORCE VS   作:鉄豆腐

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ヴレインズ新章始まりましたね。皆新キャラを疑っててベクターの残した傷はデカイなと思いました。FWDは生き残れるんだろうか。


第130話 ぶち抜いてやるぜ

アクションフィールド、『チキンレース』によって絶壁になったハイウェイのコースにて、怯える様子1つ無く、2人のデュエリストが闘っていた。先行しているのはチーム革命軍のサブリーダー、群れを成し、鋭き爪で獲物を狩る黒鳥達、『BF』の使い手、鉄砲玉のクロウ・ホーガン。

対するのはその後をピッタリとつき、常にプレッシャーをかけるチームランサーズのリーダー、『BF』と同じく、高速でシンクロへと繋ぐ疾風のマシーン、『スピードロイド』の担い手、ユーゴ。

 

先鋒同士のデュエルは両者一歩も譲らずに加速の連続、先に均衡を破った方が勝負を決めると言っても過言では無い。一撃で仕留めるか、それとも致命傷をかわし、返しの刃が喉元に届くか。ギリギリの攻防、読み合いの重ね合い。先に動くのは――ターンプレイヤーのユーゴ。

彼はより一層、集中力を高め、Dーホイールにしがみつくように身体を預ける。

 

「俺のターン、ドロー!墓地の『SRバンブー・ホース』を除外し、デッキの『SR三つ目のダイス』を墓地に送る!速攻魔法、『魔力の泉』を発動!お前のフィールドに存在する表側表示の魔法、罠は『黒い旋風』3枚に『チキンレース』!そして俺のフィールドにはこいつと『チキンレース』!よって4枚ドローし、2枚捨てる!」

 

ユーゴ 手札2→6→4

 

「魔法カード、『暗黒界の取引』!手札を交換!『SRパチンゴーカート』を召喚!」

 

SRパチンゴーカート 攻撃力1800

 

「墓地の電々大公を除外し、墓地の『SR三つ目のダイス』を蘇生!」

 

SR三つ目のダイス 守備力1500

 

「フィールドに『スピードロイド』チューナーが存在する事で墓地のマッハゴー・イータを蘇生!」

 

HSRマッハゴー・イータ 攻撃力2000

 

「さぁて次はこっちのエースのお披露目だ!レベル4のパチンゴーカートに、レベル3の三つ目のダイスをチューニング!その美しくも雄々しき翼翻し、光の速さで敵を討て!シンクロ召喚!現れろ、『クリアウィング・シンクロ・ドラゴン』!!」

 

クリアウィング・シンクロ・ドラゴン 攻撃力2500

 

ここでユーゴの頼れるエースモンスターが現れる。青と白の体躯に、ミントグリーンの薄い両翼。このカードの登場と共に、ドクンとベンチにいる遊矢の胸が高鳴る。

 

「そいつがお前のエースか……」

 

「まっ残念ながら直ぐ退場だ。魔法カード、『シンクロ・クラッカー』発動!『クリアウィング』をエクストラデッキに戻し、相手フィールドの攻撃力2500以下のモンスターを一掃する!」

 

『おおっとユーゴ、エースカードを引っ込めた!』

 

だが『クリアウィング』が場にいられるのはセミの寿命より短い。思わず「えっ」と驚き、ユーゴを見る『クリアウィング』。その体躯が蒼白く光輝いて弾け飛び、7つのリングがクロウの『BF』を吹き飛ばす。クロウもDーホイールを操縦し、襲い来るリングをかわすが――その隙を逃さず、ユーゴがクロウを抜き去る。

 

「チッ!」

 

「ぶち抜いてやるぜ!綺麗になったな、バトルだ!マッハゴー・イータでダイレクトアタック!」

 

「カウンター罠、『攻撃の無力化』!攻撃を無効にし、バトルを終了!」

 

「カードを1枚セット、ターンエンドだ!」

 

ユーゴ LP1000

フィールド『HSRマッハゴー・イータ』(攻撃表示)

セット1

手札1

 

「俺のターン、ドロー!相手フィールドにモンスターが存在し、俺のフィールドにモンスターが存在しない事で、手札の『BFー暁のシロッコ』をリリース無しで召喚!」

 

BFー暁のシロッコ 攻撃力2000

 

現れたのは上級『BF』。嘴の被り物をつけた鳥人だ。攻撃力は2000、『黒い旋風』の発動下では広範囲で『BF』をサーチ出来る。

 

「『黒い旋風』の効果で『BFー残夜のクリス』、『BFー突風のオロシ』、『BFー黒槍のブラスト』をサーチ!そのまま特殊召喚!」

 

BFー残夜のクリス 攻撃力1900

 

BFー黒槍のブラスト 攻撃力1700

 

BFー突風のオロシ 守備力600

 

『クロウ、またまた3枚サーチし、特殊召喚!この男の手札は尽きないのか!?』

 

『3枚のサーチをする『黒い旋風』は厄介極まりない、除去したい所だが、ユーゴどうする!?』

 

「最初から『黒い旋風』を狙えばこうはならなかっただろうな」

 

「……さぁてそいつはどうかねぇ……俺がそいつを放置して勝てば後続の邪魔になるんだぜ?」

 

「勝てば、な」

 

「勝つさ!マッハゴー・イータをリリースし、効果発動!」

 

BFー暁のシロッコ レベル5→6

 

BFー残夜のクリス レベル4→5

 

BFー黒槍のブラスト レベル4→5

 

BFー突風のオロシ レベル1→2

 

「チッ、バトルだ!ブラストでダイレクトアタック!」

 

「罠発動!『ガード・ブロック』!ダメージを0にし、1枚ドロー!」

 

ユーゴ 手札1→2

 

「追撃だ、クリス!」

 

「手札の『SRメンコート』を特殊召喚し、相手モンスターを守備表示に変更する!」

 

「アクションマジック、『透明』!シロッコは効果を受けない!」

 

SRメンコート 攻撃力100

 

総攻撃、群れ成し集う鳥達が爪を研ぎ、ユーゴへと襲いかかったその瞬間、ユーゴが手札の1枚をメンコのようにデュエルディスクに叩きつけ、現れたメンコートの風圧で『BF』達がバタンと引っくり返る。これが本当にメンコなら全部奪えるのだがそうはいかない。今は命拾いしただけマシと考えるべきだ。

 

「シロッコでメンコートへ攻撃!」

 

「アクションマジック、『大脱出』!」

 

「カードを1枚セット、ターンエンドだ」

 

クロウ・ホーガン LP1000

フィールド『BFー暁のシロッコ』(攻撃表示)『BFー残夜のクリス』(守備表示)『BFー黒槍のブラスト』(守備表示)『BFー突風のオロシ』(守備表示)

『黒い旋風』×3セット1

手札1

 

「俺のターン、ドロー!うっし、『SRーOMKガム』を召喚!」

 

SRーOMKガム 攻撃力0

 

「墓地のマッハゴー・イータを蘇生!」

 

HSRマッハゴー・イータ 攻撃力2000

 

「レベル4のメンコートにレベル1のOMKガムをチューニング!シンクロ召喚!『HSRチャンバライダー』!」

 

HSRチャンバライダー 攻撃力2000

 

こちらもアーマード・ウィングと同じく3体目のチャンバライダー。汎用レベル5の中で2回攻撃と言う特徴を持つこのカードは優秀な部類に入る。

 

「OMKガムの効果でデッキトップを墓地へ!当たりだ、『SRベイゴマックス』!」

 

HSRチャンバライダー 攻撃力2000→3000

 

「チャンバライダーでオロシに攻撃!」

 

HSRチャンバライダー 攻撃力3000→3200

 

「追撃、シロッコへ攻撃!」

 

「手札のカルートを捨て、攻撃力を1400アップ!」

 

BFー暁のシロッコ 攻撃力2000→3400

 

カルートを使わなければ1400の超過ダメージ。使えば相撃ちでクロウのLPはユーゴのLPを下回る事は無い。このデュエル、細かいLPの計算まで考えなければならない。

 

「チャンバライダーの効果で除外されている『SRーOMKガム』を回収っと。カードを1枚セット、ターンエンドだ」

 

ユーゴ LP1000

フィールドに『HSRマッハゴー・イータ』(攻撃表示)

セット1

手札1

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード、『命削りの宝札』!3枚ドロー!」

 

クロウ・ホーガン 手札0→3

 

「更に魔法カード、『黒羽の宝札』!手札の『BF』を除外し、2枚ドロー!」

 

クロウ・ホーガン 手札1→3

 

「そしてフィールドに『BF』が存在する為、俺は手札の『BFー漆黒のエルフェン』をリリース無しで召喚!」

 

BFー漆黒のエルフェン 攻撃力2200

 

現れたのは真っ黒な身体を持った鳥人だ。攻撃力2200、先のターンで出されたシロッコより高い攻撃力だ。

 

「『黒い旋風』の効果で『BFー隠れ蓑のスチーム』、『BFー大旆のヴァーユ』、『BFー尖鋭のポーラ』をサーチするぜ」

 

「6……26か……?」

 

「何をブツクサいってやがる?クリスとブラストを攻撃表示に変更!バトルだ!クリスでマッハゴー・イータへ攻撃!」

 

「自分だけ『チキンレース』から逃げようったってそうはいかねぇ!マッハゴー・イータをリリースし、効果発動!」

 

BFー漆黒のエルフェン レベル6→7

 

BFー残夜のクリス レベル4→5

 

BFー黒槍のブラスト レベル4→5

 

「『命削りの宝札』の効果で俺はダメージを受けねぇ」

 

「ま、そうなるよな、俺はカード1枚をセット、ターンエンドだ。『命削りの宝札』の効果で手札を全て捨てる」

 

クロウ・ホーガン LP1000

フィールド『BFー漆黒のエルフェン』(攻撃表示)『BFー残夜のクリス』(攻撃表示)『BFー黒槍のブラスト』(攻撃表示)

『黒い旋風』×3セット2

手札0

 

「折角の手札も役に立たなかったな」

 

「さぁ、どうかな?」

 

「墓地発動系か……面倒なもんじゃねぇと良いが……俺のターン、ドロー!魔法カード、『強欲で金満な壺』!エクストラデッキから6枚のカードを除外し、2枚ドロー!」

 

ユーゴ 手札1→3

 

「『SRーOMKガム』を召喚!」

 

SRーOMKガム 攻撃力0

 

「そしてマッハゴー・イータを蘇生!」

 

HSRマッハゴー・イータ 攻撃力2000

 

「罠発動!『ゴッドバードアタック』!ブラストをリリースし、そいつとセットカードを破壊!」

 

「ッ、この……!カードをセット、ターンエンドだ!」

 

ユーゴ 1000

フィールド『SRーOMKガム』(攻撃表示)

セット1

手札1

 

「俺のターン、ドロー!墓地の『BFー大旆のヴァーユ』とアーマード・ウィングを除外し、合計レベルとなる『BF』をエクストラデッキから特殊召喚する!吹き荒べ嵐よ!鋼鉄の意思と光の速さを得て、その姿を昇華せよ!『BFー孤高のシルバー・ウィンド』!」

 

BFー孤高のシルバー・ウィンド 攻撃力2800

 

現れたのは銀色の羽を伸ばし、鳥の被り物をしたモンスターだ。レベル8、攻撃力2800、クロウの持つ『BF』の中で最高のステータスを誇るモンスター。とは言っても素材の条件が厳しく、効果も今一つな物である為、こうして大旆のヴァーユの効果を使い、アタッカーとして運用するのが堅実だ。

 

「もう1体だ。墓地のヴァーユとアーマード・ウィングを除外、来い!『BFー孤高のシルバー・ウィンド』!」

 

BFー孤高のシルバー・ウィンド 攻撃力2800

 

「2体目……!」

 

「バトルだ!シルバー・ウィンドでOMKガムを攻撃!」

 

「アクションマジック、『ダメージ・バニッシュ』!戦闘ダメージを0に!」

 

「2体目のシルバー・ウィンドでダイレクトアタック!」

 

「やらせるかよっ!『速攻のかかし』を捨て、攻撃を無効、バトルフェイズを終了する!」

 

「しつけぇ奴だぜ……このスピード勝負に遅延はいらねぇっての、俺までノロマたと思われちまうぜ……!」

 

シルバー・ウィンドがユーゴに襲いかかったその瞬間、ユーゴの手札から三角帽にワインレッドのサングラスをつけたかかしが現れ、攻撃を防ぐ。常にギリギリ、凌ぐので精一杯と言った様子だ。

 

「カードを1枚セット、ターンエンドだ」

 

クロウ・ホーガン LP1000

フィールド『BFー孤高のシルバー・ウィンド』(攻撃表示)×2『BFー漆黒のエルフェン』(攻撃表示)『BFー残夜のクリス』(攻撃表示)

『黒い旋風』×3セット2

手札0

 

魔法、罠ゾーンが全て埋まり、迎撃準備が万端と言った様子のクロウ。その布陣を見て、ユーゴは悟る。最早スピードで勝つのは不可能かと。

彼は強い。悔しいが自分よりも。ギュッ、とDーホイールのハンドルを握り締め、唇を噛む。自分は弱い。少なくとも、クロウや鬼柳と言う一流のデュエリストよりも、粗がある。親友であるセクトを救いたいと言うのにこの様だ。

だけど、勝つ事を諦めた訳じゃない、救う事を諦めた訳じゃない。まだ、勝機はある。

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード、『命削りの宝札』!3枚ドロー!」

 

ユーゴ 手札0→3

 

「良し……モンスターをセット、カードを2枚セット、ターンエンドだ」

 

『ユーゴ、スピードダウン!防御を固める!』

 

ユーゴ LP1000

フィールド セットモンスター

セット3

手札0

 

「俺のターン、ドロー!2体目のエルフェン召喚!」

 

BFー漆黒のエルフェン 攻撃力2200

 

「『黒い旋風』の効果で『BFー月影のカルート』、『BFー残夜のクリス』、『BFー突風のオロシ』をサーチするぜ」

 

「23……22……21……」

 

「エルフェンの効果でセットモンスターを攻撃表示に変更!」

 

「リバースした『アブソーブポット』の効果により互いのセットカードを破壊し、その分ドローする!加えて罠発動!『威嚇する咆哮』!これでテメェは攻撃が出来ない!破壊される魔法、罠は俺は2枚、お前も2枚だ!」

 

「破壊された『運命の発掘』の効果でドロー!」

 

ユーゴ 手札0→2

 

クロウ・ホーガン 手札3→6

 

ユーゴのリバースモンスターの効果が起動し、互いの手札にカードが渡る。ここで――クロウは漸くユーゴの思惑に気づく。

 

「そうか、成程……デッキ破壊か……!」

 

「ッ!」

 

気づかれてしまったか。分かりやすいユーゴは隠し切れず、その表情に出てしまう。そう、ユーゴの狙いは正当なLPの削り合いでは無く、もう2つある勝利条件の1つ、デッキ破壊。デッキを全て削って、クロウに勝利しようとしているのだ。

 

『何とユーゴの狙いはデッキ破壊!デッキを破壊し、勝利するつもりなのか!?』

 

『確かにそれも立派な戦術だ。現在クロウのデッキのカードは19枚、後19枚だ!』

 

「そう、俺のデッキのカードはまだ19枚〟も〝ある。お前のデッキは本来デッキ破壊狙いじゃねぇだろ?そんなんで19枚削ろうってか?」

 

「やるしかねぇだろうよ」

 

「どうかな?俺も馬鹿じゃねぇ。お前の狙いが分かった以上、『黒い旋風』の効果は……」

 

「使わねぇ、そう、飾りになってゾーンを圧迫する」

 

「充分だ」

 

とは言えクロウの言う通り、こうなった以上クロウは『黒い旋風』の効果を使ってくれないだろうし、ユーゴのデッキはデッキ破壊を積極的に狙うものでは無い。それで19枚は――難しい。

 

「……ユーゴの奴、デッキ破壊狙いか」

 

「らしいな。確かに押されている以上、それもありだろう。だが、19枚、多いか少ないかで言えばここでは多い。せめて気づかれなければと言いたいが、敵もそこまで間抜けじゃない」

 

ジッ、と遊矢とセレナがユーゴのデュエルを観察し、唸る。彼等の目から見てもユーゴの不利は明らかだ。

 

「カードを1枚セット、ターンエンドだ」

 

クロウ・ホーガン LP1000

フィールド『BFー孤高のシルバー・ウィンド』(攻撃表示)×2『BFー漆黒のエルフェン』(攻撃表示)×2『BFー残夜のクリス』(攻撃表示)

『黒い旋風』×3セット1

手札5

 

「焦って来たんじゃねぇか?魔法カード、『手札抹殺』!5枚、ドローしてもらうぜ」 

 

「こんにゃろう……」

 

「後、14枚……速攻魔法、『魔力の泉』を発動!4枚ドローし、2枚捨てる!」

 

ユーゴ 手札1→5→3

 

「墓地の『シャッフル・リボーン』を除外し、『アブソーブ・ポット』をデッキに戻してドロー!」

 

ユーゴ 手札3→4

 

「魔法カード、『ハンマーシュート』!シルバー・ウィンドを1体破壊!」

 

「魔法カード、『スピードリバース』!墓地の『SRベイゴマックス』を特殊召喚!」

 

SRベイゴマックス 攻撃力1200

 

ここで現れたのは赤いベーゴマを連結させ、蛇のようになったモンスターだ。『スピードロイド』のキーカード、もう少し速く出したかったが仕方無い。

 

「効果で『SRタケトンボーグ』をサーチし、特殊召喚!」

 

SRタケトンボーグ 守備力1200

 

「こいつをリリースし、デッキの『SRーOMKガム』をリクルート!」

 

SRーOMKガム 守備力800

 

「墓地のマッハゴー・イータ蘇生!」

 

HSRマッハゴー・イータ 攻撃力2000

 

「レベル5のマッハゴー・イータにレベル1のOMKガムをチューニング!十文字の姿持つ魔剣よ。その力で全ての敵を切り裂け!シンクロ召喚!現れろ、『HSR魔剣ダーマ』!」

 

HSR魔剣ダーマ 攻撃力2200

 

ここで登場したのはけん玉のような形状をしたモンスター。このモンスターを呼び出したのは後続のホイーラーの選択肢を増やす為。アタッカーとして使用するのはあくまでオマケだ。

 

「OMKガムの効果でデッキトップを墓地に!『SR赤目のダイス』だ!」

 

HSR魔剣ダーマ 攻撃力2200→3200

 

「墓地の電々大公を除外し、墓地の『SR赤目のダイス』を蘇生!」

 

SR赤目のダイス 守備力100

 

「赤目のダイスの効果発動!ベイゴマックスのレベルを6に!」

 

SRベイゴマックス レベル3→6

 

「レベル6のベイゴマックスに、レベル1の赤目のダイスをチューニング!シンクロ召喚!『クリアウィング・シンクロ・ドラゴン』!!」

 

クリアウィング・シンクロ・ドラゴン 攻撃力2500

 

再びフィールドに舞い戻るミントグリーンの翼を広げる白竜。このモンスターも場に残るか残らないかではデュエルの展開が全く違ってくる。このチームデュエルは墓地も共有するのだ。例え破壊されても後続が蘇生すれば優秀なアタッカーになってくれる。

 

「ダーマの効果で墓地の『SR赤目のダイス』を除外し、相手に500のダメージを与える!そしてこの効果を『クリアウィング』で無効にし、破壊!攻撃力を吸収!ダイクロイック・ミラー!」

 

クリアウィング・シンクロ・ドラゴン 攻撃力2500→4700

 

ミントグリーンの翼より光る紋様が浮かび上がり、針となってダーマを串刺しにしてエネルギーを吸収、雄々しき咆哮を上げる。

 

「正攻法は諦めたんじゃなかったか?」

 

「んな事一言も言ってねぇぜ?今出来る事を、全力でやる!いけ、『クリアウィング』!クリスへ攻撃!旋風のヘルダイブ・スラッシャー!」

 

「くっ、罠発動!『ガード・ブロック』!」

 

「おっとラッキー、止めは刺せなかったが、これで13枚だ!」

 

「ぬかしやがれ……!」

 

クロウ・ホーガン 手札5→6

 

「魔法カード、『一時休戦』!互いに1枚ドローし、次のターン終了までダメージを0にする!」

 

ユーゴ 手札1→2

 

クロウ・ホーガン 手札5→6

 

「カードを1枚セット、ターンエンドだ!『シャッフル・リボーン』の効果で手札のアクションマジックを除外する」

 

ユーゴ LP1000

フィールド『クリアウィング・シンクロ・ドラゴン』(攻撃表示)

セット1

手札1

 

「俺のターン、ドロー!ここまで来ると良いカードはほとんどねぇな……『BFー極北のブリザード』を召喚!」

 

BFー極北のブリザード 攻撃力1300

 

「召喚時効果で墓地の『BFー蒼炎のシュラ』を蘇生!」

 

BFー蒼炎のシュラ 守備力1200

 

「レベル4の蒼炎のシュラに、レベル2の極北のブリザードをチューニング!シンクロ召喚!『BFーアームズ・ウィング』!」

 

BFーアームズ・ウィング 攻撃力2300

 

「装備魔法、『D・D・R』!手札を1枚捨て、除外されているアーマード・ウィング復活!」

 

BFーアーマード・ウィング 攻撃力2500

 

「装備魔法、『団結の力』!アームズ・ウィングに装備!」

 

BFーアームズ・ウィング 攻撃力2300→6300

 

「バトルだ!アーマード・ウィングで『クリアウィング』へ攻撃!」

 

「速攻魔法発動!『皆既日食の書』!」

 

「何ッ!?」

 

「俺のデッキはデッキ破壊じゃねぇが……これ位は積んでんだよ!」

 

発動されたカードより、フィールドのモンスターが全て地面に叩きつけられ、セット状態となる全体的な『月の書』効果。これだけ聞くと上位互換に見えるが、この効果でセットしたモンスターはターン終了と共に表に戻り、その数だけ相手はドローする。つまり、この状況では打ってつけのカードだ。

 

「ターンエンドだ……!」

 

「さぁ、5枚ドローしな」

 

「チッ」

 

クロウ・ホーガン 手札3→8

 

『ユーゴ、攻撃を回避し、デッキを削る!残り5枚!』

 

「手札制限で2枚捨てる……」

 

クロウ・ホーガン LP1000

フィールド『BFーアーマード・ウィング』(守備表示)『BFーアームズ・ウィング』(守備表示)『BFー孤高のシルバー・ウィンド』(守備表示)『BFー漆黒のエルフェン』(守備表示)×2

『黒い旋風』×3

手札6

 

「残るは5枚、高速のDーホイーラーさんも大変だなぁ、さぁ、その音速っぷりで自爆しな」

 

ニヤリ、ユーゴが悪どい笑みを浮かべてクロウを煽る。とは言えクロウの連続攻撃をかわすこちらも必死だ。クロウも焦ってはいるが――今までで墓地に落ちたカード、そして手札を見てまだあのカードが来ていないと冷静になる。あのカードさえ来れば、クロウの寿命は伸びる。

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード、『カップ・オブ・エース』!コイントスを行い、表なら俺が、裏ならお前が2枚ドローする!……表だ、どっちにしろラッキーだな!」

 

ユーゴ 手札1→3

 

「魔法カード、『シールド・クラッシュ』!シルバー・ウィンドを破壊!墓地の『スピードリバース』除外、墓地の『SRベイゴマックス』を回収し、召喚!」

 

SRベイゴマックス 攻撃力1200

 

「効果で『SRタケトンボーグ』をサーチ、特殊召喚!」

 

SRタケトンボーグ 守備力1200

 

再びフィールドに現れるベイゴマックスとタケトンボーグのコンビ。ベイゴマックス1枚からシンクロへ繋げられるこの2枚は『スピードロイド』の中でも特に優秀だ。

 

「タケトンボーグをリリース、デッキから『SR赤目のダイス』を特殊召喚!」

 

SR赤目のダイス 守備力100

 

「そしてマッハゴー・イータを蘇生!」

 

HSRマッハゴー・イータ 攻撃力2000

 

「レベル3のベイゴマックスに、レベル1の赤目のダイスをチューニング!幾千の顔を持つ迷宮の影よ、その鋭き刃で混沌の闇を切り裂け!シンクロ召喚!『HSR快刀乱破ズール』!」

 

HSR快刀乱破ズール 攻撃力1300

 

ユーゴのフィールドに駆けつけたのはその名の通り、様々なパーツが合体したパズルのようなモンスターだ。シンクロモンスターで攻撃力1300と中途半端なステータスながら、『クリアウィング』、チャンバライダーに並び、ユーゴの頼れるアタッカーだ。OMKガムと組み合わせれば大半のモンスターを寄せ付けなく出来る。

 

「バトル!マッハゴー・イータでエルフェンを!ズールでアームズ・ウィングへ攻撃!ズールは自身の効果で攻撃力倍加!」

 

HSR快刀乱破ズール 攻撃力1300→2600

 

ユーゴの怒濤の攻めにより、クロウの『BF』達が次々と破壊される。デッキ破壊で勝つにしても、ダメージで勝つにしても、後続の為に相手のモンスターは減らしておきたい。

 

『疾風怒濤!ユーゴ、ヒット&ウェイで攻めて守る!』

 

「『クリアウィング』で攻撃!」

 

「アクションマジック、『回避』!」

 

「カードをセット、ターンエンド」

 

ユーゴ LP1000

フィールド『クリアウィング・シンクロ・ドラゴン』(攻撃表示)『HSR快刀乱破ズール』(攻撃表示)『HSRマッハゴー・イータ』(攻撃表示)

セット1

手札1

 

「俺のターン、ドロー!チッ、まだか……しかしやるもんだ。お蔭でフィールドもデッキもボロボロだぜ。だがせめて、テメェだけはぶっ倒す!『BFー残夜のクリス』を特殊召喚!」

 

BFー残夜のクリス 攻撃力1900

 

「そして『BFー極北のブリザード』を召喚!」

 

BFー極北のブリザード 攻撃力1300

 

「効果でシュラ蘇生!」

 

BFー蒼炎のシュラ 守備力1200

 

「この瞬間、マッハゴー・イータの効果発動!」

 

クリアウィング・シンクロ・ドラゴン レベル7→8

 

HSR快刀乱破ズール レベル4→5

 

BFーアーマード・ウィング レベル7→8

 

BFー残夜のクリス レベル4→5

 

BFー漆黒のエルフェン レベル6→7

 

BFー蒼炎のシュラ レベル4→5

 

BFー極北のブリザード レベル2→3

 

「バトルだ!アーマード・ウィングで『クリアウィング』へ攻撃!」

 

「墓地の三つ目のダイスを除外し、攻撃を無効!」

 

「ブリザードでズールに攻撃!」

 

「永続罠、『ディメンション・ガーディアン』!ズールの戦闘、効果破壊を防ぐ!」

 

「この野郎ッ!ならクリスで『クリアウィング』へ攻撃!」

 

クロウ・ホーガン LP1000→400

 

襲い来るクロウの『BF』の猛攻を掻い潜り、ユーゴは何とか自分のターンへ持ち込む。とは言え最後の攻撃は見逃し、『チキンレース』の効果でダメージが与えられなくなってしまった。

 

「カードをセット、ターンエンドだ!」

 

クロウ・ホーガン LP400

フィールド『BFーアーマード・ウィング』(攻撃表示)『BFー漆黒のエルフェン』(守備表示)『BFー蒼炎のシュラ』(守備表示)

『黒い旋風』×3セット1

手札4

 

「俺のターン、ドロー!後、4枚……!思ったより長いな。魔法カード、『マジック・プランター』!『ディメンション・ガーディアン』をコストに2枚ドロー!」

 

ユーゴ 手札1→3

 

「魔法カード、『ソウルテイカー』!アーマード・ウィングを破壊!」

 

「くっ、罠発動、『亜空間物質転送装置』!アーマード・ウィングをターン終了まで除外し!」

 

「『クリアウィング』でエルフェンへ、ズールでシュラに攻撃!」

 

HSR快刀乱破ズール 攻撃力1300→2600

 

これで残るモンスターはアーマード・ウィングのみ。全てが神経を磨り減らすような作業に感じる。

 

「カードを1枚セット、ターンエンド。付き合ってもらうぜ、地獄まで……!」

 

ユーゴ LP1000

フィールド『クリアウィング・シンクロ・ドラゴン』(攻撃表示)『HSR快刀乱破ズール』(攻撃表示)

セット1

手札1

 

「潰れるなら1人で潰れて欲しいんだがな……俺のターン、ドロー!」

 

『クロウ、残り3枚!カウントダウンが始まる!』

 

「アーマード・ウィングを攻撃表示に、バトル!アーマード・ウィングで『クリアウィング』へ攻撃!」

 

「罠発動!『威嚇する咆哮』!」

 

「くっ、モンスターとカードをセット、ターンエンドだ」

 

クロウ・ホーガン LP400

フィールド『BFーアーマード・ウィング』(攻撃表示)セットモンスター

『黒い旋風』×3セット1

手札3

 

「俺のターン、ドロー!バトル!ズールでセットモンスターへ攻撃!」

 

「罠発動!『ゴッドバードアタック』!セットしたブリーズをリリースし、モンスター2体を破壊!」

 

「ぐぬっ――!」

 

ユーゴが攻勢に出るも、ブリーズが死力を尽くした特攻によってユーゴの頼れるモンスターが全滅する。

 

「ターンエンド。ズールの効果により、『SRメンコート』を回収」

 

ユーゴ LP1000

フィールド

手札2

 

「俺のターン、ドロー!まだか……まだ来ないのか……!バトル!アーマード・ウィングでダイレクトアタック!」

 

「手札のメンコートの効果発動!」

 

SRメンコート 攻撃力100

 

再びクロウの行く手を遮るメンコート。これでこのターンも何とか凌いだ。クロウのデッキは残り火2枚、目当てのカードもまだ来ず、両者共に焦りが募る。後少し、まだまだ先。時間がまるで、無限のように感じる。

 

「ターンエンドだ……!」

 

クロウ・ホーガン LP400

フィールド『BFーアーマード・ウィング』(守備表示)

『黒い旋風』×3

手札4

 

「俺のターン、ドロー!メンコートを守備表示に、後ちょっと……後少しだけだ!持ってくれよ、俺のカード達!魔法カード、『打ち出の小槌』!手札を交換!う、し……!」

 

目当てのカードを引けたのか、ニヤリと薄い笑みを浮かべるユーゴ。もうもたない、このカードに全てを託す。

 

「カードをセット、ターンエンドだ!」

 

ユーゴ LP1000

フィールド『SRメンコート』(守備表示)

セット1

手札1

 

「俺のターン、ドロー!俺も来たぜ、魔法カード、『貪欲な壺』!」

 

ここで引き抜かれたのはユーゴの努力を塗り潰す最悪のカード。本来ドローソースとして使用する為、ユーゴの狙いを助けるように見えるが、その条件が厄介だ。このカードは、ドローの前に5枚のカードをデッキへと戻す。これが通れば、一貫の終わり。

 

「させ、るかぁっ!カウンター罠、『魔宮の賄賂』!その発動を無効にし、お前は1枚ドローする!」

 

「ここでかよ……!?」

 

クロウ 手札3→4

 

負けられない、意地をかけた咆哮を上げ、ユーゴがクロウの命綱を断ち切る。クロウの奥の手も、見事打ち砕いた。残るカードは1枚、だが、ユーゴの体力も、風前の灯火。

 

「根性あるじゃねぇか……アーマード・ウィングを攻撃表示に変更、メンコートへ攻撃!」

 

「くっ!」

 

「ターンエンドだ!」

 

クロウ・ホーガン LP400

フィールド『BFーアーマード・ウィング』(攻撃表示)

『黒い旋風』×3

手札4

 

『ユーゴ繋ぎ止めた!クロウのデッキは残り1枚!凄い凄い!一体誰がこんな展開を予想したのでしょうか!素晴らしい健闘振りだ!』

 

「俺のターン、ドロー!……ここまでか……ターンエンドだ……」

 

ユーゴ LP1000

フィールド

手札2

 

「俺のターン、ドロー!どうやらお前も万策尽きたようだな」

 

「ハ、どうかな?」

 

ニヤリ、クロウの挑発に対してもユーゴは不敵な笑みを浮かべる。とは言え彼の言う通り、最早ユーゴにはクロウに対する手は無い。

 

「さぁ、終わりだ!俺も、お前も!アーマード・ウィングで、ダイレクトアタック!」

 

「手札の『D.D.クロウ』を捨て、お前の墓地の『BFー尖鋭のポーラ』を除外!」

 

ユーゴ LP1000→0

 

漆黒の鳥が旋風を纏い、黒い流星となってユーゴを貫く。ファーストホイーラー対決、勝者は、クロウ・ホーガン。しかし――ユーゴの残したものもまた、大きなものだった。

攻撃を受け、LPが0になったユーゴのDーホイールが白煙を上げて停止、後はセカンドホイーラー、セレナに託された。ユーゴはヘルメットを脱ぎ、カラッとした笑顔を2人に向ける。

 

「ワリィ、負けちまった。――後、任せるわ」

 

「――任せておけ!」

 

コツン、ユーゴが向けた拳に、セレナが拳をぶつける。バトンは受け取った。セレナは頼もしい台詞と共にDーホイールに乗り、クロウへ迫る。

 

「「ライディングデュエル、アクセラレーション!!」」

 

次の闘いの火蓋が、切って下ろされる。




2人のデュエルを始めた頃はまさかこんな特殊な決着になるとは思ってなかったでござる。

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