遊戯王ARC―V TAG FORCE VS   作:鉄豆腐

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ここにセリヌンティウス、花京院の魂、ユートを置いておく。一週間以内に投稿出来ねば、どれか1人を選び、旅のパートナーにするが良い。


第129話 負けろ……!

ガキン、シティ治安維持局近辺の林にて、金属音が鳴り響く。その出所は――ランサーズ隠密調査役、風魔 月影だ。彼は自身に襲いかかるガーディアンたる黒マントの男の刃を受け流し、かろうじてのレベルで立っていた。それ程の相手だ。

 

「墓地の『タスケナイト』の効果によりこのカードを墓地より特殊召喚し、バトルフェイズを終了!」

 

タスケナイト 攻撃力1700

 

「……」

 

フィールドに赤い鎧の騎士が飛び出し、敵モンスターの刃を防ぐ。これでこのターンは堪えたが、それでも状況は月影の不利。相手フィールドには強力な連携プレイを見せる3体のモンスターが存在するのだ。どうするべきか――月影が考えたその時。

 

「本当だってアマンダ!ここからなら近道だからさ!」

 

「本当にぃー?」

 

「2人共早く!クロウの試合終わっちゃうよ!」

 

茂みから3人の子供が飛び出し、現れたのは。不味い――月影が現れた子供達が巻き込まれるのを恐れ、相手の出方を伺いながら何時でも動けるように体勢を整える。しかし、どう言う事か。敵は子供達の姿を捉えた途端、動きが鈍り、頭を抑え、肩を震わせる。

 

「子供……?うぐっ……!?ぬぁ……思考に、微量な乱……れ発生……デュエル続行不可と判断……離脱する……!」

 

ガシャリ、突然彼はサレンダーを行い、ソリッドビジョンが消失する中、黒いマントを翻しその場から離脱する。一体何が起こっているのか――続ければ敗北は濃厚、デュエルを続ける気にも、追う気にもなれず、月影はその場に棒立ちし、その背を見つめる。

 

「助かった……?」

 

「あー!忍者だ!忍者!スゲー!」

 

――――――

 

一方――フレンドシップカップが開催されるサーキットの中心にて、2人のDーホイーラーの姿があった。1人はじゃんけんで見事チームランサーズのリーダーとなった遊矢と似た顔立ちの少年、ユーゴ。もう1人はチーム革命軍先鋒、通称鉄砲玉のクロウ・ホーガン。高速シンクロを狙うスピードタイプの2人の激突だ。一体どのようなデュエルになるのか、遊矢はベンチから観戦する。

 

一応彼は2人の実力を知っている。ユートVSユーゴ、沢渡VSクロウのデュエルを見た限り、2人は似たタイプ、そうなれば純粋な実力の差で勝負が見えて来る。遊矢の予測では――全くの五分、ユーゴは1度ユートを下しており、クロウは全開とは言わないものの、ノリに乗った沢渡を倒している。

ここでクロウを倒せばセカンドホイーラーであるセレナと楽になり、勝率はグッと上がる。何としてでもユーゴには勝って欲しい所だ。

 

「俺は折角最後を努めるんだ、少しでもデュエルを見て吸収しないと……」

 

集中、キュッ、と目を細め、2人を真剣に見つめる遊矢。彼のデュエルは闘えば闘う程、他のデュエリストのデュエルを見る程に進化する。こうしてラストホイーラーになったのもその為だ。

 

「……負けた……私がじゃんけんで負けた……」

 

「キー……」

 

その横で膝を抱え、ズーンと擬音がつく程暗い空気を纏い、落ち込んでいるのはセレナだ。彼女はじゃんけんにおいては負け知らずだったのだが、ユーゴに負けたショックを受け、SALに慰められている。相手がアホなユーゴと言う事も相まってだろう。

遊矢も集中状態に入り、高い観察眼と言うチートを使ったのだが、ユーゴのじゃんけんの強さは並みじゃない。自分でも何を出すかを考えているのか分からないアホの強さと持ち運が融合しているユーゴはセレナや遊矢以上にじゃんけんキングだ。

実は彼、ギャンブルに関してはとんでもないツキを発揮する。サイコロやコイントスで外れを引いた事が無い。

 

「セレナ、集中出来ないんだけど……」

 

「うるさいっ、邪魔者扱いするな!私に構え!」

 

「えぇ……」

 

フシャー!と猫が毛を逆立てて威嚇するように吠えるセレナ。どうやら傷心で構って欲しいらしい。よしよしと頭を撫でるSALを気にせず、ベンチに仰向けになって倒れ、駄々っ子のように手足をバタバタとさせる。

 

「融合負けろっ!負けちまえっ!」

 

「凄い事言い出したこの子……」

 

「ふーんっ!どうせ私とお前がいれば充分だっ」

 

ブーと頬を膨らませ、手足をブンブン振るセレナ。強気な台詞で信用されているのは嬉しいが、それはどうだろうか?相手はあのクロウとその仲間だ。クロウ並のデュエリストが3人と警戒する遊矢が普通だと思うが……。

 

「暇だー、イライラするぅー」

 

「うーん……あ、そうだ、確か昨日コナミが部屋に置いてったものが――」

 

「む、何だ何だ!?」

 

「はいカブトボーグ」

 

「なっ、何だこれは……!?クラッシュギアに似ているが……!?」

 

「あ、そっちは知ってるんだ」

 

遊矢がどこからか取り出したカブトボーグを奪うように掴み、興味深そうにジロジロと見つめるセレナ。これで暫く大人しくなるだろう。などと子供に対するような失礼な事を考えながら遊矢はデュエルに集中する。どうやらもう始まるようだ。デュエル開始のランプが3つ灯り、2人はDーホイールから白煙を吹かせ、一気に勢い良く飛び出す。

 

「「ライディングデュエル、アクセラレーション!!」」

 

瞬間、光が弾けてサーキットを包み込む。切り立った崖を幾重にも重ねた、モンスター達のサーキット。アクションフィールド、『チキンレース』。強力なフィールド魔法だ。このデュエル、早期決着となると思ったが、どうやらそうはいかないらしい。

何故ならこのフィールド魔法には相手よりLPが少ないプレイヤーが受ける全てのダメージを0にする効果がある。アクションフィールドともあって破壊する事は不可能だろう。

 

「ぐ……速い……!」

 

「年季が違うんだよ!さぁ、ぶち抜くぜ、ブラック・バード!」

 

ギュン、コーナーでクロウの機体、ブラック・バードが急激に加速し、ユーゴのDーホイールを置き去りにする。先攻はクロウ、ユーゴも速いがここは経験の差が物を言う。

 

「俺のターン、俺は『チキンレース』の効果でLPを1000払い、1枚ドロー!」

 

クロウ・ホーガン LP4000→3000 手札5→6

 

「更に『チキンレース』の効果発動!」

 

「はぁ!?テメェは『チキンレース』の効果を使ったばっかの筈――」

 

「あるじゃねぇか、テメェの場に、もう1枚!」

 

「ッ!そう言うことかよ……!」

 

2度の『チキンレース』の効果発動の宣言を受け、ユーゴが目を見開くが、クロウはニヤリと不敵な笑みを浮かべ、ユーゴのフィールドに発動されている『チキンレース』を指で差す。そう、このカードは互いのメインフェイズに、それぞれのプレイヤーが発動出来、カード名でのターン1では縛られていない。故にこのような荒業が可能なのだ。

 

正しく『チキンレース』。ライフコストもドロー数も多大、ハイリスクハイリターンなのだ。クロウは真っ先に気付き、使って見せた。

 

クロウ・ホーガン LP3000→2000 手札6→7

 

これでLPは充分、手札は7枚となった。手札とは可能性、あって困ると言う事は無い。

 

「永続魔法、『黒い旋風』を――3枚、発動!」

 

「ハァッ!?」

 

更に特大のエンジンを積み込むクロウ。ここで発動されたのは『BF』において強力なサーチカード。『BF』を『ガジェット』化する効果を持っているのだが――それが3枚、一気に発動。思わずユーゴを含め、会場が驚愕の表情を浮かべる。最早積み込みをしているとしか思えない引きだ。

 

「テメッ、トランプじゃねーんだぞ!」

 

『クロウ、何と同じカードを3枚発動!とんでもない引きの強さだぁ―ッ!』

 

『これでクロウは『BF』を呼び出す度、3枚のカードをサーチする事になる!』

 

「俺は『BFー蒼炎のシュラ』を召喚!」

 

BFー蒼炎のシュラ 攻撃力1800

 

3つの旋風の中より飛び出したのは青い羽毛の細身の鳥人。『BF』にとって優秀なアタッカーであり、『黒い旋風』を使うならばその打点の高さがメリットとなる。シュラが登場した事でクロウの側で逆巻く3つの黒い風より、3枚のカードが排出される。

 

「『黒い旋風』の効果で『BFー黒槍のブラスト』、『BFー疾風のゲイル』、『BFー月影のカルート』の3枚をサーチ!そしてフィールドに自身以外の『BF』が存在する事でブラストとゲイルを特殊召喚!」

 

BFー黒槍のブラスト 攻撃力1700

 

BFー疾風のゲイル 攻撃力1300

 

続けて飛び出したのは巨大な黒のランスを構えた鳥人と小柄な緑色の羽毛を頭から生やした鳥人。どちらも特殊召喚効果を持っており、ゲイルは優秀なチューナーだ。

 

『クロウ、一気に3体のモンスターを展開!』

 

『これこそ『BF』の真価!群れを成し、超高速で暴れ狂う!』

 

「たっぷり味わえよ、スピードスターのデュエル!レベル4のブラストに、レベル3のゲイルをチューニング!黒き旋風よ、天空へ駆け上がる翼となれ!シンクロ召喚!『BFーアーマード・ウィング』!」

 

BFーアーマード・ウィング 攻撃力2500

 

展開から展開、シンクロへ。ゲイルの小さな身体が3つのリングとなって弾け飛び、ブラストを包み込んで7つの星が煌めく。そして一筋の閃光が撃ち抜き、光を裂いて現れたのは漆黒の鎧と黒鉄の翼を広げた、機械族と見間違うようなモンスター。これこそがクロウのエースカードだ。

 

「カードを2枚セット、ターンエンドだ!」

 

クロウ・ホーガン LP2000

フィールド『BFーアーマード・ウィング』(攻撃表示)『BFー蒼炎のシュラ』(攻撃表示)

『黒い旋風』×3セット2

手札2

 

「俺のターン、ドロー!なら俺もやってやろうじゃねぇか!『チキンレース』、二重発動!」

 

ユーゴ LP4000→3000→2000 手札6→7→8

 

こちらも臆する事なく『チキンレース』に参加する。ダメージが与えられない以上、ドローするか回復させるか。押せ押せのユーゴならば勿論ドローを選ぶ。手札は8枚、充分過ぎる。

 

「魔法カード、『強欲で貪欲な壺』!デッキトップから10枚を除外し、2枚ドロー!」

 

ユーゴ 手札7→9

 

「『SRバンブー・ホース』を召喚!」

 

SRバンブー・ホース 攻撃力1100

 

ユーゴの隣に現れたのは竹馬を模したモンスター。ピョンピョンと跳ね、必死にユーゴのDーホイールに並走する。

 

「召喚時効果で手札の『SRーOMKガム』を特殊召喚!」

 

SRーOMKガム 守備力800

 

『スピードロイド』専用の『切り込み隊長』効果で登場したのはガムのケースから変形した小型ロボット。最近では活躍しっ放しのカードだ。

 

「俺のフィールドにモンスターが特殊召喚した事で手札の『SR56プレーン』を特殊召喚!」

 

SR56プレーン 攻撃力1800

 

ユーゴの走行するDーホイールの上空から出現したのはゴムが動力となった玩具の飛行機だ。赤いボディを輝かせ、プロペラをクルクルと回転させながらシュラの周囲を旋回する。

 

「56プレーンの効果でシュラの攻撃力を600ダウン!」

 

BFー蒼炎のシュラ 攻撃力1800→1200

 

「そしてレベル4のバンブー・ホースにレベル1のOMKガムをチューニング!その躍動感溢れる、剣劇の魂、出でよ、『HSRチャンバライダー』!」

 

HSRチャンバライダー 攻撃力2000

 

こちらも負けじと高速シンクロ。OMKガムが1つのリングとなって弾け飛び、バンブー・ホースを包み込んで閃光を放つ。眩き光を切り裂き現れたのは日本刀型のバイクの下半身を走らせる二刀流の剣士。これで互いにシンクロモンスターが揃い、向かい合う形となった。

 

『ユーゴもクロウと同じく展開からのシンクロ!』

 

『この勝負、似た者同士の対決と言う事だ!』

 

上空のヘリよりメリッサとMCの実況が降り注ぐ。同じ?いや、違う。断じて同じでは無い。真のシンクロ使い、高速展開を扱うデュエリストとして優れているのは――。

 

「「俺だ!!」」

 

好戦的な笑みを浮かべ、自らの存在意義を吠える2人。同じ者同士だからこそ、負けられない。この縄張りの主は1人で充分なのだ。

 

「OMKガムの効果!シンクロ素材として墓地に送られた事で、デッキトップを墓地に!落ちたカードは『SR』モンスター!よってチャンバライダーの攻撃力を1000アップする!」

 

HSRチャンバライダー 攻撃力2000→3000

 

ここでチャンバライダーの攻撃力が一気に跳ね上がり、ブーストされてクロウのDーホイールに並ぶ。準備は万端、何時でも戦闘可能と言わんばかりに両の刃を研ぎ合わせ、シャリンシャリンと金属音を鳴らす。

 

「全開で行くぜ!魔法カード、『ヒドゥン・ショット』!墓地のバンブー・ホースとOMKガムを除外し、お前のアーマード・ウィングとシュラを破壊!」

 

シャリン、チャンバライダーが研ぎ澄ませた刀を振るい、鋭い斬擊を飛ばしてクロウのモンスターを狙い撃つ。遊矢から既に『BF』の特性は聞いている。戦闘破壊出来ないアーマード・ウィングに、効果での破壊で対応する。これが通ればクロウのモンスターは全滅、がら空きの所に手札の『封魔の矢』を使い、チャンバライダーの攻撃でワンショット・キル、スピードスターの座を頂く。

 

「罠発動!『ゴッドバードアタック』!アーマード・ウィングをリリースし、お前のモンスターを逆に破壊させて貰うぜ!」

 

しかしこちらも負けてはいない。クロウのフィールドのリバースカードがオープンされ、アーマード・ウィングが天より降り注ぐ雷に打たれ、電流を纏ってユーゴのモンスターに応戦する。撃ち抜かれるシュラと吹き飛ばされる56プレーン。最後にアーマード・ウィングとチャンバライダーが黒羽をむしり取って作った刀と白刃が切り結び、同時に胸を貫き爆発する。何とこちらも2枚のカードの破壊。こんな所も似るとは皮肉なものだ。

 

「以心伝心で何よりだ」

 

「この野郎……!墓地に送られたチャンバライダーの効果で除外されているバンブー・ホースを回収!速攻魔法、『リロード』!手札を交換!魔法カード、『名推理』!相手はレベルを1つ宣言」

 

「3だ」

 

「デッキトップから通常召喚可能なモンスターが出るまでカードを墓地に送り、モンスターが出た場合、宣言したレベルなら墓地に送り、それ以外なら特殊召喚する!良し、レベル4、『メカファルコン』だ!」

 

メカファルコン 守備力1200

 

「そして墓地の『SR電々大公』を除外し、手札の『スピードロイド』チューナー、『SR赤目のダイス』を特殊召喚!」

 

SR赤目のダイス 守備力100

 

してやられた事に青筋を浮かべ、勢いのままにモンスターを並べる。機械の猛禽に続き、呼び出したのはその名の通り、赤い出目を発光させた黄色のサイコロ。レベル変動効果を持ったチューナーモンスターだ。

 

「レベル4の『メカファルコン』に、レベル1の赤目のダイスをチューニング!双翼抱く煌めくボディー、その翼で天空に跳ね上がれ!シンクロ召喚!現れろ!『HSRマッハゴー・イータ』!」

 

HSRマッハゴー・イータ 攻撃力2000

 

「バトル!マッハゴー・イータでダイレクトアタック!」

 

「罠発動!『ピンポイント・ガード』!墓地のゲイルに耐性を与え、蘇生する!」

 

BFー疾風のゲイル 守備力400

 

『おおっとクロウ防いだぁっ!』

 

『これでユーゴは攻める事が出来ない!』

 

「こ、この野郎……!」

 

ユーゴが体制を建て直し、再びシンクロで攻めるのも束の間、飄々とかわすクロウ。こちらの手を読んでいるかのように上手くいかせてくれない。スピードスターにしてトリックスター。それがクロウだ。

 

「ぐぬぬ……!」

 

「どうした?終わりかい?」

 

「カードを2枚セット、ターンエンドだ!」

 

ユーゴ LP2000

フィールド『HSRマッハゴー・イータ』(攻撃表示)

セット2

手札2

 

「俺のターン、ドロー!『チキンレース』の効果でドロー!」

 

クロウ・ホーガン LP2000→1000 手札3→4

 

「ゲイルの効果でマッハゴー・イータの攻守半減!」

 

HSRマッハゴー・イータ 攻撃力2000→1000

 

「『BFー精鋭のゼピュロス』を召喚!」

 

BFー精鋭のゼピュロス 攻撃力1600

 

ゲイルの隣に並び立つのは黄色い鎧を纏い、嘴の兜を被った鳥人。そして――『BF』が召喚された事で、3つの旋風が逆巻き、中より3羽の烏が飛翔し、クロウの手札に渡る。

 

「『黒い旋風』の効果で『BFー白夜のグラディウス』、『BFー突風のオロシ』、『BFー疾風のゲイル』の3枚をサーチ!」

 

1枚の召喚で3枚のサーチ。『強欲な壺』や『天使の施し』も真っ青なアドバンテージの取り方だ。ターン開始時3枚だった手札が倍の6枚になっている。

 

「さて、見せてやるよ、本物のシンクロって奴をな。まずはレベル4のゼピュロスに、レベル3のゲイルをチューニング!シンクロ召喚!『BFーアーマード・ウィング』!」

 

BFーアーマード・ウィング 攻撃力2500

 

フィールドに現れる2枚目のアーマード・ウィング。厄介なモンスターの登場だ。

 

「そして自分フィールドのモンスターが『BF』1体のみの場合、手札のグラディウスを特殊召喚!」

 

BFー白夜のグラディウス 守備力1500

 

ビュンッと空気を裂き、現れたのは銀の鎧を纏い、二刀のナイフを構えた鳥。少し条件が厳しいが、非チューナーでレベル3とブラストとは充分差別化が出来る。

 

「そして自身以外の『BF』が存在する事でオロシとゲイルを特殊召喚!」

 

BFー突風のオロシ 守備力600

 

BFー疾風のゲイル 守備力400

 

まだまだ続く展開、今度は2体一気に呼び出す。

 

「墓地のゼピュロスの効果!フィールドの『黒い旋風』をバウンスし、特殊召喚!この時400のダメージを受けるが……『チキンレース』の効果でダメージは遮断されるぜ」

 

BFー精鋭のゼピュロス 守備力1000

 

『クロウ、展開に次ぐ展開!何とか1ターンでモンスターゾーンが埋まったー!』

 

「俺だってそれ位できらぁ!」

 

「へぇ、一気に5体を並べられるってのか?」

 

「えっ、5体のモンスターを!?」

 

「どっちなんだテメェ。ゲイルの効果でマッハゴー・イータの攻守半減!」

 

HSRマッハゴー・イータ 攻撃力1000→500

 

更に攻守半減、2000から500、4分の1になってしまった。容赦なく群れを成して襲い来る黒羽達。面倒な相手だ、ユーゴは舌打ちを鳴らし、クロウのモンスターを睨む。

 

「よっと……アクションマジック、『デキテルレンジ』!グラディウスを手札に戻し、『BFー上弦のピナーカ』を特殊召喚!」

 

BFー上弦のピナーカ 守備力1000

 

次は弓矢を手にした鳥。『BF』では優秀なサーチ効果を持ったチューナーだ。

 

「レベル4のゼピュロスに、レベル1のオロシをチューニング!シンクロ召喚!『BFー煌星のグラム』!」

 

BFー煌星のグラム 攻撃力2200

 

2回連続シンクロ、怒濤の勢いで召喚されたのは白銀の鎧を纏い、鳥の脚を模した束を持つサーベルを閃かせた鳥人だ。

 

「素材となったオロシの効果でマッハゴー・イータを守備表示に変更、グラムの効果で手札の『BFー白夜のグラディウス』を特殊召喚!」

 

BFー白夜のグラディウス 守備力1500

 

「レベル3のグラディウスに、レベル3のピナーカをチューニング!漆黒の力!大いなる翼に宿りて、神風を巻き起こせ!シンクロ召喚!吹き荒べ、『BFーアームズ・ウィング』!

 

BFーアームズ・ウィング 攻撃力2300

 

3回連続シンクロ召喚。現れたのはアーマード・ウィングに似ているものの、鎧が軽装となり、頭には真っ赤なトサカ、肩と腰からは風に靡く羽毛を伸ばし、可変式の銃剣を手にした鳥人だ。

 

『3回連続シンクロ!攻め立てる!』

 

「踊ろうか!アームズ・ウィングでマッハゴー・イータへ攻撃!」

 

「ダンスなんて知らねぇよ!永続罠、『追走の翼』!マッハゴー・イータは戦闘及び効果で破壊されず、レベル5以上の相手モンスターと戦闘を行うダメージステップ開始時にその相手モンスターを破壊、攻撃力を吸収する!」

 

HSRマッハゴー・イータ 攻撃力500→2800

 

アームズ・ウィングが銃剣を握ってマッハゴー・イータに襲いかかり、白刃を浴びせようとした時、マッハゴー・イータが不格好な体勢になりながらもかわし、光の翼が伸び、体勢が建て直されて、突進して逆に倒す。強固な耐性と上級モンスターの破壊、実に厄介なカードだ。

 

「チッ、面倒なカードを。ターンエンドだ。この瞬間、ピナーカの効果でデッキの『BFー蒼炎のシュラ』をサーチするぜ」

 

クロウ・ホーガン LP1000

フィールド『BFーアーマード・ウィング』(攻撃表示)『BFー煌星のグラム』(攻撃表示)『BFー疾風のゲイル』(守備表示)

『黒い旋風』×2

手札4

 

「俺のターン、ドロー!『チキンレース』の効果でドロー!」

 

ユーゴ LP2000→1000 手札3→4

 

「そして罠発動!『リサイコロ』!墓地の赤目のダイスを蘇生し、サイを振って出目のレベルになる!さぁて、ダイスロール!出た目は――1!」

 

SR赤目のダイス 守備力100

 

「『SRバンブー・ホース』を召喚!」

 

SRバンブー・ホース 攻撃力1100

 

「召喚時効果で手札の『SRシェイブー・メラン』を特殊召喚!」

 

SRシェイブー・メラン 攻撃力2000

 

バンブー・ホースに乗って現れたのはブーメランから変形し、刃を閃かせる小型ロボット。攻撃力2000、下級にしては高い数値を持っており、そのデメリットとして召喚したターンは攻撃出来ないが、こうして特殊召喚すれば問題は無い。

 

「レベル4のバンブー・ホースにレベル1の赤目のダイスをチューニング!シンクロ召喚!『HSRチャンバライダー』!」

 

HSRチャンバライダー 攻撃力2000

 

チャンバライダー2体目、攻めて攻めて攻めまくるユーゴらしい選択だ。

 

「マッハゴー・イータを攻撃表示に変更、バトル!マッハゴー・イータでアーマード・ウィングへ攻撃!『追走の翼』の効果で破壊、攻撃力アップ!」

 

HSRマッハゴー・イータ 攻撃力500→3000

 

急襲、マッハゴー・イータが翼を得た身体を加速させ、目に止まらぬ速度でアーマード・ウィングを叩き伏せる。自慢の『BF』達がこうも簡単に倒されるとは思ってなかったのだろう。クロウが苦虫を噛み潰した表情を浮かべている。

 

「アクションマジック、『セカンド・アタック』!もう1度得た攻撃権でグラムに攻撃!」

 

HSRマッハゴー・イータ 攻撃力3000→5200

 

更にグラムまでもが撃破される。

 

「そしてシェイブー・メランでゲイルへ攻撃!」

 

「アクションマジック、『回避』!攻撃を無効!」

 

「2度はねぇ!チャンバライダーで追撃!」

 

HSRチャンバライダー 攻撃力2000→2200

 

ユーゴの激しき猛攻により、ついにクロウのモンスターゾーンががら空きとなった。好機、最大のチャンスにユーゴは目を光らせ、更に踏み出る。この勝負、『チキンレース』がある以上、ここで勝った方が優位に立てる。

 

「チャンバライダーでダイレクトアタック!」

 

「させるか!手札の『BFー熱風のギブリ』の効果でこいつを特殊召喚!」

 

BFー熱風のギブリ 守備力1600

 

「ならそいつへ攻撃!」

 

HSRチャンバライダー 攻撃力2200→2400

 

しかしクロウが手札より何枚もの翼を持った雛鳥を盾にし、致命傷を避ける。

 

「カードを1枚セット、ターンエンドだ!」

 

ユーゴ LP1000

フィールド『HSRチャンバライダー』(攻撃表示)『HSRマッハゴー・イータ』(攻撃表示)『SRシェイブー・メラン』(攻撃表示)

『追走の翼』セット1

手札1

 

『何と言う攻防でしょう!互いに一歩間違えれば致命傷!高速のデュエルで両者見切り合う!正に『チキンレース』!』

 

「俺のターン、ドロー!『黒い旋風』を発動!そして『BFー蒼炎のシュラ』を召喚!」

 

BFー蒼炎のシュラ 攻撃力1800

 

「旋風の効果で『BFー白夜のグラディウス』、『BFー黒槍のブラスト』、『BFー月影のカルート』をサーチ!そしてグラディウスとブラストを特殊召喚!」

 

BFー白夜のグラディウス 守備力1500

 

BFー黒槍のブラスト 攻撃力1700

 

「カードをセットし、バトル!シュラでマッハゴー・イータへ攻撃!」

 

「甘い!マッハゴー・イータをリリースし、フィールドのモンスターのレベルは1つ上がる!」

 

SRチャンバライダー レベル5→6

 

SRシェイブー・メラン レベル4→5

 

BFー蒼炎のシュラ レベル4→5

 

BFー黒槍のブラスト レベル4→5

 

BFー白夜のグラディウス レベル3→4

 

「なら攻撃変更、シュラでシェイブー・メランに攻撃!」

 

「罠発動!『攻撃の無敵化』!戦闘ダメージを0に!」

 

「チッ、手札のカルートを切り、攻撃力を1400アップ!」

 

BFー蒼炎のシュラ 攻撃力1800→3200

 

マッハゴー・イータの効果でクロウが立てたシンクロへの布石が覆る。だがこのままでは終われないと直ぐ様建て直す為、シュラとカルートの力を合わせ、シェイブー・メランを打ち倒す。

 

「シュラの効果でデッキの上弦のピナーカを特殊召喚!」

 

BFー上弦のピナーカ 守備力1000

 

「ブラストでチャンバライダーへ攻撃!アクションマジック、『ハイダイブ』!ブラストの攻撃力を1000アップするぜ!」

 

BFー黒槍のブラスト 攻撃力1700→2700

 

「チャンバライダーの効果で除外された『SR電々大公』を回収!」

 

「メインフェイズ2、レベル4のグラディウスにレベル3のピナーカをチューニング!シンクロ召喚!『BFーアーマード・ウィング』!」

 

BFーアーマード・ウィング 攻撃力2500

 

現れる3体目のアーマード・ウィング。ここまで倒して来たとは言え、厄介なモンスターには変わらない。

 

「またそいつか……」

 

「またこいつだ!俺はこれでターンエンド。この瞬間、ピナーカの効果で『BFー暁のシロッコ』をサーチするぜ」

 

クロウ・ホーガン LP1000

フィールド『BFーアーマード・ウィング』(攻撃表示)『BFー黒槍のブラスト』(攻撃表示)『BFー蒼炎のシュラ』(攻撃表示)

『黒い旋風』×3セット1

手札2

 

ぶつかり合うシンクロ次元、最速と言って良い高速展開とシンクロを操るDーホイーラー。火花を散らしデュエル。今の所勝負は互角、両者譲らず、ブレーキを踏まずに加速し、『チキンレース』に挑む。先に踏み留まるのは、どちらか――。

 

 




折角シンクロ次元だからと『チキンレース』を発動するも破壊出来ないからダメージ合戦が出来ず、長引くと言う罠。

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