遊戯王ARC―V TAG FORCE VS   作:鉄豆腐

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ヤバい、200話越えそう。


第126話 明日を作るのは

シンクロ次元にてぶつかり合うエクシーズ次元と融合次元の強豪デュエリスト、ユートと万丈目。倒れずに何度でも蘇る不屈の闘志を持つ『幻影騎士団』と、相手の戦術を狂わせる『おジャマ』、テクニカルに場を乱すユニオンモンスター、そして世にも珍しい『LV』モンスターと全く異なる3種を1つに纏めたデッキの対決。

 

今の所、LPで優勢なのは万丈目だが、勢いに乗っているのはユートだ。尤も、万丈目の強力な合体モンスター、『ABC-ドラゴン・バスター』を見事除去したとは言え、未だにあれやこれと言った方法で大ダメージはかわされているが。

 

中々に捉え所が無い。しかも恐らく――ドラゴン・バスターは彼の武器の1つでしか無い。使えるから使っている、と言う所だろう。何せこのカードは以前遊矢達と闘った時と同じカード。あの時と違うデッキと言う事は、恐らくはあの時でさえ彼の実力の一端に過ぎなかったのだ。

 

しかし、同時に疑問が沸く。何故、彼はあの時、全力で闘わなかったのか。そうすれば、あの時の遊矢と隼も、倒せた筈だが――。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

「罠発動!『針虫の巣窟』!デッキトップから5枚のカードを墓地に送る!」

 

ユートが発動したのは罠と少し遅いが、一気にデッキから5枚のカードを墓地に送る事が可能な墓地肥やしカード。これでブレイクソードの効果による蘇生先を増やしておく。『幻影騎士団』は優秀なカードばかりだが、その効果を使うには除外せねばならないのだ。

 

「褒めてやろう、俺のドラゴン・バスターをあのような方法で攻略するとは……だがこの程度で調子に乗るなよ、ここからが本番だ!まずは魔法カード、『一時休戦』。次のターン終了まで互いのダメージを0にし、互いに1枚ドローする。引くが良い」

 

万丈目 準 手札0→1

 

ユート 手札0→1

 

「そして『おジャマ・ブルー』を攻撃表示に」

 

『……え?アニキ?もしかしてもしかして?』

 

クルン、自分の意志に関係無くカードが真横にスライドして縦となり、弱々しいファイティングポーズを取る『おジャマ・ブルー』。彼は不安そうな表情でチラリと主を見て――万丈目が悪どい笑みを向ける。

 

「骨は拾ってやる。バトル!『おジャマ・ブルー』でブレイクソードへ攻撃!」

 

『やっぱりねぇぇぇぇぇっ!』

 

「ッ!?」

 

『一時休戦』でダメージを0にしてからの自爆特攻、相変わらず基本を抑えた実戦的な手だ。意外性ばかりに目を向けられがちだが、『おジャマジック』を手札コストにしたり、手札にいては事故に繋がる『おジャマ』を手札交換に利用し、そのまま蘇生に繋いだりと彼のプレイングは一種の美しさを覚える程に上手い。

 

『おジャマ・ブルー』はびぇぇぇぇんっ、と泣きながらダッシュして――流石に可哀想になったのか、ブレイクソードが小突いて倒す。

 

「何だ、せめて綺麗に散らしてやろうと思ったのに。だが助かったぞ、『おジャマ・ブルー』の効果により、デッキから『おジャマンダラ』と『おジャマ・デルタハリケーン』をサーチし、『おジャマンダラ』発動!LPを1000払い、グリーン、ブラック、イエローを蘇生!」

 

おジャマ・グリーン 守備力1000

 

おジャマ・ブラック 守備力1000

 

おジャマ・イエロー 守備力1000

 

しれっとブルーに酷い事を言い放ち、感謝すると言うツンデレを発揮しながら2枚のカードを手札に加える万丈目。そして加えた1枚を使い、再び3兄弟が現れる。そしてもう1枚のカードは――。

 

「魔法カード、『おジャマ・デルタハリケーン』!貴様のフィールドのカードを全て破壊!」

 

「くっ――ブレイクソードの効果で『幻影騎士団ダスティローブ』と『幻影騎士団ラギッドグローブ』のレベルを1つ上げ、蘇生!」

 

幻影騎士団ダスティローブ 守備力1000 レベル3→4

 

幻影騎士団ラギッドグローブ 守備力500 レベル3→4

 

『おジャマ』3兄弟が再び3つの尻を合わせ、クルクルと回転し竜巻を起こしてユートのモンスターを爆発させる。そしてブレイクソードの効果によって蘇る2体のモンスター。

 

「こればかりは仕方無いだろう、俺は魔法カード、『馬の骨の対価』を発動!骨は拾ってやるぞ、イエロー」

 

『ヒエッ』

 

万丈目 準 手札0→2

 

「そして魔法カード、『置換融合』!ブラックとグリーンを融合!融合召喚!『おジャマ・ナイト』!」

 

おジャマ・ナイト 守備力2500

 

融合召喚、ここで現れたのは騎士甲冑を纏ったイエローだ。ただし赤いブーメランパンツを履いたまま。このモンスターが現れた途端、ユートのフィールドに『おジャマ・グリーン』と『おジャマ・イエロー』が老化したモンスターが現れ、のんびり茶を啜る。

 

『はぁー、落ち着くなぁ、婆さんや』

 

『お爺さん、ご飯ならさっき食べたでしょう?』

 

『あ?何だって?』

 

会話が通じていない。

 

「くっ、また……!」

 

とは言え塞がったのは2ヶ所のみ。ユートのデッキはエクシーズ特化だ。シンクロならば少々危なかったかもしれないが、まだ余裕はある。

 

「墓地の『置換融合』を除外、ドラゴン・バスターをデッキに戻し、1枚ドローだ」

 

万丈目 準 手札1→2

 

「カードを1枚セットし、ターンエンド」

 

万丈目 準 L1300

フィールド『おジャマ・ナイト』(守備表示)

セット1

手札1

 

万丈目のフィールドには守備力2500の『おジャマ・ナイト』とセットカードが1枚、少々厄介な布陣だ。『おジャマ・ナイト』のステータス、攻撃力は0の為、ダーク・リベリオンを回収したとしても、攻撃力を吸収出来ず、攻守は互角、他のモンスターでも守備力2500は少し高い。ブレイクソードなら何とかなるが、3枚とも使い切った。だが――攻略法は、ある。

 

「俺のターン、ドロー!速攻魔法、『大欲な壺』!除外された3体のモンスターを回収し、ドロー!」

 

ユート 手札1→2

 

「む……俺は墓地の『幻影霧剣』を除外、ブレイクソードを蘇生!」

 

幻影騎士団ブレイクソード 攻撃力2000

 

「そしてダスティローブを攻撃表示に変更、ダスティローブの効果でこのカードを守備表示に変更、ブレイクソードの攻守を800アップ!」

 

幻影騎士団ブレイクソード 攻撃力2000→2800

 

これでブレイクソードの攻撃力が『おジャマ・ナイト』の守備力を越えた。打点の低い『幻影騎士団』にとってダスティローブの効果は大助かりだ。

 

「バトル!ブレイクソードで『おジャマ・ナイト』へ攻撃!」

 

ブレイクソードの壊れた剣が振るわれ、『おジャマ・ナイト』の鎧を砕く。強力な一撃、『おジャマ・ナイト』もこれには堪らず倒れ伏し、ユートのフィールドに居座った2体の『おジャマ』が成仏する。

 

「カードを1枚セット、ターンエンドだ」

 

ユート LP1500

フィールド『幻影騎士団ブレイクソード』(攻撃表示)『幻影騎士団ダスティローブ』(守備表示)『幻影騎士団ラギッドグローブ』(守備表示)

セット1

手札1

 

「俺のターン、ドロー!フィールド魔法、『おジャマ・カントリー』!手札の『おジャマ・レッド』を捨て、『おジャマ・キング』を蘇生!」

 

おジャマ・キング 攻撃力0→3000

 

幻影騎士団ブレイクソード 攻撃力2000→1000

 

幻影騎士団ダスティローブ 守備力1000→800

 

幻影騎士団ラギッドグローブ 守備力500→1000

 

「不味い……!」

 

またもフィールドが『おジャマ』の里に変わり、『おジャマ』の王が帰還すると共にフィールドのモンスターの攻守が反転する。これが厄介だ。こちらのモンスターの攻撃力は下がり、『おジャマ』は爆発的に攻撃力が上がる。言うなれば強肉弱食の世界。

 

「バトル!『おジャマ・キング』でブレイクソードに攻撃!」

 

「アクションマジック、『ダメージ・バニッシュ』!ダメージを0に!」

 

『おジャマ・キング』がダダダと駆け、大きく跳躍、自身の体重全てをブレイクソードに叩きつける。頑強な鎧も砕け、中より吹く青い炎が飛び散る。何とかアクションマジックでダメージは逃れたが――『幻影霧剣』で呼び出したブレイクソードは除外される。

 

「ターンエンドだ」

 

「罠発動、『強欲な瓶』1枚ドロー!」

 

ユート 手札1→2

 

万丈目 準 LP1300

フィールド『おジャマ・キング』(攻撃表示)

セット1

『おジャマ・カントリー』

手札0

 

「俺のターン、ドロー!早速行くぞ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』!!」

 

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン 攻撃力2500→2000→3000

 

漸くユートのフィールドへと帰還する彼のエースカード。これでユートと万丈目のエースが並んだ。ラギッドグローブの効果により、どちらも攻撃力3000、互角だが――ダーク・リベリオンには、強力な効果がある。

 

「ダーク・リベリオンのORUを2つ取り除き、効果発動!『おジャマ・キング』の攻撃力を半分にし、その数値をダーク・リベリオンの攻撃力に加える!」

 

おジャマ・キング 攻撃力3000→1500

 

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン 攻撃力3000→4500

 

ダーク・リベリオンの両翼に嵌め込まれた紅玉より赤い稲妻が駆け抜け、『おジャマ・キング』から力を吸収する。

 

「バトル!ダーク・リベリオンで『おジャマ・キング』へ攻撃!」

 

「罠発動!『ガード・ブロック』!ダメージを0にし、1枚ドロー!」

 

万丈目 準 手札0→1

 

ダーク・リベリオンが翼から赤い雷を地へ走らせ、『おジャマ・キング』の動きを封じ、漆黒の体躯を翻し、鋭い牙で地を削って突き進む。響く轟音、牙より赤い火花を飛び散らし、発火させて『おジャマ・キング』を貫き、『おジャマ・キング』がバウンドして万丈目にのしかかろうとしたその時、彼の周囲にバリアが張られ、『おジャマ・キング』を墓地に跳ね返す。

 

「メインフェイズ2、墓地のダスティローブとラギッドグローブを除外し、『幻影騎士団サイレントブーツ』をサーチ、デッキの『幻影死槍』を墓地に送る。カードを2枚セット、ターンエンドだ」

 

ユート LP1500

フィールド『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』(攻撃表示)

セット2

手札2

 

「俺をここまで手こずらせるとは……俺のターン、ドロー!モンスターをセット、カードをセットし、ターンエンドだ」

 

万丈目 準 LP1300

フィールド セットモンスター

セット1

『おジャマ・カントリー』

手札0

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード、『打ち出の小槌』!手札を交換。魔法カード、『暗黒界の取引』!更に交換!攻め時か?『幻影騎士団クラックヘルム』を召喚!」

 

幻影騎士団クラックヘルム 攻撃力1500

 

「バトル!ダーク・リベリオンでセットモンスターへ攻撃!クラックヘルムでダイレクトアタック!」

 

「アクションマジック、『回避』!攻撃を無効に!」

 

「この瞬間、罠発動!『裁きの天秤』!俺のフィールドには『おジャマ・カントリー』とこのカードの2枚。お前のフィールドにはモンスター2体とセットカード2枚、そしてアクションフィールドの5枚。よって3枚ドロー!」

 

万丈目 準 手札0→3

 

ユート LP1500

フィールド『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』(攻撃表示)『幻影騎士団クラックヘルム』(攻撃表示)

セット2

手札0

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード、『予想GUY』!デッキから『X-ヘッド・キャノン』をリクルート!」

 

X-ヘッド・キャノン 攻撃力1800

 

フィールドに現れたのは肩から黒光する砲塔を伸ばした青と黄のカラーリングが特徴的な機械族モンスター。下半身は棒に丸い突起を繋げている。初代合体モンスターの1体だ。

 

「更に『Y-ドラゴン・ヘッド』を召喚!」

 

Y-ドラゴン・ヘッド 攻撃力1500

 

お次は鮮烈な赤のボディを持つ翼竜型のロボットだ。XYZの2体目、Yを冠するカード、そしてこのカードが来たと言う事は――。直ぐ様万丈目は残る手札2枚をデュエルディスクに叩きつける。

 

「魔法カード、『二重召喚』!もう1度得た召喚権を使い、『Z-メタル・キャタピラー』を召喚!」

 

Z-メタル・キャタピラー 攻撃力1500

 

3体目、イエローカラーの戦車型のモンスター。キュルキュルとキャタピラで2体に並び、中心にあるカメラアイでユートのモンスターに狙いを定める。これでフィールドにXYZ、3体のユニオンが揃った。ABCと違い、フィールドに並べる事が難しいカード、しかし異なる3種を自在に操る万丈目からすればこの程度朝飯前だろう。

 

「フィールドの3体を除外し、融合召喚!『XYZ-ドラゴン・キャノン』!」

 

XYZ-ドラゴン・キャノン 攻撃力2800

 

ガシャリ、3体の間に紫電が迸り、磁力の力で上からX、Y、Zと塔の如く3体が重なり、合体する。完成、『XYZ-ドラゴン・キャノン』。ドラゴン・バスターの対となる合体モンスターが今、完成した。

 

「アクションマジックを捨て、貴様のダーク・リベリオンを破壊!」

 

「永続罠発動!『幻影翼』!ダーク・リベリオンの攻撃力を500アップし、このターン、戦闘、効果破壊から守る!」

 

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン 攻撃力4000→4500

 

ヘッド・キャノンの砲塔、ドラゴン・ヘッドのアギト、メタル・キャタピラーのバルカンより雷光が駆け抜け、飛翔するダーク・リベリオンを撃ち落とそうとするも、ダーク・リベリオンの両翼から青い炎が吹き出して無理矢理軌道を変えてかわす。

 

「バトル!ドラゴン・キャノンでクラックヘルムへ攻撃!X・Y・Zハイパー・キャノン!」

 

「罠発動!『幻影騎士団シャドーベイル』!クラックヘルムの攻撃力を300アップ!」

 

幻影騎士団クラックヘルム 攻撃力1500→1800

 

ユート LP1500→500

 

ダーク・リベリオンは守れてもクラックヘルムとLPは守れない。再びドラゴン・キャノンより光線が放たれ、クラックヘルムを粉砕、そのままユートへ直撃する。

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

万丈目 準 LP1300

フィールド『XYZ-ドラゴン・キャノン』(攻撃表示)

『おジャマ・カントリー』

手札0

 

LPは射程圏内、セットカードも手札も0、攻め時だ。ユートはデッキからカードを引き抜き、果敢に打って出る。

 

「俺のターン、ドロー!ダーク・リベリオンでドラゴン・キャノンへ攻撃!」

 

「アクションマジック、『アンコール』!墓地の『回避』を発動!」

 

「くっ!」

 

が、ここに来て万丈目がアクションマジックを使いこなす。面倒な相手だ。ユートもダーク・リベリオンの背に乗り、フィールドを飛翔する。

 

「ターンエンド!」

 

ユート LP500

フィールド『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』(攻撃表示)

『幻影翼』

手札1

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード、『命削りの宝札』を発動!3枚ドロー!」

 

万丈目 準 手札0→3

 

「『C-クラッシュ・ワイバーン』を召喚!」

 

C-クラッシュ・ワイバーン 攻撃力1500

 

「クラッシュ・ワイバーンをドラゴン・キャノンに装備!手札1枚を捨て、ドラゴン・キャノンの効果でダーク・リベリオン破壊!」

 

「墓地の『幻影死槍』を除外し、破壊を防ぐ!」

 

「ドラゴン・キャノンを守備表示に、カードを1枚セット、ターンエンドだ」

 

万丈目 準 LP1300

フィールド『XYZ-ドラゴン・キャノン』(守備表示)

『C-クラッシュ・ワイバーン』セット1

『おジャマ・カントリー』

手札0

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード、『マジック・プランター』を発動!『幻影翼』をコストに2枚ドロー!」

 

ユート 手札1→3

 

「ダーク・リベリオンでドラゴン・キャノンへ攻撃!」

 

「罠発動!『フローラル・シールド』!攻撃を無効にし、1枚ドロー!」

 

万丈目 準 手札0→1

 

攻め込めども攻め込めども防がれる。ダーク・リベリオンの猛攻も花の盾で弾かれて終わる。最早どちらのスタミナが切れるかの長期戦、ユートは息を切らせて舌打ちを鳴らす。

 

「良い加減にして欲しいな……!」

 

「それはこちらの台詞、そろそろ本気で終わらせてやろう……!」

 

こちらも息を切らしながらニヤリと笑う万丈目。どうやら反撃の手立てを整えたらしい。面倒な事になった。こんな時、遊矢やコナミなら手数の多さで攻めて攻めて攻めまくるのだが、それがないユートはどうにも攻めあぐねる。

だがユートとて彼等に勝るものがある。それは、長期戦での粘り強さ。レジスタンスの砦とも言われる彼は切り込み役の隼と共に数多くのアカデミアを撃退して来たのだ。

 

「俺はカードを2枚セット、ターンエンドだ」

 

ユート LP500

フィールド『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』(攻撃表示)

セット2

手札1

 

「そして『B-バスター・ドレイク』を召喚!」

 

B-バスター・ドレイク 攻撃力1500

 

「まさか……!」

 

「そのまさかだ!アサルト・コアは戦闘破壊され、クラッシュ・ワイバーンはフィールドにある!フィールドのB、C!墓地のAを除外!融合召喚!『ABC-ドラゴン・バスター』!」

 

ABC-ドラゴン・バスター 攻撃力3000

 

再びフィールドに現れる2頭の機械竜。またもや地獄が始まる。攻撃力、効果共に強力なこのカードの除去に苦労させられたのに、またこうして見る事になるとは。全くもって嫌になる。

 

「ドラゴン・バスターの効果!手札を1枚捨て、ダーク・リベリオンを除外!」

 

「罠発動!『闇のデッキ破壊ウイルス』!ダーク・リベリオンをリリースし、魔法カードを宣言!フィールドと3ターン内に相手がドローした中の魔法カードを破壊する!」

 

「ククク、やるな。しかしこれはどうだ!?ドラゴン・バスターとドラゴン・キャノンの2体を除外!融合召喚!『AtoZドラゴン・バスター・キャノン』!!」

 

AtoZドラゴン・バスター・キャノン 攻撃力4000

 

ドラゴン・バスターもが捨て石に過ぎない。ABC、そしてXYZ、6体からなるモンスターが分離し、合体、ヘッド・キャノンから伸びる大砲はクラッシュ・ワイバーンのものと連結してレールガンへ、その上にメタル・キャタピラーのパーツが角のように伸び、両腕にバスター・ドレイクとクラッシュ・ワイバーンの身体が連結、脚となったメタル・キャタピラーより2体の首が伸び、その下にドラゴン・ヘッドの頭部とバスター・ドレイク、クラッシュ・ワイバーンの翼が広がり、アサルト・コアの尾が振るわれる。

6体合体、完成、『AtoZドラゴン・バスター・キャノン』。万丈目の切り札が今、立ち塞がる。

 

「フーハッハッハァ!まさかまた出せるとは思って無かったが……流石俺と言った所か。さぁ、バトルだ!ドラゴン・バスター・キャノンで攻撃!」

 

「カウンター罠発動!『攻撃の無力化』!攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了!」

 

迫るドラゴン・バスター・キャノン。その肩から伸びたレールガンより火花が散り、雷が迸って極太の砲撃がユートに襲い来る。ユートは何とかそれをかわす。バトルフェイズ自体を終了すれば追撃は不可能、ドラゴン・バスター・キャノンにはドラゴン・バスターよろしく分離効果もある。慎重に対処しなければ。

 

「フン、俺はこれでターンエンドだ」

 

万丈目 準 LP1300

フィールド『AtoZドラゴン・バスター・キャノン』(攻撃表示)

手札0

 

「俺のターン、ドロー!」

 

「ドラゴン・バスター・キャノンを分離させる!」

 

ABC-ドラゴン・バスター 守備力2800

 

XYZ-ドラゴン・キャノン 守備力2600

 

「速攻魔法、『リロード』!手札を交換し、魔法カード、『命削りの宝札』!3枚ドロー!」

 

ユート 手札0→3

 

ここでユートが手札増強カードを発動。一気に3枚まで膨らませ、場を整える。

 

「モンスターをセット、カードを2枚セットし、ターンエンド」

 

ユート LP500

フィールド セットモンスター

セット2

手札0

 

今度はユートが防戦一方だ。せめてもの救いは大量のLPか。これも余り頼りにならないが。3枚のカードに望みを託し、ターンエンド。ここからが正念場だ。

 

「俺のターン、ドロー!引いたカードは魔法カードではない。手札の『サンダー・ドラゴン』を捨て、同名2体をサーチ!2体を除外!融合召喚!『AtoZドラゴン・バスター・キャノン』!!」

 

AtoZドラゴン・バスター・キャノン 攻撃力4000

 

「ドラゴン・バスター・キャノンでセットモンスターに攻撃!」

 

「ぐっ!」

 

ドラゴン・バスター・キャノンより砲撃が飛び、ユートのセットモンスターを形残さず消し炭にする。これでユートのフィールドはがら空き。だが万丈目にはまだ攻め手が残っている。

 

「ドラゴン・バスター・キャノンを除外!ドラゴン・キャノンとドラゴン・バスターを呼び出す!」

 

ABC-ドラゴン・バスター 攻撃力3000

 

XYZ-ドラゴン・キャノン 攻撃力2800

 

ここでドラゴン・バスター・キャノンが分離し、除外されていたドラゴン・バスターとドラゴン・キャノンが復活する。これで追撃可能、万丈目はすかさずモンスターに指示を出す。

 

「ドラゴン・キャノンでダイレクトアタック!」

 

「この瞬間、墓地から2体のシャドーベイルを特殊召喚!」

 

幻影騎士団シャドーベイル 守備力300×2

 

「ならば手札を1枚捨て、除外!ドラゴン・キャノンで再攻撃!ドラゴン・バスターでダイレクトアタック!!」

 

「3体目ぇ!」

 

「お前ぇ!」

 

幻影騎士団シャドーベイル 守備力300

 

2体の合体モンスターによる砲撃がユートを襲うも、彼の仲間である騎士達の魂が行く手を遮る。

 

「3体目を破壊し、メインフェイズ2、再び2体を除外!融合召喚!『AtoZドラゴン・バスター・キャノン』!!」

 

AtoZドラゴン・バスター・キャノン 攻撃力4000

 

再びフィールドに現れる合体モンスター、『AtoZドラゴン・バスター・キャノン』。除外効果の代わりとして効果無効と言う制圧特化となったモンスター。このカードが有る限り、こちらの手は確実に1回削られる。

 

「ターンエンド」

 

万丈目 準 LP1300

フィールド『AtoZドラゴン・バスター・キャノン』(攻撃表示)

手札1

 

強力なモンスター、巧みなプレイングで次第に追い詰められていくユート。やはり、強い。だけど、勝ちたいのだ。久し振りに自分の手でデュエルをして、再び痛感したのだ。デュエルが奥が深く、楽しいと。自分は負けず嫌いなんだと。だけど、今のままでは届かない。

力が、欲しい。誰かを憎み、怒りによって生み出される力では無く、誰かを守り通し、デュエルを楽しむ事で生まれる力が。

 

そしてその望みは、叶えられる。ユートの中で僅かに残っていた力の欠片、それが今、彼の想いで形を変え、彼のものとなって復活する。明日を作るのは、憎しみでは無く、楽しむ強さ。ユートはスタンダード次元で多くのデュエリストと出会い、それを取り戻した。その証が--彼のエクストラデッキから、光として放たれる。

 

「『幻影騎士団』は、レジスタンスは、ランサーズは倒れない!かっとビングだ、俺!不屈のエンタメデュエルを見せてやる!」

 

「……お前も、エンタメデュエルか……」

 

「俺はまだ、お前達アカデミアを許した訳じゃない。瑠璃を拐ったお前達を、ハートランドを滅茶苦茶にしたお前達を許せない。だけど、俺は俺の憎しみを乗り越える!」

 

これがユートの覚悟。今までの憎しみを全て乗り越え、過去の自分を越え、新たな自分となる。すなわち、寛容の道。それは茨の道だ。生半可な覚悟では進めない道。何度裏切られても、何度心を砕かれても、優しさを失わない誓い。

だが――仲間と共になら、何だって出来る。悲劇だって起こる前に無くしてみせる。変えてみせる。デュエルで、全てを。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

引き抜くアークは、彼の軌跡の道標。黄金に輝き、彼を導く。

 

「罠発動!『エクシーズ・リボーン』!」

 

「させん!ドラゴン・バスター・キャノンの効果で手札を1枚捨て、無効!」

 

「ならば魔法カード、『貪欲な壺』!墓地のブレイクソード2体、クラックヘルム2体、『クレーンクレーン』をデッキに戻し、2枚ドロー!」

 

ユート 手札0→2

 

「来たか……罠発動!『エクシーズ・リボーン』!」

 

「2枚目……!」

 

「来い、ダーク・リベリオン!!」

 

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン 攻撃力2500

 

何度だって蘇る『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』。彼のエースカードである黒竜が赤き血流を輝かせて咆哮する。しかし『エクシーズ・リボーン』の効果を加味してもORUは1つ、2つなければダーク・リベリオンの効果は発動出来ない。

 

「墓地の『RUM-幻影騎士団ラウンチ』を除外!手札の『幻影騎士団サイレントブーツ』をORUにする!そしてORUを2つ取り除き、ドラゴン・バスター・キャノンの攻撃力を奪う!」

 

「無駄だ!除外し、分裂!」

 

ABC-ドラゴン・バスター 守備力2800

 

XYZ-ドラゴン・キャノン 守備力2600

 

ダーク・リベリオンの両翼から放たれ赤き稲妻がドラゴン・バスター・キャノンを狙うも、2体へと分離してかわされる。やはりそう簡単には通してくれないか。

 

「墓地のサイレントブーツを除外!『RUM-幻影騎士団ラウンチ』をサーチし、発動!ダーク・リベリオンをランクが1つ上のエクシーズモンスターへとランクアップする!煉獄の底より、未だ鎮まらぬ魂に捧げる反逆の歌!永久に響かせ現れよ!」

 

だが――ユートの手は止まらない。これで駄目なら、次の手へ。自身の分身、ダーク・リベリオンをランクアップさせ、逆転を狙う。彼のエクストラデッキの光が、更に増し、ユートはその白紙のエクシーズカードを引き抜き、デュエルディスクに叩きつける。光がカード全体を舐めるように輝き、今その姿が描かれる。

 

「ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!出でよ、『ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン』!!」

 

ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン 攻撃力3000

 

そして、その竜は現れる。ダーク・リベリオンが骨の鎧を纏い、更に鋭利となった翼を広げた、ユートの新たな力。新たな切り札。『ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン』。仲間達の魂を紡ぎ、黒竜は進化する。

 

「これが……お前の全力か!」

 

「そうだ!これが俺の全力!ダーク・レクイエムの効果!ORUを1つ取り除き、XYZの攻撃力を0にし、その数値分攻撃力をアップ!レクイエム・サルベーション!」

 

XYZドラゴン・キャノン 攻撃力2800→0

 

ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン 攻撃力3000→5800

 

「バトルだ!ダーク・レクイエムで、ドラゴン・キャノンへ攻撃!アクションマジック、『伏魔殿の螺暈祟』!ダーク・レクイエムの攻撃力を500アップし、貫通効果を与える!」

 

ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン 攻撃力5800→6300

 

バサリ、ダーク・レクイエムが巨大な翼を広げると共に、美しい輝きを放つステンドグラスが広がる。神々しくも美しい光。ダーク・レクイエムはその勢いのまま地へ牙を突き立てて突き進み――ドラゴン・キャノンを討つ。

 

「鎮魂のディザスター・ディスオベイ!!」

 

万丈目 準 LP1300→0

 

「――見事――!」

 

砕かれるドラゴン・キャノンを見て、万丈目は悔しそうに表情を歪めながら、ユートへと称賛の言葉を送る。勝者――ユート。




おジャマ・レッド「えっ、私の出番、少な過ぎ……?(手札コスト)」

VW「……」
VWXYZ「……」

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