遊戯王ARC―V TAG FORCE VS   作:鉄豆腐

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話を作っていた期間の都合上、このデュエルが終わるまでは2017年4月のリミットレギュレーションのものを使用しています。ご了承下さい。


第125話 雑魚とハサミは使いよう

シンクロ次元、シティ、下層にて繰り広げられるユートVS万丈目のデュエル。ターンは万丈目へと移り、彼はデッキよりカードを引き抜く。

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード、『マジック・プランター』!『デモンズ・チェーン』をコストに2枚ドロー!」

 

万丈目 準 手札3→5

 

「俺は『アームド・ドラゴンLV7』をリリースし、『アームド・ドラゴンLV10』を特殊召喚!!」

 

アームド・ドラゴンLV10 攻撃力3000

 

更にレベルアップ。現れたのは『アームド・ドラゴン』の究極形態、『LV』モンスターの中でもトップレベルとなった巨大で強靭な体躯を誇る赤銀の竜。万丈目の切り札の1枚であり、強力な効果を持ったモンスターだ。

 

「『アームド・ドラゴン』の効果!手札1枚をコストに、ブレイクソードを破壊!」

 

「永続罠、『幻影霧剣』!今度は俺が『アームド・ドラゴン』の効果と攻撃を封じさせてもらう!」

 

今度はユートのフィールドより霧のように形無き刃を持った剣が『アームド・ドラゴン』を貫き、地に張り付ける。このカードは『幻影騎士団』バージョンの『デモンズ・チェーン』と言って良いカードであり、対象となったモンスターは攻撃対象にならないと、より臨機応変に使え、彼のデッキでは『デモンズ・チェーン』の上位互換となるカードだ。

 

「構わん、元よりこのカードを使う為!手札コストとなった『おジャマジック』の効果!このカードが手札、またはフィールドより墓地へ送られた時、デッキから『おジャマ・グリーン』、『おジャマ・イエロー』、『おジャマ・ブラック』をサーチする!来い!雑魚共!」

 

『あは~ん』

 

『うふ~ん』

 

『いや~ん』

 

「『おジャマ』……?ッ!?」

 

『アームド・ドラゴン』のコストに使用した『おジャマジック』により、万丈目の手札に3枚ものカードが一気に加わる。見事なプレイングだ。だが『おジャマ』と言うカテゴリは今まで聞いた事がないとユートが首を傾げるが――そんな中、万丈目に応えるように、彼の背後に半透明の気色悪い生物が飛び出す。

 

1体は緑色の身体の1つ目のモンスター。赤いブーメランパンツを履いており、これがグリーンだろう。

2体目は触角のような器官に目を生やした、タラコ唇のモンスター、これはイエローか。黄色と言うより肌の色に近いが。このモンスターも赤いブーメランパンツを履いている。

最後は鼻の大きなモンスター。このモンスターはブラックか、こちらもやはり赤いブーメランパンツを履いている。

一体これは何なのか、ユートは目をパチパチと瞬かせ、何度も擦る。

 

「そして俺はここで魔法カード、『手札抹殺』を発動!雑魚共を捨て、新たな手札に変える!」

 

『そっ、そんな~!』

 

『アニキ~!』

 

『殺生な~!』

 

通常モンスターが手札に何枚もあっては逆に動きづらい。手札にある事を更に利用し、『おジャマ』を抹殺して新たな手札に変換する。墓地に送られ、気色悪い声を上げる『おジャマ』達。酷い仕打ちだが、プレイングとしては間違ってない。

 

「まだだ!俺のコンボはこれで完成する!魔法カード、『トライワイトゾーン』!墓地よりレベル2以下の通常モンスター3体を蘇生する!俺は先程捨てた『おジャマ』3兄弟を復活させる!集え!雑魚共!」

 

『もうっアニキったらツンデレさん!』

 

『手札に来たり墓地へ行ったりフィールドに戻ったり忙しいなぁ』

 

『過労死しそう』

 

「やかましい!」

 

おジャマ・イエロー 守備力1000

 

おジャマ・グリーン 守備力1000

 

おジャマ・ブラック 守備力1000

 

フィールドに登場する3匹の『おジャマ』。フィールドで見るとより一層気色悪い生物である。最早普通に喋っているが、本当にこれは何なのだろうか、ユートはコナミ達に振り回され過ぎて頭がおかしくなったのかと頭を抑える。

だが――冷静に見れば、ステータスの低い通常モンスターとは言え、1枚で3体の蘇生。『おジャマジック』や『手札抹殺』とのコンボも合わせれば強力なプレイングだ。見かけに騙されそうになるが、やはりこの男の実力は本物、ここでエクシーズやシンクロ、融合に繋げる事も可能、可能性は無限大だ。

 

「さぁ、食らうが良い!雑魚共の足掻きを!魔法カード、『おジャマ・デルタハリケーン!!』!!自分フィールドに『おジャマ・グリーン』、『おジャマ・イエロー』、『おジャマ・ブラック』が存在する事で、貴様のフィールドのカードを全て破壊する!」

 

『いっくわよ~ん!』

 

『やっけくそ~!』

 

『ヘイヘイヘ~イ!』

 

「なっ――くっ、罠発動!『幻影騎士団シャドーベイル』!『幻影騎士団ミストクロウズ』!『幻影剣』!まずは『幻影剣』の効果でブレイクソードの攻撃力を一時800アップ!そしてミストクロウズの効果で除外されているサイレントブーツを回収!シャドーベイルの効果でブレイクソードの攻守を300アップ!最後に『幻影剣』を身代わりにブレイクソードを守る!」

 

幻影騎士団ブレイクソード 攻撃力2000→3100→2300

 

『おジャマ』3兄弟が互いの尻をおしくらまんじゅうのように押しつけ合い、猛回転してユートのフィールドを囲い出す。このままでは全滅は必至。ユートは罠を全て使い、被害を最小限に抑える。爆発し、吹き荒れる黒煙。両者は共に手で視界を防ぐ。

 

「チッ、実質不発か」

 

『すいませんアニキ~』

 

『あいつ中々やりますぜ~!』

 

『デルタハリケーンが通じないなんて、俺達の存在意義を殺しにきてやがる!』

 

「安心しろ、元々期待していない」

 

『辛辣!』

 

「それに何も無駄にはなっていない、貴様等は確かに雑魚だが……それを補って余りあるこいつの封印が解かれた」

 

ギン、万丈目がニヤリと不敵な笑みを浮かべると共に、黒煙の中より翡翠の輝きが2つ灯り、激しき怒号によって霧が裂かれる。姿を見せたのは銀と赤の巨大な竜。『アームド・ドラゴンLV10』が、『幻影霧剣』の束縛より解放され、自由の身になったのだ。

 

「チッ」

 

「そして俺は魔法カード、『置換融合』を発動!フィールドの『おジャマ・グリーン』、『おジャマ・イエロー』、『おジャマ・ブラック』で融合!融合召喚!『おジャマ・キング』!!」

 

おジャマ・キング 守備力3000

 

そして融合、3体の『おジャマ』が万丈目の背後で発生する青とオレンジの渦に吸い込まれ、閃光を切り裂き、新たな姿となってフィールドに登場する。巨大な白の一頭身ボディにはイエローの触角のような目と唇、そしてブラックの鼻を持ち、赤いブーメランパンツを頭と下半身に履き、風呂敷マントを背から靡かせ、頭にちょこんと小さな王冠を装着した不気味なモンスター。その守備力は何と3000、そしてこのモンスターの登場と共に、ユートのデュエルディスクの上にポンと白い煙と共に、ミニチュアの『おジャマ』3兄弟が現れ、ポンポンと判子を押す。

 

「なっ――!?」

 

「『おジャマ・キング』がフィールドに存在する限り、貴様のモンスターゾーン3ヵ所を使用不可にする!」

 

『『おジャマ』しまーす』

 

『あ~実家のような安心感』

 

『やっぱ人様の家は違うねぇ』

 

使用不可となったユートのモンスターゾーンに『おジャマ』3兄弟が現れ、炬燵を取り出し、自由気ままに居座る。正に邪魔。人のフィールドで茶を啜る、横になる、屁をこくとやりたい放題である。

 

「もう一生そこでいれば良いものを……バトルだ!『アームド・ドラゴン』でブレイクソードへ攻撃!アームド・ビッグ・パニッシャー!」

 

ユート LP4000→3300

 

『アームド・ドラゴン』がその巨大な掌にエネルギーを集め、握り潰した後開き、ブレイクソードに叩きつける。同時に強烈な衝撃波によって爆破が巻き起こり、ブレイクソードの鎧を砕いて青き炎が吹き荒れる砂塵へと掻き消される。轟音と共に大地が陥没、とんでもない威力だ。腕の一振りだけでこの有り様だ。

 

「くっ――!墓地の『幻影死槍』を除外し、戦闘破壊を防ぐ!」

 

「ほう?」

 

しかし青い炎がユートのフィールドで逆巻き、鎧を修復してブレイクソードが蘇る。

 

「中々やるな、モンスターとカードを1枚セット、ターンエンドだ」

 

万丈目 準 LP4000

フィールド『おジャマ・キング』(守備表示)『アームド・ドラゴンLV10』(攻撃表示)セットモンスター

セット1

手札0

 

攻撃力3000と守備力3000のモンスター、全体破壊とモンスターゾーンの封印を宿した矛と盾が万丈目のフィールドに揃う。どちらも厄介なカードだが、この矛と盾の恐ろしい所は相性の良さだ。『アームド・ドラゴンLV10』の効果には手札コストが必要であるが、『おジャマ』ならば手札コストの融通が効く。『おジャマジック』を墓地に送れば先程のように一気に3枚のカードが手札に渡り、デルタハリケーンや『おジャマ・キング』が飛んで来る。

最強と最弱、矛と盾、相反するのに手を組むと厄介なものだ。だが――ユートにもまた、最強の矛がある。

 

「俺のターン、ドロー!ブレイクソードの効果発動!ORUを取り除き、このカードと『おジャマ・キング』を破壊!そしてブレイクソードの効果により、墓地の2体のラギッドグローブをレベルを1つ上げ、蘇生!」

 

幻影騎士団ラギッドグローブ 守備力500×2 レベル3→4

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!漆黒の闇より愚鈍なる力に抗う反逆の牙!今、降臨せよ!エクシーズ召喚!現れろ!『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』!!」

 

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン 攻撃力2500→3500

 

黒雲がユートのフィールドを覆い尽くし、赤き雷鳴が轟く。鈍い光が煙を引き裂き、中より現れたのは漆黒の竜。刃の如く鋭い翼を広げ、妖しく輝く牙を閃かせるエクシーズモンスター。体躯に走る深紅の血流を灯し、ユートのエースカードが今、久方振りに彼の手によって蘇る。ダーク・リベリオンも主人の帰還が嬉しいのか、喉を歓喜で震わせる。

 

「そのカードは榊 遊矢の……成程、貴様のものだったか」

 

「そうだ、俺はダーク・リベリオンのORUを2つ取り除き、効果発動!『アームド・ドラゴン』の攻撃力を半減、その数値をダーク・リベリオンの攻撃力に加える!トリーズン・ディスチャージ!」

 

アームド・ドラゴンLV10 攻撃力3000→1500

 

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン 攻撃力3500→5000

 

ダーク・リベリオンの翼の紅玉から赤き稲妻が迸り、『アームド・ドラゴン』を串刺しにして力を奪う。これでダーク・リベリオンの攻撃力は5000、向かい合い、相対する黒と銀の竜。どちらも凄まじい威圧感だ。

 

「俺は更に墓地のラギッドグローブを除外し、デッキの『幻影騎士団フラジャイルアーマー』を墓地へ、更にこのカードも除外、手札のサイレントブーツを墓地へ送り、1枚ドロー!」

 

ユート 手札2→3

 

「サイレントブーツも除外、『幻影霧剣』をサーチ!そして墓地の『幻影剣』を除外、墓地のブレイクソードを特殊召喚!」

 

幻影騎士団ブレイクソード 攻撃力2000

 

「まだだ!『幻影騎士団クラックヘルム』を召喚!」

 

幻影騎士団クラックヘルム 攻撃力1500

 

次々とモンスターを展開、今度は兜と手だけのモンスターだ。

 

「バトル!ダーク・リベリオンで『アームド・ドラゴン』へ攻撃!反逆のライトニング・ディスオベイッ!」

 

ズガガガガッ!ダーク・リベリオンが両翼を広げてその場で体躯を翻し、大地に牙を突き立て快音を響かせ突き進む。そしてイルカのように跳躍、鋭いアギトを銀の竜の喉元へ突き立てようとしたその時――。

 

「墓地の『ネクロガードナー』を除外し、その攻撃を無効!」

 

『アームド・ドラゴン』がガシリとダーク・リベリオンの両翼を掴む事で強引に止める。止められた――だがユートは戸惑う事無く、更に踏み込む。覚悟の上だ、この程度では動揺もしない。

 

「ブレイクソードで追撃!」

 

「永続罠、『ディメンション・ガーディアン』!『アームド・ドラゴン』に戦闘、効果破壊耐性を与える!」

 

「だが切れ味は受けてもらう!」

 

万丈目 準 LP4000→3500

 

ブレイクソードが黒馬を駆けさせ、ダーク・リベリオンの相手で手が塞がっている『アームド・ドラゴン』に襲いかかる。蹄の音がダーク・リベリオンの背骨を走り、大きく跳躍、折れた剣で『アームド・ドラゴン』の頭部を切りつけ、浅くだが傷をつける。

 

「クラックヘルムでセットモンスターへ攻撃!」

 

「セットモンスターは『おジャマ・ブルー』、守備力は1000だが、戦闘によって破壊された事でデッキの『おジャマ・カントリー』と『おジャマジック』をサーチする!」

 

『折角登場したのにこんな役目ですかい……』

 

セットモンスターが裏返り、現れたのは青い身体の目が細く、唇が青い『おジャマ』モンスター。即座にクラックヘルムにニギニギされて昇天する。しかし戦闘破壊を介するとは言え、2枚のカードのサーチ、しかも1枚は『おジャマジック』と来た、『アームド・ドラゴン』も破壊出来ない為、次のターン、確実に仕掛けて来るだろう。

 

「カードを3枚セット、ターンエンドだ」

 

ユート LP3300

フィールド『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』(攻撃表示)『幻影騎士団ブレイクソード』(攻撃表示)『幻影騎士団クラックヘルム』(攻撃表示)

セット3

手札0

 

「俺のターン、ドロー!手札を1枚捨て、『アームド・ドラゴン』の効果発動!」

 

「永続罠、『幻影霧剣』!効果と攻撃を止める!」

 

「当然そう来る事は折り込み済み!『おジャマジック』の効果で3兄弟サーチ!そして魔法カード、『マジック・プランター』!『ディメンション・ガーディアン』をコストに2枚ドロー!」

 

万丈目 準 手札4→6

 

「まだだ!魔法カード、『アドバンスドロー』!『アームド・ドラゴン』をリリースし、2枚ドロー!」

 

万丈目 準 手札5→7

 

一気に手札を増加させ、次の戦術に備える。とんでもない回復力だ。

 

「『おジャマ・イエロー』を召喚!」

 

おジャマ・イエロー 攻撃力0

 

『ついにアタイの出番が……!』

 

「魔法カード、『馬の骨の対価』!イエローを墓地に送り、2枚ドロー!」

 

『やっぱりねん』

 

万丈目 準 手札5→7

 

「魔法カード、『打ち出の小槌』!手札2枚とアクションマジック、計3枚をデッキに戻し、3枚ドロー!良いカードが来た、フィールド魔法、『ユニオン格納庫』を発動!」

 

「ッ!このカードは……!」

 

アクションフィールドの上からフィールドが張られ、景色が変わる。合体効果が特徴的なユニオンモンスターを収納した格納庫。このカードは遊矢と隼とのデュエルで使用されたカードだ。

 

「発動時の効果処理として『A-アサルト・コア』をサーチ、魔法カード、『二重召喚』により増えた召還権を使い、召喚!」

 

A-アサルト・コア 攻撃力1900

 

現れたのはオレンジ色の蠍を模した機械族のモンスター。そしてユニオンモンスターが登場した事で、『ユニオン格納庫』の効果が発動される。

 

「『ユニオン格納庫』の効果で『B-バスター・ドレイク』をデッキからアサルト・コアに装備!」

 

「来たか……だがクラッシュ・ワイバーンは……」

 

「既に捨てている」

 

「ッ!」

 

仕込みは既に完成している。ユートがゴクリと生唾を呑み込んだその時――。ニヤリと笑みを深める万丈目の背後で、青とオレンジの渦が発生する。来る――遊矢と隼を苦戦させた、あの合体モンスターが。

 

「フィールドより『A-アサルト・コア』と『B-バスター・ドレイク』を!墓地より『C-クラッシュ・ワイバーン』を除外し、融合召喚!『ABC-ドラゴン・バスター』!」

 

ABC-ドラゴン・バスター 攻撃力3000

 

フィールドに緑の機竜が現れ、バスター・ドレイクと共に変形し、アサルト・コアの尾に連結する。完成、『ABC-ドラゴン・バスター』。見た目こそ玩具だが、その攻撃力と効果は強力だ。

 

「手札を1枚捨て、ダーク・リベリオンを対象にドラゴン・バスターの効果発動!対象カードを除外!」

 

手札を交換しつつドラゴン・バスターの効果を発動。狙われたダーク・リベリオンは砲撃に撃ち抜かれ、次元の彼方に消え去ってしまう。

 

「くっ、ダーク・リベリオンが……!」

 

「まだまだ!フィールドを張り替える!『おジャマ・カントリー』!」

 

更に続く万丈目の手、ユニオンモンスター達の基地がひび割れ、景色は奇妙な民家が並ぶ里へ。どうやら『おジャマ』達が暮らす村らしい。フィールド内を『おジャマ』なモンスターが自由気ままに駆け回り、ユートと発動者である万丈目まで苛つかせる。

 

『おー、サンダーだー』

 

『囲めー』

 

『登れー』

 

「ええいっ!囲むなよじ登るな!チッ、俺は手札の『おジャマ』カードを墓地に送り、墓地の『おジャマ・キング』を蘇生!」

 

おジャマ・キング 攻撃力0→3000

 

ABC-ドラゴン・バスター 攻撃力3000→2800

 

幻影騎士団ブレイクソード 攻撃力2000→1000

 

幻影騎士団クラックヘルム 攻撃力1500→500

 

『『『よろしくニキー』』』

 

「くっ、またか……!」

 

再びフィールドに『おジャマ・キング』が登場した事でユートのモンスターゾーンが3ヶ所埋まる。最早実家のように『おジャマ』達が落ち着いている。しかも――『おジャマ・キング』の登場と共に、フィールドのモンスターの攻撃力が変化した。

 

「『おジャマ・カントリー』の発動中、『おジャマ』モンスターが存在する限り、フィールドのモンスターの元々の攻守は入れ替わる!バトル!キングでブレイクソードに攻撃!フライング・ボディアタック!」

 

「くっ、罠発動!『幻影騎士団ウロング・マグネリング』!その攻撃を無効にし、特殊召喚!」

 

幻影騎士団ウロング・マグネリング 守備力0

 

『おジャマ・キング』がユートへと飛びかかるその瞬間、彼のフィールドに円い磁石を持った騎士が現れ、磁力で『おジャマ・キング』を跳ね返す。だが――まだ彼のモンスターは残っている。

 

「ドラゴン・バスターでクラックヘルムへ攻撃!」

 

「ウロング・マグネリングの効果!このカードとクラックヘルムを墓地に送り、2枚ドロー!」

 

ユート 手札0→2

 

「ならば標的変更!ブレイクソードに攻撃!」

 

ユート LP3300→1500

 

「ぐぅ……!『幻影剣』で蘇生したブレイクソードは除外される……!」

 

「カードを2枚セットし、ターンエンドだ」

 

万丈目 準 LP3500

フィールド『おジャマ・キング』(攻撃表示)『ABC-ドラゴン・バスター』(攻撃表示)

セット2

『おジャマ・カントリー』

手札1

 

強い、正直に言えばこの一言に尽きる。万丈目のデュエルには兎に角無駄が無い。『アームド・ドラゴン』やユニオンモンスターによる高い攻撃力が剛、その為の手札補充、こちらの妨害をして来る『おジャマ』が柔、剛柔合わせた強力なコンボとプレイングをさせた高い次元で完成されたデュエル。

その癖遊矢のエンタメデュエルのように魅せてくれる。いや、彼の場合、沢渡のものに近いか。その究極形と言って良い。間違いなく今のユートでは手に余り、勝ち目が見えない相手だ。

 

だが――この程度でユートは諦めない。レジスタンスの不屈のデュエル。ランサーズのデュエルを愛するデュエル。その2つのORUでユートは自身のデュエルを再構築する。

 

「俺のターン、ドロー!俺は永続罠、『闇次元の解放』を発動!除外されているブレイクソードを特殊召喚!」

 

幻影騎士団ブレイクソード 守備力1000→2000

 

「そして魔法カード、『オーバーレイ・リジェネート』!このカードをブレイクソードのORUに!」

 

「ドラゴン・バスターの効果!手札を1枚捨て、ブレイクソードを除外!」

 

「ッ!当然そう来るだろうな……!俺は『幻影騎士団ダスティローブ』を召喚!」

 

幻影騎士団ダスティローブ 攻撃力800

 

「そして『幻影騎士団サイレントブーツ』を特殊召喚!」

 

幻影騎士団サイレントブーツ 守備力1200

 

「レベル3が2体……来るか!」

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!『幻影騎士団ブレイクソード』!」

 

幻影騎士団ブレイクソード 守備力1000→2000

 

「ブレイクソードのORUを1つ取り除き、このカードと『おジャマ・カントリー』を破壊!」

 

「ぬぅっ!」

 

おジャマ・キング 攻撃力3000→0

 

ABC-ドラゴン・バスター 攻撃力2800→3000

 

ブレイクソードの貢献でフィールドが元に戻る。これで攻撃力変化は無い。ユートは勢いのまま、反撃に出る。

 

「ブレイクソードの効果でダスティローブとサイレントブーツのレベルを上げ、蘇生!」

 

幻影騎士団ダスティローブ 攻撃力800 レベル3→4

 

幻影騎士団サイレントブーツ 守備力1200 レベル3→4

 

このままダーク・リベリオンに繋げられれば良かったのだが、生憎ダーク・リベリオンは除外されている1枚のみ。ランク4のエクシーズモンスターはダーク・リベリオンのみの為、完全にレベルアップが裏目に出た。

 

「罠発動!『幻影騎士団ロスト・ヴァンブレイズ』!サイレントブーツの攻撃力を600ダウンし、レベルを2に変化、このカードをレベル2、闇属性、戦士族、攻撃力600、守備力0のモンスターとして守備表示で特殊召喚!」

 

幻影騎士団サイレントブーツ 攻撃力200→0 レベル4→2

 

幻影騎士団ロスト・ヴァンブレイズ 守備力0

 

これでレベル2が2体、再びエクシーズの準備が整った。

 

「む……!」

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!幾万の戦士を貫き、闇に葬る呪われし反逆の槍。降臨せよ!エクシーズ召喚!現れろ、『幻影騎士団カースド・ジャベリン』!」

 

幻影騎士団カースド・ジャベリン 攻撃力1600

 

2体のレベル2モンスターを素材に現れたのは骸骨を面に赤いマフラー、肩から青い炎を放ち、髑髏を串刺しにした槍と骸骨を模した盾を構えた戦士だ。攻撃力1600、決して高い数値とは言えない為、何か特殊な効果を持っているのだろう。万丈目は警戒を露にする。

 

「カースド・ジャベリンのORUを1つ取り除き、ターン終了までドラゴン・バスターの効果を無効にし、攻撃力を0に!」

 

「忘れたのか?『ABC-ドラゴン・バスター』は自身をリリースする事で除外されている素材に分解される!」

 

A-アサルト・コア 守備力200

 

B-バスター・ドレイク 守備力1800

 

C-クラッシュ・ワイバーン 守備力2000

 

カースド・ジャベリンが槍を投擲し、ドラゴン・バスターを貫こうとするが、ドラゴン・バスターが3体に分裂して回避する。そう、ドラゴン・バスターにはこれがある。自分、相手ターンを問わず手札1枚を相手フィールドのカードの除外に変える効果に、相手ターンに分裂する効果。しかもこの3体は墓地に送られた場合、効果を発動すると来た。ドラゴン・バスターの素材もフィールド、墓地から除外すれば良い為、破壊しても相手が損するだけ、ユートもそれを分かっている筈だが――何故彼はカースド・ジャベリンの効果を使ったのか。

 

「ダスティローブの効果!カースド・ジャベリンの攻守を800アップし、このカードを守備表示に!」

 

幻影騎士団カースド・ジャベリン 攻撃力1600→2400

 

「バトルだ!カースド・ジャベリンで『おジャマ・キング』へ攻撃!」

 

「罠発動!『ダメージ・ダイエット』!このターンのダメージを半分に!」

 

万丈目 準 LP3500→2300

 

「ちぃっ……!」

 

「メインフェイズ2、墓地のサイレントブーツを除外、『RUM-幻影騎士団ラウンチ』をサーチ!カードを1枚セット、ターンエンドだ」

 

ユート LP1500

フィールド『幻影騎士団カースド・ジャベリン』(攻撃表示)『幻影騎士団ダスティローブ』(守備表示)

セット1

手札0

 

「俺のターン、ドロー!墓地の『置換融合』を除外、墓地の『ABC-ドラゴン・バスター』をエクストラデッキに戻し、1枚ドロー!」

 

万丈目 準 手札1→2

 

「A、B、Cの3体を除外、融合召喚!『ABC-ドラゴン・バスター』!」

 

ABC-ドラゴン・バスター 攻撃力3000

 

再びフィールドに現れる2頭の機竜。厄介なモンスターだ。確実にこちらのカードを1枚削っていく上、破壊、除去しようとしても分裂、合体と繰り返す。

 

「手札を1枚捨て、カースド・ジャベリンを除外!」

 

「カースド・ジャベリンのORUを1つ取り除き、効果発動!」

 

ABC-ドラゴン・バスター 攻撃力3000→0

 

今度こそカースド・ジャベリンの槍がドラゴン・バスターに命中する。これでドラゴン・バスターによる除去は不発。と言ってもあくまで一時凌ぎでしか無いが。

 

「ふん……ターンエンドだ」

 

万丈目 準 LP2300

フィールド『ABC-ドラゴン・バスター』(攻撃表示)

セット1

手札1

 

「俺のターン、ドロー!まずはダスティローブを攻撃表示にし、効果発動!守備表示に変更し、カースド・ジャベリンの攻守を800アップ!」

 

「ドラゴン・バスターの効果発動!手札を1枚捨て、カースド・ジャベリンを除外!」

 

「リバースカードオープン!速攻魔法、『RUM-幻影騎士団ラウンチ』!エクシーズ素材が無いカースド・ジャベリンをランクが1つ高い闇属性、エクシーズモンスターへとランクアップし、このカードをORUにする!」

 

この駆け引きを制したのはユートだ。万丈目が強化されるカースド・ジャベリンを狙って来る事を見越し、対象を新たなモンスターにランクアップさせ、ドラゴン・バスターの効果を不発に終わらせる。

 

「ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!『幻影騎士団ブレイクソード』!」

 

幻影騎士団ブレイクソード 攻撃力2000

 

来る最後のブレイクソード。このカードで3枚目だ。有能である為、使用回数も多いが、出来る事ならエクストラデッキに余裕がある内に倒したかった。とは言え相手が相手だ。出し惜しみはしてられない。

 

「バトル!ブレイクソードでドラゴン・バスターへ攻撃!」

 

「何……?チッ、罠発動、『ピンポイト・ガード』!『おジャマ・ブルー』に戦闘、効果破壊耐性を与え蘇生!ドラゴン・バスターの効果発動!フハハハハ!」

 

おジャマ・ブルー 守備力1000

 

攻撃力の低いブレイクソードでドラゴン・バスターへ攻撃、何か算段があるのか、万丈目が予測し、ドラゴン・バスターを分裂させる事で回避する。例え何も無かったとしても損は無い。そう思っての行動だったのだが――。

 

「速攻魔法、発動――」

 

「フーハッハッハァッ!」

 

「『大欲な壺』!」

 

「……ハ?」

 

「除外されている3体のユニオンモンスターをお前のデッキに戻し、1枚ドロー!」

 

ユート 手札0→1

 

発動されたABCの対策札により、その効果は不発に終わる。分解先のパーツが無いのなら――ドラゴン・バスターのパーツはフィールドに現れない。見事な攻略法だ。

 

 

「カードを1枚セット、ターンエンドだ」

 

ユート LP1500

フィールド『幻影騎士団ブレイクソード』(攻撃表示)『幻影騎士団ダスティローブ』(守備表示)

セット1

手札0

 

ここで攻勢に出たのはユートだ。見事な機転で厄介な融合モンスター、『ABC-ドラゴン・バスター』を除去し、相手の武器を1つ奪った。これで少しは楽になると良いのだが――生憎、そう簡単にはいかないだろう。何せ相手は3つのカテゴリを使っている。

『おジャマ』、ユニオン、『LV』モンスター。それもどれも珍しく、デュエリストの腕が問われるカード達。万丈目はそれを見事なまでに使いこなし、合わせる事でその力を何倍にもしている。

 

その手腕はデュエリスト養成学校で学んだ優秀なユートですら舌を巻き、感心する程だ。何が飛んで来るか分からない、それがこれ程までに恐ろしいとは、相手にして初めて痛感する。今までは隣でいたが――もしかしたら、彼を前にして闘うデュエリスト達はこの恐怖とワクワクを味わっていたのかもしれない。そう、今も会場で闘う彼へと、想いを馳せる。

 

(そうだろう――遊矢……!)

 




万丈目のデュエル書くの楽しい……でもアームド・ドラゴン・カタパルトキャノンが無いのが悔しい。もうちょっと早く公開されてたら使ったのになぁ。何かサクリファイスやヴァンパイアと言い後手に回ってる感じがする……。

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