時間が空いたので更新、と言っても10月になればまた2、3週休みそうです。投稿出来ないの本当つらたん。
シンクロ次元、下層にある孤児院の広場にて、トリシューラプリンと年上の尊厳を賭けた、コナミ&ツァン・ディレVS龍亞&龍可のタッグデュエルは続く。
チビッコ2人のフィールドには2体の決闘竜と花園の精霊、計3体のシンクロモンスターに、LPを回復するフィールド魔法と永続罠が1枚ずつ、サーチ効果を持った永続罠が1枚、ガチガチと言って良い布陣だ。
対するコナミ達のフィールドのモンスターは0、様々な効果を持つ永続魔法、『六武の門』が1枚、見切られたカウンター罠が1枚にペンデュラムカードが2枚、ピンチである。分っかりやすいピンチである。このままでは威厳が危うい。コナミは何とかせねばとデッキトップのカードを引き抜く。
「オレのターン、ドロー!慧眼のペンデュラム効果!このカードを破壊し、デッキの『竜穴の魔術師』をセッティング!ペンデュラム召喚!『竜脈の魔術師』!『慧眼の魔術師』!『V・HEROヴァイオン』!」
竜脈の魔術師 攻撃力1800
慧眼の魔術師 守備力1500
V・HEROヴァイオン 守備力1200
フィールドに振り子の軌跡を描き、3体のモンスターが降り立つ。先のコナミのターンでも使用された竜脈に、ペンデュラムゾーンにいた秤を持った銀髪の『魔術師』、そして頭部がカメラとなっている『HERO』モンスターだ。
「ヴァイオンの効果により、デッキから『E・HEROシャドー・ミスト』を墓地へ!そしてシャドー・ミストが墓地に送られた事でデッキから『E・HEROエアーマン』をサーチ!更にヴァイオンの第2の効果!墓地のシャドー・ミストを除外し、デッキの『置換融合』をサーチ!」
1枚で2枚の手札を確保、シャドー・ミストの存在が前提とは言え、やはりこのカードは強力だ。惜しむべくは『E・HERO』では無い為、コナミの融合『HERO』に使えない事か。だが――レベルは4、エクシーズ素材には出来る。
「『E・HEROエアーマン』を召喚!」
E・HEROエアーマン 攻撃力1800
次に登場したのは背にファンの翼を伸ばした青き『HERO』。攻撃力1800、下級アタッカーにしては優秀な数値であり、その効果も実に優秀だ。
「エアーマンの召喚時、デッキから『E・HEROブレイズマン』をサーチ!」
「本当それどうなってんの?手札が減ってないんだけど……」
「知らん、お前も似たようなもんだろ。魔法カード、『置換融合』を発動!フィールドのエアーマンと竜脈を融合!融合召喚!『E・HEROガイア』!」
E・HEROガイア 攻撃力2200
なりふり構わずこの次元から既知の外側の力を使う。子供相手でも容赦なし、と言うかコナミのデッキはペンデュラムからの融合が優先されている傾向にある為、仕方無いだろう。青とオレンジの渦に2体のモンスターが混ざり合い、花園の地を踏み締めるのは巨大な腕を振るう黒い巨人。力強さと逞しさを感じさせる英雄だ。
「ガイアの召喚時、ローズマリーの攻撃力を半減し、吸収!」
アロマセラフィ―ローズマリー 攻撃力3000→1500
E・HEROガイア 攻撃力2200→3700
『フォース』を内蔵した優秀な効果、『E・HERO』以外の素材も比較的多い地属性の為、召喚しやすいモンスターだ。これで突破口は見えた。コナミは続けざまに右手を突き出し、自身の前方の地面に美しき星が煌めく渦を発生させる。
「融合……スッゲー!」
「まだよ龍亞!」
「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!我が戦いはここから始まる!白き翼に望みを託せ、現れろ!『No.』39!エクシーズ召喚!『希望皇ホープ』!」
No.39希望皇ホープ 攻撃力2500
渦へとヴァイオンと慧眼、光と闇を宿した2体が飛び込み、集束して小爆発を引き起こす。巻き起こる爆煙。煌めく白刃がそれを引き裂き、中より姿を見せたのは黄金の鎧を纏い、純白の翼を伸ばした希望の皇。その右肩には赤く輝く39の紋様が刻まれ、途端に皇は雄々しき咆哮を放つ。
「エクシーズ!?おぉぉっ!カッケー!」
「……成程ね、同じレベルのモンスター同士を素材にしているのね」
「……ねぇダニエル、龍可が僕より対応力高いんだけど」
「やーい子供に負けてやんの。バーカバーカ」
「ぐぬふっ!」
初のエクシーズに対し、龍亞は子供らしく目を輝かせ、龍可は冷静にカラクリを見抜く。その頭脳明晰ぶりに劣等感を覚えてへこむツァンに対し、煽るコナミ。そう言われればぐうの音も出ない。ツァン、龍亞と同レベル説。ここに来て可哀想な疑惑が出てしまった。龍可が飛び抜けているだけであるが。そこは黙っていた方が面白いとコナミは笑みを深める。畜生である。
「哀れな子羊め、それで良くシスターなんてやってるな。このなんちゃってシスターが」
「うぅ……ごめんなさい……コスプレでごめんなさい……」
タッグパートナーに関わらずこの仕打ち。最早味方でさえ怪しい。3対1である。孤軍奮闘、ぼっちは辛い。
「デッキは『六武衆』なのにシスターって時点でもうね」
「もうやめてよぉ!そんな事言ったら私名前カタカナだし!」
更に追い込みをかけるコナミ。流石のなんちゃってシスターもこれには堪らず叫ぶ。なんちゃってシスターだけあり、彼女はそこまで慈悲深くは無い。
「まぁここまでにしておくか、賤竜のペンデュラム効果で竜脈を回収し、竜穴のペンデュラム効果で捨て、『光の護封剣』破壊、バトル!ガイアでローズマリーに攻撃!コンチネンタルハンマー!」
龍亞&龍可 LP5900→3700
「くっ――!『アロマガーデン』の効果で『アロマ』モンスターが戦闘、効果で破壊され墓地に送られた場合、1000回復!」
龍亞&龍可 LP3700→4700
ガイアが野太い黒腕を合わせてハンマーのようにローズマリーに降り下ろし、ローズマリーが光の粒子となって散る。3000打点に効果無効を持つこのカードは早めに除去しておきたい。そして次に厄介なのは――。
「ホープでエンシェントへ攻撃!ホープ剣・スラッシュ!」
龍亞&龍可 LP4700→4300
更に追撃、叩き込むようにホープが翼を広げて飛翔し、エンシェントに2刀の剣を振るう。決闘竜と『No.』、次元を越えた闘い。エンシェントが尾を鞭のように振るえばホープがその尾に剣を突き立て、地面に磔にし、逃げられないと感じたエンシェントは今度は光のブレスで応戦するも、ホープが剣でそれを跳ね返してエンシェントを撃破する。今回軍配が上がったのは『No.』だ。これで破壊効果は使えない。
「メインフェイズ2、魔法カード、『モンスターゲート』を発動!ガイアをリリースし、通常召喚可能なモンスターが出るまでデッキトップからカードを墓地に送る。1枚目!『オッドアイズ・グラビティ・ドラゴン』!2枚目!『エレメンタルバースト』!3枚目!『ブレイクスルー・スキル』!4枚目!『シャッフル・リボーン』!5枚目!『オッドアイズ・セイバー・ドラゴン』!決まりだな!さぁ、出でよ、絶望の暗闇に差し込む、眩き救いの光!『オッドアイズ・セイバー・ドラゴン』!!」
オッドアイズ・セイバー・ドラゴン 攻撃力2800
効果を使い、バニラも同然となったガイアをリリースし、その鎧の上にドスリと降り立ったのは金色の剣を背負い、白銀の鎧を纏った2色の眼の竜。遊矢から譲り受けたカードであり、暫くの間、コナミの言う事を聞かなかったが、沢渡との対決で頼もしい相棒となったモンスターだ。
「墓地の『置換融合』を除外し、ガイアをエクストラデッキに戻し、ドロー!」
ダニエル 手札3→4
ガイアをリリースしたのはこれを使う為でもある。前回ではツァンに尽く融合モンスターをバウンスされ、『置換融合』の効果を使えなかったのだ。
「カードを1枚セットしてターンエンド」
ダニエル&ツァン・ディレ LP4000
フィールド『オッドアイズ・セイバー・ドラゴン』(攻撃表示)『No.39希望皇ホープ』(攻撃表示)
『六武の門』『禁止令』セット2
Pゾーン『竜穴の魔術師』『賤竜の魔術師』
手札3(ダニエル)手札1(ツァン)
「俺のターン、ドロー!」
龍亞&龍可 LP4300→4800
「魔法カード、『拘束解放波』発動!俺の装備魔法、トライスと相手フィールドのセットされた魔法、罠を全て破壊する!ババーン!」
「くっ――!罠発動!『針虫の巣窟』!デッキから5枚を墓地に!」
『パワー・ツール』が飛翔し、凄まじい衝撃波をその身体から解き放ち、コナミ達のセットカードが吹き飛んでガラスのように砕け散る。だがまだまだ、龍亞はその手を止めはしない。
「『D・リモコン』を召喚!」
D・リモコン 攻撃力300
龍亞の手よりリモコンに手足の生えたモンスターが登場する。まるで何年か前に放送されたケータイの刑事のような見た目をしたこのカードもまた、『D』では少数のチューナーだ。
「リモコンの効果で墓地の『D・ステープラン』を除外し、同じレベルの『D・ラジカッセン』をサーチ!魔法カード、『二重召喚』!増やした召喚権で『D・ラジカッセン』召喚!」
D・ラジカッセン 攻撃力1200
次に登場したのはラジオカセット、通称ラジカセが変形した赤いロボット。『D』の中でもアタッカーとなるモンスターだ。尤も、『D』の武器である装備魔法を装備すればに限るが。
「レベル4のラジカッセンにレベル3のリモコンをチューニング!世界の平和を守る為、勇気と力をドッキング!シンクロ召喚!愛と正義の使者、『パワー・ツール・ドラゴン』!!」
パワー・ツール・ドラゴン 攻撃力2300
呼び出されるもう1体の守護者、イエローカラーのボディに赤く輝くマシンアイ、右腕にドライバーを、左腕に青いシャベルを装着した機械竜だ。その姿は驚く程『機械竜パワー・ツール』に酷似している。違うのは赤いラインがあるか無いかか。並び立つ2体の勇姿、そしてこの2体は揃った時、歯車が合わさるように噛み合う。
「『パワー・ツール・ドラゴン』の効果!デッキから装備魔法3枚を選び、相手がランダムに選んだ1枚を手札に加える!パワー・サーチ!」
龍亞の背後にソリッドビジョンのカードが3枚現れる。選び抜かれた3枚のカード、それは――。
「3枚ともっ……!3枚とも『魔導師の力』……っ!」
正しくパワー・サーチ。横暴過ぎる特権がその小さな少年の身体から放たれる。思わずコナミの顔が面長となり、鼻と顎が賭博師のように尖る。ざわ……ざわ……。仕方無くコナミは右のカードを選び、龍亞の手におさまる。
「『魔導師の力』を『パワー・ツール・ドラゴン』に装備!」
パワー・ツール・ドラゴン 攻撃力2300→4300
「バトル!『パワー・ツール・ドラゴン』で『オッドアイズ・セイバー・ドラゴン』を攻撃!」
「ホープのORUを1つ取り除き、その攻撃を無効に!ムーンバリア!」
攻撃力を増した『パワー・ツール・ドラゴン』の攻撃、それを防ぐ為、皇が竜達の間に割って入り、翼を盾として攻撃を防ぐ。剣の竜と盾の戦士。攻防の役目を振っていると言う事か。
「なら機械竜の効果で『パワー・ツール・ドラゴン』に装備された『魔導師の力』を機械竜に装備!効果でドロー!」
龍亞 手札3→4
「『神の恵み』で回復!」
龍亞&龍可 LP4800→5300
「『パワー・ツール』でセイバーに追撃!」
「ホープの効果で無効!」
「メインフェイズ2、速攻魔法、『ダブル・サイクロン』!『魔導師の力』と『六武の門』を破壊!そして装備魔法、『ダブルツールD&C』を『パワー・ツール・ドラゴン』に装備!」
ここで『パワー・ツール・ドラゴン』に専用の装備カードが使われ、ドライバーがドリルへと、シャベルがチェーンソーへと変わった新生『パワー・ツール・ドラゴン』。これは少しばかり厄介だ。
「ターンエンドだよ」
龍亞&龍可 LP5300
フィールド『パワー・ツール・ドラゴン』(攻撃表示)『機械竜パワー・ツール』(攻撃表示)
『ダブルツールD&C』『潤いの風』『神の恵み』
『アロマガーデン』
手札2(龍亞)手札0(龍可)
「僕のターン、ドロー!キツいねこれ……!2人とも防御がガチガチ過ぎて……!ペンデュラム召喚!『六武衆―カモン』!『六武衆のご隠居』!」
六武衆―カモン 攻撃力1500
六武衆のご隠居 守備力0
ツァン、2度目のペンデュラム。彼女の下に集うのはダイナマイトを持った赤い鎧の武人に御輿に乗った『六武衆のご隠居』。ここでカモンは頼もしい。
「カモンの効果!『ダブルツールD&C』を破壊!バトル!『オッドアイズ・セイバー・ドラゴン』で『パワー・ツール・ドラゴン』を攻撃!」
龍亞&龍可 LP5300→4800
剣の竜がドタドタとフィールドを駆け抜け、背の剣を振るって『パワー・ツール・ドラゴン』のドライバーと激突し、赤い火花が散る。世界を守る正義の竜と、怒りによって生み出された竜、2体はそれぞれの武器をぶつけ合い、激しい剣戟の音が響く。『オッドアイズ』とは事なり、特別な力を持たないカードなのにここまで食いつくのは恐らく――激しい闘いを潜り抜けた猛者だから。しかし、やはり届かない。最後に叩き込んだ一撃が『パワー・ツール・ドラゴン』が叩きのめす。
「そしてこの瞬間、『オッドアイズ・セイバー・ドラゴン』の効果でもう1体の『パワー・ツール』も破壊!」
「えぇっ!?」
更に『オッドアイズ・セイバー・ドラゴン』は勢いのまま『パワー・ツール・ドラゴン』を踏み台にして跳躍し、ぐるりと1回転しながら振るわれる刃が決闘竜を切り裂く。2体の『パワー・ツール』を前に大活躍、やはりこのカードは頼もしい。
「ホープでダイレクトアタック!」
龍亞&龍可 LP4800→2300
後一息。押しているとは言え、油断は出来ない。次のターンプレイヤーは龍可だ。恐らく回復されるだろう。
「ターンエンドだよ!」
「くっ、『潤いの風』の効果で回復」
龍亞&龍可 LP2300→2800
ダニエル&ツァン・ディレ LP4000
フィールド『オッドアイズ・セイバー・ドラゴン』(攻撃表示)『No.39希望皇ホープ』(攻撃表示)『六武衆―カモン』(攻撃表示)『六武衆のご隠居』(守備表示)
『禁止令』
Pゾーン『竜穴の魔術師』『賤竜の魔術師』
手札3(ダニエル)手札0(ツァン)
「私のターン、ドロー!」
龍亞&龍可 LP2800→3300
「『封印の黄金櫃』で除外されていた『サイクロン』を手札に、そして発動!『禁止令』を破壊!『潤いの風』の効果!LPを1000払い、『アロマセラフィ―アンゼリカ』をサーチ!」
龍亞&龍可 LP3300→2300
「そして回復!」
龍亞&龍可 LP2300→2800
「魔法カード、『マジック・プランター』!『潤いの風』を墓地に送り、2枚ドロー!」
龍可 手札1→3
「『神の恵み』の効果!」
龍亞&龍可 LP2800→3300
「魔法カード、『貪欲な壺』を発動!墓地の『アロマージ―ジャスミン』を3体、『アロマージ―ローズマリー』と『増殖するG』をデッキに戻し、2枚ドロー!」
龍可 手札2→4
龍亞&龍可 LP3300→3800
「魔法カード、『偽りの種』!手札の『アロマージ―ジャスミン』を特殊召喚!」
アロマージ―ジャスミン 守備力1900
「速攻魔法、『地獄の暴走召喚』!」
「うぐっ、カモンを呼ぶよ……!」
アロマージ―ジャスミン 攻撃力100×2
六武衆―カモン 守備力1000
「手札の『アロマセラフィ―アンゼリカ』を捨て、墓地のアロマセラフィ―ローズマリーの攻撃力分回復!」
龍亞&龍可 LP3800→5800
「ジャスミンでドロー!」
龍可 手札0→3
「『神の恵み』の効果!」
龍亞&龍可 LP5800→6300→6800→7300
2000少しだったLPが一気に回復し、7300、これではキリが無い。一番良いのは火力を上げて上げて上げまくって一撃で終わらせる事だが、生憎2人のデッキの弱点はその火力不足である。
「魔法カード、『マジック・プランター』!『神の恵み』をコストに2枚ドロー!」
龍可 手札2→4
「ジャスミンの効果で増えた召喚権で『グローアップ・バルブ』を召喚!」
グローアップ・バルブ 攻撃力100→600
現れたのは優秀なレベル1のチューナー。植物に目が生えたモンスターだ
「レベル2のジャスミン2体にレベル1の『グローアップ・バルブ』をチューニング!シンクロ召喚!『アロマセラフィ―ローズマリー』!」
アロマセラフィ―ローズマリー 攻撃力2000→2500
アロマージ―ジャスミン 守備力1900→2400
「まだよ!『アロマージ―カナンガ』を召喚!」
アロマージ―カナンガ 攻撃力1400→1900
オッドアイズ・セイバー・ドラゴン 攻撃力2800→2300
No.39希望皇ホープ 攻撃力2500→2000
六武衆―カモン 攻撃力1500→1000×2
六武衆のご隠居 守備力1000→500
更なる展開。次に登場したのはベレー帽に眼鏡、緑のマフラーとコートを纏った学者風の少女だ。花園にある切り株に腰をかけ、うむむと何やら唸り出す。
「そして『アロマガーデン』の効果で回復し、モンスターの攻撃力アップ!」
龍亞&龍可 LP7300→7800
アロマセラフィ―ローズマリー 攻撃力2500→3000
アロマージ―カナンガ 攻撃力1900→2400
アロマージ―ジャスミン 守備力2400→2900
「カナンガの効果でLPが回復した場合、相手の魔法、罠をバウンス!竜穴をバウンスよ!更にローズマリーでホープを無効化!」
「ッ!嘘、これじゃ……!」
カナンガのバウンスが炸裂し、ペンデュラムが崩れ去る。しかも厄介なのはこれがタッグデュエルと言う事だ。手札に戻ったのはツァンの下、しかし次のターンプレイヤーはコナミ。これでは得意、いや、コナミの展開の要であるペンデュラムが使えない。手札のペンデュラムモンスターはスケール1の『竜脈の魔術師』。スケール2の『賤竜の魔術師』と合わせても意味がない。
ここに来てコナミの弱点が露見してしまった。そう――コナミはデッキの構築上、ペンデュラムが無ければ融合、シンクロ、エクシーズとそこから先の展開が不可能に近くなる。ギリッ、と歯軋りを鳴らすコナミ。うっすらと気づいていたが、こうして目の前にすると――今まで対戦相手がペンデュラムを狙わなかったから勝利出来たと考えてしまう。だが対策カードはある。『スキル・プリズナー』ならモンスター効果による除去が多い今、充分に対策となる。
「墓地の『アロマセラフィ―アンゼリカ』を蘇生!」
アロマセラフィ―アンゼリカ 守備力0→500
「魔法カード、『波動共鳴』!アンゼリカのレベルを4に!」
アロマセラフィ―アンゼリカ レベル1→4
「レベル3のカナンガにレベル4のアンゼリカをチューニング!シンクロ召喚!『エンシェント・ホーリー・ワイバーン』!」
エンシェント・ホーリー・ワイバーン 攻撃力2100→5900
連続シンクロ、花園の上空から光の柱が出現し、その中から金色の鬣を靡かせ、白い体躯に黒い紋様を浮かべた幻想的な翼竜が現れる。その攻撃力5900、龍可達の命の力がそのまま宿る。
「このモンスターは自分と相手のLPの差分攻撃力を変化させる!そしてデッキトップをコストに『グローアップ・バルブ』蘇生!」
グローアップ・バルブ 守備力100→600
「魔法カード、『星屑のきらめき』!墓地の『パワー・ツール・ドラゴン』を除外し、『妖精竜エンシェント』を蘇生!」
妖精竜エンシェント 攻撃力2100
再びフィールドに降臨する花園の支配者。厄介過ぎるモンスターの帰還にツァンがうっと唸る。これでフィールドには3体のシンクロモンスターが揃った。
「エンシェントの効果で『オッドアイズ・セイバー・ドラゴン』破壊!」
「墓地の『仁王立ち』を除外し、セイバーに攻撃を絞る!」
このまま総攻撃、一気にLPを削る所を何とか凌ぐ。
「ターンエンドよ」
龍亞&龍可 LP7800
フィールド『妖精竜エンシェント』(攻撃表示)『アロマセラフィ―ローズマリー』(攻撃表示)『エンシェント・ホーリー・ワイバーン』(攻撃表示)『アロマージ―ジャスミン』(守備表示)『グローアップ・バルブ』(守備表示)
『アロマガーデン』
手札0(龍亞)手札0(龍可)
チビッコ2人の猛攻、攻防一体の息の合ったコンビネーションにコナミの弱点が暴かれ、追い詰められていく。だが――それがどうした。分かっていた事だ。自分が弱点だらけで弱くなってしまっている事を。それで歩みを止める等する訳が無い。弱点だらけだろうと――デュエリストは止まらない。
「オレのターン、ドロー!なめるなよ、確かにデュエルに大人も子供も関係無いが、ここで負ける程、甘くない!カモンの効果で『アロマガーデン』破壊!『ジェット・シンクロン』を召喚!」
ジェット・シンクロン 攻撃力500
登場したのは青と白のカラーリングのジェットエンジンを模したモンスター。レベル1、チューナー、このモンスターこそがピンチを覆す鍵となる。
「レベル3のカモン2体にレベル1の『ジェット・シンクロン』をチューニング!シンクロ召喚!『オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン』!!」
オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン 攻撃力2500
現れたる焔の竜。地を砕き、炎を流し込むのは真っ赤に燃える体躯を唸らせる2色の眼の竜。星々を砕きしコナミの希望が咆哮する。
「メテオバーストの効果でペンデュラムゾーンの『賤竜の魔術師』を特殊召喚!素材となった『ジェット・シンクロン』の効果でデッキの『ジャンク・コレクター』サーチ!」
賤竜の魔術師 攻撃力2100
竜の咆哮によって呼び出されたのは扇を振るう『魔術師』の1体、次から次へ、展開を繋ぎ加速していく。
「特殊召喚時、墓地の『慧眼の魔術師』を回収!装備魔法、『妖刀竹光』を『ホープ』に装備し、魔法カード、『黄金色の竹光』で2枚ドロー!」
ダニエル 手札3→5
「慧眼と竜脈をセッティングし、慧眼の効果で自身を破壊し、竜穴をセッティング!更に魔法カード、『置換融合』!フィールドの『オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン』と『賤竜の魔術師』を融合!融合召喚!『オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン』!!」
オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン 攻撃力2500
吹き荒れる風に身を包み、『オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン』の体躯が緑に染まり、その背から翼が広がり、アギトが嘴の如く尖る。天候を操る雷と嵐の竜が天空に君臨する。
「効果でローズマリーバウンス!ペンデュラム召喚!『E・HEROブレイズマン』!『ジャンク・コレクター』!」
E・HEROブレイズマン 守備力1800
ジャンク・コレクター 守備力2200
振り子の軌跡で呼び出される2体のモンスター。炎の鬣を持つ赤い『HERO』とゴミの収集者、これで一気にカタをつける。
「ブレイズマンの効果で『置換融合』サーチ!発動!ご隠居とブレイズマンで融合!融合召喚!『E・HERO ガイア』!」
E・HEROガイア 攻撃力2200
更に融合、現れたのは巨大な体躯を持つ鉄の『HERO』だ。
「効果でワイバーンの攻撃力吸収!」
エンシェント・ホーリー・ワイバーン 攻撃力5900→2950
E・HEROガイア 攻撃力2200→5150
「そして『ジャンク・コレクター』と墓地の『エレメンタルバースト』を除外し、効果をコピー!相手フィールドのカード全てを破壊!ぶち撒けろ!」
『ジャンク・コレクター』が光に包まれて弾け飛び、あらゆる大災害が炸裂する。燃え盛る炎に襲い来る津波、吹き荒れる嵐に隆起する大地。4つのエレメントの力が龍可達のフィールドを焦土と化す。
「すっげ、すっげ、スッゲー!龍可龍可!今のスッゲーコンボじゃない!?」
「そんな……あのデッキ構築もこの為……!?」
あり得ないデッキ構築にロマンをぶち込んだふざけたコンボ、だがそれ故に予測不能。
「あんた……とんでもないもんばっか仕込んでるのね……」
「まぁな、だが……まだ先がありそうな気がする。バトル!全てのモンスターで攻撃!」
龍亞&龍可 LP7800→0
ボルテックスの放つ竜巻を束ねたブレスに、ガイアの放つ衝撃波、更に『ホープ』の剣が重なり、巨大な荒波となって龍亞達のLPを打ち砕く。決着――華々しい勝利を得、コナミ達は何とか年上の威厳を守り、ツァンはトリシューラプリンを得たのだった。
「ねぇねぇ、勝ったって事はプリンは僕のものだよね!ね!」
「……これではどちらが子供か分からんな……」
「う、うっさいし!ほらほら寄越しなさいよ!」
早速トリシューラプリンを催促するツァンにコナミがやれやれと溜め息を溢す。そんな時だった――彼等が、この孤児院に帰って来たのは。
「おっ、何だか面白そうな事してんなぁ」
「ちょっ、ちょっとユーゴ、早過ぎるって――え――?」
青い紙にバナナのように重なった前髪、コナミが良く知る顔、ライダースーツを纏った少年に、ピンク色の髪をツインテールで結び、これまたライダースーツを纏った彼女は――。
「柚子……!?」
「コナミ……!?」
――――――
一方その頃、遊矢達はと言うと――
「はい、タイーホ」
「誤解だぁー!俺はやってねぇ!俺は悪くぬぇーっ!」
「なぁなぁ遊矢!手錠だぞこれ!本物だ!おお、あっちはパトカーだな!初めて乗るぞ!」
「キキッ!」
「お前等ちょっと黙ってくんない?元凶なんだからさ」
ファンファンと鳴り響き、赤く輝くサイレン、仲間達の両手にかけられ、拘束する冷たい金属を前に遊矢は遠い目をして溜め息をつく。どうにも現実を直面して見る事が出来ない。目の前で零児が手錠をかけられるのを見て、何の冗談かと笑いたくなる。そして――警官が遊矢の肩をポンと叩き――カチャリ、冷たい金属が彼の両手を拘束する。
「はい、君もタイーホ」
「どうしてこうなった」
それでも俺はやってない。榊 遊矢――シンクロ次元にて前科一犯。エンタメデュエリストとしてこれはどうなんだろうかと考えながら、彼は全ての元凶となった沢渡とセレナにウフフと優しい、幼い子供をあやすような笑顔を向けるのだった――。
ブレスレット「出番かな?」
ストックを書いていると禁止制限が追い付かない。取り敢えず128話には2017年7月のものとなり、141話位に今現在2017年10月のものとなると思います。一応変更の際には都度に前書きに書くようにします。違和感があるでしょうがご了承ください。
オマケ
零児(月影たすけて)ジー
月影(分かってるでござるよ零児殿……自分は良いから零羅殿を任せたと言う事でござるな!)グッ
零児(あの野郎零羅連れて逃げやがった……!ぜってぇ減給だわ……!)ギリィッ