遊戯王ARC―V TAG FORCE VS   作:鉄豆腐

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活動報告にて番外編についてのアンケート実施中です。興味のある人はご意見ください。
それはそうと今月のVジャンが売り切れとは……漫画ARC-V見たかったのに……こんな事が本当にあるとは……俺には鉄の意思も鋼の強さもなかった……!


第9話 おい看板賭けろよ

「コナミー?朝よーって……ええ!?」

 

小気味の良いノック音がドアを叩き、部屋の主たるコナミが返事を返す前にこの家の主の娘である柚子が入室する。あまり誉められた行為ではないが、最早毎朝の作業と化しているため遠慮は必要ない。コナミは起こすまで寝る。某居眠りポケモン並みに眠るコナミの生活を正すために柚子は彼の部屋まで赴いているのだ。今日もぐっすり寝ているだろうと思ったのだが――その予想は裏切られた。

 

なんとコナミが起きているのだ。デュエルするか寝るかが主な行動のコナミが。素良に「デュエルおばけ」と言われる程のあのコナミが。慌てて柚子は片膝を立てて座るコナミの前に座り彼の額に手を当てる。

 

「……どうした?」

 

「熱は……ないわね……じゃあどうして……?」

 

「……今日は急ぎの用があるから早起きしただけだ。夢の中だけ満足しても意味がないからな」

 

「え?」

 

柚子の困惑した表情に見向きもせず、床に置かれたカードをデュエルディスクに設置しツカツカと部屋を出る。その前に。

 

「……道場破りに行く。昼頃には帰ってくる」

 

バン、とまるで犯罪者を刑務所まで連れていくトラックのドアが閉まるような音と共にコナミは家を出た。

 

「…………えっ」

 

後に残された柚子は間の抜けた声を上げる他なかった。

 

――――――

 

舞網市B地区。裏通りから続くその道には一軒の道場が存在する。厳かで神聖な雰囲気を醸し出すその道場の前で2人の少年が言い争ったていた。

 

「いい加減にしやがれ黒門!なんであんな馬鹿な事やってんだ!」

 

1人は竹刀を持った背丈の低い少年。鋭い目付きに無造作に伸びた髪。快活で人付き合いの良さそうな印象を見受ける。そんな彼が表情を険しくし、目の前の少年を睨めつける。今にも飛び掛かりそうな光景である。

 

「はんっ!テメェにゃあ関係ねぇだろ!裏切り者の刃君よぉ!?」

 

もう1人は緑の髪に大きなヘッドバンド、幾つものピアスに鼻の頭に貼られた絆創膏。此処の物と思われる黒い道着を着崩した如何にも不良と言ったような特徴の少年だ。彼は顎を反らし、刃と呼んだ少年に向かい不快そうな表情を隠しもせず挑発する。

 

「ッ!裏切り者だぁ!?ふざけんな!俺が何時裏切ったってんだ!?」

 

少年の言葉で頭に血が上ったのか、犬歯を剥き出しにして黒門と呼んだ少年に掴み掛かる刃。本人も気がつかず息が荒々しくなる。

 

「ああ!?テメェが俺達に何の相談もせずLDSに移籍したからだろうが!?」

 

「ッ!?それは!?」

 

「今更どうでも良い!テメェはもうこの道場にとって部外者なんだ!俺達の事も放って置いて貰おうか!!」

 

「そう言うわけには……!」

 

額を擦り付け合い、今にも殴り合に発展しそうな険悪な雰囲気を出す2人の少年。そんな彼等の耳に。

 

――――――

 

「……何だこの音?」

 

「ああ!?誤魔化す気かテメェ!」

 

「いや……待て黒門。何か聞こえねぇか?」

 

――――――

 

「…………何だこの音?」

 

その場に響き渡る音色に奇しくも先程の刃と同じ反応を返す黒門。

 

「……ハーモニカ……?」

 

そう彼等の耳に届いたのは間違いない。ハーモニカの音色。たがしかし、その音色を運ぶ者の影はない。一体何処から。と二人の少年が首を傾げた時。

 

――――――

 

「……おい、ありゃあ……」

 

彼は現れた。朝陽を背にハーモニカを吹きながら此方に静かに、ゆっくりと近付く人影。2人の少年は目を凝らしその人影を注視する。眩き光を背負う人物の正体。段々とその姿が見えてくる。右腕には黄金に輝くデュエルディスク。鍛えられた腕を剥き出しにした野性的なノースリーブのジャケット。そしてトレードマークの赤い帽子。そう、コナミである。

 

「…………」

 

「…………」

 

赤帽子の少年の登場に口を開き唖然とする黒門と刃。それもそうだろう。いきなり見知らぬ人物が朝陽をバックにハーモニカを流暢に吹きながら悠然と此方に歩んで来るのである。シュールを通り越してホラーである。何よりも二人の思考を支配する物は。

 

((ジャケット糞ダセェ))

 

ノースリーブのジャケットである。もうハーモニカとか、目の前の少年の正体とかどうでも良かった。2人の頭の中はジャケットで一杯である。なんでノースリーブ?それどこで売ってるの?もしかして手作り?なんか此方が恥ずかしいからジャケットだけでも脱ごうか?口に出したいが少年の発する謎の威圧感が二人の口を縫い付けるように閉ざす。と言うか関わりたくない。そんな彼等の考えは。

 

「……お前は……確かLDSの……」

 

全て壊すんだ!彼等の祈りも虚しく書き消される。声を掛けられた刃はビクリと肩を揺らす。傍に立つ黒門は先程の口喧嘩の時よりも激しく刃を睨み付ける。「お前コイツの知り合いかよ」と鋭い目で刃を責める。そんな黒門の無言の圧力から目を反らし、冷や汗をダラダラと垂らしながらコナミに返事を返す。

 

「……そう言うお前は遊勝塾の……」

 

「コナミだ」

 

「……ああ、そうだったな……」

 

コナミの簡潔な自己紹介に力なく返事を返す刃。一方コナミはキョロキョロと道場を見渡し、最後に黒門をジッと見つめる。ビクリと肩を揺らす黒門。

 

「……お前は此処の門下生か……?」

 

「おっおおう……何だテメェコラ!」

 

コナミの観察するような視線に気を削がれながらチンピラのような言葉を放つ。気のせいか声に勢いがないが。

 

「道場破りに来た」

 

黒門の攻撃的な視線をかわし、まるでコンビニで「それチンして」と言った風な軽く重大な事を言い放つ。コナミの宣言に何を言っているのか分からないと言った様子で目を瞬かせる黒門。しかしすぐに理解する。この男は本気で言っている。と。

 

「ッ!ふざけんな!何を馬鹿な事言ってんだテメェ!」

 

息を荒げ、青筋を浮かべコナミを睨む黒門。しかし傍に立つ刃はニヤリと口を歪め、ポンと黒門の肩を叩く。

 

「いいじゃねぇか黒門。看板賭けろよ」

 

「はぁ!?テメェ……!他人事だと思って」

 

「いいのか黒門?コイツは強いぜ。コイツならお前も満足できると思うぜ」

 

「……コイツが……?」

 

何やら言い出したコナミを放って話が進んでいく。そんなコナミが目に入ったのか刃はコナミを手招きし、小声で喋りかける。

 

「あー……コナミ、俺は刀堂 刃。LDSシンクロコースに所属している。ちょっとすまねぇけど協力してくれ」

 

「頼む!」と両手を合わせて頭を下げる刃。

 

「……何があった?」

 

「俺は元々この二階堂道場に通っててよ。LDSからスカウトが来て移籍したんだが、その時にそこの黒門 暗次が裏切り者呼ばわりしてきてな。俺が道場から離れて競争相手が居なくなったのかデビルズ・ゲートとか言う不良グループを作って見境なくデュエルするようになった……。強い奴を探してな。このままじゃあいつがダメになっちまいそうでよ……頼む協力してくれ……!」

 

眉を八の字にしてコナミに頼み込む刃。本来なら敵である遊勝塾所属のコナミにあたまを下げると言うのは相当の事なのだろう。コナミは成程、刀堂 刃(シンクロ)のせいなのねと思いながらポンと手を合わせる。そう言う事なら渡りに船だ。

 

「おい黒門」

 

「ああ?」

 

「この道場の看板を賭けてオレ達と公式戦の、タッグデュエルをしろ」

 

「……テメェ……」

 

歯を食い縛り、目を剥く黒門。そんな彼に間髪入れず言い放つ。

 

「恐いのか?」

 

「上等だゴラァ!」

 

言っては悪いが見た目通り粗暴で単純な人物のようだ。ドカドカと大股で道場に入り、「こっち来いやぁ!」と青筋を立てる黒門に案内される。外は和風で神聖な空気を醸し出しいたが中は意外にも広く機械的である。よく見れば其処らに木刀やらバイクっぽい乗り物が不規則に置かれている。

 

「光焔!ちょっと来い!」

 

「はっはいぃっ!」

 

苛立ちを含んだ怒鳴り声に道場の隅で体育座りをしていた女の子がビクリと肩を揺らし立ち上がる。どうやらここの門下生のようだ。黒門と同じ黒い道着に袴を彼とは違いキッチリと着こなした茶髪のおどおどとした少女。彼女はあわあわと忙しなく駆け寄ってくる。

 

「タッグデュエルだろ?俺はこの光焔 ねねとタッグを組むぜ」

 

「タッ、タッグデュエルですかぁ?聞いてませ……」

 

「文句あっか?」

 

「あ……ありませぇん……」

 

犬歯を剥き出しにし、ギロリとねねを睨み付ける。脅しである。見た目通り弱気な彼女は頭を守るように抑えて涙目でコクコクと何度も頷く。まるで肉食動物と小動物である。気のせいか黒門の後ろに虎が、ねねの後ろにリスが見える。

 

「帝野ぉ!アクションフィールドを展開しろぉ!!」

 

道場の奥に居座る帽子を被った少年へ大声で怒鳴りつける。同じく道着を着ている彼も門下生だろう。帝野と呼ばれた少年は「へいへい」と呟きながらアクションフィールドを展開する。光の粒子と共にフィールドが姿を変えていく。足元は地面に変わり、ひび割れ、崩れていく。まるで海底のごとき暗い崖が出現し、巨大で禍々しい門がそびえ立つ。

 

「ハハハッ!最ッ高だぜ!!なぁ刀堂!?」

 

「チッ『暗黒界の門』かよ……」

 

「成程……。奴のデッキは『暗黒界』か……」

 

口を歪め、笑い声を上げる黒門と苦々しい顔で歯ぎしりをする刃。コナミは2人のやり取りで察した。黒門のデッキの正体を。『暗黒界』とは手札から墓地へ『捨てられる』事により様々な効果を発揮する悪魔族のモンスターで構成されたカード軍である。手札交換を行いながら強力なモンスターを展開し、攻めていく。安定性もあるため使い手によっては脅威を増す。コナミも『暗黒界』に関する知識を持つため警戒を示す。

 

「……コナミ」

 

「……なんだ?」

 

そんな彼に話し掛ける刃。申し訳なさそうに眉を伏せ、唇を噛む。

 

「俺はお前と知り合ってばかりでしかも敵同士だ。そんなお前を頼るのは間違っている。だけど……だけどあいつは」

 

「やめろ」

 

「ッ!?」

 

刃の言葉を遮るようにデュエルディスクを構え光のプレートを展開するコナミ。別に刃の言葉が気に障った。等と言う事はない。ただ思ったのだ。

 

「その先の言葉は……オレに向ける言葉じゃない筈だ」

 

「……へっ!そうだな!」

 

「くっちゃべってねぇで始めるぞ!」

 

痺れを切らしたのか黒門が不快そうな顔色を隠しもせず、地面をガンッと強く蹴る。どうやら相手は既に準備が出来ているようだ。展開されたプレートが物語っている。

 

「戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」

 

答えるようにデュエルディスクを構え口上を放ったのは刃。彼はニヤリと黒門を挑発するように笑う。ならば、とコナミが身を乗り出し刃に続く。

 

「モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い!」

 

彼等の挑発的な態度に苛立ちを覚えた黒門は歯を食い縛り、対抗するように吠える。

 

「フィールド内を駆け巡るゥ!!」

 

その鬼気迫る表情に隣で小さく身を縮ませるねねが「ぴぃっ」と怯え両手で頭を抑える。……あのタッグは大丈夫だろうか?

 

「みっ、見よぅ、これぞデュエルの最強進化形ぃぃ……!」

 

あんな状態でも口上を言うあたり大丈夫なようだ。隣の鬼に怯え震えながらもまるで生まれたての小鹿のように頑張っている。

 

「「「「アクショーン!!」」」」

 

そして。

 

「「「「デュエル!!」」」」

 

其々の譲れないものを賭けてデュエルが始まる。

 

「まずは俺だぁ!俺のターン!」

 

山札より力強く5枚のカードを引き抜き、自らのターンを宣言したのは黒門。彼は自らの手札を見てニヤリと笑う。何を引いた――コナミが思考したその時。

 

「さぁいくぜ!魔法カード発動!!『手札抹殺』ゥ!!お互いに手札を捨てようぜぇ!刀堂ぉ!俺は4枚、お前は5枚だ!」

 

口角を吊り上げ、此方を嘲笑うかのように声を上げる黒門。『手札抹殺』。その効果は手札を全て捨て、その数だけドローする。強力な手札交換、墓地肥やしのカード。制限カードの名に相応しい効果であろう。そしてこのカードは『暗黒界』において凶悪なカードとなる。

 

「さぁショーの始まりだぁ!!手札から捨てられた『暗黒界の狩人ブラウ』、『暗黒界の術師スノウ』、『暗黒界の武神ゴルド』の効果発動ぉ!!まずはゴルドの効果ぁ!効果によって手札から墓地に捨てられた場合特殊召喚するぜぇ!」

 

暗黒界の武神ゴルド 攻撃力2300→2600

 

暗き谷底より這い上がりしは巨大な黄金の悪魔。巨体を覆うほどの翼を広げ、その刺々しいフォルムを、屈強な肉体を誇示するかのように地に降り立つ。武神。その名に相応しき片刃の斧を自らの前に構え、紅く輝く眼でコナミ達を睨み付ける。門の力を帯びた強力な気迫に当てられたのか刃は一筋の汗を垂らし、後退りしてしまう。

 

「まだまだぁ!スノウの効果!効果によって手札から捨てられた場合、デッキの『暗黒界』カードを手札に加える!俺が手札に加えるのは『暗黒界の取引』!そして『暗黒界の狩人ブラウ』の効果ぁ!1枚ドロー!まだまだ行くぜぇ?さっき手札に加えた『暗黒界の取引』発動。1枚ドローして1枚捨てるぅ!」

 

黒門 暗次 手札4→5→6→7→6

 

「さらにぃ!アクションフィールド『暗黒界の門』の効果。墓地の『暗黒界の狩人ブラウ』を除外し、手札の『暗黒界の龍神グラファ』を捨て1枚ドロー!」

 

黒門 暗次 手札6→5→6

 

「ソリティアやめやがれ!」

 

「テメェに言われたかねぇ!」

 

余りにも長い動作に竹刀を振り回し、黒門に怒りの矛先を向ける刃。しかし刃のデュエルを知っている黒門にとっては正にお前が言うな。と言った処である。そんな事を知らないコナミはどっかの蟹よりマシ、と暢気にアクションカードを拾っている。抜け目のない男である。

 

「まぁいい。これで終わりだ。『暗黒界の尖兵ベージ』を召喚」

 

暗黒界の尖兵ベージ 攻撃力1600→1900

 

現れたのは槍を手に持った悪魔。骨の鎧を纏ったその姿は不気味という他ない。

 

「そしてベージを手札に戻し、墓地の『暗黒界の龍神グラファ』を特殊召喚する!!」

 

暗黒界の龍神グラファ 攻撃力2700→3000

 

尖兵を押し退け、フィールドに現れたのは『暗黒界』最強のカード。恐竜の頭蓋のような恐ろしき頭に3本の山羊のような角がうねり、肉食恐竜の骨が兜のように装飾されている。首から下は先の武神、ゴルドよりも刺々しい肉体を持ち、肘や膝には頭の角と同じものが生え、凶悪さを更に増している。正に龍の神。暗黒界の頂点を統べる悪魔がその巨大な翼から紫電を放ち、顕現した。

 

「カードを3枚伏せてターンエンドだ。さぁテメェの番だ。赤いの。満足させてくれよ?」

 

黒門 暗次&光焔 ねね LP4000

フィールド 『暗黒界の龍神グラファ』(攻撃表示) 『暗黒界の武神ゴルド』(攻撃表示)

セット3

手札3(黒門) 手札5(ねね)

 

2体の2500オーバーのモンスターを場に揃え、磐石の布陣を引いた黒門。大口を叩くだけあって実力も確かなようだ。一方、挑発された当のコナミはと言うと。

 

(どうして……D-ホイールと合体しないんだ……)

 

フィールドの外で転がっているバイクのような乗り物に視線を移し、どうでもいい事を考えていた。因みにコナミの見つめるそれは当然、D-ホイールではなく、バイクのような乗り物である。バイクでもD-ホイールでもない。例えD-ホイールであったとしても何故合体する事が前提なのか小一時間問い詰めたい処である。

 

「……オレのターン、ドロー。俺は手札のアクションマジック『回避』を捨て、『ペンデュラム・コール』発動。デッキより『竜脈の魔術師』と『竜穴の魔術師』を手札に加え、スケール1の『竜脈の魔術師』とスケール8の『竜穴の魔術師』でペンデュラムスケールをセッティング」

 

2枚のペンデュラムカードがコナミのデュエルディスクの両端に設置され、その間に七色の光が灯る。2体の魔術師が光の柱となって、暗き闇が支配する渓谷を照らしていく。

 

「ペンデュラム!?ありゃあ榊 遊矢とか言う奴だけが使うんじゃ……!?」

 

「はぁ~……綺麗ですぅ」

 

コナミが繰り出すペンデュラムに驚愕と感嘆の声を漏らす2人組。それもそのはず、今現在、ペンデュラム召喚を操る者はペンデュラムを産み出した榊 遊矢のみとされているのだから。だが実際にペンデュラム召喚を使うデュエリストは3人。ペンデュラムの開祖、榊 遊矢。LDS最強のデュエリスト、赤馬 零児。そして赤帽子のデュエリスト、コナミ。しかし世間で知られているのは榊 遊矢だけ。驚くのは無理もない。と言っても3人のデュエリストを知る刃は驚いてなどいないが。寧ろ黒門の間抜け面を見られて得意気にニヤけている。

 

「これでレベル2からレベル7のモンスターを同時に召喚可能。揺れろ光のペンデュラム、虚空に描け魂のアーク、ペンデュラム召喚!」

 

光の渦が発生し、中より2体のモンスターが現れる。1体は眩き光を放つ、水晶で作られた多面体の戦士。もう1体は炎の鬣を持つ荒々しさと力強さを感じさせる炎の戦士。2体の戦士はコナミの前を交差するように降り立ち前方の悪魔を見据える。その光景はまるで特撮ヒーローのワンシーン。悪の怪物と正義のヒーローを思い浮かべるような何とも少年心を擽る光景である。

 

「『E・HEROプリズマー』、『E・HEROブレイズマン』を特殊召喚」

 

E・HEROプリズマー 攻撃力1700

 

E・HEROブレイズマン 攻撃力1200

 

「そしてブレイズマンの効果によりデッキから『融合』を手札に加える。更にプリズマーの効果エクストラデッキの『E・HEROジ・アース』を公開し、ジ・アースの融合素材である『E・HEROオーシャン』をデッキから墓地に送る事でプリズマーをこのターン中『E・HEROオーシャン』として扱う。リフレクト・チェンジ」

 

プリズマーの体が虹色に輝き、みるみる内に姿を変えていく。頭部は鮫やイルカを思わせるヒレのついた青いマスクに、体の色も青に変わり、筋肉質なものに、右手には赤と緑の宝玉が装飾された杖が握られている。その姿は正真正銘『E・HEROオーシャン』そのもの。多面体の戦士は一瞬で海の戦士へと姿を変えたのだ。

 

「『融合』を発動。手札の『E・HEROフォレストマン』とフィールドの『E・HEROオーシャン』となったプリズマーを融合、融合召喚。現れろ『E・HEROジ・アース』」

 

E・HEROジ・アース 攻撃力2500

 

自然の力を宿した樹海の戦士と大海原の戦士が渦となり、新たな戦士へと姿を変える。頭頂部は紫、その全身は純白。胸に輝くは真紅のコア。地球の名を冠する英雄が灼熱の大気を帯びて現れる。

 

「さらに魔法カード『ミラクル・フュージョン』発動。墓地の『E・HEROオーシャン』とフィールドの『E・HEROブレイズマン』を除外し、融合召喚。現れろ『E・HEROアブソルートZero』」

 

E・HEROアブソルートZero 攻撃力2500

 

熱された大気を凍らせ地に立ったのは白銀の英雄。肩部は氷柱の様に尖り、腕も鋭角にカーブしたパーツが取り付けられており、攻撃的な外見をしている。それでも気品を感じさせるのは美しき純白のマントを靡かせているからか、それとも純粋にその姿が幻想的だからか。

 

「『E・HEROジ・アース』の効果『E・HEROアブソルートZero』をリリースし、その攻撃力を吸収する」

 

E・HEROジ・アース 攻撃力2500→5000

 

「攻撃力5000!?」

 

ジ・アースの体が熱を纏い、真紅に染まる。更に両手に赤きマグマが噴出した剣が握られる。これこそが『E・HEROジ・アース』の真の姿。地球灼熱(ジ・アースマグマ)。

 

「そしてフィールドを離れた『E・HEROアブソルートZero』の効果によりお前達のフィールド上のモンスターを全て破壊する。凍てつけ」

 

「なっ!?」

 

黒門達の場の悪魔が凍りついていく。自らを覆う氷を何とかしようともがく龍神と武神。しかしもがけばもがくほどボロボロと体は崩れていく。

 

「モンスターまで……!」

 

「バトルだ『E・HEROジ・アース』で攻撃。地球灼熱斬(アース・マグナ・スラッシュ)!」

 

ジ・アースが灼熱の双剣を構え、黒門へと肉薄する。たった2ターン。これで全てが終わる。

 

「アクションマジック発動!!」

 

そう、思われた。




今回登場した黒門、ねね、帝野は激突DC及びTFSPのキャラです。刃が元々別の塾の塾生。と言うのはオリジナル設定。ほらデュエルが上品なやり方じゃないのは元々LDSじゃないから(震え声
兎に角、漸くタッグデュエルが出来ました。
……ん?タッグデュエルじゃないくてアクションタッグデュエル?
…………勘の良いガキは嫌いだよ。

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