ぼっちと九人の女神たちの青春に、明日はあるか。   作:スパルヴィエロ大公

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はじめての外伝です。
やっぱりたまにはイチャらぶしたい!てな訳で今回は真姫ちゃん編どうぞ。
・・・改変あり、言わなくても分かるね?あと作者の妄想全開なのでご注意。

それと読む前に。

真姫ちゃんかわいいー?サン、ハイ!


外伝 やはり俺の青春がラブコメっているのはまちがって・・・いる?with μ's
西木野真姫編~ひと夏の青春は、紅き色にて彩られている。


人はパンのみにて生きるにあらず。

キリストの有名な説教である。

 

俺はこの言葉を、二つの理由でその通りだと思っている。

一つは人間というのは物質的に、つまりただのんべんだらりと生きていればいいってもんじゃない。

常に何かしら目的意識をもって行動する。そうでないとあっという間に堕落していってしまう。

 

特に、時間の有り余る大学生活においては、な。

 

そして二つ目。

これは聖書の解釈ではなく捻くれた・・・じゃなくてリアリストの俺の理論だが。

実際問題人間パンだけじゃ生けていけないのだ。栄養面の問題もあるし、加えて文明の高度の発達した現代、医療なり娯楽なり生活に必要なものは多岐にわたる。

 

で、それらを手に入れるためには、何より金と職。

結局はこれが決定的に重要なのだ。

そして職を得て金を稼ぐには、学歴と資格、それなりのコミュ力がまた必要になってくるのである。

 

・・・ああ、必要なもの多すぎるだろ常識的に考えて。

イエス様よぉ、ほんっと人ってパンだけじゃぁ生きてけないっすよぉ~。やはり人生は辛かった、ぼっちにとっては。

あと改めて働きたくないなあと思いました(小並感)。

 

 

「―――相変わらずね、ホント・・・。

ポエムとも愚痴とも取れない文章を書かせたら一人前だわ。今度海未にも読ませてあげようかしら?」

 

「やめてくださいしんでしまいます」

 

さて今、人生で何回目か分からない土下座の最中である。

一回目は・・・えーと小学生の時教室の花瓶が割れたのを俺のせいにされて校長に謝りに行った時だっけか?おかげで笑って許してもらえたけど。

そっからあとは知らん。旅と人生の恥はかき捨てるものなのだよ、諸君。

 

「ま、今回は大目に見てあげる。その代わり今晩の夕食は一緒に作って一緒に食べること、いいわね?」

 

「・・・おい夜に女子を部屋に連れ込むのってちょっとまずいんだが」

 

「い・い・わ・ね?」

 

「はいよくわかりました」

 

そこで彼女は―――西木野真姫は満足げに、小悪魔的な笑みを浮かべたのだった。

 

俺たちが高校を卒業して、既に2年目になる。

人生いろいろと歌にもあるように、高坂達μ'sの面々もまた、それぞれの道を歩んでいた。

 

俺の知る限り、高坂は短大に行き将来アナウンサーを目指している。南は欧米に留学し服飾を勉強中。

園田は体育大で武道を専攻し、星空も同じ大学で陸上選手として活躍している。絢瀬会長は生まれ故郷ロシアでバレエを、東條副会長は神道を勉強しているとか。

矢澤は本格的にアイドル歌手としてデビュー。どっちかっつうとお笑い芸人のほうが向いてる気もしないが、言ったら殴られるから言わないけど。

小泉は児童心理を学びつつ、ファッションモデルとして活動していると聞いた。

・・・何で知ってるかって?だって向こうが教えてくるんだもん俺は悪くねぇ!

 

そして西木野。

国立大学の医療系学部へと進学。ちなみに俺はというと、同じ大学の文学部。

おそらく臨床心理士を目指しているようで、俺も一応教職課程で教員資格を取るつもりだ。

 

で、まあ・・・その、なんだ。

 

西木野が今年の春に大学合格が決まると同時に、俺たちは交際を始めることになった。

 

え?金絡み?援助?それは犯罪です。ちゃんと向こうのご両親からお墨付きも得た正式なもんだってばよ。

あん?何か脅したに違いない?ヌポォ裏切り者よ爆発しろぉぉ、だって?

・・・脅しなんて誰がするか大体仕方ねえだろ、「私と一緒に夢を叶えるんだから!だから貴方、先に行って待ってて!」なんて言われたら惚れるしかないだろうが。

今まで暗黒に限りなく近いバレンタインの日。それが鮮やかな紅に染まった初めての時だった。

つまり俺は悪k(ry・・・あと財津くーん?海老名さんと二人で同人ゲーサークル作ってるんじゃないのかね?

先にのろけ話を聞かせまくっていたのはお前だろうに、今さら何を言うか。

 

さて、今は夏だ。それも大学生の夏だ。

文系と理系――特に医学部――とでは断然後者の方が忙しいとはいえ、それはあくまでも大学生としての話だ。

やはり夏休みというのは結構時間が空く。そんな時こそ、と思い立ったのが大学で紹介された免許合宿だ。

前にも書いたがパンだけじゃ生きてはいけぬ。金と職、それらを手に入れるために学歴と資格が必要なのである。

勿論大学でも資格を取るために学問を修めているわけだが、それを手にするのにはまだ時間がかかる。それでまずは比較的取りやすく、そして必ずや必要となる運転免許を、ということになった。

・・・コミュ力はどうしたって?そっちはもうどうにもならんだろ。

あと愛しの小町から「ドライブできる男の人はポイント高い」なんて言われりゃ取りに行くしかないだろ、常識的に考えて。

 

で、来る前はやはり合宿ということで元ぼっちの俺にはきついだろうと思っていた。

ほら、やたらチャラいリア充とかに馴れ馴れしくされて、こっちがそっけなく接してると村八分にされるとかさ。だから集団生活は嫌いなんだよ。

しかし蓋を開けてみれば、朝食を皆で取る以外にこれといって合宿要素はなかった。・・・それでいいのか、おい。

期間が決まっている分教習はそれなりにキツいことぐらいか。まあ、今は2人ともどうにかついていけているし問題はないな。

 

「・・・さてと!来週はいよいよ仮免試験ね、気合い入れていくわよっ」

 

「お前・・・なんか矢澤っぽくなったな、性格が」

 

「に、にこちゃんは関係ないでしょ?!この浮気者!」

 

あ、西木野がデレツンモードに入った。やっぱ矢澤に似てきてるだろお前。

それと足踏むの止めてください足がダメになったら免許がああああ!

 

 

それから一週間経ち。

どうにかこうにか2人とも仮免は突破、晴れて路上教習への道が拓けることになった。

 

「それにしても、意外とみんな制限速度守ってないものね・・・恐怖を克服するのに時間がかかりそう」

 

「ま、周りがそうだと杓子定規に制限守る方が却って危ないわな。腹立たしいことだが」

 

日本人の悪癖のひとつ、"何でもすぐ周りに合わせる"がここでも垣間見える。

このケースは交通安全という命にかかわる問題だけに色々と厄介だ。でもな、頼むからドライバーさんよ、こっちが初心者マーク持ちだっつうことを忘れんでくれ。

 

そんなこんなで、路上教習と座学ですっかりくたくたになった俺たちだが、それでも守っていることがある。

夜は自炊する、以上!

何せここの教習所は田舎にあり、集中して免許取得に励めることをウリにしている。それは裏を返せば娯楽も何もないということだ。

まあ、暇な時間は二人で勉強すればいい。あるいは音楽でも聞くとか。しかし飯は、安く美味く済ませるには自炊以外に道はないのである。

 

「しかしお前・・・ホントにトマト好きだな」

 

「ハヤシライスからトマトを抜くなんて味噌汁に豆腐を入れないくらいあり得ないわ」

 

「野菜サラダにもトマトあるじゃねえか・・・」

 

夏野菜だからいいけどよ。

ともかく腹が減った、さっさと食おう。

 

「「いただき、ます」」

 

―――あ。

 

「・・・」「・・・///」

 

ハモった。

これまた絶妙にハモった。お願い、照れんといて西木野はん。

 

「お、落ち着くのよ真姫ちゃん、0、2、3・・・///」

 

「0は素数じゃねえぞ。取り敢えず水飲んで頭と顔冷やせ」

 

「う・・・し、知ってたわよ・・・は、八幡だって顔、赤いわよ・・・///」

 

「・・・お、おう」

 

ごめん。

やっぱりこいつ、可愛過ぎるだろ。

 

 

夜。

飯とその後片付けが済むと、西木野は一旦自分の部屋へ戻った。

近くの河原で花火大会があるので浴衣へ着替えるとのこと。

 

別にそこまで気を使わなくてもいいだろうに。

浴衣でなくてもどんな服でも、美人が美人であることには変わらないのだから。

 

その時、部屋の扉がノックされる。

やべ、オラすっげぇドキがムネムネすっぞ。どこの変態幼児だ俺は。

 

「は、八幡・・・入っていいかしら?」

 

「ん、ああ・・・いいぞ」

 

 

その次の瞬間。

 

髪の色とは対照的な、蒼い浴衣姿の西木野が姿を現す。

 

 

美しい。瞬きも止めてじっと見入ってしまう。

 

 

「ど、どう?」

 

「―――完璧、だ。似合ってる」

 

「・・・ばか///」

 

ツンデレ、いただきました。

 

俺も手早く支度を済ませ、2人揃って家を出る。

一応合宿なので門限はある。それでも1時間半はあるので、祭りの終わりまではぎりぎり余裕はある。

さっさと行くとしよう。

 

「「・・・・」」

 

外は、とにかく暑い。それが熱帯夜の所為かは分からん。

ま、間違っても2人並んで手を繋いで歩いているからじゃないんだからね!きっと、多分、メイビー。

男がツンデレてどうすんだよ、俺乱れすぎだろ。

落ち着け、落ち着くにはどうすればいいか。1.逃げる。2.だんまりをやめて話しかける。

・・・実質一つじゃねーか。

 

どうしようか。

 

その時、ふと、胸に浮かび上がってきたことを言ってしまう。

 

「・・・こんな時になんだが、一つだけ聞いてもいいか?」

 

「何?そんな深刻な顔しちゃって」

 

「進路のことだ。本当はお前、音楽を学びたかったんじゃないのか?」

 

「!」

 

我ながら、空気の読めていない質問だと分かってはいた。

そう、西木野は音楽の才能に満ち溢れ、かつては学業面でもその道へ進むことを考えていたはずなのだ。

あわよくば、海外へ行くことだってあり得たはず。

 

まさか、俺なぞのために夢をあきらめたのか?

 

情けない話だが、そう聞くのが怖いと思う自分がいた。

何をしてる。

お前の求める本物とはこの程度なのか?こんな素晴らしい彼女に、醜く失着してしまうのか?

 

「―――バカね」

 

「は?」

 

「医療と音楽が関係ないなんて、大昔の話じゃない。

今は音楽療法が難病の治療とかでもすごく重要だって、聞いたことないの?」

 

―――あ。

 

音楽療法の重要性は、さておき。

そういえば学内の広報誌で、俺が入学した年から医学部に音楽療法士の育成課程を始めたと、いつか読んだことがあった。

 

「・・・お前はそれを取ってたってわけか」

 

「そういうこと。夢を諦めたとか、か、彼氏に迷惑かけたくないとか、そんな理由じゃないわよ?

私の音楽という能力、それがもし難病の子供が救える一つの道しるべになるなら、この道を選ぶ価値はある。

だから私は、西木野真姫はこの道を選んだのよ」

 

西木野はそう、きっぱりと言い切った。

 

「なるほど。変な事聞いちまって悪かったな」

 

「ううん。むしろ、聞いてくれてありがと。

・・・この道を選んだきっかけは、八幡、貴方にあるんだからね」

 

「・・・マネージャーのことを言いたいのか?」

 

高校時代、μ'sの(実質)マネージャーもどきをやっていたときのことが蘇る。

最初のうちは一緒に筋トレに参加するとか、ただ練習を眺めているだけだった。

それが次第にマッサージを手伝ったり、飯やドリンクを作ったりPV撮影でカメラマンをやらされたり・・・。

あれ、俺立派に社畜してたじゃん。もう(逃げ道が)ないじゃん。

 

まあ確かに、それなりに尽くしてきたし、皆から感謝もされた。

でも西木野にとって、人生の重要な決断をするほどの影響があったと言うのだろうか。

 

「決まってるでしょ。

穂乃果たちと無関係の貴方が、マネージャーとして動いてるときは本当に親身に、真剣に働いてる。

普段はちょっとひねくれたあまのじゃくな男の子が、ね」

 

「あまのじゃくは余計だろ。それに結局は単に流されやすいだけってこった」

 

「そんなことある訳ないじゃない。もし逆に、大切な時にまで変に意地を張るようだったら、貴方は単に私の悪いところをコピーしただけの、本当の意味でヤな男よ。

私から告白するだなんてあり得なかった。この意地っ張りの、私が。

そもそもμ'sだって、貴方の支えなしじゃ機能しなかったわ。違う?」

 

「・・・・」

 

そこで沈黙が訪れる。

 

俺は、今の言葉を信じていいのだろうか。

これは、本当に本物で―――

 

「―――もう。素直になっていいのよ?」

 

すると、いきなり西木野が近づいてきて。

 

 

お互いの唇が、そっと触れる。

 

 

暫くして、離れる。

思考の停止が収まると、西木野をじっと見る。

 

「貴方は、自分を卑下する必要なんて、もう、ないのよ?」

 

「・・・それも医学部での受け売りか?」

 

「ふふ。考えるな、感じなさい」

 

格闘家か、似合わねえぞ。

 

でも。

 

「・・・あ、ありがとうな」

 

「ど、どういたしまして///」

 

お前も緊張してたのかよ。

 

その時、夜空に二つの花火が上がる。

ひとつは紅。もうひとつは蒼。

 

「行くか」

 

「そうね。行きましょう、八幡」

 

夏の夜は、まだまだ終わらない。

 

 

 




かきくけこー!


というわけで読んでいただきありがとうございました。急な企画でごめんなさい。
今は冬とかそんなもん全無視で書いちゃいました。
なお、免許合宿については作者自身の体験を基にしたフィクションです。実際の合宿とは一切関係が(ry
当たり前だが本来は男子の部屋に女子は入れない、逆も然り!忘れんなよ!

ちなみに僕は、夏色えがおで1,2,Jump!が一番大好きです。
今年の夏コミもこれを聞きながら各ブースを回ったのだぜ・・・懐かしいのだぜ。


さておき外伝に関してですが、次回の予定は、

矢澤にこ編~ツンデレアイドルとクールぼっちの恋愛ルートは、案外王道なのである。(仮)

まずにこにーはほぼ確定として。

東條希編~スピリチュアル系女子との四国遍路は波乱万丈である。(仮?)

絢瀬絵里編~ロシアの大地は赤か、白か・・・いや、黄金色である。(・・・仮)

りんぱな編~グルメ系女子たちとの東北旅は以下略。(仮!)

ほのことうみ編~ゴールデンなウィークにはやはり旅をするのが以下・・・。()

以上、予定しています。イチャらぶメインと思っていただいて構いません。
・・・なぜ旅ばっかなんだ?というのは置いておいて。
りんぱなとほのことうみについては完全に嘘予告風ですが、やる気はあります。
ただ個別に八幡とくっつく展開が思いつかんのだよ・・・。

本編の更新と同時に、冬コミ前に一本は投下する可能性あり。
そしてその本編は、二期は劇場版と合体させて書いていく予定です。二期すっ飛ばすとか舐めたこと言って本当ごめんなさい・・・絶対、時間かかってもやります。絶対。

では作者の次回作に(ry




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