そうだ紅魔館に行こう 第1話
僕は湖ではなく、アリスの家に向かっていた。
人里に出掛けた以来帰って来ていないからだ。
別に解決させた後でもいいかなとは思ったが、もしかしたらアリスがこの異変解決に手を貸してくれるかもしれないと思い、湖に向かう前にアリスの家に行くことにしたのだ。
アリスの家に着いた。
ドアをノックする。
ガチャリとドアが開かれ、アリスが出てきた。
「どうもアリスさん。」
「あんた…今まで何してたのよ。まぁ立ち話もあれだから家に入りなさい。」
僕は家に入り、人里での出来事を話した。
人里での出来事を全て話終えると、アリスさんは唖然としていた。
「あなたあの風見幽香の所にいたの!?」
「ええ、どうしてそんな驚いてるんですか?」
「どうしたもこうしたも、あの妖怪は幻想郷の中でもかなりの実力者よ。あなたなんてその気になれば、すぐに殺されるわ。」
ひぇぇ、あの人そんなに強かったんだ。
戦った時からかなりの実力者だとは思ってたけど、まさかそこまで強いとは。
「それであの妖怪にこの異変を解決させろと言われたわけね。」
「そうなんですよ。アリスさんならこの異変の犯人とか知ってるかなと思ってですね……」
「そうねぇ…思い当たるのは湖に出来た館かしら。」
「湖から館?本当ですか?」
「そう聞いたわよ、魔理沙から。」
魔理沙?誰だそれ。
まぁそれはよしとして、その湖にある館が怪しいな。
早速行ってみるとするか。
「ちょっと待ちなさい。」
行こうとした矢先、アリスに止められた。
「その館に行く前にまず香霖堂に行きなさい。あなたの役に立つものがあるはずよ。」
どうやらアリスいわく香霖堂に行くべきだそうだ。
役に立つものがあるそうだが……果たして本当だろうか。
とりあえず行くことにした。
僕はアリスの家をあとにし、香霖堂へ向かった。
~香霖堂~
アリスに言われた道に進んでいくと、森のなかにひっそりと建っている店を見つけた。
どうやらこれが香霖堂らしい。
店の中に入ると、カウンターに一人の男が座っていた。
「いらっしゃい。ふむ…外から来た人は久々だねぇ。」
「すいません、この店は何のお店なんですか?」
「この店はね、外の世界のいろんなものがある店だよ。」
外の世界のものがある店のようだ。
ということは、銃とかもあるかもしれない。
なるほど、アリスさんはこういうことを考えてこの店に行かせたのかもしれない。
とりあえず使えそうなものを探すことにした。
この店の中には使えそうなものが沢山あった。
銃や弾薬があるのは特にありがたかった。
沢山ある銃の中で僕はショットガンのレミントンM870を買うことにした。
「これください。お代は……」
「あぁ…いいよお代は、どうせ売れなかったものだったし。」
この店主かなり太っ腹な人だな。
「また来ておくれよ。」
「えぇ、また来ます。」
店主の優しさに感動しながら、僕は店を出た。
目指すは湖にあるという館だ。
僕は走り出した。
~紅魔館前~
いったいどんな館なのかと思っていたが、まさかこんなに大きな館だったとは。
そびえ立つ館を前に僕は空を見る。
紅い霧はこの館から広がっていた。
間違いないここが異変の原因だ、僕は確信する。
館の前には大きな門があり、そこに一人の門番がいた。
ゆっくりと近づく。
すると門番が警告した。
「ここは紅魔館、人間は立ち去ったほうがいいですよ。」
どうやらこの館には紅魔館という名前があるらしい。
「今すぐ立ち去ってください。じゃないとただの人間でも容赦しません。」
ただの人間でも容赦ないとは…
でもこのまま立ち去るわけにもいかない。
こうなったら強硬手段にでるか。
「残念ながらこのまま立ち去るわけにはいかない。」
「そうですか、仕方ありませんね。この紅美鈴、全力であなたを倒します。」
門番もとい美鈴が距離を一気に縮め殴りかかってきた。
その拳を僕は後ろに飛んで下がることで回避する。
そして回避しながらショットガンを2発撃ち込む。
「人間の割になかなかやりますね。しかし!」
しかしショットガンの弾丸は全て回避された。いや、弾丸は手のひらの中にあった。
「こんなものでは私を倒すことは出来ません。」
この門番、かなりの強さだ。
スピードが段違いすぎる。
弾幕をはっても駄目ならば接近戦に持ち込むしかない。
僕は霊力で刀を創り出す。
「霊力を操るとは……あなた人間ではありませんね。」
「いいえ、ただの人間ですよ!」
魔力の力を靴に纏わせ高速で美鈴の懐に飛び込む。
そして刀を横に一振り。
だが美鈴の素早い動きにより避けられ、そのまま繰り出された蹴りをもろに受ける。
「最初の動きは速かったんですが、その後はまだまだ遅いですよ。」
やはり接近戦でもきついか。だが僕はまだ諦めない。
僕はバックパックの中からスモークグレネードを取り出す。
そしてそれをそのまま、ピンを抜き目の前に投げる。
その瞬間、あたり一面が白い煙に覆われた。
「むっ…視界が悪いですね。」
あちらもこちらの姿が見えないようだ。
だが僕は美鈴の位置と距離を把握している。
ショットガンを構える。
トリガーに指をかけ、引き金を引こうとしたその時、
白い煙がどこからともなく現れた衝撃波により、吹き飛ばされた。
「こういうことも出来るんですよ。」
どうやら美鈴が気の力で衝撃波を起こしたようだ。
「そろそろ終わりにします!」
〈華符 芳華絢爛〉
美鈴がスペルカードを宣言した途端、大量の弾幕が僕の方に迫ってきた。
これら全てを捌くのは無理だと判断し、僕もスペルカードを宣言する。
〈飛刃 スキップ・ザ・リッパー〉
大量のナイフが出現して飛んでいく。
美鈴の弾幕を僕のナイフが一つ一つ相殺していく。
だが美鈴の弾幕の量がナイフよりも圧倒的に多い。
全てのナイフが無くなりスペルブレイクされると、今まで押しとどめていた弾幕が再び迫ってきた。
僕はもう一枚スペルを取り出し宣言した。
〈光符 メテオールスパーク〉
左手の手のひらを前にかざし、巨大な光線を放つ。
その光線はまるで流星のように弾幕を打ち消しながら美鈴へと、一直線に飛んでいく。
このスペルカードは僕が創ったものではなく、幽香さんから貰ったスペルカードを自分用にアレンジしたものだ。
ちなみにこのスペルは、かなり昔にとある魔法使いにぱくられたとかなんとかと幽香さんが言っていた。まさかアリスじゃないよな……まさかぁ。
急に飛んできた光線を美鈴は避けることが出来ず、その場で防御の構えを取った。
拮抗する美鈴と光線、しかし美鈴は耐えられず光線に飲まれていった。
土煙が晴れるとそこには、ボロボロになった美鈴が横たわっていた。
わぁ~、幽香さんのスペルカードめちゃくちゃ強いやん。
横たわっている美鈴に近寄る。
どうやら気絶しているだけのようだ。
僕は美鈴を近くの木陰に運んで、紅魔館の中へと足を進めた。