傭兵幻想体験記   作:pokotan

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幻想入り 第6話

土の匂いと花の優雅な匂いがする。

うっすらと目を開ける。

明るい、朝になったようだ。

どうやらずっと練習して疲れたせいか外で眠ってしまったようだ。

こわばった体をほぐしながら起き上がる。

そういえば晩ご飯を食べていないことを思い出す。急に胃袋が空腹を訴えだした。

よろよろと幽香さんの家に向かっていると、美味しそうな匂いが漂ってきた。どうやら朝食のようだ。

家に入ってみると幽香さんが朝食を食べていた。

 

「おはようございます……」

 

「あなたの分もあるわよ。早く食べなさい。昨日食べてない分、沢山食べなさい。」

 

あぁ幽香さんが神様に見える。昨日の晩ご飯、抜かしたのはあなたですけどね。

朝食を済ませ元気が出たところで、僕は練習を再開させる。

昨日の練習である程度のコツは掴んでいる。あとは努力しだいだろう。

僕は気合を入れなおし左腕に魔力を纏わせた。

 

 

〜幽香side~

一目見たときから彼には才能があるのは分かっていた。

実際に戦ってみると才能があることに確信がもてた。

だが、彼にその才能を開花させることができるかは私には分からない。

魔力を好きな形にすることをさせているが、正直な話できるか分からない。早くできて一週間はかかるだろう。

もちろんそれは才能があればの話だ。普通の人間じゃ人生の大半はかけないと無理だ。

朝食を済ませ、練習に行ってから3時間はたっただろうか。

様子でも見に行こうか。

私は愛用の傘を持ち、彼の元へ向かった。

 

 

~移動中~

 

 

驚いた。私は彼のことを見くびっていたかもしれない。

様子を見に来ると彼は既に魔力を操り、刀を作っていた。

早くても一週間はかかると思っていたが、まさかたったの2日程度でやってのけるとは。

もしかしたら彼は、私が思っていた以上の力を秘めているのかもしれない。

 

 

~片倉side~

魔力を扱うのは意外と簡単だった。

ちょっとコツを掴んだらあとは気合でどうにかなるもんだね。

もしかしたら僕って才能あるかもドヤ!

あっ今のドヤ顔幽香さんに見られた。そんな変な目で見ないでください。

 

「幽香さん!どうですか?」

 

「まだまだね。これからももっと精進しなさい。」

 

oh....意外と厳しい評価がとんできた。

ちょっと悲しいショボン

 

「ところであなた、スペルカードは持ってるかしら?」

 

「あー……そんなものありましたね。持ってないです。」

 

まずスペルカードの存在自体忘れていた。

でもあれってどうやって手に入れるんだろう?

 

「幽香さんは持ってるんですよね?」

 

「ええ。持ってるわよ。」

 

「どうやって手に入れたんですか?」

 

「手に入れる?違うわよ。自分で創るのよ。」

 

どうやらスペルカードは自分で創れるようだ。

早速創ってみようと思ったが、創り方が分からない。

 

「どうやったら創れるんですか?」

 

「そうねぇ……イメージしたら出来るわ多分。」

 

多分!?投げやりな答えが返ってきた。

とにかくやってみるしかない。

僕はイメージする。

大まかな構成、弾幕の形や大きさ、速度、その他色々……

うーん…なかなかイメージがまとまらない。意外と難しいなこれ。

まず、大まかな構成からイメージ出来ない。

 

「魔力を操れるんだから、それを活用したらいいんじゃないかしら。」

 

おぉそれだ。幽香さんナイス!

とりあえず大まかな構成は、魔力を操って出来たものを相手に飛ばしてみよう。

次は形と大きさか……。

基本的に飛ばしやすそうなナイフがいいかもしれないな。大きさは小さめにしよう。

速度は速いタイプにしようかな。

おぉだんだんとイメージ出来てきたぞ!

そして最後の調整をイメージした時、僕の手元には一枚のカードが握られていた。

 

「出来たようね。それがスペルカードよ。」

 

どうやらこのカードがスペルカードらしい。

このカードの名前を叫べば使えるはずだ。前にチルノがやっていたから。

 

「早速どんなものか見せてみなさい。」

 

幽香さんも気になるようだ。

それでは、やってみよう。

僕は出来たばかりのスペルカードを発動させる。

 

〈飛刃 スキップ・ザ・リッパー〉

 

宣言した瞬間、周りから大量の魔力で出来たナイフが現れ次々に飛んでいった。

そのナイフは瞬く間に標的にしていた木をズタズタに切り裂いた。

イメージ通りに出来た。

けどこのスペルカードは魔力の消費が激しすぎる。一回使っただけで魔力がそこを尽きてしまった。

今度にとりに、容量について相談しようかな。

それにしても、この消費量は予想外だ。

 

「うーん…魔力が無くなったか。」

 

「それなら私の霊力を使いなさい。その義手、霊力も使えるはずよね。」

 

なるほど、幽香さんの霊力があるじゃないか。

幽香さんから霊力をもらいもう一度スペルカードを使ってみる。

問題なく出来た。これなら大丈夫だろう。

 

「もう一枚スペルカードを創ってみなさい。」

 

「そうですね。やってみます。」

 

僕はもう一枚新しいスペルカードの制作を始めた。

 

 

~紅魔館~

紅魔館の玉座に一人の少女が座り不敵な笑みを浮かべていた。

すると一人のメイドが少女のそばに現れた。

 

「そろそろ始めるか、咲夜。」

 

メイドの名前は咲夜。

時を操る能力を持ち、紅魔館唯一の人間である。

 

「かしこまりました、お嬢様。」

 

そしてこのお嬢様と呼ばれた少女の名前はレミリア。

この紅魔館の主であり吸血鬼である。

 

「さあ、今こそ幻想郷を我らが統べる時。」

 

レミリアが空に紅い霧を放つ。

その霧は紅魔館を中心に幻想郷の空を覆っていく。

そして幻想郷は紅い霧に閉ざされた。

 

 

~風見幽香の家~

突然空が紅く染まった。

 

「何ですかこの空は?」

 

「どうやら異変のようね。」

 

どうやらこの紅い霧のせいで植物たちに悪影響を及ぼしているようで、幽香さんのご機嫌はかなり悪い。

 

「あの湖の方から来てるみたいね。片倉、面倒だからこの霧を出してる奴を倒してきなさい。」

 

あーきたよ、とばっちりが。

どうやら幽香さんは僕にこれを止めろと言いたいようだが……正直な所行きたくない。というか無理だと思う。

 

「行っても無理だと……」

 

「行かないとどうなっても知らないわよ?」

 

よし!喜んで行こうか。

だからその傘はおろしてください幽香さん。

 

「霧は湖の方から来てるわ。早く行きなさい。あと解決させるまで帰って来ちゃだめよ。」

 

湖か……思い当たるのはチルノと出会ったあそこしかないな。

というか幽香さん、解決させるまで帰って来ちゃ駄目なんですか?厳しくないですか?それ。

まぁ反論しても痛い目見るだけなんでさっさと行くことにした。

しかし、これほどのことをする人物って何者なのだろうか。

 


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