傭兵幻想体験記   作:pokotan

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そうだ紅魔館に行こう 第4話

〜紅魔館正門〜

正門に行くと、門番の美鈴がナイフで刺されまくっていました。

 

「ちょ!?美鈴どうしたの!」

 

「あっ、片倉さんお帰りなさい」

 

「いやいや、何でそんな呑気にしてるんだよ。ナイフが沢山刺さってるんだけど……」

 

「あぁ、これはいつものことですよ。だから気にしないで下さい」

 

この光景がいつもとか、恐ろしすぎじゃない?紅魔館。

やばい、超怖くなってきた。これなら幽香さんの方が……いや、あれもあれで怖いわ。

 

「そうそう、咲夜さんが中央階段で待ってるそうです」

 

どうやら、咲夜さんが待っているらしい。

美鈴のことが心配だが「大丈夫だ問題ない」とのことなんで、咲夜さんが待っている中央階段へ行くことにした。

 

 

 

 

 

中央階段に行くと、咲夜さんとレミリアさんが居た。

 

「帰ってきたか、片倉。帰ってきて早々悪いが、お前にはこれからの事について咲夜に教わってもらう」

 

「分かりました」

 

「それでは、私について来てください」

 

言われたとおり咲夜さんについて行く。

少し歩いていくと、とある部屋の前に着いた。

 

「この部屋があなたの部屋になります。中に着替えがあるので着替えてください」

 

部屋の中には赤いベッドがあり、その上に着替えが置いてあった。

 

「次は、仕事内容についての話をします」

 

次は仕事の話のようだ。いったいどんな仕事があるのか。

いやぁ、こういう仕事は初めてするから、ちょっとワクワクするなぁ。

 

「基本的にありません」

 

「……え?」

 

「ありません」

 

えぇぇ本当にないのかよ。返せよ!僕のワクワク返せよ!

 

「強いて上げるなら、お嬢様のわがままに付き合うことくらいです。それ以外は自由です」

 

「は、はぁ……分かりました」

 

もはや使用人というか、ここの住人と同じな気がする。

というか、わがままに付き合うとか、それ仕事じゃないでしょ。

 

「それでは私は仕事に戻ります。何か分からないことがあったら、いつでもお尋ねください」

 

そう言うと咲夜さんは、目の前から消えた。

多分あの人の能力なのだろう。いったいどういう能力なのか。

それよりもこれからどうしたものか。まだまだ紅魔館の事はあまり分からないしなぁ……。

あ〜あ暇だなぁ、面白いこととかないかなぁ……

そうだ!あの人がいるじゃないか!

 

 

 

 

 

僕は正門で美鈴と一緒に門番の仕事をしていた。

暇だったら美鈴のところに行くのが一番だと思ったんだけど……

 

「ねぇねぇ美鈴」

 

「何ですか片倉さん」

 

「暇」

 

「ですね」

 

何か面白いことしてくれるかなと思ったんだけど、結果的に暇だった。

お話しようと美鈴を見たら居眠りしてるし。

 

「おーい美鈴、起きろよ。それでも門番かよー」

 

それでも起きない美鈴。この人どんだけだよ……。

嫌がらせに何かしてやろうかなと模索していると、突然美鈴の頭にナイフが刺さった。

 

「ウギャァァァァ!」

 

あっ起きた。今度からナイフを使うのもありだな。

しかし、このナイフは何処から飛んできたのだろうか。不思議に思っていると、咲夜さんが現れた。

 

「はぁ……あなたはまた居眠りして……」

 

「ゲッ…咲夜さん……」

 

なるほど、このナイフは咲夜さんが投げたのか。

ということは、あの時見たナイフだらけのあれも、咲夜さんがしたのか。

うん、今度から咲夜さんには逆らわないでおこう。

 

「片倉様、お嬢様がお呼びです」

 

「あっはい、分かりました」

 

すまん美鈴、僕の力では君を助けることはできないよ。たけど君の勇姿は忘れない。

心の中で美鈴に敬礼を捧げながら、僕はレミリアさんの居る大広間へ向かった。

 

 

 

 

「レミリアさん、どうしたんですか」

 

「おぉ片倉、呼び出してすまないな。実は一つお願いがあるのだ」

 

お願い?どうしたんだろ。

まさか、何処かの戦闘狂みたいに暇だから私と戦えとか言うんじゃないだろうな。もしそうだったら逃げるしかない。

 

「大図書館に行って、この本を返しに行ってはくれないか?」

 

何だ、ただ本を返すだけじゃないか。心配して損したわー。

本を受け取る。本の題名は、“悪魔の恋空”

吸血鬼なのに悪魔の恋空というのはこれはいかに。というかレミリアさんって恋愛小説読むんですね。やっぱり、見た目はカリスマでも心は乙女なんですね。

 

「分かりました。大図書館は何処にありますか?」

 

「大図書館の場所ならそこの廊下を真っ直ぐ行ってカクカクシカジカ」

 

場所をレミリアさんに聞いた僕は、この恋愛小説を返すために大図書館に向かった。

思ったんだけど、レミリアさん自身が行ったほうが早くね?

 

 

 

 

 

大図書館は名前の通り大きな図書館だった。いや、図書館よりも巨大な本棚という方が正しいか。

とりあえず誰かいないか探してみる。

すると、かなりの高さに積み上げられた本の隣に、紫髪の人が椅子に座り本を読んでいた。

 

「すいませーん。この図書館の管理人の方ですか?」

 

「…………」

 

無視されたー!本に集中するのもわかるけど、人の話を無視するのはいけないよ。僕の心はかなり凹んだよ?

 

「すいませーん!聞こえますかー!」

 

「うるさい奴ね。聞こえてるわよ」

 

ようやく返事したよ。でも初対面にうるさい奴はないと思うんだが……。あぁまた余計に心が凹んだ。

 

「何の用?」

 

「この本をレミリアさんに返してこいと言われたので、返しに来ました」

 

「あぁその本ね。小悪魔ー」

 

「どうなされたんですか?パチュリー様」

 

そう言いながら出てきたのは、悪魔だった。名前の通りだなー。

それで、この人がパチュリーさんか。覚えとこう。

 

「この本、あなたのよね。返すそうよ」

 

「あぁ、私がレミリア様に貸した本ですね!」

 

そう言うと、小悪魔さんは何処かへ飛んで行った。

 

「ところであなた、新しく使用人になった子よね。レミィから聞いたわ」

 

「えぇ。でも使用人というか…ほとんどここの住人と同じですが……」

 

「そう……まぁあなたが使用人であろうが、そうでなかろうが、どうでもいいのよ。とにかく私の邪魔さえしなければそれでいいわ」

 

何と言うかパチュリーさん冷たいなぁ……もしかしたら嫌われてるのかな?

するとパチュリーさんは、本を閉じて立ち上がった。

 

「あなた、ちょっと私の実験台になりなさい」

 

よし逃げよう。絶対に逃げよう。死んでも逃げよう。

 

「ちょっ!待ちなさい!」

 

いやいや、絶対に逃げますよ?門番がナイフで刺されるのが日常のようなこの館で、実験台になれなんて嫌な予感しかないでしょ。

逃げようと走っていると、突然大きな壁にぶつかったような勢いで体が弾かれた。

よく見ると、ぶつかった所から波紋が広がっているのが見える。何だこれは?

 

「はぁ…はぁ……これで逃げられないわ」

 

「何ですかこの透明な壁は?」

 

「魔法結界よ、いい加減観念しなさい」

 

魔法結界?つまりパチュリーさんもアリスと同じ魔法使いなのか。

結界は壊せそうな感じではなかったので、観念することにした。

 

「言い方が悪かったわ、少し私と戦うだけでいいのよ」

 

ちくしょう、言い方の問題じゃねーよ、この紫根暗女……あっ睨まれた、ごめんなさい許してください。

あぁもうこうなったら戦うしかないか。

 

「戦うと言っても、私の新しい魔法をあなたには受けてもらうだけだから」

 

それくらいなら余裕…じゃないよな、下手したら死にそうな予感が……

 

「さぁいくわよ、準備はいいかしら?」

 

あぁ駄目だ、回避できたはずのトラブルにまた巻き込まれたよ。

パチュリーさん、まだ心の準備が出来てないのでもう少し待ってくれないですか?

出来るなら、今すぐにでもやめて欲しいですが……。

 

「それじゃいくわよ、せいぜい死なないように頑張りなさい」

 

〈水符 プリンセスウンディネ〉

 

ちょぉぉぉ、あの紫根暗もやし女、準備出来てないのに急に宣言しやがった。

パチュリーの中心に水が流れていく。しかしよく見るとこの流水は、小さな水色の弾幕が集まっていることが分かる。

ちょっと待てよ、この小さい弾幕一つ一つが飛んでくるとかじゃないよな……

案の定、川のように流れる弾幕が僕めがけて全部飛んできた。

もういやぁァァァ、はっ!でも待てよ、あの弾幕は小さいから威力低そうだし何とかなるかも。よし!いけるぞ、これなら余裕じゃないか。

隣にあった本棚が粉砕されました。うん、余裕じゃねぇ。

うわぁァァァァ、もうダメだ、おしまいだぁ。

こうなったらあれを使おう、そうしよう。

 

「言っておくけど、スペルカードを使うのは無しよ。実験にならないじゃない。」

 

嘘ぉぉぉぉん、スペルカード無しとかただの拷問じゃん、もう嫌だァ。助けて誰かァァァ。

しかし誰も助けに来ないのが現実。

悲しいけどこれって、実験なのよね。

結局、実験(拷問)が終わったのは、ボコボコにされて、動かなくなるまで続きましたとさ。

 

 

 

 

 

「め、めいりん……たすけて……」

 

「あらぁ、片倉さん大丈夫ですか?」

 

どうして君はそんな涼しい顔で、大丈夫?とか言えるんだよ。

僕を見てみろよ、全身血だらけだぞ?これ下手したらマジで死ぬぞ?

 

「あ、あの紫根暗もやしが……もやしが……」

 

「あぁ!パチュリーさまのことですね!」

 

だから何で君はそんな涼しい(ry

とにかく、この傷を早く癒して欲しい。

 

「私もよく魔法の実験台にされてましたね〜懐かしいなぁ〜」

 

「そんなこと…どうでも……いいから、何とかしてくれ……」

 

「あぁ、そのくらいの傷でしたら、私の気の力で治せますよ」

 

美鈴が僕の身体に触れると、見る見るうちに傷が治っていく。おぉ気の力凄いな。

 

「はい、これで大丈夫ですよ」

 

「助かったよ美鈴」

 

いやぁ、美鈴は凄いなぁ。まさに実家のような安心感がそこにあるような感じだよ。

 

「そうそう、片倉さんからお手紙来てましたよ」

 

手紙?誰からだ。

手紙の差出人は……アリスからだ。

どれどれ……どうやら、にとりが近いうちに作業場に来いとの事らしい。

これまた、にとりとは珍しいな。また新しいものでも造ったのか。

どうせまた新しい道具の実験台にするんだろうな。んっ?実験台?うっ……頭が……

 

「大丈夫ですか片倉さん?頭痛いなら治しましょうか?」

 

「いや、大丈夫だよ」

 

でもにとりの作業場は遠いから歩きだと無理だしなぁ。

アリスは飛べるけど、命の危険があるし……

誰か飛べる人はいないものか。

んっ?待てよ……一人居るなここに。

 

「ん?どうしたんですか、片倉さん?」

 

「美鈴ってさぁ……空飛べる?」

 

「えぇ、飛べますけど、どうしたんですか?」

 

よしきた!ここに飛べるやつがいるじゃないか。明日にでもにとりの所に行くとしよう。

 

「明日、にとりの作業場に行きたいんだけど、遠くて大変だから、美鈴が僕を背負うなり何なりして一緒に飛んで連れてってくれない?」

 

「別に構いませんよ?ですが…門番の仕事がですね……」

 

あぁ門番の仕事があったな……って待てよ!いつも居眠りしてるくせして、門番の仕事が……とかよく言えるな。ナイフで刺すぞ?刺しちゃうぞ?

 

「それなら問題ありません」

 

その時、咲夜さんが急に現れた。神出鬼没だなぁこの人は。能力なんだろう、あっテレポートとかかな?

 

「げっ……咲夜さん、私は居眠りしてないですよ!ちょっと居眠りしたとか断じてないですよ!」

 

あぁ自ら居眠りを自白したよ。馬鹿な美鈴、もうどうなっても知らんぞ。

 

「それで、どうして大丈夫なんですか?」

 

なぜ大丈夫なのだろうか、もしかして美鈴はいらない子扱いにされてるのかな?いやいや、そんなことは無いか。

 

「お嬢様から、明日の門番は美鈴ではなく咲夜がしろ、とおっしゃられたので」

 

ほぅ、これまたナイスタイミングですな。

あぁそうか、レミリアさん運命見えるからそれくらい分かるか。便利だなぁあの能力。

でもやっぱりあの能力の意味分からないや。だいたい運命を操るってどういう事なんだろうか。うーーーん……

 

「えっ!?明日門番の仕事無しですか!!やったー!」

 

ちょっ美鈴、咲夜さんの目の前でそんなこと言ったら……

あぁ、咲夜さんがナイフを取り出したぞ、あっ投げた。

 

「ギャァァァァァ」

 

「勘違いしないでください、あなたの為の休みではありません。片倉様の休みですよ」

 

えっ?僕の休みですか。レミリアさん優しいなぁ。おもわず涙が出てきそうだよ。出ないけど。

 

「それでは失礼します。美鈴、あなたは後でお話があるので覚悟するように」

 

そう言うと咲夜さんは消えた。やっぱりあの能力はテレポートだよ。絶対そうだよ。

美鈴は…あっ顔が真っ青になってる。

 

「じゃあ美鈴、明日は宜しくね〜」

 

「嫌だ死にたくない、嫌だ死にたくない、嫌だ死にたくない、イヤダシニタクナイ」

 

そろそろ自分の部屋に戻って明日の準備しようかな。

美鈴がなんか言ってるが気にしないことにする。

てか咲夜さん、美鈴に何をする気だろう。気になるなぁ。

いや、よそう。絶対に巻き込まれること間違いなしだ。

さらばだ美鈴、明日元気で会えたらいいな……

 

 

 

この後、正門から大きな叫び声のようなものが聞こえたけど、あれは何だったのだろうか。僕には分からないなぁ……


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