いつかまた平和な海へ   作:VI号鷲型

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どうも、ストライクイーグルです。
最近、学業共に忙しさを増して時間が取れなくなってしまいました。
もっと時間が欲しい……………
それはさておき、今回もいつも通りの文章力です。
読む勇気のある方だけお進み下さい。
それではどうぞ!


第四十話 進水式

トラック島工廠

 

金剛が工廠の中に消えてから丸一日が経過した。

ドックの方は既に最終段階に入っており、あらかた形にはなっていた。

あとは本人が目覚め、相性の確認と各部のチェックのみだ。

トラック所属の艦娘達にとってはなんとも言えない歯がゆい日だ。

 

「金剛さん、大丈夫ですかね?」

 

バザードの心配をよそにタナガーはお茶を啜る。

 

「大丈夫じゃなーい?バザちゃんが焦ったところで何にもならないと思うよ〜?」

「そ、そうですが………………」

「果報は寝て待てって言うしね〜」

 

そう言うとタナガーはソファに横になると三秒と経たずに寝息を起てる。

 

「本当に寝ちゃったよ………………」

 

バザードは心配そうに工廠とドックの方に目を向ける。ドックには金剛の船体が収まり、艦橋とマストが見えていたが物音一つ聞こえない。それがバザードの不安を掻き立てていた。

 

「大丈夫……………だよね……………?」

 

 

トラック島工廠

 

工廠は既に最終工程に追われていた。何より手間取っているのが金剛と艤装の調整だ。

抵抗反応は出ていないが動きが鈍く、一部の兵装と電探が接続されていない為だった。これでは船体と接続する事は不可能に近い。

これには工廠妖精や作業員は手を焼いていた。

 

「また駄目デスカ……………」

「もーしわけありません!!」

 

妖精は急いで艤装の再調整を行う。金剛は新たな艤装を使いこなせない自分が腹立たしかった。

 

「ッ………………」

 

金剛はただ一人、もう一度再接続して艤装の稼働させる。

 

「機関部と主砲は問題ないデス………………あとは電探……………」

 

電探を起動させて周囲を探知しようと意識を集中させる。

電探も作動したと思った瞬間に画面が映らなくなる。

 

「もう!!!」

 

艤装を外すと傍に転がっていたバケツを苛立ちと共に蹴る。バケツは派手に音を立てて壁にぶつかる。

 

「これじゃタナガーに追いつけないデス…………………」

 

自然と涙が溢れ出てくる。新たな艤装に適応できない自分が悔しかった。

結局、接続不良を解決出来ずに半日が過ぎようとしていた。

 

「こんごーさん、すこしやすんではどーでしょうか?」

 

妖精は心配そうに休む事を提案する。金剛は断ろうとしたが、振り返ってみると確かに休憩した記憶がない。

 

「いつもいってるじゃないですか。

”てぃーたいむはだいじね”

って。」

「そうデスネ。」

 

気分転換も必要だと感じて金剛は艤装の事を一旦、頭の一区画に押し込めえ鍵を掛けた。

 

「ちょっと出掛けてくるデス。」

 

ドアノブに手を掛けて外の世界に足を踏み入れた。

外はいつも通りの平和な空気に満ちていた。

そこへシバリーが書類を抱えて来た。中身は開発依頼書だ。

 

「シバリー!ひっさしぶりネ!!」

「金剛!?もう出てきて良いのか?」

「小休止ネ。No Problem!」

 

金剛はまじまじと書類を見つめるとある事を思いつく。

 

「シバリー?ユーが開発するデス?」

「そ、そうだが………………」

「ならミーも手伝うネ!!」

 

嫌な予感しか感じないシバリーを置いて書類を引ったくり、工廠まで駆けていった。

 

勢い良く工廠の開発棟の扉を開ける。妖精達はギョッとした。

 

「これでは開発して欲しいデス!!」

 

それを聞いた瞬間に目を輝かせる妖精達。シバリーが遅れて入ると嫌な予感が確信に変わった。

 

「また変なのが出てくるな…………これ……………」

 

開発資材の量を決めて書類を提出する。妖精は大事そうに抱えると工廠の奥に消えた。

 

「相変わらずワクワクするネェ!!」

「はぁ…………………」

 

金剛のお茶を相手すること20分。

工廠のベルがなり、開発が完了した事を知らせる。

 

「Oh!もうそんな時間ネ!」

 

シバリーを置いて颯爽と受け取り用格納庫に向かう。シバリーは後片付けをしていた。

 

格納庫では満足した様子の責任者妖精が開発装備のリストを持って待っていた。

 

「こんごーさん!おおあたりです!」

 

責任者妖精がリストを渡すと一番上の装備に目がいった。

 

「『試製46cm連装砲』!?Very good job!!」

 

わしゃわしゃと妖精の頭を撫で回す。妖精は嬉しそうに撫でられる。シバリーは戦車類が出なくてホッとした。

 

「あとはこれとこれです!」

 

渡された紙には『UH-1Y ヴェノム』と『9K22 ツングースカ』と書かれていた。

金剛の頭にはクエスチョンマークが浮かぶが、シバリーにはこれが何かが分かった。

 

「えーと………ヴェノムは輸送ヘリコプターですね。

それとツングースカは自走対空砲のようですねぇ。」

「多分、ヴァルキリー辺りが喜びそうネ。」

 

ヴァルキリーが狂喜乱舞しながら甲板を駆けずり回る様子が頭に浮かぶ。彼女はこよなく海兵隊を愛しているのだ。シバリーはまた提督の泣き言を聞く羽目になると思うとため息しか出なかった。

 

「これくらいですねー

またのご利用お待ちしています!!」

 

妖精は頭を下げるとちぎれんばかりに手を振る。

その時だ。

 

「あれ?」

「どうかしたのか?」

 

身体の異変に気付いた金剛は急いで工廠に引き返した。

 

「お、おい!」

 

追いかけようとしたが既に視界から消えてしまった。

当の本人は先ほどまでいた部屋に戻っていた。

 

「今ナラ…………………」

 

もう一度艤装を装備して接続する。すると電探関連の装備が正常に稼働していた。

 

「やった……………………ヤッタデス!!!!」

 

艤装を外すと子供の様に飛び跳ねて喜ぶ。妖精は驚きを隠せない。

 

「Hey!残りのチェックも済ませますヨー!!!」

「はい!」

 

中断していた艤装と船体の接続確認は驚くほど順調に進んだ。

昼が過ぎて火が傾き始めた頃には全ての確認作業は終了していた。

 

トラック島、ドック

 

ドックでは簡易椅子に座った艦娘や妖精達が改二姿の金剛を今か今かと待っていた。客席の前は目隠しされており、中を見ることは出来ない。期待はどんどん高まっていく。

そして、工廠責任者妖精が壇上に上がる。

 

「コホン………………それでは第二改造後の金剛さんです!」

 

目隠しが下ろされ、新たな力を得た船体が姿を表すと同時に、軍楽隊が軍艦行進曲を演奏する。

特に大きく変化していたのは主砲だ。長門型と同じ41cm砲を搭載していた。

それから艦橋周りだ。

電探類も新型に換装され、電探と連動する試作型の対空機関砲も少数が搭載されていた。

 

「随分と近代化したな。」

「これが改二なのですね!」

 

金剛自身も自分の船体がこれ程変わるとは思っていなかった様で、ただただ自分の船体を見つめていた。

 

「本当に…………………改二デス………………」

 

その後お披露目会は終わるとすぐに慣熟航海に旅立った。

その航海を見守る様に太陽が優しく照らしていた。




いかがでしょうか?
改二ってこんな感じですかね。艦娘になったこと無い(当たり前だろ)のでよく分からないのですが。
それから何時でもアドバイス、感想は受け付けております。お気軽にどうぞ。
次回をどうするかは未定です。(汗)
次回も気長に待って貰えると嬉しいです。
それではまた次回、お会いしましょう!!

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