いつかまた平和な海へ   作:VI号鷲型

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どうも、最近YF-23にハマっているストライクイーグルです。
あの形、結構好きなんですよね。
そんな事より、今回もいつも通りの文章です。
それでも良い方はどうぞ!


第三十九話 第二改造

トラック泊地港

 

汽笛の音が泊地全体に響き渡る。それを聞こえると港湾作業員と妖精が一斉に作業を始める。

泊地の港に輸送船がタグボートに押されて接岸する。

輸送船の腹から大量の陸軍兵士や海軍士官候補生が降りて整列する。

そこへ一台のハンヴィーが停り、提督とベルツ中尉が降りる。その後に秘書艦をしている金剛と大淀が降りる。

先頭の士官候補生が号令を掛ける。

 

「気を付け!!!

トラック泊地提督、矢坂大佐に敬礼!!!」

 

軍靴の音が響き、整列していた新兵が敬礼する。提督も答礼する。

 

「休めぇ!!」

 

提督は壇上に上がり、マイクを手にする。

 

「本土からはるばるよく来てくれた。

まずはよく休んでくれ。それから明日からの訓練に心から打ち込め。

以上。

解散!」

 

「「別れます!!」」

 

新兵は分隊事に充てられた兵舎へ向かう。

新兵教育の期間を延ばす為に現地で残りの過程を修了するという方針だ。

そしてトラック泊地所属の海兵隊の活躍に触発された軍上層部も海兵隊設立の動きとなった。今回の新兵達はその海兵隊に志願した者だ。

 

執務室に戻った提督はいつものように書類の整理と処理をしていた。執務室には五、六人の艦娘が書類整理を手伝っていた。

 

「テートクゥ、あのrookiesは大丈夫デスカネ?」

 

「ベルツ中尉なら彼らを立派な海兵に育ててくれるはずだ。」

 

窓から港を見ると戦車が陸揚げされていた。

すると、扉がノックされるとバザードが入る。

 

「失礼します。

今度の訓練航海についてですが……………」

 

「あぁ、それならこっちで何とかする。」

 

「わかりました。」

 

バザードが出ていこうとすると提督は最後に一言伝える。

 

「バザード、靴を逆に履いてるぞ。」

 

「えっ!?」

 

慌てて足元見ると確かに形が変だ。バザードは顔を赤くしながら履き替える。

 

「し、失礼しました!!」

 

バザードは脱兎の勢いで部屋から逃走する。

周りの艦娘達はクスクスと笑っていた。

提督も苦笑した。ふと、机に散らばった書類に目を向けると興味深いものがあった。

 

「なんだこれ?『第二改造案』?」

 

その単語を聞いた瞬間に部屋の空気が変わる。艦娘達は提督とその手にある書類を凝視する。

提督もその視線を感じ取る。

 

「な、なんだ?」

 

何となく予感していたがまさかとは思い、探りを入れる為に

 

「えーと……………

白露型駆逐艦二隻を使用した第二改造の成功を確認。一部艦艇に第二改造を許可する。」

 

「提督………………」

 

「テートクゥ………………」

 

「司令………………」

 

提督には次に艦娘達が発する言葉が容易に想像できた。

 

「「改二はもちろん私ですよね!!」デス!」

 

その瞬間に執務室内の緊張が一気に高まり、内戦すら起きそうな雲行きだ。

 

「テートクゥ、このトラック島で一番初めの戦艦は誰Death?」

 

「そりゃ、金剛だが…………………」

 

「なら、分かってる筈Death。」

 

その時、吹雪が提督に顔を寄せる。

 

「司令官、私が一番最初の建造艦ですよね!」

 

「そ、そうだが………………」

 

「なら改二にはぜひ私を!」

 

その他の艦娘達からもアピール合戦が始まる。

提督の耳と脳の処理能力が限界を迎えようとした時、一人が手を叩いてその場を静める。シバリーだ。

 

「決めるのは提督だ。そう困らせるな。」

 

指を鳴らすとフル武装の海兵隊員と椛が執務室内に突入し、艦娘達を退去させていく。

 

「提督、あとは任せてください。」

 

陸軍式敬礼をして椛は部屋から消える。

 

「助かったよシバリー、ありがとうな。」

 

わしゃわしゃとシバリーの頭を撫でる。シバリーの頬が赤くなる。

 

「なぁシバリー、改二にする艦を選ぶのを手伝ってくれないか?」

 

「えっ……………いや、私は……………」

 

「頼むよ。俺一人じゃ決められないんだ。」

 

提督は机に手をついて頭を下げる。シバリーは戸惑いながら周りを見渡す。周りには誰一人としていない。

 

「わ、わかったが、しかし内密に頼む。何されるかわからんからな。」

 

二人は艦娘のリストを引っ張り出して選ぶ作業を始めた。

 

数時間後………………

 

疲れきった顔で選定を終えたシバリーと提督。そこへバザードが資材リストを持ってくる。

 

「提督、工廠からこんなものが。」

 

リストを受け取り中を見ると、資材備蓄量が右肩上がりに昇っていた。

 

「なんだこりゃ!?」

 

「工廠の妖精さん曰く、改二の為に取っておいたとのこと。」

 

「あーなるほど。」

 

そして、提督は改造依頼書にサインする。

 

「バザード、これを工廠に渡してくれ。それから金剛を工廠に連れて行ってくれ。」

 

「わかりました。」

 

書類を手渡すと背もたれに寄りかかり、一息つける。

 

「これが吉と出るか凶と出るか…………………」

 

期待と不安の入り混じった感情が提督を支配していた。

成功すれば他艦娘にも改二を受けさせてやれるが、失敗すればどうなるかは分からない。

 

トラック島工廠内

 

工廠内にあるとある一室にバザードに連れられる金剛。

部屋の周囲には武装した海兵隊員と海軍陸戦隊が警備にあたっていた。

ドックでは金剛の船体が収まり、装甲板と武装類が外されていた。

改造内容は主に

・艦載砲を41cm連装砲に換装

・機関出力の強化

・装甲厚の追加

・電探関連装備の追加

等だ。

戦艦クラスでの改二は海軍では初の試みだ。

成功すれば大幅な戦力強化になる。

金剛も期待いっぱいといった様子だ。

 

「ワクワクするデース!!」

 

まるで子供のように目を輝かせる。バザードはそっと金剛の首筋に麻酔を打つ。金剛の動きが鈍くなり、バザードがベッドに誘導する。

 

「金剛さん、頑張って下さいね。」

 

麻酔が入った金剛はゆっくりと意識を手放した。




いかがでしょうか?
いよいよ金剛さんが改二になります。次回でお披露目と思われます。
それからストックが尽きたので更新ペースが落ちます。
なるべく二週間に一話は投稿できるようにしますので…………(滝汗)
それではまた次回、お会いしましょう!!

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