いつかまた平和な海へ   作:VI号鷲型

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どうも、ストライクイーグルです。
最近はネタ、サブタイが浮かばない最悪の条件です。はい。
安定と信頼のいつもの文にアレルギー反応がある方は速やかに退避ねがいます。
それでも良い方はお読みください。


第三十話 トラック島の午後

試験飛行翌日

 

海兵隊兵舎では海兵隊員達は思い思いの過ごし方で一日を過ごす。

例えば、一日中眠る者も居れば、射撃場で憂さ晴らしをしたり、筋トレに励む者も居る。

その中でアレックスは机に向かって書き物をする。

 

「えぇっと、宛先は……………」

 

アレックスの視線の先には提督から貰ったメモがあった。

そのメモには白玉楼の住所が書かれていた。

 

「アレックス、恋人さんに手紙か?」

 

友人が茶化しに来るが、構わず手紙を書き続ける。

内容は簡単な近況報告の様なものだ。

文章を書いては消しての繰り返しをして約三十分。

一通り書き終えたアレックスはすぐに郵送受けに投函する。

 

「雷撃を受けるなよ、輸送船さんよ。」

 

期待を込めて郵送受けを軽く叩き、自分の宿舎へと戻った。

 

一方、港は海上油田から送られてくる重油や航空燃料の荷揚げで賑やかになっていた。

 

「やっとこさ燃料不足が解消されそうだな。」

 

燃料のストック状況を記した表を見つめながら提督は呟く。

だが、それとは裏腹に鋼材等の資材が右肩下がり気味だった。

 

「はぁ……………試作機が食ってるのか…………

そして、これか……………」

 

新たな命令書を見つめる。

『第八号特殊作戦指令』

提督は恐る恐る命令書を開封する。

中からは数枚の海図と指示書、それから不鮮明な写真数枚が入っていた。

 

「こいつは……………」

 

不鮮明な写真にはエイにも似た様な航空機が写っていた。

 

「主目標………P-1112 アイガイオン及び、随伴機…………」

 

提督はブツブツと一人で命令内容を確認する。

 

「パラオ、ラバウルとの合同作戦…………決行は三週間後…………」

 

提督は命令書を置き、背伸びして白紙と艦隊編成表を取り出す。

 

「うーむ、どうするか…………」

 

一人で頭を悩ませる提督に容赦無く睡魔が襲いかかる。

 

「眠い……………………」

 

そのまま提督は机に伏せってしまった。

 

「失礼しま〜す。提督さん居ますかぁ?」

 

書類を携えたタナガーが静かに入室する。提督は机に伏せて寝息を立てていた。

 

「寝ちゃってるね〜。」

 

脇に畳んであった毛布を取り、静かに提督にかける。

 

「お疲れ様ですぅ。」

 

そこへ扉が勢い良く開き、金剛が入室する。

 

「Hey!テートクゥ………って、タナガー!?」

「金剛さん、お静かにだよ〜」

 

ムッとする金剛は仕方なく、ソファに腰掛ける。タナガーも金剛の隣に座る。

 

「ちょっ、タナガー?」

「まぁ、硬い事いわないで〜」

 

そう言いながら、後頭部に結んでいる赤いリボンを触る。金剛は何処か不満げに提督を見つめる。

 

「提督さんの事、好きなんですねぇ〜。」

「もちろんネ!」

 

唐突に切り出すタナガーに金剛は胸を張って答える。タナガーはのほほんとしながら外を眺める。

そこで、金剛はふと気になった事を聞く。

 

「た、タナガーはテートクの事、好きデスカ?」

 

突然の質問とその内容に少し驚くが、ありのままの返事をした。

 

「好きか嫌いかと聞かれると好きな〜。」

 

それを聞いた金剛の目が鋭くなり、紅茶に口をつける。それに気付いていないのか、タナガーは続けた。

 

「でも、私の恋の相手は別にいるけどね〜。」

 

「ぶふぉ!げほっげほっ。」

 

思わぬ発言に思わず吹いてしまった。タナガーは不思議そうに金剛を見つめると、胸ポケットから一枚の写真を取り出す。

写真にはタナガーをバックに少しはにかんだ笑顔の一人の男性が写っていた。

 

「誰デス?」

 

「私の元艦長さんだよ。」

 

タナガーは愛おしそうにしかし、何処か悲しげに写真を見つめる。

 

「どうしたデス?」

 

「今どうしているかな〜なんて思ってた。」

 

金剛は何かを察してそれ以上は聞かなかった。

そこでまた扉が開く。今度はバザードが入ってきた。

 

「提督、今度の作戦でs…………」

 

「シッ!テートクが起きるネ!」

 

「す、すみません。」

 

しょぼんとするバザードにタナガーは肩を軽く叩く。

 

「バザードちゃん、あとだよ?」

 

「はい…………」

 

バザードは一人がけ椅子に腰掛ける。タナガーはその様子をじっと見つめる。それに気付いたバザードは不審そうに尋ねる。

 

「な、なんですか?」

 

「バザードちゃんってそこそこいい体型してるな〜ってね〜」

 

その発言でバザードは顔を赤らめて手で体を隠す。

 

「プロポーションなら空母に負けないネ!」

 

金剛は勢い良く立ち上がりポーズをとった。

タナガーはそれを微笑みながら見つめていた。

 

「金剛の勝ちですね〜。」

 

「金剛型戦艦の名は伊達じゃないネ!!」

 

「べつに競うつもりはないのですけど……………」

 

プロポーション対決(?)をしていると事務机から物音がした。

 

「んん…………なんの騒ぎだ?」

 

眠たそうに起きる提督に抱きつく金剛。

 

「オッハヨウゴザイマース!!」

 

「うおっ!?」

 

金剛の奇襲に成す術なく陥落する。バザードはやれやれといった様子で見ていた。タナガーは書類とメモを置いて立ち去ってしまった。

 

「提督、他人がいる前でイチャつかないで下さい。」

 

「俺だって好んでやっているわけではない。」

 

「その割には嫌そうじゃないですね。」

 

金剛は頬をすり寄せ、猫のように丸くなる。

そして、提督の背後に阿修羅ならぬ殺気を持った大淀が立っていた。

 

「さぁ提督、仕事をしましょうか。」

 

「は、はい。

金剛降りてくれ、ここに居る全員が不幸になる前に。」

 

「わかったデス。」

 

渋々と降りると金剛も何処かへ行ってしまった。残されたバザードも忍び足で退室しようとするが、何者かに肩を掴まれる。

 

「バザードさん、手伝って下さいますよね?」

 

凄みのある笑みで丁寧に”お願い”する。もちろん、バザードに拒否権はない。

 

「分かりました……………」

 

諦めたバザードは事務机の前に座り、三週間分の書類の山との戦闘を始めた。

 

その頃、港から護衛兼哨戒艦隊がラバウル行きの輸送船と共に出港した。

旗艦は天龍だ。

 

「今日はラバウル行きを途中までか…………アイツ、大丈夫か?」

 

天龍は環境からフリゲート艦を見つめる。

レンツは近場の遠征をこなしているが、今回の長距離遠征は初めてだ。

 

「まもなく、実効支配圏から出ます。」

 

「よっし、オメェら!目を皿にして見渡せよ!」

 

「「応!!」」

 

見張り妖精は見張り台や、見通しの良いマストに上がる。他の駆逐艦も警戒態勢を取る。

外洋に出た途端に潜水艦の奇襲攻撃なんてこともある。以前にその攻撃で瞬く間に輸送船を三隻も沈められた。

 

「レンツより入電

付近に敵潜水艦並びに航空機は認められず

です。」

 

「出だしは良いが、後々面倒になりそうだな。

総員、警戒を厳にせよ。」

 

長い間、遠征艦隊旗艦を務めた天龍の経験と勘は伊達ではない。

そして、その勘は確かにあたっていた。




いかがでしょうか?
適当この上ない酷い有様ですね。早急に対処せねば…………………
そして、何も考えずに書いて気付けば三十話になり、色んな方に感想を頂きました。大変有難うございます。
全てが至らぬ作者ですが、これからも宜しくお願い致します。
それではまた次回、お会いしましょう!

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