いつかまた平和な海へ   作:VI号鷲型

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どうも、ストライクイーグルです。
最近、感想が怖いです。はい。
そんな事は置いといて今回も
安定と信頼の文が含まれます。それでも、
「次話だと!?読むしかないじゃないか!」
と申される方はお進みください。
それではどうぞ。



第二十九話 秋水、飛翔ス

よく晴れた青空の下、一機の黄色い機体がエプロンに駐機されていた。その周りを整備妖精や技術者達が入念にチェックする。

そして、その脇には上空観測機兼護衛機としてF/A-18Fが待機していた。

 

「ロケットモーターのチェックは入念に!それからパイロットは?」

 

てきぱきと指示を出すのはにとりだった。立会人として提督や艦娘、妖精達が集まっていた。

 

「確か、あの機体は『秋水』って言うんですよね?」

 

しげしげと見ていた吹雪が質問する。

 

「そう、キ200 秋水。

最大速度800km、高度1万まで五分でいける機体なんだ!」

 

にとりは自信満々で答える。バザードはホーネットの妖精に確認を行っていた。そこへ、秋水の一人のテストパイロットが到着した。

 

「河城さん、遅れて申し訳ありません。」

「いえいえ、むしろ遅れてくれた方がもっと入念にチェック出来ますから。」

 

冗談交じりに会話を交わせる。すると、テストパイロットが提督に敬礼する。

 

「矢板大佐、初めまして。自分は海軍技術試験飛行隊から参りました。勝沼 義明海軍少尉であります。」

 

提督に綺麗な敬礼をする。提督は答礼もそこそこに勝沼の肩を軽く叩く。

 

「勝沼少尉、評価試験よろしくお願い致します。」

 

提督が頭を下げると勝沼は慌てて頭を上げるように説得する。

 

「はっ!しかし提督、自分は提督に頭を下げられるようなものでは…………」

「あっ、そうだったか?」

 

二人はそこで笑いあった。そのせいか、周りの緊張していた空気が程よく和らいだ。

 

「とにかく、しっかり頼むぞ!」

「はい!」

 

そう言って勝沼は秋水に向かって走り出した。既に燃料も入れ終えた秋水は主が乗るのを待っていた。

操縦席に収まり、計器類のチェックを手早く進める。そこへ、管制塔から通信が入る。

 

《こちらトラック管制、秋水一へ報告。

南南西の風0.5、雲量は少なく視界良好。滑走路に障害無し。試験空域及びトラック島上空に機影無し。》

「秋水一、了解。これより試験飛行を開始する。」

 

秋水が滑走するなか、少し遅れてF/A-18Fが離陸する。両機は一気に高度を上げていく。

 

《現在、高度7000………………8000……………9000………………》

 

観測員一同の緊張が極限まで高まる。既に秋水の姿は見えなくなっていた。

 

《高度1万!》

「やったぞ!!」

「バンザーイ!!」

 

観測員達が一斉に喜びをあらわにする。にとりも整備妖精と抱き合い、喜びを分かち合う。

 

《こちらサーベラス4、秋水の機体に異常は認められない。》

「地上観測班了解。そのまま飛行して下さい。」

 

上空1万では勝沼は見たことない後継を見ていた。

 

「これが高度1万の世界………………雲を見下ろすとはな……………」

 

旋回等の一通りの動きをチェックする。 何の問題もなく滑らかに旋回する。

ふと、隣のF/A-18Fを見るとパイロットが親指を立てていた。勝沼も同じように親指を立て、敬礼する。

 

「間もなく、滞空限界時間に達する。これより、帰投する。」

《地上観測班了解、お疲れ様です。》

 

五分間の試験飛行を終え、滑走路に着陸する。その後にF/A-18Fが着陸する。秋水から降りた勝沼は観測員達の出迎えを受けた。

 

「にとりさん、良いデータは採れましたか?」

 

にとりは満面の笑みで手を差し出す。その手を握る勝沼。そして、周囲では拍手が沸き起こる。

 

「これならもうすぐ、正式配備されますね!」

「そうだな。」

 

二人は秋水を見つめる。秋水は専用格納庫に向かって牽引されていく。見物に来ていた艦娘や妖精は既に興奮冷めやらぬ様子で宿舎に戻っていく。

しかし、提督は厳しい表情で秋水を見つめていた。提督自身もわからない何か不吉なものを感じて執務室へと戻ってきたいった。

 

「えーと、消耗部品の交換と…………」

 

一方、にとりは格納庫で秋水の整備に当たっていた。消耗部品の交換や機体のチェックを進めていた。

 

「ん?このパイプ………………」

 

にとりは燃料供給系に接続されている一本のパイプを見つめる。

 

「にとりさーん、お昼ですよー。」

 

脇から整備妖精が顔を出す。にとりは首を振り、妖精の元へと向かう。

食堂では艦娘、妖精、作業員が混じりながら和気あいあいと食事をしていた。その中で、バザードや瑞鶴を中心とした面々が手招きしていた。

 

「にとりさん、こっちです!」

「はいはい。」

 

席に着くとにとりの目の前に定食と好物のかっぱ巻きが置かれていた。

 

「提督のツケだそうです。それか…………ってがっついているし…………」

 

ため息混じりでバザードは瑞鶴に話す。

もちろん秋水についてだ。

 

「ねぇ瑞鶴、あの機体どう思う?」

「良いんじゃない?邀撃専門の戦闘機みたいだけど……………」

 

すると、キュウリを頬張るにとりが説明する。

 

「あれは…………モゴモゴ……………爆撃機の迎撃を目的に開発された機体なんだ………………」

「へぇ〜」

 

そこから、にとりによる秋水の説明が始まる。

その頃、提督は執務室である書類に目を通していた。

 

「これは……………」

 

そこには油田で回収した機密書類の解析報告書だった。

そして、その中に”白鯨”の文字とフライトスケジュール、それからスペック等の諸元表が含まれていた。

 

昼食を済ませたにとりは自室に戻って観測データを解析する。

 

「やっぱり滞空時間が短いな…………増槽がつけられればあと十分はもたせる事が出来るのにな…………」

 

太陽の穏やかな光が睡魔を誘い、にとりを夢へと誘う。

 

雲一つない青空を見上げる。

するとそこへ一羽の鳥が飛んでいる。優雅に飛んでいた鳥が突然急降下を始める。

 

「あっ……………」

 

発火しながら錐揉みし始める。

そして、その鳥はニトリのよく知る機体に変わる。

 

「そんな……………」

 

地面に叩きつけられた機体はバラバラになったが、それは秋水である事に疑いの余地がなかった。

そして、その操縦席にはニトリのよく知る人物が死んでいた。

 

「いやぁぁぁぁああああ!!!!」

 

顔が起き上がるとよく見た自室の壁がそこにあった。にとりは冷や汗を拭い、一杯の水を口に運ぶ。

 

「はぁ………はぁ…………なんなの………」

 

先程の悪夢がにとりの脳裏にこびりついてしまったが、無理やり頭を振って振り払う。

 

「ああならないようにしないと…………」

 

にとりは机に向かい、観測データの解析を再開した。

 

アリューシャン列島上空

 

厚い雲の上を飛行する十機の深海棲艦側爆撃機がいた。

だが、その機体は今までの四発機と違い高度一万まで上昇することが出来た。

 

<こちらフォートレス1から全機へ

間もなくキスカ島だ。爆撃終了後は北に避退せよ。>

 

一通りの指示を与えると爆撃機は爆弾倉を開け、ナパームと通常爆弾を交互に投下した。

 

この爆撃で約80tの爆弾が投下され、キスカ島守備隊に甚大な被害を被った。




いかがでしょうか?
いつまで経っても直らない残念な描写………………泣けるぜ……………
そんな事より、日本軍の有名な輸送船ってなんかありましたっけ?
わかる方はお教えください。
それではまた次回、お会いしましょう。

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