いつかまた平和な海へ   作:VI号鷲型

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どうも、ストライクイーグルです。
修学旅行の影響で投稿が遅れてしまい、申し訳ありません。次回からは土曜日投稿を出来るだけ行います。
そして今回も、安定と信頼の文が含まれます。
それでも
「待っていたぜ!早く読ませろ!」
と言っていただける方はお進み下さい。
それではどうぞ!



第二十八話 日常

油田奪取の翌日、トラック島はいつもののどかな空気に包まれていた。射爆場では訓練の合間におしゃべりを楽しむ陸娘や妖精がいた。

そして、執務室はたまりにたまった書類の山で埋まっていた。当の提督はと言うと、バザードの甲板に大の字で寝っ転がっていた。

 

「提督、また大淀さんに怒られますよ?」

「良いんだ、今からやっても間に合わん。」

 

バザードはため息をつきながら提督の横に腰を下ろす。

 

「そう言えば、人質の方達は?」

 

提督は面倒くさそうに答える。

 

「三名は財界の大物ですぐに日本に帰った。残り二人の姉妹は行き先なしで、しばらくここに置いておけって上が言ってる。」

「へぇ〜」

 

バザードは甲板から湾内を眺める。湾内には腹に大量の重油を溜め込んだ日本行きのタンカーがのんびりと停泊している。

 

「しばらくは遠征と船団護衛が主任務だろうし、規模もそんなに大きくない。」

「つまり、私達の出番はしばらくなし?」

「そうなるな。」

 

そこへ、提督の恐れる人物が現れた。

 

「あら提督、こんな所にいたのですか。」

「お、大淀さん、どどどうも…………」

 

殺気に満ち溢れた笑顔で提督に詰め寄る。提督は飛び起きて逃げようとするが大淀に袖を持っていかれる。

 

「今日も逃がしませんよ。」

「そ、それは結構なことで……………」

 

そのままずるずると引っ張られ、提督は執務室に引き戻された。

 

「提督……………ご愁傷様です…………」

 

バザードも船から降りて港を散策する。隣接している施設から妖精や、作業員が忙しく出入りしている。

 

「どうしようかな……………」

 

そんな時、聞き覚えのある声がバザードを呼び止める。

 

「Heyバザード!何ぼさっとしてるデース!」

「どうも。」

 

金剛と瑞鶴が歩いてくる。金剛は興奮気味にニヤニヤと笑いながらバザードに詰め寄り、瑞鶴はどこかそわそわとした表情だった。

 

「バザード、聞いて驚くなデース!!なんと、$¥#●S□▲あ547&#DSX △?◇デース!!!」

「えっ?」

 

何を言っているのか分からない様子のバザードを見てため息をついた瑞鶴が説明する。

 

「初めての国産噴式機の試作機の試験がここで行われるのよ。」

「へぇ〜」

 

興味ありげに聞いていたが、今ひとつピンとしていない。金剛は興奮気味のまま何処かへ行ってしまった。

 

「金剛!

もう、一人で勝手に…………」

「アハハハ………………」

 

呆れている瑞鶴が真剣な顔に変わる。バザードも少し強ばる。

 

「貴女に一つやってもらいたい事があるんだって。」

「?」

「明日の噴式機の試験飛行の観測をして欲しいそうよ。」

「わかったわ。」

 

バザードは二つ返事で了承する。瑞鶴も期待の眼差しでバザードを見つめる。

 

「はぁ、なんだか重要な事を頼まれちゃったな……………

ケストレルならなんて言うんだろう?」

 

自分よりしっかりしていた妹を思い出す。

ベルカ戦争中に産まれ、類まれなる幸運艦として言われていた事。そして、妹と別れたイーグリン海峡の事。

今頃なにをしているのか気になるところだ。そこへ青いつなぎを着た緑色の髪をもつ少女が現れる。

 

「おっ!君が例の別時代から来た空母だね。」

「えっ、あぁはい。」

 

少女は目を輝かせながらバザードににじり寄る。

 

「私は河城にとり、海軍技術研究局からトラックに。」

 

バザードも自己紹介しようとするも、その前に袖を引っ張り空母に連れていく。

 

「えっと、なにを?」

「なにをって決まってるじゃないか!」

 

搬入口からバザード艦内に入る。入った瞬間、にとりの目はより一層輝いていた。

 

「おぉ!!!」

「艦内見学なら後に「格納庫へは!?」はぁ……………こっちです。」

 

バザードはしぶしぶにとりを格納庫まで案内した。艦内では妖精たちにすれ違う度に敬礼され、それに答礼していく。さらににとりに質問攻めにされ続ける事数分、格納庫にたどり着いた。

 

「おぉ〜!」

「どうですか?」

 

格納庫には数機のF/A-18E/Fが整備されていた。にとりにとってはまさに未知の世界。そして、彼女は一機のF/A-18Fに近づく。シートには整備妖精が一人、電子機器の調整にあたっていた。

 

「えーと、ソフトウェアのアップデートと動作確認して……………うわっ!」

 

突然現れたにとりの顔に驚く妖精。にとりは興味津々といった様子で作業を見つめていた。

 

「あっ、お気になさらずに〜」

「は、はぁ……………」

 

妖精は顔を下げて作業を再開する。計器類と接続したパソコンを交互に見ながら動作確認をする。

 

「機体整備は向こうでやってますよ。」

 

顔を上げずに妖精は指をさす。その先ではラダーとエルロンの整備が行われていた。

 

「反応はどう?」

「イマイチだねー。ラダーがねー。イマイチだねー。」

「わかった。もっかいやってみるわ!」

 

それを見ていたにとりの整備士魂が着火する。愛用のスパナを片手にF/A-18Eに近付いていく。妖精達もそれに気付く。

 

(ねぇ、あの人だれ?)

(さぁ?新人かなぁ?)

 

ひそひそとにとりについて話し合う妖精達を尻目に問題のF/A-18Eに着く。

 

「あの……………」

「ラダーの反応が鈍いんだね。ちょっと待ってな!」

 

作動機構を見回す。するとスパナなでボルトを緩める。妖精にそのボルトを渡し、新しいボルトを持ってくるように指示する。

 

「これでよしっと…………。もういいはず。」

 

一人がラダーを動かしてみる。すると、ラダーが機敏に動くようになった。

 

「えぇ!?すごいですね!」

「そうかなぁ?」

 

若干、照れながら妖精達の反応に応える。その様子を見ながらバザードはどうやってにとりを降ろそうかと考えていた。

 

「にとりさん、そろそろ行きますよ。失礼しました。」

 

名残惜しそうにF/A-18Eを見ながら格納庫を後にした。その後、にとりは試作機の調整がある為滑走路に向かって歩いて行った。

 

「はぁ…………疲れた………寝よ…………」

 

宿舎に向かって行くとシバリーと行き違う。どうやら疲れ果てているに気が付いたのか、心配そうに声をかける。

 

「お、おい、大丈夫か?」

「もう無理、寝る………………」

 

ふらふらとした足取りで自室に歩いていく。シバリーは首をかしげながら食堂に向かう。そこへ、金剛と榛名が現れた。

 

「シバリー、髪がボサボサネ!ワタシが直してあげマース!」

「えっ、別にそんなのは……………」

「艦娘として身なりは大事デス!大人しく連行されるデス!」

 

結局、大した抵抗も出来ずに金剛に捕まり、部屋に連れ込まれてしまった。

 

「確かにシバリーさんの髪は綺麗な黒なのに…………勿体無いですよ。」

 

榛名もシバリーを撫でながら呟く。シバリーは少し顔を赤くしてされるがままだった。

 

「さぁシバリー、覚悟するデース!!」

 

奥からヘアブラシを持ってきた金剛がシバリーにとりつく。シバリーは最後の抵抗を開始する。

 

「いや、自分で出来る。だから放してくれないか?」

「駄目デス!そう言って逃げるだけデショ!ハルナ!!」

「はい!お姉さま!」

 

榛名に両腕を捕まれ、身動き出来ない状態で金剛がブラッシングを始めた。

 

「なっ!よせっ!やめろぉぉぉ!!」

 

この時、シバリーの絶叫を複数人が聞いていた。

数分後…………

 

「ふぅ…………やってやったデス………」

「まさか…………あそこまで抵抗するとは………………」

 

金剛と榛名はぐったりしていたがその分、勝利の余韻に浸っていた。荒れていたシバリーの髪がオーバーホールされたかのように綺麗になっていた。

 

「…………なんか…………落ち着かないな……………」

 

シバリーは少し落ち着かない様子で鏡をに写っている自分を見つめる。

 

「とってもキュートデス!」

「可愛いですね。」

 

榛名のその言葉にシバリーの顔が赤くなる。

 

「か、可愛い?」

「はい。とても可愛らしくなって。」

 

その瞬間に両手で顔を覆う。

 

「シバリーもなんだかんだで女の子デスネ。」

 

金剛はシバリーを撫でながら呟く。シバリーからすればたまったものではない。

結局、シバリーはとぼとぼと自室に向かって行ってしまい、そのままベッドに横になった。

整備妖精も仕事を切り上げて横になった。

明日は期待の試作機のテスト飛行なのだから。




いかがでしょうか?
相変わらず進歩しない文章です(泣)
それと久しぶりの日常系です。(それゆえに酷いものですが…………)
しばらくは日常系だと思って下さい。
それではまた次回、お会いしましょう!

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