いつかまた平和な海へ   作:VI号鷲型

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ストライクイーグルです。
今回も安定の酷い文章です。
それからちょっと残酷かもしれません。苦手な方は全速離脱願います。
それでも進む方は突入を開始して下さい。
それではどうぞ!


第十四話 バンカーショット作戦 前

22隻の艦隊がパルバラ島を目指して南下し丸一日が過ぎた。そして何もない洋上で艦隊は停止していた。そこへ新たなる艦が近づく。

 

「翔鶴姉、あれかな?

ってなにあのデカいの!?」

 

翔鶴型空母二隻がトラック艦隊に合流する。そこで瑞鶴が驚くのも無理はない。明らかに巨大な艦がいるのだから。妖精達もその巨体をまじまじと見ていた。

 

「これはまた随分と大きいわね…………」

 

翔鶴も同じことを考えていたようでじっと灰色の巨大空母を見つめていた。すると巡洋戦艦から通信が入る。

 

《こちらトラック艦隊旗艦の金剛。貴艦の所属を問う。》

 

若い男性の声が受話器から伝わる。翔鶴はすぐさま反応する。

 

「タウイタウイより転属しました。翔鶴型一番艦、翔鶴と妹の瑞鶴です。」

 

無線越しに金剛を見つめながら話す。瑞鶴は興味津々といった具合に空母を見つめていた。

 

《連絡は受けている。俺はトラック泊地で提督をしている矢板だ。よろしく頼む。》

 

先ほどの少し低めの声から打って変わってフランクな声に変わる。

 

《では、行くぞ。急がないと間に合わなくなる。》

 

五航戦が艦隊に合流し総勢28隻の大艦隊となった。

数時間後、トラック艦隊は作戦海域に到着した。遠方には本隊の艦艇も見える。

 

「そろそろだな。全艦に通達。第一種先頭配置。空母群に打電。

艦載機発艦用意。」

 

艦内は慌ただしくなる。主砲に砲弾が装填される。空母群からは対地兵装を満載した攻撃機と戦闘機が発艦する。輸送船内では将兵が装備を整える。

そして、作戦開始時間になる。

 

「これより、バンカーショット作戦を開始する!主砲砲撃始め!」

「撃ちまくるネ!Fire!」

 

金剛や最上等の艦艇から砲撃が始まる。それと同時に輸送船からは兵士達を満載した大発が進む。上空を攻撃隊が通過する。

上空では大規模な編隊を組んでパルバラ島に向かった。

 

《こちらAWACSスカイアイ。これより全参加航空隊を指揮する。

速やかに海岸付近の敵勢力を排除しろ。

それと今日は私の誕生日だ。プレゼントには上陸記念を頼む。》

 

すると深海棲艦側からも砲撃が始まる。

 

「沿岸より砲撃!」

 

大発の乗員の一人が叫ぶ。それと同時に大きな水柱が立つ。

 

「大丈夫だ!遠距離の砲撃だ。動いている的には当たらん。」

 

誰かが叫んだ。だが砲撃は続く。蓮田は無線機を取る。

 

「こちら上陸部隊。損害は軽微だが、航空支援を要請する。」

 

上空から彗星艦爆や天山艦攻が爆撃を行う。だが、深海棲艦側も黙って爆撃を受ける訳がない。ヘルキャットやコルセアが迎撃する。護衛の零戦52型がそれを阻止する。

 

《数が多すぎる。》

《とにかく攻撃隊を守れ!》

<奴らを落とせ!島に上陸させるな!>

<すぐに深海に送ってやる!>

 

双方共に激しい空戦を展開していた。追いつ追われつ複雑な飛行雲を空に描く航空機達。その下を進む大発。その中に一際大きいものある。LCACの中にはエイブラムスと海兵隊妖精、そして文屋の姿があった。

 

「上陸一分前!総員、上陸準備!」

 

小隊長の号令で弾を込める。

 

「上陸30秒前!幸運を祈る!」

 

陸軍将兵達に緊張が走る。そして、上陸ランプが開き一斉に走り出す。

 

「行け行け行け!!」

 

それと同時にトーチカや塹壕、バンカーから機関銃や対戦車砲が火を噴いた。先頭を走っていた数人の兵士が迫撃砲により吹き飛ばされる。

 

「怯むな!進め!」

 

その言葉を最後に分隊長は頭に風穴を空けて死んだ。それでも果敢に進む将兵達は障害物や撃破された戦車の陰に隠れる。

 

「応戦しろ!撃ち返せ!撃ち返せ!」

「機関銃を右に回せ!」

「衛生兵!衛生兵は何処だ!?」

 

男達が叫ぶ。深海棲艦の強力な防御陣地に思うように進めない。

 

「通信兵!沖合の艦隊に連絡は!?」

 

蓮田は通信兵の背負っている大型無線機を取り、金剛に連絡する。

 

「こちら上陸部隊!テ2-6からト3-5の間に砲撃を要請する!送れ!」

《こちら金剛了解。テ2-6からト3-5の間を砲撃する。!》

 

沖合から砲撃音が響く。そして数秒後に着弾する。

 

「弾着修整、左0.5!繰り返す、左0.5!」

《弾着修整、左0.5了解。》

 

後方からLCACが上陸する。上陸ランプからはエイブラムスと海兵隊妖精達が走り出す。そしてあの甲高いエンジン音が空を覆った。

 

《こちらハルバードリード、これより敵要塞上部の対空火器を掃討する。各機続け!》

 

F/A-18Eが盛大に対空砲を撃っている要塞上部に向かった。巧みに大型の機体を操り、対空砲火の僅かな隙間を進んだ。

 

「目標捕捉………投弾!!」

 

F/A-18Eから放たれた無誘導爆弾は重力により降下して針山を吹き飛ばす。

 

《こちらスカイアイ。敵対空砲の無力化を確認、ヘリ部隊の進入が可能になった。》

《こちらバイパー1-1了解。これより火力支援に向かう。》

 

バザードから細長いタンデムのヘリが離陸する。

一方、海岸の銃撃戦は熾烈を極めていた。

 

「おいアルトマン!お前はしっかり文屋さんを守れよ!後で記念撮影が撮れなくなるぞ!」

 

ベルツは牽制射撃しながら部下に命じる。

 

「文屋さん!死にたくなければ俺から離れるな!」

 

文はカメラを持ちながら護衛の海兵隊妖精について行く。

 

《こちらライノ2-1、前進する。》

 

エイブラムスは対戦車砲弾を弾き返しながら進む。それを海兵隊妖精や陸軍兵は盾にしながら進む。アルトマンは文に目を向けると、顔面蒼白の従軍記者がいた。

 

「大丈夫か?」

 

文は無理に笑顔を作り、大丈夫だと伝えた。アルトマンは腰のガバメントを渡す。

 

「持ってきな。それで自衛くらいは出来る。使い方はわかるか?」

 

文は首を縦に振った。それを見たアルトマンは少し微笑んだ。

 

「地獄ですね……………」

 

誰に向けた訳でもないがそっと呟いた。前進する戦車と兵士達を撮ろうとカメラを構えた。その時、カメラを持つ手が震えている事に気が付く。

 

「怖いか?」

 

アルトマンは周囲を見渡しながら話しかける。

 

「と………とても怖いです………」

 

文は俯いた。中国戦線で取材していた時もこれほど激しい戦闘はなかった。鳴り止まぬ炸裂音、地面を耕すような弾幕。中国戦線とは規模が違った。

 

「だろうな。俺だって怖い。

でもな、このまま何もせずに死ぬのと何かした後に死ぬのとどっちがいい?」

「何かした後に死ぬ方がまだマシですね。」

 

アルトマンは満足そうに頷いた。

 

「よし、ならついてこい!」

 

アルトマンと文は走り出した。

 

「こちらライノ2-2、敵トーチカに阻まれ前進不能。支援を要請する。」

 

すると姉(実際には無い)であるエイブラムスのコールサインが無線から伝わる。

 

《ライノ2-2、そのまま待機しろ。》

 

ライノ2-2はそのまま待機する。すると前方のトーチカが炎上した。

 

「こちらライノ2-2、トーチカが沈黙した。これより前進する。」

 

ライノ2-2は同軸機銃で周囲の敵を薙ぎ払う。歩兵は周囲に展開を制圧射撃を行う。

 

《こちらバイパー1-1、作戦空域に進入。待たせたな、これより火力支援を開始する。》

 

遠方からはジェット機でもレシプロ機でもない音が空の騒音に加わる。

 

「騎兵隊の到着だ!」

 

誰かが叫んだと同時に空飛ぶ毒蛇は攻撃を開始した。AH-1Zはホバリングしながら20mm機関砲やハイドラロケットで地上を更地にし始めた。それを見た兵士達は歓声をあげる。

 

「いいぞ!殺っちっまえ!」

「行くぞ!あいつと共に前進しろ!前進!」

 

戦局は少しづつだが、日本側に傾いていた。北海岸は…………

 

 

本隊が上陸した北東海岸は猛烈な反撃を受けていた。そして、そこには北部に居るはずの重戦車を擁する機甲部隊が待ち構えていた。

それもそのはずで数日前からトラック泊地の刺客である特殊部隊がこの北東海岸を中心に破壊工作をしていたからだ。対戦車兵器が少ない本隊は苦戦を強いられた。

わざわざ本土から呼んだ大和の46cm砲も友軍の巻き添えを理由に近接支援砲撃が出来ずにいた。

 

 

《こちらAWACSスカイアイ、敵沿岸守備隊の戦力、40%喪失。》

この情報は瞬時に北海岸上陸部隊に伝わる。無論、沖合に展開する艦隊にも伝わる。

空戦もF-14が参戦する事で徐々に敵航空勢力を駆逐していく。だが、数においては未だに深海棲艦側が勝っていた。

 

「ちっ、キリがない。」

 

編隊長は既に6機程撃墜するも勢いの衰えない深海棲艦機の群れ。自機に食らいつく3機のヘルキャットをミラー越しに確認する。するとヘルキャットの機銃掃射が始まる。バレルロールを繰り出すも主翼に何発か着弾する。計器類の一部が赤く点滅する。

 

「くそっ!」

 

フラップの動きが鈍くなる。動翼の一部も反応がない。

 

《ハウンド2-1、今行く!》

 

僚機が救援に来るも二度目の同時掃射が始まる。今度のはエンジン周りに着弾する。そして後方から爆発音がした。

 

「くそっ!エンジンが死んだ!」

 

瀕死の雄猫に止めを刺すべくヘルキャットはもう一度掃射態勢に入るもその前にサイドワインダーの餌食となった。

 

《ハウンド2-1脱出しろ!》

 

仲間が呼びかけるも無線が通じない。数秒後、レーダーからハウンド2-1の反応が消えた。

一方、地上ではAH-1Zの支援を受けた部隊が前進する。

 

「よし、ここはトーチカの死角だ。これから肉迫するぞ!ついてこい!」

 

陸軍兵はトーチカ内部に侵入する。

 

《地上部隊がトーチカラインの側面に進出した。いけるぞ!》

 

エイブラムスや九七式が歩兵の盾となりつつ進む。特にエイブラムスの防御はトーチカ並だった。7.5cm対戦車砲弾をものともせず、逆に返り討ちにしていた。

 

《こちらライノ2-1から金剛へ

間もなく海岸を抜ける。砲撃を中止されたし。》

 

バイパーによる支援攻撃が絶大な威力を発揮した。

 

「行ける!俺達ならやれるぞ!」

 

兵士達の士気は最高潮だった。蓮田も副官と通信兵を連れて前進する。

 

「神崎少佐、右翼の状況は?」

 

副官に戦況について問う。副官はニヤリと笑う。

 

「あのエイブラムスとか言う戦車のおかげでトーチカの側面に進出しました。」

「よし!左翼も前進しろ!遅れるな!」

 

伏せていた兵士達は一気に走り出す。その時、

 

「大隊長!」

 

副官は咄嗟に蓮田を押し倒す。その直後に副官の背中が血で汚れる。

 

「おい!神崎少佐、しっかりしろ!衛生兵!!」

 

蓮田は副官を担いで衛生兵を探した。弾の飛び交ってる中で衛生兵を見つける。

 

「おい、早く手当てしてやってくれ。」

 

衛生兵は副官を見て絶句した。背中から肺まで一直線に貫いていた。

 

「大隊長、もう手遅れです………。

手の施しようがありません。」

蓮田は副官の胸ポケットから一枚の紙を取り出す。

 

「行くぞ………」

 

蓮田は前へ走り出す。通信兵と衛生兵もそれについて行った。

バンカーショット作戦はまだ終了していない。激戦は続く。




いかがでしょうか?
もはや暴走していますね…………
そして完全にネタに尽きるという非常事態です。これは非常に不味いですよね…………
これから更新も遅くなるかも知れませんし、アンケート、要望募集があるかも知れません。その場合は活動報告に記載しますのでたまに見ていただけるとありがたいです。
それではまた次話でお会いしましょう!

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