いつかまた平和な海へ   作:VI号鷲型

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どうも、色々と死にかけているストライクイーグルです。
今回ははっきり言って冒険してしまいました。人によっては嫌いな物かもしれないのでお気を付け下さい。
読んで少しでも抵抗を感じた場合は速やかに後退して下さい。
「そんな物に構うな!両舷全速!」
と言う方はこのまま進軍を続けて下さい。
それではどうぞ。


第九話 幽霊船

「おぅ矢坂!久しぶり!」

そう声を掛けたのは陸軍第5師団分遣大隊長であり矢坂の幼馴染みである蓮田 守だ。それと

「だ、大隊長、置いて行かないでくださいよぉ。」

後ろから眼鏡を掛けた陸娘が小走りで駆け寄る。

「あぁ、すまんチヌ。」

と蓮田は詫びる。すると矢坂に気付いたのか直立不動で陸軍式敬礼をする。

「ところでそちらの美しい海軍士官はどちら様?

まさか、矢坂大佐の愛人?」

と茶化しながら矢坂の肩を叩く。

「はっ、自分は海月 早苗少佐であります。」

蓮田はラフな敬礼をする。

「まぁ海月少佐、同じ島で暮らす身だ。陸軍だの海軍だの気にせず仲良くしましょうや。」

すると今度は海兵隊妖精に目をつける。

「おぉ、こりゃまた随分と凛々しい妖精さんだな。」

海兵隊妖精は海兵隊式の敬礼する。

「私はベルツ中尉だ。よろしく。それとコイツはエイブラムス。見ての通り陸娘だ。」

エイブラムスも敬礼した。するとチヌが興味津々といった感じでエイブラムスを見つめる。

「おっ?なんだい、アタシが気になるのかい?」

チヌは頭を縦に振った。するとエイブラムスは技術開発棟格納庫へと走っていく。エイブラムスの姿が見えなくなると格納庫から甲高いエンジン音が鳴り響く。

「凄い音ですね。」

チヌは全員の気持ちを代弁するかのように呟いた。格納庫から森林迷彩を施した戦車が現れる。車長用のキューポラから半身を乗り出しいるエイブラムスがいた。

「これがアタシだよ。」

チヌはエイブラムスを観察する。足回りから砲身まで隅から隅まで観察した。

「あの、これの口径って何mmですか?」

どうしても気になる所を質問する。

「ん?これ?あー120mm滑空砲だけど。」

その口径に驚きを超えて寒気を感じた。チヌの口径は75mm。そして、かの有名なドイツの重戦車ティーガーIは88mm。つまり重戦車を超える口径から撃ち出される砲弾は簡単にチヌの装甲を貫いてしまうだろう。そう思うとゾッとした。

「そういや大隊長さん。この島に射爆場はあるのかい?

いやね、肩慣らしを兼ねて訓練したいからさ。」

蓮田は頷き射爆場までの地図を渡す。

「Thank you Sir」

そして甲高いガスタービンエンジンを響かせて走り去ってしまった。

「そういや、矢坂。例の車両格納庫の件は?」

矢坂に三ヵ月前から申請している要望について尋ねる。

「あぁ、さっき妖精さんに頼んだから明後日位には出来てるだろ。」

と適当に話す。するとセーラー服を着た少女4人とオーシア海軍のブレザーを着た少女がこちらに向かってきた。

「司令官さん、幽霊船なのです!」

まず始めに電が訳のわからないこと口走る。

「う、嘘じゃないのよ!」

若干、涙目になっている暁も同様に訴える。提督は頭を掻きながら何があったのか説明を求めると、

「実は、僕が提案してこの島の探検に出かけたんだ。そしたら、海岸に一隻の空母みたいなのが座礁していた。それで中を調べていたら僕らじゃない誰かの声をきいたんだ。」

レンツが冷静に説明する。提督は半信半疑で話を聞いていた。蓮田は興味津々で、海月は気味悪く感じていた。

提督はため息をついた。それと同時に響がある重要な事を思い出す。

「秋月は?」

駆逐艦とフリゲート艦は一人足りない事に気付いた。

「「忘れてたー!!」」

 

 

 

一方その頃、秋月は電達のはぐれた挙句、迷子になった。探そうにも現在位置が全くわからない。なにしろこの船もバザードと同様に広くそして、入り組んでいる。

「何処だろう?」

照明が一部落ちている為薄暗い。さまよっている内にだだっぴろい場所に出る。そこには空のドラム缶や何かの補修部品が無造作に置かれていた。

「格納庫………かな?」

何か役に立ちそうな物を探すも何も無かった。すると背後に気配を感じ振り返る。そこには海兵隊の迷彩と海軍の制服を掛け合わせた様な服を着ている少女がいた。

「なんかようかい?」

腰に手を当てて立っていた。秋月は警戒しつつも名を尋ねた。

「貴女は一体誰なのですか。」

すると少女は笑いながら答えた。

「俺の事かい?俺はLHD-2 USSヴァルキリーだ。見ての通り揚陸艦だ。まぁ、中には俺と少数の妖精とか言う奴だけだがな。」

敵意は無さそうなので警戒を解くことにした。すると

「ちなみにあんたは何者だ?」

ハッとする秋月を見て苦笑するヴァルキリー。そして頬が朱色染まる秋月。

「私はトラック泊地所属防空駆逐艦、秋月です!」

ヴァルキリーがこくりと頷くと天井を見上げる。

「そろそろ機関部が直るから電源が回復してもおかしくないんだけどな…………」

すると格納庫全体が明るくなった。

「おっ、やっとこさ直ったな。さて此処にいても始まらないな。艦橋まで上がるか。」

ヴァルキリーは足早に歩き始め秋月も慌ててついて行く。

 

その頃、執務室では秋月を探す為に数人が集まっていた。主に提督と蓮田、そしてシバリーが行く事になり案内に電がついた。

「すまんなシバリー。こんな事に巻き込んで。」

シバリーは肩をすくめて海兵隊妖精から借りたM4を点検する。

「いいですよ。それに元はと言えばうちのが言い出しっぺらしいのでそのツケは私が払いますよ。」

そう言って少し笑う。蓮田も三八式に着剣する。提督も一〇〇式機関短銃に弾倉を入れてコッキングハンドルを引いた。

「さて電、案内してくれ。」

「なのです!」

そう言うと小走りで目的地に向かった。提督達もそれに続いた。

歩くこと数分の所で小さな海岸に出る。そこには見慣れぬ空母の様な船がいた。

「あれなのです!」

電がその船を指を指した。確かにマストは折れ、ところどころに損傷があった。

「艦尾のハッチから入れそうだぞ。」

蓮田が侵入口を見つけた。一同はハッチまで向かった。遠浅だったので歩いて行くことができた。

中は幽霊船とは程遠く明るかった。

「本当にこれが幽霊船か?」

シバリーは警戒しつつも電に聞く。蓮田も疑うように見つめていた。

「前はちょっと薄暗かったのです!」

それでも真実だと主張する電。軽い論戦が始まりそうな雰囲気を提督が断ち切った。

「とりあえず今は秋月を探す事が優先だ。いいな?」

二人とも頷くと目の前の水密扉が開いた。そこから一人の妖精がひょっこりと顔を出す。

「あのぉ、どちらさまですか?」

シバリーは無言で射撃態勢に入る。蓮田も構えこそしないが警戒する。

「ここにポニーテールの女の子が来なかったか?」

提督はまるで通行人に道を聞くような感じで尋ねた。

「秋月さんって人のお迎えですね。付いて来て下さい。案内します!」

妖精はそのまま水密扉の奥に消えた。提督もついて行くしか無かった。

幾多の水密扉とラッタルを昇り降りして艦橋と思しき場所に着いた。

そこには秋月ともう一人の艦娘が談笑していた。

「しつれーします。秋月さんのお迎えを連れてまいりました。」

すると秋月が立ち上がり、もう一人の艦娘を紹介した。

「彼女がこの艦の艦娘でヴァルキリーって言います。とっても良い人ですよ。」

するとヴァルキリーは提督達に海兵隊式敬礼をする。

「俺はUSSヴァルキリーだ。見ての通り揚陸艦だ。以後お見知りおきを。」

とりあえず、提督達も自分の名を名乗る。それからというものヴァルキリーの案内で無事に全員が出ることができた。その際、提督は仲間にならないかと聞くと、

「むしろ大歓迎だ!応急修理させてなんとか港まで行く!」

と言って妖精達と共に修理に行ったという。これで秋月救出と幽霊船の正体を暴く事に成功した。

この後にシバリーと天龍で探検に出た駆逐艦達がこってり絞られたのは言うまでもない。




いかがでしょうか?
まず、新たに登場したこのUSSヴァルキリーは『battlefield4』に登場する強襲揚陸艦です。知らない方はbattlefield4で検索すると出てくるはずです。
少々無理矢理かも知れません…………ごめんなさい。
感想、アドバイス等もいつでも受け付けているのでお願いします。
それではまた次話でお会いしましょう。

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