魔法少女リリカルなのは-リンカーコア科の医師-   作:融点

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なかなか時間が取れませんが、コツコツ頑張っていきたいと思いますよ!

確か明日は勤労感謝の日らしいですね!
みなさんは休み、なんでしょうね?…え?俺?もちろん仕事ですよ!!しかも、残業ほぼ確定の(笑)


嗚呼、1日中ずーっと寝てる日とか作ってみたい…(´・ω・`)


てなわけで、愚痴とともに本編どうぞ!


第8話 無限書庫と執務官④

ソンブルに赴いて初めての夜が明け、日が昇り始めた頃にシグレは目を覚ました。通信端末を見るとだいたい朝の5時頃だ。フェイトの方を見るとまだ夢の中にいるらしい…が、確認してからすぐに目を離した。

と、言うのもすべてはフェイトの格好にあった。

 

一応念のためにバリアジャケットで一夜を明かしてもらったのだが、フェイトのバリアジャケットは軍服調であるが下はミニスカート。正直に言うと寝相でずれてスカートの中が見えてしまっているのだ。健全男性の思考を持ち合わせているならこれを見て変な気持ちを抱かない方が異常だ。しかし…

 

 

「ったく、女の子ってのはお洒落に気を使うよな。でも、そんなんじゃ足が冷えちまうぞ。」

 

 

この男はその思考にすらたどり着かず、紳士的に対応出来るのだ。シグレは劣情など欠片も抱かず、自身が着ていた白衣を被せ、風邪を引かないようにした。白衣は丈が長いため、フェイトの体をすっぽりと包み、寝顔もどことなく嬉しそうだ。

それを見てからシグレは立ち上がりそのまま外へと出ていった…。

 

 

[side フェイト]

 

「う、うぅん……?」

 

昨日執務官試験のためにソンブルに来て、試験ってこともあってか疲れてたみたい。あの後すぐに寝ちゃった。

外を見ると日が昇ってる。もう朝かぁ…、これから敵地に乗り込んで犯人を捕まえないといけない。気を引き締めて行かないと!し、シグレが協力してくれてるけど、それに甘えないように…って、あれ?

 

 

「……シグレ、どこ?」

 

 

周りを見渡しても何処にもいない。…トイレかな?

 

 

《サー、シグレ殿は一時間ほど前に外へと出ていきましたよ。》

「あ、バルディッシュおはよう。シグレは外に行ったんだね?魔力反応で追えない?」

《了解。……見つけました。数百メートル離れた森の中にいますよ。》

「ありがとう、バルディッシュ。」

 

 

一時間も外にいるのはおかしいな。とりあえず追いかけて様子を見に行こう。…もしかしたら体調悪くなってるかもしれないし…。

そのまま起き上がった時に、パサっと何かが落ちる音がした。下を見ると……。

 

 

「あ、これ……、シグレの白衣?」

 

 

そこにあったのは白衣だった。手に取って広げてみると、シミ一つなく、清潔感が溢れている。…と、見ていたら…やっぱりやりたくなるよね。

私は自然にその袖に手を通して、白衣を羽織った。予想通り、少し袖が余ってしまったけど、白衣の丈はちょうど私の脛くらいまでだったし、朝だからすこし肌寒いかも…うん。多分大丈夫。

あ、なんだろう。ほんのり甘い香りが漂ってくる。若い男の人ってキツイ香水とかつける人が管理局員にも多いんだけど……これは全然嫌じゃない。むしろ………好き、かも。

 

 

(な、何言ってるんだろ私…。早くシグレを見つけよう。)

 

 

白衣を着たまま、私はシグレを見つけるために外に出た。自然が辺りを覆ってるからかな、すごく空気が美味しい。そう思ってる間にシグレがいるところに着いたみたい。そこは木がすこし切り抜かれたように広い空間が出来ている。そこで私が目にしたのは……。

 

 

「……っ!はっ!!」

 

 

シグレが青い人型の何かと切り結んでいるところだった。青い何かからシグレの魔力が感じられるから、きっとあの猫や狼みたいに自分の魔力で作ったんだろうな。しかも戦い方もすごく洗練されてる。青い何かが剣を振るえば最小限の動きで躱して、素早く反撃する。剣については素人だけど、動きに無駄がなく、隙がないのがよくわかる。…なんだろう、私もシグレと戦ってみたくなっちゃった。

 

 

 

 

って!まだ任務の途中なのになんで鍛錬してるの!?

見蕩れてて気が付かなかったけど、任務中なのに体力使ってどうするの!?

 

 

「シグレ!!」

「お、ハラオウン起きたのか。おはよう。」

「あ、うん。おはよう……じゃなくて!なんで任務中なのに鍛錬してるの!?ダメだよ無駄に体力使っちゃ!!」

「…お前ら本当は義兄弟じゃなくて本物の兄弟だろ?クロノも試験の時に言ってきたぞ?それ。でも、しゃあないじゃんか。朝の鍛錬は習慣だし。」

「でも…それで体力切らしちゃったら…。」

「あー大丈夫だぞ?今回はお前がメインで俺はサポートでしかないからそんなに体力使うことは無いだろうし、何より……」

 

 

って言いかけたらシグレの足元にベルカ式の魔法陣が現れて、シグレを魔力が包み込んだ。数秒たったら魔力が消えて、シグレを見ると前以上にすっきりとした雰囲気が出てる。

 

 

「俺は医者だぜ?体力を回復させる魔法くらい会得してて当然だろ?」

「………。」

 

 

いや、確かにそうなんだろうけど…。た、体力のみならず魔力まで使うなんて…。私は顔に手を当てる。なんだろう…シグレ、すごいんだけど、ある意味普通じゃないよ…。

お兄ちゃんの苦労も、少しわかった気がする…。帰ったら優しくしてあげよう。

 

その後、食事をとってすぐに研究所に向かったんだけど…シグレは料理もできるみたいで、簡単なものだったけどすごく美味しかった。本人曰く「数こなしてりゃ上手くなれるって。」だとか。

私も……女の子として料理できた方がいいかな?

 

 

○○○○○○○○○○

 

「さて、執務官候補生、このどでかい建物内に侵入するにはどうすることが望ましいかな?」

「…相手に気づかれないよう、窓などのガラスを静かに割って侵入します。」

「………それ、空き巣の手口だからな?」

「………////」

「まぁ、でもあながち間違いとはいえねぇけどな。」

「ど、どっちなんですか!もう!」

 

などと雑談しながら2人は研究所の中枢と思われる場所にたどり着いた。やけにすんなりと入れたのはここに来るまでの道中で何も妨害がなかったためである。研究所への入り口は見た目は普通のスライド式の自動ドアで、見た限りでは指紋認証システムによって開閉するようだ。

 

 

「でも、窓がだめならどうするんです?…ル○ンみたいに指紋をごまかすことができるのなら話は別ですけど…。」

「あ、意外に名作のアニメくらいは分かるんだな。いやまあ、それができたらいいんだけどよ…今回の正しい入り方は…。」

 

 

そう言うと、シグレは扉から少し離れて相棒である『虎徹』を呼び出した。本来であればこの時点でバリアジャケットが展開されるのだが…。シグレの格好には特に変化がなく、強いて言うなら刀を収納するホルダーが腰あたりに付いたところくらいだ。

 

 

「あれ…?シグレ、バリアジャケットは?」

「ん?んなもの登録してねえよ?バリアジャケットってのは魔力を使って構成する戦闘服なんだろうが…服に防御魔法をかければそれだけでバリアジャケットの代わりになる。だから俺には必要ねえんだよ。」

「へぇ…。で、どうしていきなりデバイスなんて取り出したの?」

「…………それはな。」

 

 

シグレが体勢を低くしたと思うと、目で追えるかどうかというスピードで扉に近づいて…虎徹の鍔を弾き、振りぬいた。刹那、幾閃もの軌跡とともに扉がガラガラと崩れていった。けたたましいサイレンとともに。

扉(元)の前には、無駄にすっきりした表情のシグレと、ムンクの叫びと並ぶくらいに絶望したような表情のフェイトがいる。フェイトに至っては、予想のはるか斜め上を行く行動に今にも崩れてしまいそうだ。

 

 

「---------------------------っ!!!!!!!????」

「いやー、やっぱりこういう暗い場所には『ダイナミックお邪魔します』が一番の近道だな!ハラオウンもそう思うだろ?」←すっきり顔

「シグレの……シグレのばかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」

 

 

フェイトの叫びに反応したのか、研究所の中からぞろぞろと何かが出てきた。それは…

人間の体に多種多様な生物が至る所に付いたような生物…所謂『合成体(キメラ)』だ。それを見てフェイトは気を引き締め、バルディッシュを構える。

 

 

「これは……酷い。人の体を何とか保てているけど…。」

「…………………なる、ほどな。」

「シグレ……っ!!!」

 

 

さっきのやんちゃな雰囲気のシグレの空気ががらりと変わり、ピリピリしだす。空気が振動しているといわんばかりだ。

 

 

「クロノの言っていた『仕返し』ってのは、これのことだったのかよ…。」

「え…?」

 

 

訳分からんと言わんばかりのフェイトをよそに、扉を壊した時に収めた虎徹をゆっくりと引き抜いた。魔力を帯びて虎徹の刀身の波紋が、怪しく揺らいでいるようにも見える。

 

 

「ハラオウン、こいつらは気絶させるだけにしろよ。」

「最初からそのつもりだったけど…どうしたの?」

「…………さっきの瞬間にこいつらに目で見えない魔力糸を入れて少し調べた。そしたらこいつら、体を直接弄られたわけじゃねぇ(・・・・・・・・・・・・・・・)。…………こいつら…

 

 

”リンカーコア”を”直接”弄られてやがる!!!」

「な……、そんな!!」

『ぐぎゃああああぁぁぁああああああぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!!!!!』

 

 

けたたましい咆哮とともにキメラの大群が一斉にシグレとフェイトをめがけて突撃してきた。キメラたちの表情を見ると…苦しさと悲しさが溢れている。

 

 

「だから…こいつらを気絶させるだけで収めろ!いいな!こいつらは……俺が助ける(・・・・・)!!」

「っ!う、うん!」

「…くそ、個々の首謀者……絶対に許さねぇ!」

 

 

シグレとフェイトも突撃してきたキメラを気絶させるように応戦していった。すべては…キメラを救いたいという一心のもとに。

 

 

『くっくっくっく…、プロジェクトF.A.T.Eの成功例に…この世界唯一のリンカーコア科の医師か…。くっくっく…はーはっはっはっは!!!いいだろう、盛大に歓迎してあげようじゃないか!』

 

 

億では、二人を嘲笑いながら悠々と戦闘データを取っている薄汚い研究者の笑声が響いていた…。




※おまけ※

「そういや、白衣着てたのな。」
「え、あ、ごごごごめん!すぐに返すか「あー、良いからちょっとそのままな?」…え?」


シグレが白衣を着たフェイトの肩に手をやり、魔力を込めるとあら不思議!フェイトの体にフィットするサイズになりました!


「わぁ…!」
「その白衣、魔力の糸で出来ててな。魔力を充てることでその魔力の持ち主の体に合わせようとする性質があるんだよ。」
「え、でも…いいの?」
「いや、こっちこそむしろその白衣でいいのか?良ければ新品であげるけ「大丈夫大丈夫!こ、これがいいっ!///」お、そうか。あと、それと同じ容量で模様とか入れたり、バリアジャケットに組み込むなんてのも出来るから、好きなように使うといいぞ。」
「あ、うん…ありがとう。」


それから、フェイトのバリアジャケット(StSの時の軍服風の奴)には白衣が追加されるようになった。


こんな魔法の服とか…欲しいなぁ。


ちなみにフェイトの口調が敬語とかタメ口とか行ったりきたりなのは、仕事中は敬語だけどふとした時に素が出てくるって感じです。

時間の進み具合が遅くてすみません。こんな作品で良ければご感想などお待ちしております。

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