魔法少女リリカルなのは-リンカーコア科の医師-   作:融点

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えー、長らく投稿できませんで申し訳ありません。
新しい分野の仕事に打ちのめされて投稿どころではありませんでした。
しかし、大事なことにも気づかされました。


やはり、自分の世界をもっともっと表現したい!
この小説をもっともっと続けたい!

てなわけで、心機一転!これからペースが遅くとも頑張ります!
応援よろしくお願いします!


関係ない話、タブに外付けのキーボード使ってこの小説書いてます。


これを読んだ読者は「え、パソコンじゃねーのかよ!」・・・という!(バァァァァン!



というどうでもいい前振りと共に本編です。


第7話 無限書庫と執務官③

優しい説得(・・・・・)によりとりあえず休みを貰えたシグレはクロノに連絡を入れ、待ち合わせである時空管理局の待合室に来ていた。

そこには相変わらずにまっくろくろすけなクロノと、長い金髪を先端で束ねた少女がいた。少女はちょっと緊張してるのか、目を泳がせている。

 

 

「シグレ、紹介しよう。義妹で執務官を目指しているフェイトだ。」

「ふぇ、フェイト・T・ハラオウンです!今回はよよ宜しくお願いしまひゅ!……。」

「いや、そう緊張されると少し困るぞ?」

 

 

否、ガッチガチに緊張していた。特に見た目は怖くはない(と自負している)のだが、さっきの反応といい、おそらくフェイト・T・ハラオウンは男性との接点がそんなにない為に緊張してるんだろうとシグレは感じた。

 

 

「……なぁクロノ、この子大丈夫か?」

「…実際男性との接点があまり無くてな。執務官目指す前、嘱託の仕事も主に女性とツーマンセルでやってたし…。」

「まぁ、今日顔合わせしておいて正解だったな。こんなにガチガチじゃあ任務以前の問題だしよ…。うし、おいハラオウン!」

「ひ、ひゃい!?えと、何でしょうか?」

「お前、好きな動物って何だ?」

「えぇ…と、オオカミと…猫、です。」

「よし、わかった。」

 

 

そういうとシグレの下に魔法陣が展開し、いくつかの魔力スフィアを展開した。その一つ一つが、だんだんと狼や猫の形になっていく。しかも作り物とかそういうレベルのものではなく、まるで生きているかのような出来栄えだ。

 

 

「うわぁ……!!すごい!」

「触ってみな?傭兵してる時とか散歩してる時に本物は触ってるからその感触は再現出来てると思うぞ。」

「は、はい!……うわぁ〜♡可愛いなぁ〜♡にゃー、にゃー♪」

 

 

フェイトは一匹の猫スフィアを抱きかかえてその可愛さに悶えている。毛の一本一本から再現しているのだからモフモフしているため触り心地は最高だ。それに引き換え……。

 

 

「お、おい?何でヴォルフはこっちににじり寄ってきてるのかな…?」

「あー、最近は遊ばせてなかったからなぁ…。」ニヤァ

「え?いや、マジで勘弁しt「ヴォルフ、遊んで良し(バイト)♪」あーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!いだっ、ちょ!頭噛むな!いでででで!!」

「お、お兄ちゃん!?」

「あー大丈夫大丈夫。あいつら加減うまいし、そんなにボロボロにゃしないだろ。…どうだ?緊張解けたか?」

 

 

そう、全てはフェイトの緊張を解くためにやったこと。フェイトも自身の体の強ばりがなく、心拍も落ち着いてることに気がついた。

 

 

「アニマルセラピーって奴を真似て、俺の魔力精密操作で作ってみたんだ。なかなかいいだろ?」

「はい、すごく可愛いし…何かお兄ちゃんのあんな一面見れてすごく面白かったですし…。」

「ならよかった!…うし、ヴォルフちょっと待て(ステイ)!とりあえずこれからハラオウンと追わなきゃならないやつの説明をしてもらわないとな。」

 

 

ちなみにクロノに飛びついたヴォルフは3匹。そのうち2匹はクロノから退いたが一匹は未だに頭をガシガシしていた。癒される光景だが、クロノの頭から出てる血を見るに結構洒落にならない。

 

 

「……後で回復を頼むぞ。」

「まぁまぁクロノ君、血色良くなったんだとりあえず説明よろしくなっ!」←爽やかな笑顔

「…絶対仕返ししてやるぅ…。まぁ、気を取り直して。

 

今回追って欲しい犯罪者はこいつだ。」

 

 

二人の目の前に手配書が表示される。ボサボサの黒髪に黒ブチメガネ、やせ細った顔、少し黄色がかっているようにもみえる白衣と、何とも不衛生な見た目をしている。

 

 

「コイツの名前はディール・クリストン。S級の犯罪者リストに最近上がった、言い方が合ってるかわからないがかなりのやり手だ。」

「…犯罪者の犯罪の内容は?」

「誘拐に違法研究、違法薬物使用など色々ある。最も重要なのは違法研究だ。シグレ、君にとっては胸糞悪い話だと思うよ。」

「まぁ、確かにちょっと頂けねぇな。様々な物が発展、進歩するのには研究と実験、論議が必ずついてくるがやりすぎるとどれもこれも犯罪になっちまうからな。」

「…いや、そういうわけじゃないんだが…、まぁ、さっきのヴォルフの仕返しとしてそこは伏せようか。とにかく、君達にはディールを逮捕してきてもらう。」

「了解しました!」

「わかった。で、そのディールとかいう奴が潜伏してるところも分かってるんだろ?」

 

 

クロノは頷いてフェイトのデバイス、バルディッシュ・アサルトとシグレの通信端末にそれぞれ情報を送った。展開して見ると、場所には「第49管理世界 ソンブル」と書かれている。

 

 

「今回は試験ということで、こちらで既に潜伏先はサーチしてある。しかし、そこから先の情報は全くないためそこからは自身で調べ、逮捕につなげて欲しい。期間として3日間とあるが、今から出かけ即座に解決するというのもありだ。そこは君達に任せよう。」

「…だそうだが、どうするハラオウン?」

「…一日目はソンブル周辺の調査を行って、その後に敵地に乗りこみます。その方が安全でしょうし…。」

「そうだな。周りを探索すんのも安全に任務を遂行する上では大事だもんな。……なぁクロノ、もうこの子合格で「言い訳ないだろ。」だよなぁ…。まぁ、ちゃっちゃと終わらせてくっか。」

 

 

話をそこそこに席から立ち上がり、シグレはフェイトに手を差し出した。フェイトの頭の上に「?」が浮かんでいるのが分かる。

 

 

「これからよろしく頼むぜ?フェイト・T(テスタロッサ)・ハラオウン執務官候補生。安心しな、こんな試験合格させてやっからよ!」

「…あ、は、はい!よろしくお願いします!」

 

 

シグレの手をフェイトが握る。シグレの手は剣を嗜んでいたこともあってマメが潰れたり傷跡が残っていたりしてしてゴツゴツしていた。医師の手とは思えない手だが、同時にそれほどまでに鍛錬し努力してきた証でもある。

 

 

「……すごい、ですね。」

「……?何がだ?」

「手、すごくゴツゴツしてる。きっと、すごく努力してきたんでしょうね。それに比べて、私はまだまだだなぁ…、って。」

「……。」

 

 

自然とシグレの手が離れていった。フェイトは何故かは知らないが、シグレの手をずっと握っていたいと思った。しかし、手を離したシグレの顔は、少し影がかかっているように見えた。

 

 

「あまり褒められる手じゃ…ねぇんだけどな。ま、俺の目的(・・・・)の為には必要だったから、頑張っただけだ。

さて、そんじゃあ今から2時間後に次元航空艦乗り場に集合な。」

 

 

そう言い残し、シグレは去っていった。

 

 

 

「あ!シグレェェ!!僕の頭を治してから行けぇぇえ!!!」

「いいじゃないかクロノ君!風通し良くてスースーするだろ?酸素がダイレクトに脳に行くしな!いいことづくめじゃないか!」←爽やかな笑顔

「良いから治していけ!こんなんじゃエイミィに心配されてしまう!」

「…嫁さんの話を出すなんざ、ずるいじゃねぇか。しゃあねぇなぁ!」

 

 

帰り際、きちんとクロノの治療も施していった。

 

○○○○○○○○ソンブル○○○○○○○○

 

 

《第49管理世界ソンブル、自然に囲まれ巨木が世界の大半を占めているようです。原生生物は種類が多く、水も綺麗で、飲み水としても評価が高いらしいですね。原生している生物には龍属も少数いるようですが…危険性はあまり高くはありません。ここは魔法文化や人が居住していた形跡がありますが、現在では無人世界となっています。》

「なるほど…ありがとう、バルディッシュ。」

「へぇ、さすがはインテリジェント。滑らかで渋い言語機能、豊富な容量、高度な魔法・魔力処理システム、そして速くて正確な情報処理…いいことづくめだな。」

「え?シュヴェーアトさんのデバイスはインテリジェントではないんですか?」

 

 

フェイトは顔合わせの前にシグレのことを大まかにクロノから聞いていた。曰く、「管理局に所属する魔導士でシグレに勝てるものは少ない」だとか、「戦技教導官に指導を受けるより分かりやすい」だとか。とにかく褒め称える言葉が多かった。…まあ、「医師という職のせいか知らないが結構腹黒でドS」とかいう皮肉めいたものもあったが。

加えて、フェイトの中では強い人=インテリジェントデバイス持ちという考えがあったため、シグレの発言に驚きを隠せなかった。

 

 

「あぁ、俺のデバイス『虎徹』はアームドデバイスだ。管理外世界の『地球』っていうところの和式武器『刀』をベースにして作ってもらったんだよ。刀身には『魔玉鋼(まぎょくこう)』っていう魔力との親和性が高い素材を使ってんだ。でも、魔法の処理に関してはインテリにも負けないくらい早いし精確だ。」

「へぇぇ…。でもなんで刀をベースに?」

「俺に戦い方を教えてくれた師匠の剣術が『抜刀術』で、それには刀のほうが適してたってのが大きいな。ほかにも理由があるっちゃあるんだが……まだ会って日も浅い子に教える内容じゃねえな。」

「え、あ、すみません!プライベートなことずけずけと聞いてしまって…!!」

「別に気にしてねぇよ。それにまだプライベートな内容にゃ入ってねーんだ。謝られてもこっちが困るぞ?」

「……そうなんですか?」

「そうなんです…と。お!ここなんて拠点にどうだ?部屋も掃除しようによっては結構広くて使いやすいし、扉も屋根も穴が開いてないから雨風も凌げるぜ!」

 

 

とりあえずシグレが見つけた一軒家を拠点に、拠点に戻る時間を決め、それぞれソンブルの調査を開始することにした。結果として草木が生い茂っていることもあり、ディール・クリストンは隠しているつもりなのか、隠す気がなかったのか、捕まらない自信があるのか、堂々と研究所のようなものを作っていたためすぐに居場所が突き止められた。

 

 

「意外と拍子抜けだったな。今回の執務官試験は難易度低めって感じだな。」

「お兄ちゃんの時はどんな試験だったんですか?」

「テロリスト30人対俺たち2人。結果的に俺とクロノで18対12で俺の勝ち越しだったなぁ。」

「あ、あはは・・・。」

 

 

拠点に戻ってきたシグレとフェイトは薪を囲い2人で対面する形で座っていた。パチパチと音をたてながら燃える薪の炎が2人を暖かく包み込んでいる。捜索を念入りにしていたため、辺りはすっかり暗い。時間としては午後8時くらいだろうか。二人は食事を摂り、あとは寝るだけとなっていた。

しかし、今回限りになるかもしれないがパートナーとなっていることと、義兄が絶賛するシグレが気になったことが相まって二人で談笑していた。

 

 

「そういえばシュヴェーアトさん「あぁ、シグレでいいぞ。あと、敬語とかも要らん。自然体でこいよ。」...し、シグレは何で医者になろうとしたの?それに医者ならお兄ちゃんが絶賛するほどの強さなんていらないよね?」

「...。」

 

 

自然体で、という男性経験の少ないフェイトにとって難易度が高い要求にあたふたしているフェイトとは違う、憂いを含んだ表情でシグレは泊まっている家屋の窓に目をやる。暗くとも星が瞬き、科学が進歩していろんなものが溢れている自分達の世界(ミッドチルダ)とは比べ物にならないくらい綺麗な夜空だ。

 

 

「...人間っていうもんは、いや、人間に限らずすべての動物は欲に忠実なんだよ。」

「え?」

「俺が何故、『医者としての知識(救う力)』と『傭兵としての技術や抜刀術(奪う力)』という矛盾した力を持っているかは、それだけで十分説明がつく。まぁ、要するに俺がそうしたかったから力をつけたって訳だ。大雑把に説明すりゃな。」

「...。」

「さて、と!しんみりすんのもこれくらいとして、とりあえず明日に備えて寝るとしますか!明日はハラオウンメインで犯人捕まえなきゃだからな!お前も寝不足にならないようにもう寝ようぜ!」

「え、は、はい。」

 

 

シグレが話している間、フェイトはシグレから目が離せなかった。さっきまですごく生き生きしていたのに、急に、沈んでしまうのではと思うくらいに悲しみが籠った表情で、話し終わってからも無理矢理笑顔を作ったような感じだったからだ。

フェイトも横になり、ふとシグレの姿を見る。大きく広い背中が頼もしいが、纏った雰囲気は今にも消えてしまいそうだ。その雰囲気に、フェイトは既視感を感じていた。それは...。

 

 

(何だか、今のシグレの雰囲気って......

 

撃墜されたときのなのはに、似てるなぁ。)

 

 

数年前に自身の不調が原因で撃墜され、再起不可能と言われた幼なじみの高町 なのはだった。




駄文ですが、ご感想などお待ちしております!


え?早くなのはちゃんとの仲を深めてイチャイチャさせろって?


誰がなのは一人だと言った?・・・そこんところも楽しみにしていてください!

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