今回はちょっと言いすぎじゃね?とか思う表現があるかもしれませんが…
うちの小説は!IDGですから!IDG!
え?IDGとは何ぞ?…それは!!
I(いつでも)!D(どこでも)!G(ご都合主義)!です!!←重要
戦闘描写がないとちょっとやりづらいですね…。いや、主人公医者なんですがね(笑)
てなわけで本編です。
フェイト・T・ハラオウンの執務官試験に付き添ってたらから、3日の時が経った頃…。シグレはというと…
「シグレ先生!ジクルドさん、熱が下がりません!」
「んなっ!恐らくリンカーコアがいきなり人間のだけになったから負荷がかかって炎症が起きてる可能性があります!命に別状はありませんが、血液を検査に!CRPとか炎症性のマーカーが上がってないか調べてもらってください!」
「シグレ先生、こちらの患者の皮膚ですが…異様に硬いです…。点滴が…!」
「それなら皮膚を2mm程、部分的に削って下さい!リンカーコアの作用で硬くなったものなので魔力を使った方法で削れば問題ありません!そこから点滴…恐らく栄養分もまともに取ってないと思うのでそれを補う点滴薬を500ml、約半日かけてゆっくり注入してください!」
「シグレ先生!か、患者が暴れだして…うわ!」
「念の為バインドをかけて下さい!まだその患者のリンカーコアは未治療なんでこちらの処理が終わり次第向かいます!」
まだその研究所にいたキメラの処置をしていた。ちなみにここまでシグレは3日間一睡もしていない。しかもそろそろ4日目に突入しようとしていた。しかし、シグレはずっと動き続けている。
「シグレ先生…。」
「んあ?ティファか。どうしたよ?」
「少し、休まないの?先生、働き詰めじゃない…。毎日見てきたから分かるけど…顔色悪いわよ?」
「…まぁ、正直しんどいわ。でも……ここが頑張り時なんだよ。」
ティファはシグレを気遣いながら肩に手を乗せる。そこから感じたのは、震え。恐らく、いや、間違いなくシグレは無茶をしている。
シグレはこの3日間、ずっとリンカーコアをケアしてきた。細い魔力糸で探り、糸の先をメスの様にして切れ味を良くして他の動物のリンカーコアを丁寧に切り離し、魔力チューブでリンカーコアと少し強い回復魔法を掛けたカートリッジを繋いで注入しながら他の患者を診て、更にはカートリッジの補給すらもやっている。魔力も底を尽きかけ、まさに満身創痍だ。
それを見抜いた後のティファは行動が早かった。
「えーいっ♡」
「なっ!?ちょっ!?ティファやめろ!持ち上げるなぁ!」
実は看護師という職種の人間は力が意外にある。何せ寝たきりの男性をも持ち上げ、更には担ぎあげるなんてこともやってたりするのだ。力が付いても仕方がない。で、そんな力持ちの
「無茶してるの見ると、私が辛いのよ。だからお願い、30分でもいいから…休んできて…?」
「………じゃあ、30分だ「婦長〜」……ん?」
「…!あの子達…!!」
見ると、明らかに垢抜けてるような看護師が男女数名、婦長と呼ばれた女性に話しかけていた。ティファはものすごく嫌な気分だ。なぜなら、この手の輩をシグレが嫌っていることを分かっていたからだ。
「もう定時過ぎてんじゃないっすか〜。俺ら帰ってもイイっすか?」
「…え?あなた達何言って…?」
「これからハニーとデートなんすよー。なんで、俺ら上がりまっす!」
「…おかしいでしょ?こんなに患者さんがいるの「だぁかぁらぁ?」…!」
「こんなにでかい病院なんだから看護師いっぱいいるっしょ?だから俺らがいなくなったくらいばれないですって!」
「…ちょっとあなた達いい加減に「いいぜ?構わねぇ。行ってこいよ。」……シグレ…先…生?」
シグレが看護師に向かって歩いていく。顔色が悪いにしても、すごく爽やかでいい笑顔だった。しかし、そんな笑顔のシグレに対して、その垢抜けてるような看護師以外の看護師は冷や汗がダラダラ出ていた。年上である、婦長であっても例外ではない。
悲しきかな、垢抜けた看護師にはその見えない威圧感が感じ取れていないらしい。
「マッジでー!?先生分かってんじゃん♪じゃ、お先上がり「その代わり」…?」
その軽いノリとその軽い言葉が、シグレの堪忍袋をブチ切った。
「そのツラ、2度とこの病院に見せんじゃねぇぞ。そして2度とこの病院の敷居を跨ぐんじゃねー。」
「…は?アンタ何抜かしてんの?医者だからっていい気に」
「 黙 れ 」
低く、ドスの聞いた怒声が病院の処置室に響き渡った。空間が揺れたような、そんな錯覚に陥るくらいに響いている。流石にその怒声にビビったのか、垢抜けてた看護師も顔を引くつかせ黙りこくった。
「てめぇらみたいに『
そんな看護師は看護師とは呼ばねーよ。看護師の皮を被ったチャラ男ギャル共だ。
いいか、ここの処置室の中にもしそう言う考えがあるって奴は今すぐここから出ていけ。てめぇらみたいな奴に……緊急で処置しなきゃならねー患者がいる中で自分のことしか考えられねー奴に
いいか!看護師を名乗る以上!医療の世界で働く以上!患者の命を預かってるって意識を!誇りを持って働きやがれ!!これ聞いても心が変わらねーならもう金輪際!看護師とは名乗らせねーし医療の世界にいさせねー!!分かったか!!」
処置室を静寂が包み込む。
その原因たる若い看護師らや処置をしていた看護師らはシグレの気迫と言葉の重みに顔を青くした。その傍らでティファは少しの間目を閉じ、開いてから処置に戻った。
声を張り上げたシグレはとうとう限界が来たのか、足元が覚束無い。
「………すまねぇ、少し休むわ。それぞれ処置をしといてくれ。……リンカーコアの治療以外のな。」
そう言いながら、シグレは休憩室へフラフラと入っていった。
休憩室へと入っていった事を確認した看護師らは気迫から開放されたのか、ハッとした様子で処置を再開する。
「…ちっ!あのガキ、自分が医者だからって生意気じゃね?」
「だよな。あんなガキに助けられても嬉しくもなんともねーわ。」
「こんなところいたかねーわ。辞めちまおうぜ?」
若い看護師らは年下だが医師であるシグレに言われたことが気に食わなかったのか、ケラケラ笑いながらシグレの陰口を言い合っている。そんな中で、突然処置室に轟音が鳴り響いた。
驚いてその音の原因を見ると……ティファが床を殴りつけていた。針や注射器などを落としても刺さって大丈夫なようにゴム製の特殊な床になっているのにも関わらず…殴ったところが凹んでいる。
「…あなた達を見て腹が立ってるのは、決してシグレ先生だけじゃないわよぉ?私ももう、限界キテルの。やる気ないならさっさと出ていって。」
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
そして、さきほど怒号を響かせたシグレ本人はと言うと…
(あー…
やっちまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
疲れてたとはいえ!本音だったとはいえ!タダの八つ当たりじゃねぇか!!最低だ!最低すぎるじゃねぇかー!!やばい、戻りづらい!!戻りづらいー!!)
備え付けのソファに顔を埋めながら心中ではさきほどの事を嘆いていた。
口に出た言葉はシグレ自身が感じていた本音だが、言い方が良くなかったと反省している。疲れに身を任せ、怒鳴り散らすなんてあまり褒められたものではない。しかし、言ったことは取り戻せないことは分かっていたので落ち着くのにはそんなに時間は要さなかった。
そんな中、休憩室の扉が静か開けられた。
「シグレ先生、いるかい?」
「…!!あんたは、内科の…。」
「内科のグリーズさ。私だけじゃ、ないんだけどね。」
「…外科のウィリアム先生に整形外科のコムギ先生、それに…
「僕だけ酷くないかな!?禿げてないし、太ってないでしょ!?」
そこにいたのは蒼い髪をポニーテールに纏めた妙齢の女性、この病院に勤める内科の医師を取り纏めるグリーズ。短い白髪をオールバックに纏めた高齢の男性、同じく外科の取り纏めであるウィリアム。セミロングな茶髪の若い女性、整形外科の医師のコムギ。深緑の短髪でメガネを掛けた初老の男性、グリーズと同じ内科の医師であり院長の……シグレは名前を言っていないが名前をゲリールと言う。そんな病院の重鎮となっている人たちがこの休憩室に入ってきた。
「さっきの声、病院中に響いてたよ、相当腹が立ったみたいだねぇ。あのおっとりしたティファちゃんも怒って床を凹ませてたよ。」
「ティファまで…?」
「それにしても………。」
「……。(響いてたってことは聞いてたんだな。言い過ぎだって言いに来たのか?)」
「この3日間患者が多いねぇ?…で、どうなんだい?患者の様子。しっかり処置を出来てるかい?」
「………え?」
シグレの心配とは打って変わって、グリーズから出てきた言葉は患者の様子について。予想外過ぎたのと疲れからすぐに反応できなかった。
というのも、全体的に満遍なく出来るシグレは自分が運んできた患者の手前、他の医師の迷惑を考えて
「シグレ先生、外科の医師として聞きますが…どうですか?患者さんの容態は?」
「え?いや……た、確かに緊急搬送してきたとはいえ外来が優先ですし、この3日間診てて命に別状は無いと判断したので詳しい検査は全体的にみてからって思ってましたが…。」
「ふむ、じゃあMRI、CT等はまだやっていない訳ですね。」
「…はい。」
「シグレ先生?」
「ふぇ?…こ、コムギ先生?」
「整形的な容態はどないですか?」
「と、とりあえず外傷としては…自分が気絶させた時の刀傷とハラオウンが気絶させた時の衝撃で出来た打撲痕、酷い患者で手足関節1箇所ないし数箇所の骨折です。骨折に関しては固定を施しながらレントゲンに通そうかと…。」
「シグレ先生、処置上手いしな!でも処置だけやんな?」
「え、ええ。触診と見た限りの雑破なものですが…」
「うん!分かったわ!」
「…えと、
ハゲデ…院長はメガネをクイッと上げながら笑顔でシグレを見ていた。
「さっき響いてた君の言葉に触発されてね。君だけに大変な思いなんてさせないし、専門家の目線でもしっかり患者さんをサポートしたかったんだ。…っていうのが僕の意見。みんなはね…?」
「アンタの熱意、気に入ったよ!若いのにしっかりしてるねぇ!」
「リンカーコア科という新しいジャンル、その作用による身体的な変化…人体への影響、それを探求しながらも悪質な研究の犠牲者を助けたいという気持ち…私は感激しましたよ。」
「だからウチらにも出来ることしよう思て!シグレ先生が頑張ってるんやからウチらもがんばらな!大変なのはお互い様やで!」
「み、皆さん…。」
それぞれの先生の気持ちに唖然としているシグレを他所に、先生達はシグレが休憩室に持ち込んでいた患者のカルテをそれぞれ取り、見始めた。
「確かに、データとしてはそんなに悪くはなってないねぇ?でも、バイタルが悪い子がチラホラいるね。採血と……こっちは実験前の病気もあるみたいだねぇ?それもせっかくだから診てみようかねぇ?」
「他の生物の特徴が…?シグレ先生、他の生物のリンカーコアが体に入るとどういった影響が?外科的に臓器に影響ありますか?」
「うっひゃあ……結構骨折多いやん?ちょっと他に骨折ないかウチ患者見てくるわ!…あ、もしもし?放射線科の科長出してくれへん?これからぎょーさんレントゲン取ってもらわなあかんから!」
「……シグレ君は、これ。」
唐突にゲリールから液体が入ったビンを渡された。見れば飲料っぽいことが分かる。とりあえず開けて飲んでみると…
「にっが!?んだよこれ!」
「僕が調合した魔力回復促進剤『MPケアMk.2154』だよ。コーヒー好きだったみたいだしコーヒー味にしてみたんだ。…君の研究を見せてもらって、リンカーコアへの浸透性も考えた傑作だ。
君は少し休んでなよ。僕達で分担してリンカーコア以外は治療施すから。」
「…………。」
「全く、君は優しいよ。僕達の負担を考えてくれたんだろ?でも大丈夫だよ!これからは遠慮なく患者とかあずけてくれて!僕達は医師としての仲間でもあるんだ!大変なのも一緒だよ!だから「やかましい!!」ふべっ!?」
空き瓶は見事にゲリールの顔に吸い込まれていった。ビンが当たった鼻を擦りながらシグレを見ると…ソッポを向きながら顔を赤くしている。
「……ありがとな。少し…休むわ。」
「…フフッ♪任せてくれ。」
その言葉を最後にゲリールも患者を見るために処置室へと足を運んだ。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
ウィリアムへ「リンカーコアの人体への影響」を説明したシグレは、泥のように眠りにつき…気づいた時には、既に日を跨いでいた。
「うえ!?やっべ休み過ぎ…た?」
慌てて白衣を羽織って処置室に駆け込むと…
「あ、シグレ先生♡体は大丈夫ぅ?」
「え、あぁ…ティファ?」
「なーに?」
「……患者の処置は?」
そこには、綺麗に包帯とギプスが巻かれた患者や点滴を打たれている患者と様々な状態の患者がいるが…共通して、すごく落ち着いていた。安らかに寝息を立てて安心したような顔をしている。
「あとはリンカーコアだけ♡『ここからは君の領分だよ!頑張って!』って院長先生が言ってたわ♡」
「……すげえな。さすが専門家だわ。…それなら!」
「ふふっ♡頑張りましょうか♡」
白衣をはためかせながらシグレは患者へと向き合うために歩き出した。そのシグレの顔は…今までの疲れなどなく、清々しく、気合と信念の溢れる「医師」としての顔をしていた。
----------------------------[緊急処置報告]-------------------------
治療開始4日目
患者数51名(うちリンカーコアの強制結合による人体細胞変化のキメラ体51名)
内科、外科、整形外科の医師の協力により…全ての患者の処置が完了
死亡者数…0名
以上、上記の報告をもって緊急処置報告とする。
リンカーコア科医師 シグレ・シュヴェーアト
[補足]
・グリーズ、ウィリアム、コムギ
某白い猫のアプリやってれば見た目と声は何となく想像出来るでしょうか。
え?グリーズさんが医者らしからぬ体型だって?…気にしない気にしない!
・ゲリール
見た目は中肉中背。シグレが言うほど太ってはいない。
・『MPケアMk.2154』
え?数字が大きい?…2154回目の試作が成功作なんです。それまではとてもとても飲めたもんでは…
魔力の自然治癒力を高める飲み物。コーヒー味。
…本当にご都合主義様様な内容で申し訳ないです。もっともっと内容を充実させるように努力します。
感想お待ちしております!感想が私のやる気の燃料です!
○○○○おまけ○○○○
「「「……………」」」
「さて、分かってるね?君たち。」
先の定時で上がろうとしていた若い看護師らは、現在院長室に呼ばれていた。見れば、各科の先生方もいる。
「緊急処置を施さなければならない患者がいる中で帰ろうとするなんて…馬鹿なことだと思わないかい?もちろん、看護師として。」
「「「…はい。」」」
「でも、君達は帰ろうとした。婦長の話も聞こうとしなかった。そうだね?」
「え、いやそれは…」
「言い訳は、聞かないよ?」
「「「…!!!」」」
いつもはのほほんとしている雰囲気がなく、ピリピリとしていた。他の医師からも凄みを感じる。
「腹が立ってるのは、何もシグレ君とティファさんだけじゃない。僕ら医師達も君達は敵に回したんだ。
君達は今日を以て病院を解雇。そして…僕の権限をもって看護協会に通達して君らをブラックリストに入れるよ。」
「なっ!!そんな勝手が!!「言っちゃ悪いですが!」…!!」
横からいきなり声が聞こえたと思ったら、額に青筋を浮かせているウィリアムが…カツカツと徐々に看護師らとの距離を詰めていく。
「ゲリール先生は医師学会でも若くして医師学会を引っ張っておられる程に権力を持っています。なので、可能です。」
「…!!」
「…という訳だから。…さぁ、どこへでも好きに行けばいいさ。なんなら、その愛しのハニー、とやらに泣きついて来たらどうかな?フフッ…。」
こういった経緯もあり、その看護師らは解雇され、看護協会のブラックリストに初めて乗ったとしてニュースに取り上げられることになった。