魔法少女リリカルなのは-リンカーコア科の医師-   作:融点

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えー、遅くなりましたが皆さん明けましておめでとうございます!!\(´∀`)/バッ

私も今年初めから新しい勤務先で頑張っていくことになりました。それに伴い、必ず1ヶ月に1回、多ければ毎週土曜日に更新していこうかなと思います!(何故今回日曜日かって?…新しい勤務先の仕事を覚えるのに必死だったのさ…(真っ白))


で、今回でひとまずフェイトとの絡みを一旦終わります。
今後どうなるかは……後書きで!!
今回、バルディッシュの言語頑張って英語にしてみました。英語なんて日常じゃ使わないので多少の間違いは目をつぶって下さい。すみませんm(__)m


それよか白猫が面白くて面白くて(ry


第10話 無限書庫と執務官⑥

何時でも抜刀出来る体勢のシグレと金色の魔力を鎌に変え構えるフェイトを目の前にしても、ディールは怯むどころか、逆に堂々としていた。

 

 

「くっくっく…でも、貴方方はタイミングが非常に良かったみたいですねぇ…。なんといっても、私の長年に渡る研究の集大成…最強の個体が完成したのですから!!!」

「あっそう、法から逸脱したふざけた研究結果には興味が湧いてこねぇよ。だから……今すぐに……

 

お前のことを切り伏せる!!!」

「…なっ!?」

 

 

ディールとシグレ達の間は約100m位は間隔が空いていたが……ほんの刹那、極々短い間に、シグレはディールを切り伏せることが出来る距離まで詰め寄った。深く腰を捻り、抜刀した時の威力が上がるようにしながら。

その瞬きよりも早いような一瞬の動きに、ディール本人のみならずフェイトも驚きを隠しきれなかった。

 

 

「(えっ!?あんなに遠くにいたって言うのに…一瞬で近づいた!?確かに出来なくはないけど、こんな一瞬の間には無理だよ!!やっぱり…シグレは私よりも速い!どうやったらあそこまで……。)」

「終わりだ………"光閃"!!」

「……甘いですねぇ……所詮、医師ですか。」

 

 

切り伏せたと思ったその時、部屋の中に金属同士がぶつかりあったような音が響いた。シグレの目の前には……

 

紅い鱗をギラつかせている人型の異形が、いつの間にかシグレの剣を腕で防ぎディールを守っていた。

 

 

「…っ!ちっ!」

「…………。」

 

 

一旦弾いて距離を取り直す。シグレの戦闘スタイルはあくまでも刀であるため、空中にはあまり留まっていられずに地面に着地した。異形も同様らしく、軽やかな身のこなしで地面に降り立った。

見れば、紅い鱗が全身を覆い、三白眼の金色の目と鋭い牙をこちらに向け、大きな翼を広げ威嚇している。そして………

 

 

「………こいつも犠牲者だな。お前は女でも改造しちまうのか…。」

 

 

見ただけでわかる女性特有の膨らみがあった。これだけで異形がこのディールの実験で犠牲となったものだと容易に想像出来てしまう。

 

 

「彼女は魔力の感受性が良くてですね……興味本位でやってみたら出来たんですよ!!最強の!!ドラゴンのリンカーコア(・・・・・・・・・・・)が適合した個体が!!」

「…………やっぱり、な。」

「ど、ドラゴンのリンカーコア…!?」

 

 

この世界中で、食物連鎖の頂きに君臨する動物……龍種、ドラゴン。その強靭な肉体と頑丈な鱗、さらには濃密で膨大な魔力を持ち合わせている為に霊獣としても崇められることが多い。

そんな生物のリンカーコアを、女性に使って姿を変えてしまった。

その事実に、フェイトは怒りを覚え始めた。

 

 

「そんな危険なものを……!!」

「フハハハハハハハハハ!!!研究とは即ち!危険とも隣り合わせなのですよ!ドラゴンだろうと何だろうとリンカーコアを抜いてしまえばただの骸!相手にするのは骨でしたが、縛りつければあとはこじ開けて抜くだけ!しかもその女性の感受性の高さ!それも相まって彼女が生まれたんですよぉ!!」

「……ふーん。」

 

 

そんな中で、シグレは「え?何その話?全然興味ないんだけど?」と言いたげな顔をしていた。こんな殺伐としたところでなければ、漫画でよくある耳の穴を小指で掻くくらいはしそうだ。

 

 

「お前、やっぱり馬鹿だな。」

「ふん!たかだか医師の分際で私の研究の素晴らしさがわかるワケな「お前はこの場に於いて失敗してることが二つある。」…へ?」

 

 

虎徹から手を離し、ディールに向き直る。その瞳の奥からは、静かに燃え上がる怒りが滲み出ていた。

 

 

「仕方ないから失敗の一つ目としてお前の研究の穴を教えてやるよ。まず、リンカーコアを複数、しかも種族が全く違うものを合成すること自体が間違いだ。」

「なっ!貴様にこれの何がわかるというのだ!!!」

「はぁ……、リンカーコアに関わらず、すべての細胞、すべての器官ってのは然るべきところで然るべき働きをしてこそ真価が発揮できるもんなんだよ。しかも、その種族にあった形でな。そんなものをごっちゃにしちまったから……。」

 

 

シグレの人差し指が真っ直ぐにキメラの女性に向く。その先には…先ほどのシグレの斬撃を防いだ箇所の鱗が砕けた女性の腕があった。

 

 

「ああなる。」

「…!ドラゴンの鱗が…傷どころか砕けてる!」

「なっ!!私の研究は完全のはず!!何故ドラゴンの鱗が砕けてるのです!!!」

「本来ドラゴンの鱗ってのは、ドラゴンの体全体の細胞にある生態防衛本能が硬化という形で現れたもの…つまり、ドラゴンの細胞があってこその硬さだ。だから、人間のリンカーコアに繋げて硬化したとしても不完全になるのは目に見えた事実。ある意味で適材適所って奴だ。そして……二つ目…。」

 

 

シグレの持っていた虎徹の切っ先がディールに向けられる。1人と一振りが放つ殺気は鋭く研ぎ澄まされ、ディールはもちろん、異形の女性とフェイトすらもその殺気に凄んでしまっていた。

 

 

「よりにもよって俺に……リンカーコアの治療を生業とする俺の目の前で、こんな実験の産物を見せた…。そんなもんてめぇだろうが管理局上層部だろうが許したって俺が!治療する者(いしゃ)が断じて!許すわけにはいかねぇんだよ!!」

「…っ!舐めた口を…!!」

「何とでも言いやがれ!!……ハラオウン。」

「えっ?は、はい!」

 

 

凄んでいたところに話しかけられたフェイトはびっくりして噛んでしまったが、殺気を放っていた顔が嘘のように優しくなっていたシグレを見て徐々に落ち着きを取り戻した。

 

 

「お前はディールを頼む。元々お前の試験なんだ、あんな奴ちょちょいのちょいで引っ捕らえてこいな!…俺はあのドラゴン娘を相手する。」

「…うん。シグレも気をつけてね?女の子で不完全とはいえドラゴンのリンカーコアを入れられてるんだから。」

「あの程度、負けることなんてねーから安心しろ。外にいる奴ら含めて救い出さなきゃなんねーからな。」

 

 

そう告げた瞬間、シグレがフェイトの目の前から姿を消した。気づけば、けたたましい金属音を上げながら異形と打ち合っている所だった。度々キラキラしたものが散らばっているが、恐らく砕けた鱗だろう。フェイトは息を吸い、吐き…ディールに向かって駆けていった。

 

 

○○○○side フェイト○○○○

 

シグレは、私のことを…私の存在を認めてくれた。

 

 

この事実が私の体に力を与えてくれている。さっきまで頭が真っ白だったけど、今は今までの中で一番って言えるくらいに冴え渡ってる感覚になってるし、体もいつも以上に軽い。

 

 

「プロジェクトF.A.T.E.のクローンの分際で…舐めるなぁ!」

 

ディールが叫んだかと思ったら…背中あたりがモゾモゾし始めて、白衣を破って蜘蛛の足の様なものが出てきた。うん、すごく気持ち悪いね…。でも、今の私には……

 

 

「プロジェクトなんて関係ない!貴方がどんな姿になろうと関係ない!

自分のことを認めてくれる人がいる!私を、パートナーって言ってくれる人がいる!それだけで力が湧いてくるんだ!

 

バルディッシュ!ソニックフォーム!…シグレの白衣付きで!」

《Yes,ser. "Sonic form with Shigure whitewear"...set up!!》

 

 

バルディッシュの形状が大剣となり、バリアジャケットもレオタードの上に白衣を纏ったように変わった。前々から速さを追い求めた結果とはいえ、少し恥ずかしかったこのフォームもシグレの白衣と一緒なら大丈夫!

 

 

「貴女は…歳が若いのに素晴らしい体をしてますねぇ…ジュルリ…。私のタイラントタランチュラのリンカーコアを合わせて得たこの糸で拘束したら…楽しませてもらいましょうかぁ!」

「…確かにその糸に巻き付かれたらひとたまりもないだろうけど……私だって…

 

 

シグレには劣るだろうけど…

 

 

"速い"んだよ!!」

「…っな!!いつの間に背後に!!」

 

 

このフォームの特性でもある速さを生かして背後を取った。その間に、バルディッシュのカートリッジを"2発"ロードした。この攻撃には1発でも事足りるけど…

 

 

「《ジェット…ザンバー!!》」

《"Jet zanbar"!!!》

 

「………くく…

 

クハハハハ!!私を切り裂くつもりだったんでしょうが、残念でしたねぇ!!!蜘蛛の足を切り落とすくらいしか「…フフ!」な、何がおかしいんですか!!」

 

 

ジェット・ザンバーは巨大な刃を振り下ろす、私の最大威力の斬撃。生憎、ディールには避けられて蜘蛛の足を切り落とすくらいしか出来なかった。でも、忘れてない?

 

 

「だから、"2発"なんだよ!!」

《Jet zanbar!!!》

「んな!!や、やめろ!分かった、降伏する!!降伏するから!頼む!やめてくれぇ!」

 

 

攻撃しようとする私に涙を流しながら謝るディール。あまりにも情けない姿で、同情を誘ってるんだろうけど……

 

 

「貴方は…そう言ってきた一般人に酷いことをしてきたんだよ?少しは……反省しなさい!!」

《Fuck you ! dirty Spider-Man!!(くたばれ!汚らしい蜘蛛男め!!)》

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」

 

 

キメラにされた人達(あんなもの)を見せられて、同情なんか覚えないよ。

ザンバーを受けて気絶しているディールをバインドを何重にもかけて縛り、ソニックフォームを解いた。

 

「…ふう…。」

《Ser.》

「ん?バルディッシュ?」

《.....I think that it was good in conjunction with the Shigure's the current mission.(私は今回のミッション、シグレさんと一緒で良かったと思いますよ。)》

「…うん。そうだね。」

 

○○side out○○

 

フェイトがディールを捕まえ、一息ついていた時…。

シグレの方は…

 

 

「…ガァ、…ギ…。」

「うーん、鱗砕いて気絶させようとしたんだが…なかなかダメージ通らないな。」

 

 

鱗を砕かれ、満身創痍のドラゴンのリンカーコアを合成された女性の前で虎徹を担ぎながらうんうん唸っていた。

鱗を砕いたは良いが、本体がなかなか気絶してくれないのだ。

人間の急所を何度切りつけようとも痛がるだけで気絶してくれない。

 

 

「俺の魔力選択透過性(魔力特性)使ってリンカーコアを攻撃すりゃ、止まるには止まるが……博打もいい所だ……ん?」

「ぎ……あ………」

 

 

女性を見ると、目が翡翠色になっていた。恐らく体にダメージを与えた影響で一時的に女性の意識が戻ったのだろう。口を動かして何かを言おうとしていた。

 

 

「わ……タシを………たす、ケテ?」

「…っ!!当たり前だ!俺が絶対に助けてやる!」

 

 

そう言うと同時にシグレは虎徹を床に刺し、自身の両頬を叩いた。

 

 

「…医者なのにこんな時に弱気になってどうするんだってな。手術する時だって、躊躇があれば医療ミスに繋がる。それと同じなんだよ。だったら……

 

少し痛いだろうが、我慢、しろよ?」

 

 

そう言って虎徹を引き抜き、鞘に収める。

目を閉じ意識を集中させ、女性のリンカーコアを認識する。そして…リンカーコアの半分を侵食しているドラゴンのリンカーコアに狙いを定めた。

その間に女性はフラフラと立ち上がり、けたたましい咆哮を上げながらシグレに向かってくる。シグレは目を見開き……

 

 

「行くぜ………"突光(とっこう)!!"」

「がぁぁぁぁぁぁぁぁああぁぉぉぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

虎徹を振り抜き切っ先を女性に向けながら"牙突"の構えをとり……刃に魔力を纏わせた。

 

 

「"一 番 星"!!!」

 

 

その突きで、刃は女性を貫かなかった。しかし、刃に纏わせた夜空に輝く一番星の如き輝きを放つ魔力が、女性のリンカーコアに付いていたドラゴンのリンカーコアにのみ突き刺さり、貫き、体をすり抜けていった。その魔力の余波が壁にぶつかると、その壁すらも貫いて森深くまで轟いた。

女性は、まるで糸が切れた人形のように膝から崩れ落ちるが…シグレが抱きしめて支えたために倒れることはなかった。見ると、整った呼吸を刻みながら眠っているようだ。

 

 

「…ふぅ、今まであった手術よりも緊張したな。だが…これでとりあえず…一件落着、か。」

 

 

女性を背負いながら、シグレはフェイトの方を見た。軍服調のバリアジャケットにサイズを合わせた白衣を羽織っている後姿は、この任務を経て、少し頼もしいものになったようにも見えた。

 

 

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

 

フェイトのデバイス、バルディッシュによって報告を受けた管理局員が転送ポートでキメラを病院に、ディールを管理局の懲罰房に転送している中で…

 

 

「よぉ、よく頑張ったじゃねぇか。ハラオウン。」

「あ、シグレ!お疲れ様!」

 

 

少し離れたところで、2人は座りながら休んでいた。

シグレが隣に来たことでか、はたまた任務の高揚感が抜けてないからか、フェイトの顔はほんのり赤く染まっている。

 

 

「シグレ……ありがとう。私のこと、認めてくれて。」

「ん?あぁ、あれか。やっぱりちょっとしたトラウマだったんだな。」

「うん。それでよく任務とかで差別されたから…。でも、もう大丈夫だよ?シグレが、認めて、くれたから///」

《Thanks,Shigure.(ありがとうございます。シグレさん)》

「…そうか。言われたお礼は素直に受け取っとくわ。…っと。」

「…あ、シグレ。」

 

 

座ったと思ったらシグレはすぐに立ち上がった。軽く伸びをしながら転送ポートへと歩いていく。

 

 

「悪い、俺はこれから仕事だったわ。」

「え?だって、4日くらい休み貰ったんでしょ?だったら………あ。」

「お、気づいたみたいだな。そういう事さ。

 

…俺が言うのもなんだが、お前は間違いなく合格する。俺がなんで休日なのに仕事だなんて言ったのか(・・・・・・・・・・・・・・・・)すぐに理解できる洞察力があるし、戦闘も強いしな。ま、吉報は……」

 

 

不意に振り向いたと思ったらシグレはフェイトの管理局の制服のポケットを指さした。見れば、アドレスと電話番号と思われる紙が入っていた。

 

 

「PHSじゃなくて、個人の端末に連絡くれよ。じゃあな!」

「…え、あ、うん!昨日今日とありがとう!!///」

 

 

その後は振り向くことなく、手を上げるだけで挨拶を済ませ、転送ポートへと入っていった。

休みなのに仕事…、恐らく、いや、確実にあのキメラとなった人たちの治療へと行ったのだろう。そのことはすぐに理解出来たが…今のフェイトは…

 

 

(ふわぁぁあ!シグレのプライベートの連絡先だぁ……///)

 

 

任務で張り詰めていた反動か、しばらく少女らしく連絡先の書いてある紙を握りながら体をクネクネさせていたという。

 

 

To be continued...




さて、これでなのは、フェイトは絡めることが出来ました。
問題は……私のリリなの好きなキャラ第2位のはやてちゃんなんですよねー
指揮官とか…医者との接点ないやんけ!!←ヤケクソ

まあ、頑張っていきたいと思います。

[補足]
・タイラントタランチュラ
わかりやすく言えば、ゴジラとかに出てくるんじゃね?位にでかいタランチュラ。猛毒を持ち、更にはその糸はベトベトで藻掻くほど絡まる。フェイトちゃんがこれに絡まれたらそれこそ同人誌的展開になってしまう。しかし、うp主が絶対にさせません。

・"突光・一番星"
居合抜きで振り抜いた刃に魔力を纏わせ、振り抜いた勢いを利用して相手に突きを食らわせる。シグレの魔力特性によってリンカーコアを限定して貫くことも可能。速いには速いが、シグレの技の中で威力が高い技。しかし一番星は最下級。


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