魔法少女リリカルなのは-リンカーコア科の医師-   作:融点

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間違えました。

今度こそ最新話です!!!


で、今季のアニメ、「落第騎士の英雄譚」にドはまりしてしまい…もしかしたらシグレ君をそっちの世界にも放り込むかもしれません(キラッ


しかも今月、小さいころからファンであるゲーム「メダロット」に最新作が出るとの情報が!!しかもKBTやKWG主人公機が敵ポジに!もうたまりませんな!
ビーストマスター、ゴッドエンペラー、ハードネステンは鬼畜だと思う。

では、本編です。







ちなみに私はKWG派でして(ry


第9話 無限書庫と執務官⑤

「はぁぁぁあ!!」

 

 

フェイトの大鎌がキメラの鳩尾や首筋に炸裂し、意識を刈り取っていく。そんなフェイトの内心も、穏やかなものではなかった。それには自身が『プロジェクトF.A.T.E』の成功例であることも起因している。今でこそ執務官候補生として試験を受けているが、それまでは任務を一緒にやらないとかやったとしても村八分のような扱いを受けたりとかしていた時期もあった。そのため、このような実験で生まれた子供達には自分の様な経験をして欲しくないという一心でその子供達を保護したりもしている。それが、実験で生まれたクローン(じしん)のやらなければならないことだと信じて。

 

 

(この子達は、シグレの話じゃリンカーコアを弄られて体が維持出来なくなったみたい……。実験とはいえ、そんな理不尽許さない!)

 

 

そう思った時、ふとシグレを見た。リンカーコアを専門として学んで、それを生業としているシグレは…きっと自分以上に心持ち良くないだろう。先程から、キメラに囲まれているが…一瞬軌跡が見えたと思うとキメラが倒れるといった風景がずっと続いている。キメラも、フェイトさえも見えないような剣さばきで、キメラの意識を刈り取っているのだろう。なるべく痛まないように、確実に、正確に。

それを目の当たりにして、フェイトは自身との練度の差を思い知った。

 

 

(シグレの太刀筋…全く見えない。でも、確実に相手の弱点を突いて気絶させてる…。一体どんな鍛錬をすればこんなに…。)

 

 

そうして相手取っている間に粗方のキメラを気絶させられた。おそらく50体はいたのだろうが、シグレもフェイトも猛者である。このくらいはそんなに時間をかけないで気絶させることができる。…が。

 

 

「………ちっ、胸糞悪ぃ。とりあえずすまねぇがお前らはここにいてくれ。すぐに…戻ってくっからな。」

「はぁ…はぁ……はぁ…(し、シグレ…息一つ乱してない!)」

 

 

鍛錬の差なのか、フェイトは息が少し乱れている。

シグレはキメラを軽く見てから、研究所内に入っていった。それに気づいてフェイトも後を追い掛ける。

研究所内は足元を照らすライト以外に照明がなく、ぼんやりと暗闇に浮かび上がっている光が逆に不気味であった。

 

 

「………シグレ?ちょっと聞いて、いいかな?」

「…ん?あぁ、いいぞ。どうした?」

「何で…リンカーコアを弄られただけであんな姿になっちゃったの?戦ってる間はそうは思わなかったんだけど、いざ考えたら…よくわからなくて。」

 

 

そんな中で、フェイトはふと気がついたことを聞いてみた。リンカーコアを弄られたというのは事実なんだろうが、フェイトにとっては体がキメラになっていたのがどうにも腑に落ちなかった。

 

口は動かしていても休むことなく歩き続けており、カツン、カツンと足音が響いている。

 

 

「……これは、色々な資料を解読した上で考えついた『仮説』だ。まぁ今度の学会で発表する題材の部分なんだがな。それでいいなら答えてやるよ。」

「うん。それでも構わないよ。」

「そうか。じゃあ結論から言うとだな?『魔力源、所謂リンカーコアは一つの細胞が分化した、れっきとした人間の臓器である』。しかも、『リンカーコアに異常がある場合、人体にも大きな影響を及ぼすというほどに重要なもの』ってわけだ。」

「…?つまりどういうこと?」

「あいつらのリンカーコアにはもう一つ……他の原生動物のリンカーコアが無理矢理結合されていた、つまり、人間の遺伝子情報に他の原生動物の遺伝子情報が入ってきた。そして、そこまで人体にも影響するリンカーコアに他のリンカーコアが結合されたことで一種の拒絶反応が起きて、人体の細胞を変化させてリンカーコア元の原生動物の身体の一部になったんだよ。」

「そ、そんな……!!リンカーコアをくっつけるなんて無理なんじゃ…!!」

 

 

フェイトは驚いたと同時に恐怖した。自身が魔法を行使する時には必ずリンカーコアが、実はそこまで人体にも影響を及ぼす重要なものだとは知らず、少し弄られただけで…人ではなくなってしまうのだから。さらに、犯罪者にはそれを可能とするノウハウがあるのだ。もし、犯罪者に捕まったらと思うと…背筋が凍る。

 

 

「今や情報なんざどこからでも引き出せる。何らかの手をつかってディールはそれを行いやがったんだ。

 

確かに、医学とか薬学ってのは実験をすることもある。でも、ここまで非人道的なやり方なんて絶対しねぇんだよ。そして……それをやったはいいが、自身の技術で元に戻すことが出来なくて、結局は結果が全て。そんでその実験に巻き込まれた人たちを手駒として扱うことが……何より許せねぇんだよ。」

 

 

そうして歩いていくうちに、一つの大きな扉の前にたどり着いた。重厚な作りのその扉の向こうには、ただならない雰囲気が漂っていた。フェイトはその雰囲気に呑まれてしまい動けないでいたが、シグレは臆することなく扉の前に立った。

 

 

「さって…、この向こうにディール(奴さん)はいるみたいだしな。一丁ド派手にブチかましますか!」

 

 

スラリとシグレは虎徹を鞘から抜いた。その刀身は日本刀の割に反りが浅く不格好であるが、刀身からにじみ出る業物の闘気が切れ味の鋭さを引き立たせている。そんな刀身に、シグレの魔力が伝わっていく。

 

 

「さぁ、いくぜ!

 

剣戟…『光牙(こうが)!!!』」

「…!(そんなに魔力量はないって聞いてたけど…、その分濃くて密な魔力!しかもあんな分厚そうな扉を一撃、しかも一閃で!)」

 

 

虎徹を上段から振りぬくとともに衝撃波が一閃、扉に向かって飛んでいき、重厚な扉を容易く切り裂いた。切り裂かれた扉の破片が落ちていく中、部屋の中からパチパチと拍手の音が響いてきた。見れば、少々黄ばんだ白衣に痩せ細った体、ぼさぼさの髪の男が一人、暗い部屋の中に伸びる一筋の照明の光に照らされていた。

 

 

「いやはや、驚きましたねぇ…。医者ひとり如き、お荷物にしかならないとみていましたが…考えを改めなければなりませんかねぇ?お待ちしていましたよ、シグレ・シュヴェーアトさんにフェイト・T・ハラオウンさん?」

「…………なるほど、あなたがディール・クリストンですね?時空管理局執務官候補生のフェイト・T・ハラオウンです。あなたは違法研究等々の罪を犯しています。あなたが素直に自首するのならばこちらも手荒な真似はしません。……ご同行願います。」

「…はは。

 

ははははははははははははははははははははははは!!!!!違法研究で生まれた穢れた命(・・・・・・・・・・・・・)の分際で私を捕まえますか?今の私と同じ、存在が罪であるあなたが!!!」

「………!!!!!」

「?存在が罪?どういうことだそれ。」

 

 

ディールの言葉で一気にフェイトの表情が悪くなった。体も強張り、冷や汗が止まらない。息も徐々に荒くなっていき、心拍数も上がっていった。それを見て、ディールはいやらしく笑みを浮かべた。

 

 

「おや?ご存じなかったのですか?そこにいるフェイト・T・ハラオウンさんは…「や、やめて!!いわないで!!!」くはは!嫌ですよ!言って差し上げましょう!その子は…あの違法研究、『プロジェクトF』の成功例!つまり、違法な実験で生まれた、穢れた命!クローンなんですよ!!!」

「………あ………(聞かれた…聞かれちゃった。シグレに。一緒に任務に出ている仲間に…。また…ナカマハズレニサレチャウ。)」

「…。」

 

 

フェイトの生まれの秘密…『プロジェクトF』。過去にそれがばれて、一人だけ仲間から外されてしまったことで、そのワードは一種のトラウマのスイッチとなっていた。その言葉を聞いた瞬間、フェイトの頭の中は真っ白になり、目から光が失われそうになった。いつもならそこで仲間が自分から離れていき、自身の手のみで犯人と戦うことになるのだが…

 

 

 

 

 

「うん、で?それがどうしたって?」

 

 

シグレは、そんな仲間たちとは違っていた。

 

 

「……は?いや、聞いてましたか?この子は違法な「御託はいい。で?」…はい?」

「…シグ…レ?」

「ハラオウンがクローン。それはいい。理解した。で?だからなんだってんだ?このご時世、クローンなんか動物にも使われてるし、ごくごく一般的だぜ?それによ、そのプロジェクトが悪いんであってハラオウンは何も悪かねぇ。その罪とハラオウンの命を同じ天秤にかけること自体間違いなんだ。分かるか?

 

ここにいるのはフェイト・T・ハラオウンっていう一人の女の子。普通の人間で、執務官候補で、この任務における俺の頼れる相棒(バディ)だ。それ以上こいつのことをぶつぶつ言うようなら…

 

ここに入るときにいたキメラたちの分も合わせて……たたっ切んぞ?」

 

 

シグレは虎徹を鞘に納め、体勢を低くし、抜刀の構えを取った。

その傍らで、フェイトはシグレのことを見つめていた。シグレは、自身の出生のことを知って尚、自分のことを相棒(バディ)と言ってくれた。自分が生きていることを肯定してくれた。そんなことをしてくれる人間は、高町なのはや八神はやてなどの関係者以外ではいないに等しかった。そんな暗闇の中に、シグレ・シュヴェーアトという光が差し込んでいった。

自然と、バルディッシュをつかんだ手に力が入る。もう体も震えない、汗も止まった。頭も冴えていく。きちんと、ディール(犯罪者)を目で捉えられる。

 

 

「ディール・クリストン!あなたを違法実験等々の罪で…逮捕します!!!」

「(やっぱりさっきのがトラウマだったのか。でも…お前は悪くねぇ。お前は生きていてもいいんだ。ハラオウンがこの任務で『これからも生きる』って考えられるように…医者として、一人の大人として、一肌脱いでやろうじゃねぇか!)っつーわけだ。丁重にお縄についてもらうぜ!」

「ちぃっ、そのまま戦意消失していればいいものを…!!!」

 

 

絶望の淵から一筋の希望を見い出した金色の女神(フェイト・T・ハラオウン)の快進撃が、今始まろうとしていた。

 




さっきは間違えて他作品に最新話を投稿してしまいました。すみませんでした。


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