やはり俺のE組生活はまちがっている。   作:狂笑

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今回はギャグ回があります。


第九話

ただ今、京都へ向かう新幹線の車内。

俺は窓側に座り、速水は通路側に座っている。

そして俺たちの目の前には座席を回転させた前原と岡野が。

そして――

 

「目エ―――――っ!?」

 

「女の子は5トンもないわよ!」

 

「ホント、失礼ね」

 

スライスされたタマネギを持つ岡野と速水。

タマネギの汁による目つぶしを喰らい、のたうち回る前原。

……どうしてこうなったんだっけ?あとタマネギどこから出した。

 

 

 

「いや、お前みたいな弾丸娘を女の子とは言えなふべらッ」

 

あ、前原が余計なこと言って岡野に蹴られた。

やめときゃいいのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

椚ヶ丘駅からJR線に乗り、俺と速水は一路東京を目指す。

東京駅まで乗り換えなしで一本。通勤ラッシュのピークは避けたもののやはり混んでいて、お互い押しつぶされながらも無事到着。その後本校舎生徒とひと悶着あったりビッチ先生が華美すぎる服装でやってきて烏間先生に怒られたりしていたが、人間は誰一人欠けることなく無事乗車できた。

 

「あそこの席でいいか?」

 

「うん」

 

俺等は丁度空いていた二人掛けの席を見つけ、そこに向かう。

まずは自分の荷物を上の棚に入れた。

俺の荷物は少ないので、空間はだいぶ余っている。まあ、荷物を上に上げるのは一つでも二つでも労力的にはさして変わらない。

 

「ほれ」

 

速水の荷物も上に上げてしまおうと、速水に向かって手を伸ばすと、速水は不思議そうに首を傾げながら手を伸ばし、何故か俺の手を握った。

想定外のことに一瞬ビクッとしたが、すぐに落ち着きを取り戻す。

久し振りに握ったなぁ……相変わらず柔らかくて小さくて、すべすべしてるなぁ……

って違げぇ!

 

「いや、手じゃなくて、荷物をだな……」

 

「……あ」

 

自分の間違いに気付いた速水は真っ赤な顔で下を向くと、

 

「よろしくおねがいします……」

 

と小さい声で言いながら俺に荷物を渡した。手を握ったまま。

……うん、荷物を上に上げたいから手を放してもらえるかな?

 

 

 

 

 

「おーい、二人とも、ウノやろうぜー、て寝てる!?」

 

名古屋を過ぎた頃だったか、それとも岐阜羽島を過ぎた頃だっただろうか、前の席に座っていた前原が声を掛けてきた。

その声が少々大き目だったせいか、俺は目を覚ました。

また同時に、寝ていたらしい速水も小さく声を漏らしながら目を覚ます。

それと同時に、俺の左肩が軽くなる。

 

「なるほど、さっき赤羽が写真撮っていたのはそういうことだったのか」

 

なにやら前原がブツブツと何かを言っているが、声が小さすぎて聞こえない。

 

「で、どうしたんだ?」

 

「いや、暇だから四人でウノでもやろうと思ってな。どうだ?」

 

「俺としては別に構わんが……」

 

「私も大丈夫」

 

こうして、俺と速水、前原、岡野によるウノが始まったのだが……

 

「そういやさ、新幹線は静かだから大丈夫そうだけど、女の子って電車の効果音嫌いそうだな」

 

「なんだ突然」

 

前原が突然、よく分からないことを言う。

 

「それ、どういう意味なのよ」

 

岡野が問う。

 

「いやほら、電車の音ってガタンゴトンじゃん?ガタンゴトン→ガタン『5トン』→『5トン5トン』」

 

ここまで前原が行った時、岡野が速水にスライスされたタマネギを渡していた。一体どこから出した。

 

「重そうじゃん、響きが」

 

パキョッと、タマネギを折る音が聞こえ、そこから出た汁が前原の目に襲いかかる。

 

「目エ―――――ッ!?」

 

こうして、冒頭に戻るわけだ。

 

 

 

 

 

「……ちょっと、目洗ってくる」

 

「……ごめん」

 

「ごめんなさい」

 

前原が席を立ってから数分後、アナウンスが流れる。

 

『東海道新幹線をご利用いただき、誠にありがとうございます。もうすぐ、京都、京都』

 

もうすぐ京都に着くようだ。

何も起こらなきゃ、いいけどな。

 


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