期間が空いてすまない、戦国無双4エンパにかまけてて本当に済まない…
そして雑な出来で済まない、いつものことかもしれないが本当に済まない…
…ランサーモニュメントが落ちない、エリザが再臨できないぃぃぃぃ
誤字脱字ありましたらご報告をば
次回はアスナとキリトメインになるかもしれぬ(うまく描写できるとはいってない
翌日
あのグリームアイズとの激闘から早一日、宿屋から足を出した瞬間唐突にサチにエンカウントした
彼女の顔は慌てた様子であり、肩で息をしているその姿からだいぶ疲弊していることが目に取れた
ギンガは苦笑いをしつつ、聞いてみる
「…ど、どうしたの?」
「―――逃げてきたの。ほら、昨日ボス戦で鎧を出したでしょ?」
「うん」
「今までずっと黙ってたから。…それで、その…なんていうか、昨日纏ったことから、尾ヒレが付いたっていうか…。朝から情報屋の人とか、同じ女性のプレイヤーとかが黒猫団のギルドホーム押しかけてきて…、みんなに迷惑かけないように私だけ逃げてきたの」
「それは…災難だったな」
もしかしたら自分もホームを持ってたら押しかけてこられたりするんだろうか
今までは特定の家を持っておらずフラフラしてたおかげで自宅(というか居場所)を特定されなかったのだろうか
なら自分はラッキーだ、と今は考えよう
「とりあえずエギルさんの店行こうよ。あそこなら騒げないから、少しは大丈夫だと思う」
「うん…」
ぐったりしているサチとともにギンガはエギルの店へと歩き出す
その道すがら、ふと気になってたことをサチに聞いてみた
「そういえばサチ。どういった経緯でお前は鎧を手に入れたんだ?」
「どういった経緯、かぁ。そうだね、この鎧を見つけたのはホント偶然だよ。ギンガと別れて半年位経った日のことなんだけど」
のんびりとギンガの隣を歩きながらぽつぽつとサチは語りだす
「レベリングの帰りだったかな。その日偶然隠し扉を見つけたんだよ。そこにね、ゴルバと槍を構えたこの鎧を見かけたの。まるで相手を待ってたように」
「…戦ったのか?」
サチは一度言葉を区切り頷いた
「思えばなんで挑んだんだろうって、あの時の私に文句言いたかった。結果だけ見ればなんとか勝てたけど…はっきり言ってもう二度とやりたくない」
<ははは。生に渇望したあの時のサチは鬼気迫るものがあったなぁ>
「笑い事じゃないよ。本当に必死だったんだから」
げっそりした顔でゴルバと会話するサチ
どうやら自分が見ないうちに彼女も彼女で相当な苦労をしたようだ
そんな激闘をくぐり抜けていくうちに、彼女もソードスキルを使用しない戦闘スタイルに切り替わったのだろう
「だけど、後悔はしてないよ。借り物に過ぎない力だけど、ようやく隣に立てたんだから」
そういったサチはこれまでにないくらいに笑みを浮かべていた
恐らく自分が覚えている記憶では最高にいい笑顔だろう
そんな会話を繰り広げつつ、二人はエギルの店の扉を開ける
中に入るとそこには先に来ていたキリトがやけにぐったりした様子で机に突っ伏していた
エギルはこちらの来店に気づくと「おう、いらっしゃい」とこちらに気さくな笑みを見せてきた
その片手には情報屋が作っている新聞が握られている
「どうやらその様子だと、キリトも追われたみたいだね」
「〝も〟っていうことは、サチもなのか…?」
「うん。もったいないけど結晶使って逃げちゃった。入手しにくいのになぁ」
愚痴りながらキリトの対面の席に座るサチ
「ははは。たまにゃ有名人になるってのも悪くないんじゃねぇか? いっそ講演会でも開いてみるか? 会場とチケットの手はずは俺がしてやるぜ?」
「するかっ!」
キリトが叫びながら持っていた空のカップをエギルに向かって投げつけた
しかし染み付いた動作で投擲スキルが発動してしまったらしく、ただのカップが恐ろしい勢いで飛んでくる
まっすぐ飛んできたそのカップをギンガが納刀したままの魔戒剣で軽く上に弾き、勢いがなくなり飛んでったそのカップをキャッチしカウンターに載せた
「危ないぜキリト。家具に当たってたら粉砕してたぞ」
「あっははは…悪い」
苦笑いしつつもっかいキリトはその場に突っ伏した
サチはサチでゴルバと短く会話をしながら何かを会話している
恐らく鎧の使い方などを改めて確認しているのだろう
エギルはエギルでアイテムの鑑定をしている
時折「おおっ!」と声を上げているのでレアアイテムもあるのだろう
そういえばアスナがいないことに今しがた気づく
キリトがメールを飛ばしていると思うので場所は知ってると思うかもしれないが
それからおおよそ二時間後のことだ
がちゃりと扉を開けて誰かが店に入ってきた
アスナだ
「よう、アスナ―――」
彼が言葉を言い切る前に、ふと気づく
彼女は肩で息をしており、その表情もどこか青い
「どうしよう、キリトくん…―――大変なことになっちゃった…!」
◇◇◇
サチが淹れてくれたお茶をアスナの前に差し出す
彼女はありがとうと一言礼をいった後、くぴりと一口茶を飲んだ
するとようやく一息ついたのかはふぅと息を吐いた
エギルは気を効かせてか一階の店先に出ている
アスナはぽつりと話しだした
「…昨日、グランザムのギルド本部に行って起きたことを全部話したの。それで、ギルド活動を休みたいっていって…今朝のギルド会議で承認されると思ってたんだけど…」
そこでアスナはお茶の入ったカップを握り締めながら
「団長が…私の一時脱退を認めるには、キリトくんと立ち会うことが条件だって…」
「なっ…」
キリトが息を呑む
立ち会う? つまりはデュエルしたいということだろうか
なんでアスナの活動休止からデュエルしたいという話になるのだろうか
それを思ったのかサチが
「けど、どうして団長さんがそんなことを…?」
「私にもわかんない…。そんなことしても意味ないって何度も説得したんだけど…聞いてくれなくて」
「…珍しいな。そんな条件出してくるなんて…」
「うん。…団長は普段活動どころか作戦とかも私たちに一任してるのに…なんでか今回に限って…」
なんでも血盟騎士団の団長はそのカリスマでギルドどころか攻略組ほとんど全員の心を掌握しているが、あんまり指示とかは出してない
ギンガも何回か肩を並べたか、その無言での戦いに敬意を評さずにはいられなかった
それと同時に―――なにかぞっとするような何かも感じた
「ともかく、俺も一度グランザムまでいって直談判してみるよ」
「ごめんね、迷惑かけちゃって…」
アスナはしょぼんと顔をしょげる
言葉を探して沈黙するアスナに向けてキリトが言葉を発する
「問題ないよ。―――大事な、パートナーのためだからな」
その言葉に、若干ギンガは顔をニヤッとさせる
パートナーのため、か
◇◇◇
なんでこんなことになってんだろう
あの日グランザムに行く二人を見送ってサチや黒猫団のみんなと久しぶりに談笑してた
そしてキリトからヒースクリフと戦うことになった、というメールが届き、結局戦うのか、と嘆息していた、がなんとなく予測してはいたので特に驚きはしなかった
デュエルが行われる場所はつい最近開放した七十五層の主街区らしい
それで自分もサチと一緒に彼の戦いを見るために来たのだが
「火噴きコーン十コル! 十コルー!」
「黒エール! 冷えてるよー!」
…いつからこの場は野球スタジアムみたいなノリになってしまったのだろうか
横のサチもこの出来事に困惑している
コロシアムの入口には商人プレイヤーの露店がずらりと並んでおり、もはやこれは縁日だ
「なんなんだろう、この騒ぎ…」
「さぁな。もしかしてヒースクリフは最初からこれが狙いだったんじゃないか?」
「まさか。仮にも血盟騎士団の団長だよ? …そんなこと…ないと、思うけど…」
言いながらサチは若干苦笑いだ
盛り上がっているからいいのかもしれないが…
あるいは攻略だけに煮詰まっているプレイヤーに対しての息抜きも兼ねているのかもしれない
「おや。君たちは」
するとこちらに声をかけてくるプレイヤーが一人
サチと二人して視線を向けるとそこには何回か会った人物がこちらに歩いてきていた
確か名前をクラディール、といったか
「君たちも来ていたのか。目的はキリトくんの応援かな」
「そんなところです。クラディールさんは?」
「私は警備員のようなものだよ。ほら、こういった催し物でも、ハメを外しすぎる連中がいるかもしれないからね」
やれやれ、といった様子でクラディールは両手をあげる
確かにこういったお祭り騒ぎに乗じて何かよからぬことを企む輩もいないとは限らない
警戒はしておいて損はないだろう
「しかし、団長にも困ったものだ。なぜいきなりこのような…っと、そうだ。キリトくんの試合が目的なのだろう? よかったら席を案内するが」
「いいんですか?」
「あぁ。見やすい席を案内しよう」
笑みを浮かべるクラディールの厚意に甘え、サチとギンガはうまい具合に最前列の席へと案内された
改めて案内された席から周囲を見回してみると、思いのほか物騒な言葉を叫んでいる人物が何人かいる
さすがに数が多すぎるのでどこの誰が言ってるのかは全くわからないが、「ぶっ殺せー!」だの「やっちまえー!」だのはさすがに不謹慎ではなかろうか
ちなみにクラディールは案内してくれたあと「では私は警備に戻る」といって自分の仕事に戻っていった
隣に座ったサチと談笑しつつ、デュエルが始まるのを待っていると、コロシアムの中央に向けて二人の人物が歩いてきた
一人は今や生ける伝説と化している血盟騎士団団長〝ヒースクリフ〟
一人は新たなるスキル〝二刀流〟を使いこなす黒の剣士〝キリト〟
ヒースクリフがウィンドウを動かし、それをキリトが受諾する
デュエルの文字が浮かび、そこから六十秒のカウントダウンがスタートされた
デュエルの形式は初撃決着
<ギンガ。この試合、どう見る?>
「わかんないね。多分先に集中力の切れた方が負けだと思う」
<なるほどな。キリトの剣が盾を貫くか、あるいは防ぎきるか。…こいつはある意味見ものだぞ?>
「サチはどっちが勝つと思う?」
唐突にギンガに話を振られたサチはふむぅ、と考える
己の指を頬にくっつける仕草がとても可愛らしい
しばらく考えた後
「個人的には友達のキリトに勝って欲しいけど…相手が相手だから難しいかもね。キリトが弱いってわけじゃないんだけど…」
サチの言葉にギンガも同じように腕を組んで考える
確かにこれまで何度かヒースクリフとは肩を並べて戦った
しかし、なんというのだろうか、まだ彼は全力でないような気がするのだ
そんな思考に埋没しているうちに六十秒のカウントが終わり、二人のデュエルがスタートした
先に仕掛けたのはキリトだ
両手に持った二本の剣で先手を打とうと右手に持っている黒い剣を突き出した
彼の一撃をヒースクリフは左手の携えた盾で迎え撃つ
彼が所持している盾は結構大きく、単純に構えればもう片方の武器が隠れる位の大きさだ
相手に取って武器が見えない、というのはどこから攻撃が来るか非常にわかりづらく、厄介なことこの上ない
攻撃の隙を与えまいとキリトの連撃がヒースクリフを捉えていく、が、しかし全て盾で防がれる
僅かに生まれた隙を突くようにヒースクリフの盾がキリトに一撃を与える
シールドバッシュというやつだ
キリトは吹き飛ばされた反動で地面を転がりつつ、一度体制を立て直す
しかしヒースクリフがそれをさせんと追撃すべく盾を構えて駆け出した
そこからお互いの剣が交差し、金属音が弾け飛ぶ
キン、キンとお互いの剣をぶつけ合い、一進一退の攻防を繰り広げている
激しい攻防の先に、ついにキリトの剣がヒースクリフの頬を掠めた
それを皮切りにキリトのラッシュが一層激しくなる
何十秒そのラッシュが続いたか、ついにキリトのの攻撃がヒースクリフの盾を抜いた
『やった!?』
サチとふたりして思わず叫んだ
ああも大きな隙だ、一撃を叩き込むのには十分―――ギンガとサチはキリトの勝利を確信した
だが、しかしだ
弾かれて大きく逸れたはずのヒースクリフの盾が恐ろしいほどの速度で己の前に持ってきていた
世界が止まったと思えるほどの速度で防御動作を終えたヒースクリフは余裕を持ってキリトの一撃を受け止め、華麗に受け流す
ソードスキルを放った直後であるキリトは大きな隙を晒し、そしてその隙をヒースクリフが見逃すはずもなく―――
結果、〝黒の剣士〟キリトはあっけなく敗北してしまった
言葉を口にするのは簡単だが、想いを口にするのはそう上手くはいかない
たった一言で、何もかも失いかねないからなぁ?
次回 吐露 ~こくはく~
イビツな歪みが黒を狙う…!