同調率99%の少女 - 鎮守府Aの物語   作:lumis

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【挿絵表示】

 艦娘部のメンバー集めのため、勧誘活動にあけくれる那美恵。生徒会メンバーと協力してアイデアを練り、艦娘の世界を一般人たる生徒や先生に見せて部員になってくれる人=艦娘になってくれる人を求める。
 そんな日々のさなか、那美恵は三戸が連れてきた友人の一人、とある少女と出会う。



艦娘部勧誘活動2
展示(2日目以降)


 翌日放課後。初日と同じように那美恵たちは生徒会室から展示用のパネルや資料を運び出し、視聴覚室に持ってきて展示を開始した。なお、2日目からは提督や五月雨は来ないので、ここからは自分たちの力だけで勧誘するしかない。ただ、工廠長であり工作艦明石だけは川内の艤装のメンテや確認のために今後都合が付けば来校すると連絡を受けていた。

 

 2日目は、初日に来た生徒が感想を周りに話してくれたおかげか、見学しに来る生徒が少しだけ多かった。ただお目当ては提督と五月雨、という女子生徒が多く、2日目はいないとわかると見るからに話半分で説明を聞いて帰るか、すぐ帰ってしまうかのどちらかであった。

 

 人が途切れた時間帯。那美恵と三千花が一言ずつ感想を交える。

「なんだかさ、提督と五月雨ちゃん、思った以上に人気だよね。」

「えぇ。まさかいないって答えた瞬間あそこまで露骨にがっかりされて帰られるとは思わなかったわ。」

 二人ともため息を同時につく。

 

 そして視聴覚室が借りられる限界時間に達した。その日は初日より多かったものの、やはり興味を持続させてくれる生徒はおらず、川内の艤装を試してもらうまでに至らなかった。

 顧問の四ツ原阿賀奈は姿を一切見せなかったことに一瞬疑問を持った那美恵たちは、片付けをしている最中に三戸たちに尋ねた。

「四ツ原先生、今日は来なかったけどどうしたんだろ?三戸くんたち、何か聞いてる?」

 仕切りを動かしつつ三戸が首を振った後答えた。

「いえ。何も聞いてないっす。別のクラスでは普通に授業担当で来てたらしいっすよ。」

 

「まぁ先生なんだし、忙しいんでしょう。来ない日だってあるわよ。」と三千花。

「そーだね。」那美恵もすぐに同意した。

 彼女の性格が性格なだけに、来なかろうがそれほど気にするところではない4人であった。

 

 

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 片付けがほとんど終わり、視聴覚室の鍵を締める際、那美恵は妙な視線を感じた。それは視聴覚室のある近くではない、少し離れた階段あたりから感じる。

 

((誰?なに?みょーな視線が……))

 

 その視線の感じるほうに顔を向けると、誰も居ない。いたのだろうが、距離があるのですぐに隠れられたらわからない。それ以上は気にしないでおく那美恵であった。

 

 

 

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 3日目。提督と五月雨がいないが、それでも人は2日目並に来た。ただやはり誰も川内の艤装を試してみたいというところまではいかない生徒ばかりだった。その日は金曜日ということもあり、学生とはいえ花の金曜日を謳歌したい学生が多く、さっと見たらすぐに帰る生徒がほとんどであった。那美恵たちは2日目同様、頭を悩ませていた。

 

「うーん。このままだとまずいね。あたしの見通し甘かったかも。」

「まだ3日目よ。まだ全校生徒の十分の一も来てないわ。」

「この時期で3日間で14分の1もくれば十分すぎると思うな。明日と明後日土日挟んじゃうと話題途切れて一気に人が入らなくなる可能性あると思うの。そうするともう見学者は望めないかも。始める日取り、気にしておくべきだったなぁ~あたし焦ってたよ。」

 さすがに3日目をすぎると、文化祭でもなんでもない時期の展示、人の興味は1週間が限界だろうと那美恵は判断し、やや焦り始める。それにこの日が終わると、土(午前授業)、日を挟んでしまう。興味が薄れるのが早まる可能性が大きい。

 珍しく弱気な親友の言葉を聞いて、途端に自身も不安になる三千花。

「じゃあどうするの?どうにかしないと。」

 

 那美恵は再びう~んと悩み始める。そしてふと思いついた表情に切り替わる。

「そだ! 明日は土曜日で、半日ある日でしょ?明日は視聴覚室を飛び出して、実際に艤装を動かすのを見てもらおう!そのほうがみんなの興味をグッと引くかもしれない。」

 親友の考えを聞いた瞬間、三千花は嫌な予感がバリバリした。意を決して続きを聞くことにする。

「……実際に動かすのね。それ、誰が、動かすの?」

 

 三千花の質問を聞いて、那美恵はいやらしい満面の笑みを表して、答えを告げる。

「そりゃあもちろん。……ね!」

 露骨に嫌な顔をして三千花は那美恵に詰め寄って文句を言う。

「あんたが!やりなさいよ!ね!」

「うわぁお!まだ誰がやるって言ってないじゃん!」

「あんたのその顔が私って言ってるようなものよ。私は嫌だからね!?」

 

 親友のマジ嫌がりを目の当たりにして、本当は自分がやるつもりだったのだが親友の勘違いを汲んであげることにし、それを踏まえて那美恵は改めて答えを告げた。

「はいはい。じゃあ私がやるよ~。ま、どのみちみっちゃんじゃあ艤装同調できただけで動くのとかできないだろうから、あまり良いデモにならないだろうし。」

「本当ね?」

「ホントホント。マジ。けどあたしが艤装つけるのは手伝ってね。」

「まぁ、それくらいなら……」

 那美恵が本当に自分がやるという意志をみせたので協力程度ならと、短い後ろ髪をさらっと撫でながらしぶしぶ三千花は納得した。

 

--

 

 翌日の艤装デモはプールで行うことにした。那美恵と三千花は展示を三戸と和子にひとまず任せ、午後5時過ぎに学年主任の先生に、プールの使用許可を得に行った。消火用の水を張ってはいるが、汚れが残っていて入れないと言う。那美恵は、プールに入るわけではなく、艦娘だから水の上に浮かぶので問題ないと説得する。あまりよくわかっていない学年主任は自己責任ならOKとし、那美恵たちに許可を与えた。

 なお、その後にこの夏の体育の授業のためについでにプール掃除を依頼されてしまった。

 


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