同調率99%の少女 - 鎮守府Aの物語   作:lumis

31 / 213
見学(序)

 鎮守府の表門に到着した一行。ところどころ工事中のため、土曜日にもかかわらず建設会社の社員や大工らが作業をしている。那美恵と時雨、夕音は挨拶をして工事現場の間を通り抜けて、通用口を通って三千花らを本館へと案内した。

 

 那美恵と時雨、夕音は本館の玄関に沿い、三千花らと向かい合うように立った。

「「「ようこそ、鎮守府Aへ!」」」

 

 出迎えされた形になった三千花らは様々な反応を示した。

「へぇ。ここが鎮守府ってところなのね。思ったより大きそう。」

「おぉ!ここが艦娘たちがたくさんいる基地!楽しみっすね~」

 三戸は落ち着いたのか、普通に見るのが楽しみそうな反応をしている。

 和子は先の二人の同意のため相槌を打ち、タブレット端末に向かってメモを書いている。

 

「まだ工事中のところがあるのでお見苦しいとは思いますけど、ゆっくりしていってください。那珂さん、僕たちは先に更衣室行って準備してますので。」

 そう言って時雨は会釈をして、夕音とともに本館の中に入っていった。

 

「なみえは行かなくていいの?」

「ん~? でもみっちゃんたちいるし今日は一緒にいようかなぁと。」

「会長、気にせずに艦娘の制服に着替えてきて下さい。会長の行動も報告書の大事な記録になりますので。」と和子。

「俺たちここで待ってますよ。」と三戸。

 

 3人から促されたので、那美恵は着替えてくる間3人にロビーで待っているよう案内した後、時雨たちを追いかけて更衣室に向かった。

 

 

--

 

 数分後、三千花らの前に那美恵たちが姿を現した。

「おまたせ~。今からあたしは軽巡洋艦那珂なので、気軽に那珂ちゃんとでも呼んでね~」

 華やかな制服になって姿を表した那珂とは異なり、学校の制服のままで登場した時雨と夕立を見て、三千花は自然と疑問を口にする。

「あれ?二人は艦娘の制服じゃないのね。」

 

「はい。白露型の艦娘は、五月雨以前の姉妹艦の担当者には決まった制服がないんです。だから普段も出撃の時も服装自由なんです。」

 時雨がそう説明した。

「立川さんもそうなの?」と三戸。

「ここでは夕立って呼んでくれてもいいっぽい~。そうでーす。あたしも時雨と同じく服自由なの。今度ね、学校と違うオシャレしようと思ってるの。」

 服装についての話が一角で続いている間、那珂は見学を開始する旨伝えにその集団から抜け、提督のいる執務室に向かった。

 しばらくして那珂が一人の男性を連れてきた。ロビーにいる三千花らの前に立つと、自己紹介をしてきた。

「ようこそ、○○高校生徒会のみなさん。俺が鎮守府Aの総責任者、通称提督を勤めております、西脇と申します。よろしくお願いします。」

 

 三千花らは大人が出てきたので改まって自己紹介する。

「私は○○高校生徒会副会長、中村三千花と申します。この度は鎮守府Aの見学をさせていただくことになりまして、お忙しい中本当にありがとうございます。」

 代表的な挨拶は副会長の三千花がし、書記の二人は普通に自己紹介するのみにした。

 

 お互い挨拶と自己紹介交わした後、提督は時雨に五月雨の様子を伺う。

「五月雨は間に合ってない?」

「すみません提督。まだ学校の用事が……」

「そうか。じゃあ仕方ない。来るまでは時雨、君が秘書艦として○○高校の皆さんを案内に付き合ってくれないか。」

「はい提督。でも僕と夕立は○時から護衛任務で行かなくちゃいけないからあまり長い時間は……」

 

 提督と時雨が話し合っている中に那珂は割り込んで提案した。

「ねぇ提督。時雨ちゃんたちの任務の時間がもうすぐなら、あたし案内全部受け持つよ?どうせうちの生徒に案内してあげるつもりだったし。」

「……いや、せっかく同じ学校のお仲間が来てるんだし、那珂は今日は学校側の立場で参加してくれ。どのみち五月雨が来れば任せる予定だったから、それまではそうだな……じゃあ俺が全部、直接見学の案内するよ。時雨たちは任務の時間までは自由だから好きにしてくれていい。」

「「はい、わかりました。」」

 時雨と夕立は返事をして、那珂たちに会釈をして別れ、階段を登っていった。

 

 

--

 

 提督を先頭にして、鎮守府内の案内と見学が始まった。なお、動画による撮影は、工廠の一部以外ならOKの回答をもらっていたため、那珂は書記の二人に動画での撮影もするよう指示した。

 

 三千花らの見学コースは次のように進む。

1,本館内部

2,本館周辺敷地と施設

3,工廠・出撃用水路・訓練施設

4,艦娘らによる出撃の様子や演習の再現

5,説明(今後の鎮守府の展望)

6,質疑応答

 

【挿絵表示】

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。