ほったいもいづんなの妄想置き場   作:ほったいもいづんな

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今回はみんなきっと大好きなディシディアファイナルファンタジーからティーダを登場させました。 一番好きなキャラなので思い入れが大分あり、実際最初にプレイしたFFはXです。 前回と違いvividなのですが、理由が単純に、「戦闘のアレがディシディアに似ている」だけです。 深い理由はありません。

あと重要ですが、続きません。

誤字脱字等のミスがありましたら、コメントにてお教えください。

ご感想等も、気軽にどうぞ。


妄想2 なのは×ディシディア (ティーダ編)

 そこはとある世界、そこでは秩序の神『コスモス』と混沌の神『カオス』と呼ばれる光と闇の神々が数千年争い続けた。 その争いもつい先ほど終わりを告げた、10人の光の戦士達によって……

 

 戦いを終えた戦士達は自然豊かな場所に辿り着く。 近くには大きな湖が見え、足元に広がる草木は無限に広がっている。 つい先ほどまで死闘を繰り広げていた場所とは打って変わってまるで幻想の世界のようだ。 そんな場所に辿り着いた10人の戦士、そのなかの鎧を身に纏った戦士が呟く。

 

「全て終わったのだな…………」

 

 思い起こされるそれぞれの戦い、強敵に出会い、挫折し、立ち上がり、そして最後に乗り越えた。 これまでの戦いの記憶を思い出していると一人の青年が手に持っている宝石ーークリスタルが輝く。

 

 それを手にしているのは10人の光の戦士の一人『ティーダ』。 光の戦士の中でもかなり明るい性格でムードメーカー。 しかし元は『ブリッツボール』と呼ばれるスポーツの選手ではっきり言って戦いに関しては素人。 だが持ち前の運動神経でピンチを幾度となく乗り越え、光の戦士達と共にこの戦いを生き抜いてきた。

 

 ティーダは光を帯びてきたクリスタルを見つめ何かを感じ取る。

 

「お別れ、か……」

 

 仲間との別れ、それは他の戦士達にも伝わる。 共に戦い抜いてきた戦友との別れに表情を暗くする戦士達。 そんな彼らを見てティーダは笑顔で話しかける。

 

「大丈夫! ここから先はクリスタルが導いてくれる。 それに……」

 

 右手の親指を立て自分の胸に当てる。

 

「俺はここにいるから」

 

 最後に右手で拳を作り仲間に見せる。 そしてティーダは湖の方へ振り返り湖の中に飛び込んで行き、湖に水柱を立てることなく消えた。

 

 消えゆくなかティーダは最後に残した自分の言葉に間違いは無いと思った。 本当はこれまでの戦いを振り返りその時の仲間の思いや激闘の話等、ずっと話していたかった。 しかしそれは時間が許してくれない。 ならば最後に残すべき言葉とは? これまでの感謝の言葉か、再開の約束か。 ティーダはこれらを思い浮かべ、すぐに捨てた。 そしてティーダ残した最後の言葉、その言葉には自分の存在は皆の心にある、例え二度と会えなくても、例え二度と思い出すことが出来なくても、心の内に必ず自分は存在している、そう仲間に届けた。 ティーダに悔いなどない。 彼はこれまでの全てに満足し……光の中に消えて行った。

 

(バイバイみんな)

 

 ティーダは目を閉じる。 その身が自分のいた世界に送られるまで。

 

 永遠にも思える一瞬、ティーダは光を抜け辿り着くーー

 

 バッシャーーン!!

 

 ーー水の中に。

 

 

 

 

 

 

 

(み、水の中ぁ〜!?)

 

 確かに自分は湖の方へ飛び込んで行ったが、まさか本当に水の中に入るとは思ってもいなかった。 少し慌てるが、流石は水中スポーツの選手。 すぐに息を止め水面に向かって泳ぎだす。

 

「ぷはぁ」

 

 ティーダは辺りを見渡す。 目に入るのは木々が生い茂る自然、しかし先ほどまで自分と仲間達がいた場所とは違う場所だと気づく。

 

「も、森? 川?」

 

 ティーダは息を吸い再び川を潜る。 突然見知らぬかわの中にいて驚いたティーダであったが彼のブリッツボール選手としての精神が彼を泳ぎださせる。

 

 ティーダが戦っていた世界にも湖があり海も当然存在していたが、戦いに身を投じていたため息抜きに泳ぐ何てことはそうそう出来なかった。 今まで泳げなかった分ティーダはタップリと泳いだ。 その時間およそ5分、しかもその間一度も息継ぎをしていない……。 驚異の肺活量である。

 

 ティーダは水面に顔を出しもう一度辺りを確認する。 すると岸辺の方に人が数人いることが判明する。

 

「よく見れば誰かいるな……良し!」

 

 ティーダは岸辺に向かって泳ぎだす。 その姿を見ている女性と少女達。 その中の一人、金髪で左右の目の色がことなる少女が側に立っている赤い髪の女性に向かって話す。

 

「ねぇノーヴェ……あの人誰?」

「……いや、息継ぎ無しで5分近く泳いでいられる知り合いはいないぞ……」

 

 突如水柱と共に現れた青年を警戒する少女達。 しかしティーダはそんなことは考えず少女達が立っているところまで泳いでいく。

 

 浅瀬の部分で立ち上がり少女達に近づいていくティーダは大きな声で話しかける。

 

「オッス!」

『お、オッス……?』

 

 ティーダを警戒していた少女達は彼の元気な挨拶にあっけを取られる。

 

「俺はティーダ、あんたらは?」

「え? えと……私はノーヴェ、ノーヴェ・ナカジマだ」

 

 名前を聞く時はまず自分の名前から名乗る、その常識のある行動に赤い髪の女性は少々驚くもキチンと名乗る。 なぜティーダの言葉に驚いたのか? それは突然現れた見たことのない服装の男が5分も潜水をしていたのだ。 どう考えても変人、その変人が常識ある行動をして驚いてしまったのだ。

 

 女性の後に続いて少女達も自らの名を名乗る。 ティーダはうんうん頷きながら聞いていた。

 

「ノーヴェにタカマチ、コロナとリオ、アインハルトにルーテシアっすね!」

「あ、高町(・・)が名字でヴィヴィオが名前です」

「そうなのか?」

 

 変わった名前に混乱するも、その場にいる全員の名前を覚えるティーダ。

 

「キチンと覚えとかないとジタンの奴に怒られるからなぁ……」

「ジタン?」

 

 ジタン・トライバル、彼もティーダと同じ光の戦士の一人でティーダと同じ明るく陽気な性格の持ち主。 しかも女好きという光の戦士の中でもかなり変わった性格だった。 そんな彼が以前ティーダに言った言葉、「レディには優しく」。 いついかなる時も女性には優しく接しろと言われていたのを思い出すティーダ。 ほんの一瞬、寂しそうな顔をするもすぐに表情を切り替える。

 

「あ、ところでここドコっすか?」

「ここか? ここは無人世界カルナージってところでな……」

 

 ノーヴェの説明を黙って聞いているティーダ。 大まかな説明を聞き終えたティーダは右手で頭をかきながら言う。

 

「うーん、知らないとこっすね……」

「いやまぁ知らなくても不思議じゃないが……」

 

 頭をかきながら項垂れるティーダ、その仕草が父親譲りなのは秘密だ。

 

「次はこっちから……と言いたいが私らだけじゃなくてなのはさん達にもいて貰いたいから……」

「ん? 他にも誰かここにいるのか?」

「ああ、悪いが付いてきてもらえるか?」

「大丈夫っす!」

「それなら来てくれ」

 

 ノーヴェの後に続くティーダ。 ノーヴェは歩きながら誰かと連絡を取っているのか、話す声が聞こえる。

 

「……はい。 えぇ……、それで……はい、お願いします」

 

 そんなノーヴェの姿を不思議に思ったティーダはヴィヴィオ達に質問をする。

 

「なぁ、ノーヴェの奴何してんだ?」

「へ? あ、えと……多分私のママに連絡をしているんだと……」

「どうやって?」

「え……普通にデバイスを使って……」

「デバイスって何だ?」

『ええっ!?』

 

 ティーダの何気ない発言に驚く少女達、ティーダは何が何だか分からないようす。 そこに連絡が終わったノーヴェが入る。

 

「お前らうるさいぞ。 一体どうした?」

「だ、だってノーヴェ……!」

「ノーヴェ、デバイスって何だ?」

「はぁ? お前デバイス知らないのか!?」

 

 驚愕がノーヴェにも感染する。 しかしティーダだけは状況が飲み込めない。 そんなティーダに恐る恐る質問をするルーテシア。

 

「その剣がデバイスじゃないの……?」

「こいつか? こいつは俺の相棒だけど……そのデバイスって奴じゃないぞ」

「え!? じゃあ……デバイスの補助無しに魔法で5分も泳いでいたの!?」

「ん? 俺魔法とか使えないぞ? さっきは普通に……準備運動くらいにしといたし」

『えええぇぇぇぇえぇぇぇ!!?』

「……そ、そんなに驚かないでくれよ」

 

 ティーダにとっては当たり前でも彼女達にしてみれば道具や魔法無しに5分も潜水何て出来るはずがない。 さらにティーダの魔法を扱えない発言も追加され……ティーダを除いた全員の顔が固まる。 ティーダの事をまるで頭のやられた人間の様に見てしまう。 まるでーー

 

「……?」

 

 ーーかつてどこかの土地へ飛ばされた時と同じ様に……

 

「……ま、いっか」

 

 一瞬見えた光景、小さな島で出会った人達。 しかしその光景はすぐに消えてしまう。 だがティーダはそれを深く気にせずに頭の後ろで手を組む。

 

「んでさ、結局デバイスって何だ?」

「はぁ……お嬢、説明してやってくれ」

「わ、私!? ……えっとデバイスって言うのは……」

 

 ルーテシアの誰でも分かるデバイス講座を聞くティーダ。 彼女のお陰でデバイスの事を少し理解出来たティーダ。 ルーテシアは後に「あれほど説明が難航したのは初めて……」と語る。

 

「デバイスって凄いんだな」

「……あれだけ説明して感想がそれだけなのね……」

「はは、悪いな」

 

 どっと疲れたルーテシア、先ほど川で泳いでいた時よりも疲れた表情をしていた。

 

「にしても……魔法かぁ、俺の仲間はみんな使えていたからなぁ〜」

「ティーダさんの仲間ってどんな人だろ……」

「やはり泳ぎが上手な方々なのでしょうか……」

「みんなか? そんな事はないと思うけど……あ、でもクラウドは色んなスポーツが出来るって言ってたし、もしかしたら泳げるかも」

 

 仲間の一人を思い出しながら歩き続けるティーダ達。 彼らは目的の場所に辿り着く。

 

「おお〜! でかい家っすね!」

「ふふん、これが私の家だよ」

 

 謎の興奮をするティーダにそこそこある胸を張るルーテシア。 そこに現れるおよそ7人の人間。 そのほとんどが女性だ。

 

「あ、なのはさん」

「お疲れノーヴェ、彼がさっき言ってた……」

「はい、私ら着替えをしてきますんでちょっとお願いします」

「うん、いってらっしゃい。 ちゃんと体拭くんだよ?」

 

 ノーヴェらは着替えに建物に入っていく。 彼女達を見ながらティーダは呟く。

 

「着替えるなら最初から服着とけばいいのに……」

「……えと、ティーダ……だよね? さっきノーヴェから聞いたよ」

「そうっす! えっと……あんたらは……」

「あ、そうだね。 私の名前は……」

 

 ティーダに自己紹介を始める女性の名前は高町なのは。 自分がヴィヴィオの母親である事を伝えると……

 

「ヴィヴィオの母ちゃんなのか。 ぜんぜん似てないっすね!」

「う……だよねぇ……」

 

 何気ないティーダの感想に少し肩を落とすなのは。

 

 なのはに続いて次々と名前をティーダに教える。 なのはと同じくヴィヴィオの母親であるフェイト・テスタロッサ。 ノーヴェの姉妹であるスバル・ナカジマ。 スバルの長年の相棒のティアナ・ランスター。 この場でティーダを除いて黒一点のエリオ・モンディアル。 その隣にいるエリオと頭一つ分くらい身長が離れているキャロ・ル・ルシエ。 キャロの使役竜フリードリヒ。 ルーテシアの母、メガーヌ・アルピーノ。 アルピーノ家族の大事な一員でルーテシアの僕、ガリュー。

 

 それぞれの自己紹介が終わる頃にはヴィヴィオ達は着替え終える。 ティーダ達はロッジの中の大きなリビングで腰を下ろしている。

 

「いやぁ……にしても女の子多いっすね」

 

 現在男はティーダとエリオのみ。 見渡せば必ず女性が映るこの状況にティーダは少し落ち着かないようす。

 

「エリオは気になんないのか?」

「あはは、僕はもうずっと前からこうでしたから……」

「まじかエリオすげぇな」

 

 ティーダとエリオ、男同士ウマが合うのかすぐに仲良くなる。 ティーダの明るい性格のおかげか。

 

「コホン、それじゃティーダの話を聞いてもいいかな?」

 

 一つ咳払いをし、ティーダに話しかけるなのは。 その表情は柔らかく、相手の緊張をほぐすには十分だろう。

 

「あ、いいっすよ」

 

 ……しかし軽いノリのティーダは大して緊張していない。 ティーダとなのはの間に少しズレがあるが……ティーダは気にせずに話し始める。

 

「そうだなぁ……何から話せば……」

 

 話の切り出し方に悩むティーダ。 それはそのはず、ついさっきまで神の戦いに参加していたといきなり話しても信じてもらえるはずがない。 悩むティーダになのはが助け舟をだす。

 

「それならここに来る前にいた場所は分かる?」

「場所っつーか、世界? それなら分かるっすよ」

「名前とかは……」

「名前は知らないんすけど……そこには神様がいたんだ」

『神様?』

「あぁ、コスモスって神様とカオスって神様がいてさ……」

 

 そこから始まる神々の戦いの話。 コスモスの戦士として元の世界から呼ばれたこと。 その際に記憶のほとんどを失ったこと。 カオスの戦士達と戦い、その過程で自分の父親と戦ったこと。 希望の結晶、クリスタルを集めたらコスモスが消えてしまったこと。 クリスタルの加護によって自分が存在していること。 仲間と共にカオスを倒し戦いを終わらせたこと。 ティーダは包み隠さず全てを話した。

 

「……んで、仲間と別れたところでノーヴェ達に会ったってわけ。 これが俺の物語だ」

 

 全てを話し終えるティーダ、彼は聞いていた全員の顔を見る。 話を聞いていた者達の顔には何とも言えない表情が見える。

 

「あ……やっぱ信じられない……よな……」

 

 右手で後頭部を掻き少し俯くティーダ。 そんな彼に全員の代表のなのはが話しかける。

 

「あ、別に信じてないわけじゃないんだよ……? ただ……」

「ただ……?」

「その……話のスケールが思っていたよりも大きくてびっくりしていただけだから」

 

 ティーダの話に誇張表現があったとしても嘘偽りがないのは彼の真っ直ぐな目で判断できる。 しかし唐突に神の存在が現れたり自分の父親を倒した等のなのは達の想像を超える内容に全員言葉をなくしていたのだ。

 

「まぁ確かに急に神様とか出てきて俺も驚いたけどさ、そんなに深く考えなくても大丈夫大丈夫」

『えぇ……』

「俺の話はいいとして、なのは達はここで何してんだ?」

「え? 私達?」

 

 話の話題を急に変えるティーダ。 別に彼が自由気ままな性格だからではなく、みんなに気を使い話題を変えたのだ。

 

「私達は連休を使ってここに……そうだね、合宿って言えば分かるかな?」

「合宿? 何だ、なのは達もスポーツとか体動かすことやってんのか?」

「大人組は違うけど子供達はそうだね」

「……も? ティーダさんは何かやっているんですか?」

 

 ティーダの発言が気になり質問をするヴィヴィオ。 彼女ら子供組はストライクアーツと呼ばれる格闘技を学んでいる。 ヴィヴィオに続きアインハルト、コロナ、リオはティーダを見る。

 

「ああ! 俺はブリッツボールのエースだ!」

『ブリッツボール?』

「ありゃ……ブリッツボール知らないのか……ってことはやっぱここは俺の元いた世界じゃないんすね……」

 

 ブリッツボールを知らない彼女達の反応を見て肩を落とすティーダ。 反面、ヴィヴィオ達は聞いたこともないそれに興味を持ち始める。

 

「それってスポーツなんですか?」

「ん……まぁそうだな」

「どんなのですか!」

「うーん……説明してもよく分かんないし。 直接見せた方がいいな」

 

 うし! っと言って立ち上がるティーダ。

 

「さっきの川に行こう。 実際のプレイを見せてやるよ」

『(何故川……?)』

「あら、出かけるのかしら?」

「あぁ、ちょっとそこの川まで」

「もうそろそろお昼だから早く帰ってきてね?」

「そんなにかからないから大丈夫だって」

 

 メガーヌは残り昼食の準備をする。 彼女を除いた全員で先ほどティーダが現れた川に向かう。 その途中でヴィヴィオらからストライクアーツについて聞く。

 

「へぇー! ヴィヴィオ達は格闘技やってんのか」

「といっても始めたばかりですけどね」

「格闘か……俺の親父みたいだな」

「ティーダさんのお父様……ですか?」

「あぁ、親父は剣持ってるくせに蹴ったり殴ったりして戦うんだ」

「強いんですか?」

「ああ、ま! 最後は俺が勝ったけどな」

 

 父、ジェクトの姿を思い出すティーダ。 全員は見る、その時の表情はどこか嬉しそうな顔をしていたことを。

 

 

 

 そうこうしている内に先ほどの川にたどり着く。

 

「さて、まずはボールの準備からだ」

「ボールって……何も持っていないよね?」

「戦っている時はでたんだけど……」

 

 ティーダは脳裏にブリッツボールを思い浮かべる。 すると彼の右手にサッカーボール程の大きさのボールが現れる。

 

「おお! まだクリスタルの力が残ってんのか! よかったぁ〜」

「えっと……今のは……」

「ん? ああ、前にコスモスにお願いしてブリッツボールをいつでも出せるようにしてもらったんだ」

「それがブリッツボール……」

「んじゃ……この中で一番力があるのは誰だ? ボール投げて欲しいんだけど」

「あ、それなら私がやるよ」

 

 ティーダのお願いに手を上げて答えるスバル。 彼女はティーダからボールを渡され説明を受ける。

 

「俺が川の一番深いところまで行ったらこのボールを高く投げてくれ」

「思いっきり?」

「思いっきり頼む!」

「了解!」

 

 ボールをスバルに託し川の水深が一番深いところまで泳ぐ。 その姿を確認しスバルは大きな声でティーダに呼びかける。

 

「おぉーい! 行くよぉー!」

「おお!」

 

 スバルが投球のモーションに入ると同時にティーダは水底に向かってものすごい速さで潜る。

 

「でゃぁー!!」

 

 スバルの全力投球が放たれる。 そして川の真ん中に大きな水柱が立つと同時にティーダが水面から飛び出す。

 

『と、飛んだッ!?』

「ぉおおりゃ!!」

 

 オーバーヘッドからの蹴りをボールに入れ、そのままボールを遥か後方へ蹴り飛ばす。 スフィアシュート、彼のフェイバリット技の一つだ。

 

 ボールを蹴り終えたティーダはそのまま落下し川に飛び込む。 すぐに水面に上がりヴィヴィオ達を見る。

 

「今のがブリッツボールのシュートだ。 すごいだろ!?」

 

 皆に問いかけるティーダ。 ティーダの言葉通り全員彼の華麗なシュートに歓声を上げている。 その歓声に笑みがこぼれるティーダ。 その理由はきっと元の世界で彼が経験していたことだからだろうか……

 

 

 

 

 

 

 ティーダのシュートのお披露目が終わり、皆が昼食を取っている時、フェイトがティーダに手合わせを申し込んでいた。

 

「手合わせ? なんのだ?」

「私達は魔導師って言って、魔法を使ってお仕事をしているの」

「ん? なんだ、手合わせって模擬戦のことなのか」

「うん。 ティーダの実力も気になるし……それにもしよかったら明日チームに分かれて行う模擬戦に参加して欲しいなぁ……とも思ってるの」

「いいぞ」

「……え、いいの?」

「ああ。 ……あ、でも俺あの武器しかないや……」

「あぁ、心配しなくても私達はバリアジャケット……魔法の鎧って言えばいいかな? それを身につけるから大丈夫だよ」

「ああよかった……。 流石にバッサリ切っちまったらシャレにならないからな……」

 

 フェイトとの手合わせで唯一心配していたのはフェイトに深い傷を負わせてしまうことだけだった。 その心配もフェイトのおかげで消える。

 

「それならちゃんと飯食っておかないとな」

 

 フェイトとの戦いをティーダは心の中で喜んだ。 体を動かすのは好きだし、それで強敵と戦えることで彼のスポーツマン魂が熱く燃える。 それに、殺し合いではない戦いをするのは久しぶりなのだ。 互いの力を競い合えることにティーダは喜びを感じていた。

 

 

 

 

 

 昼食も終え、ティーダとフェイトはルーテシア作、訓練所に向かい合い立っている。 それ以外の者は離れたところで魔法で映し出された映像を見ている。

 

「ねぇママ、ティーダさんでどれくらい強いと思う?」

「うーん、本人は戦いを勝ち抜いてきたって言ってたけど……」

「でもさっきティアと話を聞いていた時、自分は戦いの素人って言ってましたよ?」

「そういえば剣を握ったのもその時が初めてかも、って言ってたわね……」

 

 ヴィヴィオの疑問になのは、スバル、ティアナが答える。

 

「コーチはどっちが勝つと思いますか?」

「そうだなぁ、フェイトさんは強いけど……ティーダの奴の実力は未知数だからどっちが勝つかは判断できない」

「確かにあの脚力は侮れません……!」

「やっぱりアインハルトさんもそう思う?」

 

 リオもヴィヴィオと同じ疑問をノーヴェに聞く。 アインハルトとコロナはティーダの実力について憶測ではあるが話し合っていた。

 

「エリオ、何かティーダの情報ないの? 昼食の時仲良く話していたでしょ?」

「そう言われても……、そういえばさっきのボールも戦闘で使うって言ってたっけ……」

「ええ!?」

 

 一方でティーダと話をしていたエリオからその内容を聞いて驚くキャロとルーテシア。

 

 彼女らの話題になっているティーダは武器を持ったまま屈伸をしている。 その彼の少し離れたところには黒いバリアジャケットを身につけたフェイトが立っている。

 

「遠慮はいらないよ、全力で来て!」

「びっくりすんなよ?」

 

 すでに準備万端の二人、その二人を確認してメガーヌは試合開始の宣言をする。

 

「時間無制限、それぞれにはライフが3500づつ。 二人共準備はいいかしら?」

「はい!」

「おう!」

「それじゃ……試合開始!!」

 

 メガーヌの宣言が終わると同時に二人は飛び出す。

 

「うおぉぉぉぉぉぉ!」

「やあぁぁぁぁぁぁ!」

 

 今……光の戦士、ティーダの新たな戦いが幕を開ける。




オマケ

今回登場したなのはキャラとティーダの戦闘前掛け合い集

なのはの場合
なのは「君の力、試させてもらうよ」
ティーダ「俺だってエースだっつーの!」

フェイトの場合
フェイト「遠慮はいらないからね」
ティーダ「あんまり舐めんなよ!」

スバルの場合
スバル「思いっきり行くよ!」
ティーダ「最初っから本気だ!」

ティアナの場合
ティアナ「素人なんだって? 手加減してあげようか?」
ティーダ「余計なお世話だっつーの!」

エリオの場合
エリオ「本気で行きますよ!」
ティーダ「ああ! ビビんなよ!」

キャロの場合
キャロ「接近戦は得意じゃないけど……行くよフリード!」
ティーダ「フリードも!? それズルくないっすか!?」

ルーテシアの場合
ルーテシア「新技の試し撃ち、まだだったんだよねぇ〜」
ティーダ「大人をあんまり甘く見るなよ」

ガリューの場合
ガリュー「…………」
ティーダ「それじゃ、よろしくな!」

ノーヴェの場合
ノーヴェ「ガキ共の手前、情けない姿は見せられないな」
ティーダ「俺だって簡単にはやられないからな!」

ヴィヴィオの場合
ヴィヴィオ「ティーダさん! 行きますよ!」
ティーダ「カウンター戦法はヴィヴィオのものだけじゃないからな!」

アインハルトの場合
アインハルト「私の力、試させてください!」
ティーダ「あんまり力むなよ」

リオの場合
リオ「春光拳の力見せちゃいますよ!」
ティーダ「俺だって華麗なシュートを見せてやる!」

コロナの場合
コロナ「まだまだ初心者ですが、よろしくお願いします!」
ティーダ「俺だって戦いの素人だからな、そう気にすんなよ」

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