俺の問いとその先は。   作:to110

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新・長編シリーズの始まり、だぁぁぁぁ!!
あ、ちょっと待ってください。まだ帰らないでください。
コホン、え、ええとですね。
このシリーズでは人をできる限り登場させようかなーとしています。
投稿ペースはかなり遅いと思います(まだシリーズ終わってないですしね………)。ちょこちょこ書いてたらいつの間にかできてて、保存しておくのも場所取ってしまうので、投稿しました。
そーれではこれからー、お読みくださいー!
テンションがおかしい………


First/album

俺は今、松葉をつき、前に進む。まぁ簡単にいえば誰もいない廊下を歩いているわけだ。これを俺は今、松葉をつき、世界を動かすとかいって中二病の名残を出してもいいかもしれない。なにそれダサい。

松葉をつける理由なんて限られてくる。そして、俺はその限られた理由の中でも一位だろうという理由でついている。それすなわち、

 

高校初日、いわゆる入学式に、事故に遭った。ということだ。交通事故というのは松葉をつく理由第1位だろう。調べてないから知らないけどね。

事故の影響でクラスのコミュニティーには属せず、ぼっちになった。

………どこまで俺にぼっちの神様がついてくるのだろうか。誰か教えてくれんかねー。っと、誰もなにも、そもそも話す人がいないな。

眼が腐ってるとか超不便。いつから腐ったんだろうか、永遠の謎である。

 

っと、今日も今日とて下校時刻は訪れるものであった。なぜぼっちが早く帰らないかというと、階段で松葉杖なんてついてたら邪魔だからである。こういう細かいところまで気を遣う、こんなことができる人はそうそういない。だから誰か養ってください。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

本日5月14日、快晴。

 

 

中間テストもあと少し、というところ。高校の最初のテストは中学同様、簡単なものだろう。だから、誰かがノートを見せてくれなくても問題ない。と考えると事故をした時期は良かったのかもしれない。

………全然良くないな。

 

まぁ最初のテストでいい点とって大半が調子に乗ってさようならという失敗を繰り返すリア充はよくわからん。

その点、勉強と読書とゲームと睡眠と食事しかしない俺はそれなりに優秀である。ん?待てよ。俺、わりとやってること多いじゃん!なにこれついに俺もリア充か⁉︎

そんなことはめっさどうでもいい。そんなわけないだろ。だいたい、リア充になる気もないし。ぼっちとかマジ最強。ぼっち最強伝説とか書ける。なんなら最恐まである。

 

 

授業後の風(通称:リア充どもの会談)も既に去り、俺は一人、階段を降りる。

んにしても、未だに階段の昇り降りには慣れない。病院からは松葉は友達に渡して手すりに掴まってピョンピョンしていくように言われているが、友達とかいないし。そして、友達いないんですけど………なんていくらなんでも言えるわけもなかった。それ言って冗談だと認識されるほど辛いものもそうそうないだろう。な?ぼっちの諸君。

 

 

八幡「なっ………!」

 

 

しくった。誰かに呼びかけるなんてことないから気がそれてしまっていた。俺は誰に呼びかけていたのだろうか。

現状の整理をしよう。右手に持つ松葉が飛んでった、とまではいかないが、階段を滑り降りた。なんで俺より先にいくんだよ。お前は沢田君かよ。ほんと、なんであの時に置いてかれちゃったんだろ。いやまぁ理由はわかってんだけどね?でもその時なんてわからなかったからすごいショックを受けていたことを覚えている………

 

 

「何をしているの?」

 

 

八幡「え?」

 

 

冷たくも柔らかい、そして綺麗な声が後ろから聞こえて振り返った俺は、

 

 

「?」

 

 

………。

見惚れていた。ただ、見惚れていた。

長く、流れるように綺麗な黒髪。細く、ガラスのごとく透き通った肌。そして、それらを何倍にも見せるほどの、整った顔立ち。まさしく美少女という代名詞が適切な、少し首を傾げている、その少女に。

 

 

八幡「え、あ、その…えっと………」

 

 

「かばんと松葉杖、持ってあげるから降りなさい」

 

 

八幡「っ………あ、す…すみません………」

 

 

そして俺は彼女に荷物を手渡す。〈渡す〉よりも〈手渡す〉の方が、なんか、いいですね。

てか、学校でほんとに久々に口開いたんじゃないか?最初の頃は先生と少し話してはいたが(それでも少しだけなのかよ)………

そのせいだろうか。それとも見惚れていた、いや、見惚れているせいか。言葉がうまく出てこない。もともと言葉を発すること自体が少ないが、それでも、こんなにも出ないことは今までなかった。

………だが、それについて考えることは、すぐに辞めた。

 

 

っと、そんなこと考えている場合ではない。

そそくさと俺は階段を降り、松葉を拾う。

 

 

「はい」

 

 

俺は預けた荷物を手渡しで、手渡しで受け取る。

 

 

八幡「ど、ども………」

 

 

「それよりも、危ないわよ?階段で松葉杖をつくなんて」

 

 

八幡「はぁ………それはわかっていたつもりだったんですが………」

 

 

「こけたら大変よ。これからは気をつけなさい」

 

 

八幡「す、すみません」

 

 

「それじゃあ」

 

 

そう短く告げ、彼女は歩いていった。

早いな。まるで彼女は全然違う世界の人のように、俺の視界から消えていった。

というか、後ろにいたってことは俺のせいで進めなかったってことか。ほんと、すみません………

 

 

八幡「あ………」

 

 

俺は思い出してしまった。彼女にお礼を言っていないことを。今からは、もう無理だろう。松葉杖で彼女よりも早く移動できるわけがない。それに、叫ぶという選択肢も普段から声を出していない俺は選べない。

そのうち言える機会はくるだろうか。きてほしいな、ぜひとも。

記憶を掘り下げる。赤色だったよな、たしか。なら、言える機会はいずれくるだろう。俺が覚えていても彼女は忘れているだろうし、そもそも人間関係を構築できていない俺に機会が巡ってくるかは別の話なのだが………

にしても、あんな美少女がいるという情報は流れないものなのか?噂やらなんやらで聞きそうなものだがな。俺がまだ来てから時間が経ってないから聞こえてこない(もちろん盗み聞きですよ)だけか。

 

黒髪の美少女、ね………

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

本日5月23日、やや曇り。

 

 

やや曇りなんて天気があるかは知らんが、まぁそれ以外で言い表すのは困難であるほど、微妙な雲の量である。

この時季は太平洋側をじめっとした空気が漂う。そして気温の上昇だ。夏の暑さプラス湿気、もはや夏は脅威でしかない。ちなみに、この知識は中学の社会の地理でやった。だからよく覚えている。理科の天候でもやったって?そんな、ハハハ、またまたご冗談を………

登校のときももちろんいち早く学校へ行く。朝の忙しいときに階段を松葉で占領とか邪魔なだけだからな。

 

教室では基本、読書をしているか寝たふりをしている。読書は純粋に俺の趣味だな。最近はガガーーーーーいや、まぁおもしろい本を見つけたからな、はまってる。寝たふりに関してだが、決して夜更かしをして、いかがわしいことをしているわけではない。それをするのはリア充どものみである。だから、俺はしっかりと寝ている(だからってなんだだからって。そんな接続詞で繋げるんじゃねーよ)。よって、決して寝ることはない。なら、なぜわざわざふりをするかって?それはだな、周りに俺の存在を認識させないためだ。存在感を消す、そのためには寝るのが一番なのだ。それプラス人間観察を行うときに最も適した体勢である。

それにしても、今日は本当に騒がしい。いや、理由はいくらなんでもわかるんだけどね。だって、明日からテストだもん。リア充どもがワンワン騒いでいる。騒いで自分やばいアピールとか本当にうるさい。そんな暇あったら勉強しろよ。

 

 

それにしても、

………ワンワン、か。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

さて、今日も帰るとしよう。学校は本当に過ごしにくい。ついでにうるさいやつらは憎い。

階段も長いと感じていた最初と違って、今はもう慣れて、なんなら短くすら感じる。だが、慣れてきたと思っているときに事故は起きてしまうのだ。ほんの小さな緩み、油断が事故を生む。ドライバーの皆さんには常に細心の注意を払っていただきたいものである。

 

 

八幡「ん、しょ。よいしょ」

 

 

未だに声は出る。なんか出した方がうまくできそうな気がする。でも、省エネ主義者であるあの人はそれをやらなくていいこととしてやらないのだろう。あの考えって完全にぼっち向けだよな。友達いるし、フラグが完全にたっている美少女と過ごしてるし、俺とは全然違ってぼっちじゃないんだけど。世の中不平等であるとしみじみと思う。俺も省エネを頑張ってみよう。何が削れる?会話、はしてないから削れるところがない。呼吸、は必要。思考の停止、は削れそう。って、これ削ったら人間らしさが俺の中からなにひとつなくなってしまう。それは防がねばならぬ………結論、俺は省エネで生きている。なんと地球に優しいのだろうか。そろそろ国際連合(国連)はぼっち推奨を始めるべきでだろう。一人っ子政策があるなら独りっ子(ぼっちと読む)政策や、ぼっち推奨委員会とか、地球温暖化対策の仕方はいろいろとあるものである。

 

というどうでもいいことを考えて、テスト勉強で疲弊した脳を休ませること数分、ようやく下駄箱である。とっとと帰りたい。先週までは多少なりとも部活のうるさい音も響いていたが、いくらなんでもテスト前日は部活をやらないらしい。あくまでらしいだけである。部活というのに関わったことなんてないから確かなことかはわからんから予想ではあるが。ま、聞く人もいなかったしな。

 

靴を履き替える作業もだいぶ身についた。いやー、最初は苦労した。なにせ、怪我してない方の靴を替えるときなんて両足を浮かして松葉しか地面についてない状態だからね。それも今となっては単調な作業である。てか、周りに人がいないんだから、ざら板に座って履けばいいだけなんだけど、なんか座ってしまうと負けを認めてしまうようで、体が拒絶反応をする。一体誰に、何に負けるというのだろうか。ほんと、負けたくない相手もいないっていうのは気が楽。座らない理由としては、座ったときに砂がつく、というだけだ。他意はない。でも何で砂をつけたくないんだろうか。砂くらい払えばいいんだし。まぁ考えるだけ無駄か。

 

さて、帰って勉強でもしよう。ところで、

………明日ってなんのテストがあるんだっけ?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

結局何をやればいいかを思い出せなくて全教科やった。といっても理系はとる気ないし、文系をやったが、現代文は大丈夫だし、古文と社会と家庭をやっただけだ。律儀に副教科である家庭をやっているあたり、なかなか優秀である。ふくきょうかで漢字変換すると服強化とか出ておもしろい。身近におもしろさは存在するのだ。ぼっちのたしなみである。てかこれ俺が変換してるわけじゃないな。

 

俺はいつもどおり、教室に一番に入ったわけだが、そこでとんでもないものを眼にしてしまう。

今日のテストに文系科目が一つもない、だと………

今日はやることがないではないか。文系科目がないとか世界の終わりだわー。

 

………はぁ。

 

 

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本日5月30日、曇天。

 

 

長いテスト期間も今日で終わった。土日を挟んだからやけに長いテスト期間だった。文系科目は、まぁ想定どおりできたはずだ。うむ、中学と大してテストの感じは変わらない。理系科目?なにそれおいしいの?なんてことはさすがに言わないが、まぁ察してくれ。

 

んにしても、どうしてテストが終わった後にリア充ってのは学校に留まるんだ?邪魔で仕方ないし、うるさいし。松葉で動いてたらそれこそ目立つし迷惑をかけてしまう。今日も帰りが遅くなりそうだ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

本日6月18日、雨天。

 

 

せっかくの記念すべき日だというのになぜ今日に限って雨なのだ。まぁなんていうことはない。だって今梅雨だし、雨が降って当然である。しかし、今日くらい晴れてほしかった。今日、足の完治が言い渡された。長い間お世話になった松葉との別れを惜しむ。いやだって、ね?高校生活で一番近くにいたんだよこの松葉。そりゃあ惜しみたくもなるってもんですよ。もっと言えばこの松葉以上に接する人なんていないだろう。

………じゃあな、松葉。

 

松葉との感動的な、感動的な別れを終え、これで明日から毎日朝早く家を出る必要も、授業後静まりかえるまで待つ必要も、階段で一段一段気を張って昇り降りする必要も、なくなる。なんてー素敵なー日常ーでーしょー。

つっても怪我の影響でまだしばらくは運動するな、とのこと。それにしても、運動の定義がいまいちわからん。確か理科で呼吸とかも運動に入るとかなんとか習った覚えあるし。足に負担をかけるな、ということなのだろうが、そのくらいしっかり説明してくれないとぼっちのコミュニケーション能力じゃ理解できない。まぁ俺はぼっちの中でもコミュニケーション能力を持ったぼっちだから伝わったものの、俺以外だったらほんとに呼吸止めるやつとか出てくるぞ。あれ、もしかして病院の人って対人スキルがないのか?

 

まぁ、この時期ともなれば一学期終了に近づいたから期末テストを来週に控えている。そそくさと勉強に切り替えよう。今回は何日目に何のテストがあるかをちゃんとわかっているから前回のようにとんでもなく無駄なことはしなくてもよさそうだ。理系のテストがないということになっていなかったのは何故だかわからない。理系科目、去れ………

 

 

そういえば、前回の国語学年一位と総合学年一位って誰だったんだろうか。貼り出されることもないこの学校ではそれがわからない。未だにそこらへんのうるさいやつらが噂とか立ててないし、俺の耳には届いていない。

それに、

 

 

………彼女の名前もわかってないし。




こんな感じで今作は送ります。
アンケート結果として、八幡視点、セリフ者記名。といっても誰かわからない人は名前載せないので。今回もその人いましたしね。
これから、よろしくお願いします!

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