NARUTO―もしも双子の姉がいたら―   作:紅葉

18 / 25

珍しく?長いです。
そして改行を少なくしてみましたかなり。
読みやすくはなったはず…。


この世に英雄はいる!

 

SIDEサクラ

あたしは今タズナさんと買い物に来てるんだけど…何なのこの町…町中じゃ泥棒を追いかけてる人や、老若男女問わずにボロボロの衣服で地面に座り込んでいる人たちや、仕事を探している人たちがたくさんいた。

ていうか八百屋もほとんど何もないじゃない…形の崩れた野菜ばっかり。木ノ葉とは全然違う。

そう思っているとおしり辺りに手が近づいてきているのを感じた。って、これってまさか…!??

「キャ――――!!チカ―――――ン!!」

痴漢をしたと思われる男性にサクラは過剰防衛といっても過言ではないほど相手の顔面めがけて蹴りまわした。ちなみにこの男性は痴漢ではなく、サクラのショルダーバックから何か盗ろうとしたのだがそれはまた別の話。

 

「いやー、さっきはびっくりしたぞい」

「いったい、この町どうなってんの…?」

二人が会話をしていると、サクラはおしり辺りの服をくいくいと引っ張られた。サクラはまた痴漢かと思い振り返ってみれば、そこには小さな子供がいて両手を差し伸べていた。

「何かちょーだい」そんな期待のこもった眼をサクラは裏切れずショルダーバックから飴を取りだし子供にあげた。子供は嬉しそうに二人の元から去って行った。そんな様子を見ていたタズナは語り出す。

「ガトーが来てからこのざまじゃ。ここでは大人は腑抜けになっちまった…だから、今…あの橋が必要なんじゃ…勇気の象徴…無抵抗を決め込んだ国の人々にもう一度”逃げない”精神”(こころ)を取り戻させるために。あの橋さえ…あの橋さえ出来れば…町はまたあの頃に戻れる…皆戻ってくれる…」

サクラはタズナが何故橋を作るのか。その理由を知った。そして頭の中で自分の班のメンバーを思い出す。…サスケ君、ナルト、セツナ―――――――

 

サクラとタズナは家に入ると、すぐご飯の匂いがした。…嘘、まさかこれ…あの二人が作ってるの!?

サクラは靴を脱いで食卓の方へ向かうと、そこには普段綺麗な赤毛をストレートにおろしているセツナはポニーテールをしてお鍋を煮込んでおり、普段のイメージから想像もつかない程ナルトは器用に素早く野菜を切っていた。

「ねー、ナルトー。ちょっとシチュー味見して。味見しすぎて味分からなくなった」

セツナはそう言うと小皿にシチューを少し入れてナルトに渡す。ナルトは野菜を切り終わったのかまな板と包丁を洗っていた作業を止めセツナから小皿を受け取ると、シチューを口に運んだ。

「お、ちょうどいい感じだってばよ。ていうかもう煮込むのいいんじゃねえ?」

「ん?そう?じゃあ本日の夕飯完成ー!」

セツナとナルトは言い終わると食器を取り出して、出来た夕飯を皿によそっていく。そんな様子を見ていたサクラは近くにいたカカシに尋ねた。

「…ねぇ、カカシ先生」

「ん?なんだ、サクラ」

「もしかしてあの料理二人が全部作ったの?」

「あぁ、二人で作ってたな。ツナミさんはほれ、言ってた通りイナリ君のズボンを修正してるだろ?」

カカシの指さした場所を見ると、イナリはまっすぐにピンと立っておりツナミさんはイナリの足の長さなどを測っていた。

「嘘でしょ…」

サクラは二人が当たり前のようにご飯を作り、いつものようにと言った言葉が似合うほど手際よく夕飯をよそっていく姿をただ唖然と見ていた。

「あ、サクラ帰ってきてたんだ?おかえり。後そこにいるサスケも隠れてないで出てこい、夕飯で来たから皆座って」

セツナはオタマをカカシやサクラに向けて言った。まさにその姿はオカンそのものだったが誰も何も言わなかった。ちなみにサスケはセツナに言われると肩をびくっとさせ、ポーカーフェイスを気取っていたが内心「なぜ分かった」という動揺でいっぱいだったとかないとか。

「「「「「「「「いただきまーす!」」」」」」」」

皆が席に着き、手を合わせ料理を口に運んで行く。そしてナルトとセツナを除く6人は口に運んだ瞬間思った。

「「「「「「(…意外にうまい!!!)」」」」」」

子供だからという理由や料理をしなさそうというイメージから料理の味は普通ぐらいだと予想していた。しかし、その予想は覆され案外おいしかったりした。

「(…今なんだか失礼なこと思ってそうだなぁ)」

とセツナは思ったいた。

「(セ、セツナはともかく、ナルトまで料理できるとかなんだろう…何かあたしの中の何かが崩れていくわ…)」

「(ナルトまで飯を作れる…だと!?)」

「(なんだろうなぁ…大人としてのプライドが何かあれだ)」

上からサクラ、サスケ、カカシは関心しつつも自分の中の何かが崩れていくのを感じていたとかないとか。

 

夕食の片づけをツナミがしていると、サクラはリビングにある一つの写真に目を向けた。

「あの~なんで敗れた写真なんか飾ってるんですか?イナリ君食事中ずっとこれ見てたけど、なんか写ってた誰かを意図的に破ったって感じよね」

サクラの言葉でツナミさんは、食器を洗う手を一度止め、タズナさんとイナリは飲んでいたお茶の入った湯呑を握る。その空気だけで聞いてはいけないことを聞いてしまったのだと7班はすぐ理解した。そして長い沈黙の後ツナミさんはいつもと違うか細い声で言った。

「…夫よ」

「……かつて町の英雄と呼ばれた男じゃ…」

タズナさんが言い終わるとイナリはツナミさんが止めるのも聞かずに静かにリビングから去って行った。

「父さん!イナリの前ではあの人の話をしないでって…いつも…!」

ツナミさんはイナリを追いかけるようにリビングから去って行った。…てかそれを言うなら写真のことを聞いたサクラが悪いんだけどね。

「………イナリ君どうしたっていうの?」

サクラはイナリとツナミさんが出て行ったドアを見つめながら言った。

「何か訳ありの用ですね……」

カカシもタズナさんの方を見ながら湯呑を持つ。ていうかお前らそんな追い打ちかけるようなことしなさんな…。するとタズナさんは悲しそうな表情をしながら語り始める。

「……イナリには血の繋がらない父親がいた……超仲が良く本当の親子のようじゃった…あの頃のイナリは本当によく笑う子じゃった…」

タズナがそこまで言うと、タズナは震えだし目には涙があふれていた。

「しかし……しかしイナリは変わってしまったんじゃ……父親のあの事件以来…」

タズナさんは涙を拭いて話してくれた。この島の人間、そしてイナリから”勇気”という言葉を永遠に奪い取られてしまった事件を。

 

――――――時は遡り、3年ほど前

イナリは英雄と呼ばれた男と出会った。イナリはたった一人の友達犬のポチをいじめっ子に取られてしまった。いじめっ子はイナリの言葉に苛立ち罪のないポチを何と海に投げたのだ。今なら間違いなく動物愛護団体が黙っていない行動である。さてと、それは置いといて。いきなり投げられたポチは海の中でばしゃばしゃと溺れていた。いじめっ子は助けないのかと意地悪そうに笑った。イナリは助けたくても助けれらなかった。なぜなら彼は泳げなかったからである。そしてそれを見ていたいじめっ子ことアカネはイナリを海の方へ蹴飛ばした。泳げないイナリは溺れていた。さすがに周りの友達もヤバいと言ったが、アカネはほっておけと言った。そしてポチはこの時犬かきを憶え、砂浜に上がるとすぐ走って行った。アカネたちはポチを追いかけどこかへ行ってしまった。死を覚悟したイナリだったが、目が覚めると砂浜にいて見知らぬ男がイナリを助けてくれたのだ。男は最初に犬の信頼を裏切ったのなら、犬に裏切られても仕方ないと言った。しかしイナリは助けたくても怖くて体が動かなかったと、勇気がなかったと言い涙をこぼした。男はそんなイナリの頭を優しく撫で言った。お前ぐらいの奴なら誰だって怖いと。だが、これだけは覚えておけ。”男なら後悔しない生き方を選べ”自分にとって本当に大切なものはつらくても、悲しくても、頑張って、たとえ命が失うようなことがあっても、2本の両腕で守り通すんだと。

 

男の名はカイザと言い国外から夢を求めてこの島に来た漁師だった。それ以来イナリはカイザになつくようになった。物心がつかないうちに父親を亡くしたこともあったのか、いつも一緒にいてまるで本当の親子のようだったとタズナは言う。そしてそんなカイザが家族の一員になるのもそう時間はかからなかった。そしてカイザはこの島にとっても必要な男だった。大雨の中川の堰がはずれてしまい、激流の中に入り川の堰をロープで引っ掛けに行った。それから国の人々はカイザのことを英雄と呼び、イナリにとってカイザは胸を張って誇れる父親だった。そんな時だった、ガトーがこの島に来てある事件が起こったのだ。カイザがガトーコンポレーションの政策に武力行使でテロ行為を行いこの国の秩序を乱したとガトーは言い、カイザを皆の前で公開処刑したのである。それ以来イナリは変わった、ツナミも町の皆も。

 

「…(修行したって無駄だからだよ…死にたくないなら早く帰った方がいいよ…)」

ナルトは以前にイナリに言われたことを思い出していた。そして最後にカイザがいたであろう破られた写真を見て席を立った。

「何やってんの?ナルト」

サクラは外に出ようとしているナルトに言った。

「修行してくるってばよ…まだ体力余ってるしな」

「…そう?別にいいけど自分の体と九喇嘛に迷惑かけないようにね?」

セツナはそう言ってナルトを見て少し笑った。そしてナルトは振り返り笑顔で言った。

「おう!この世に英雄がいるってことをオレが教えてやるってばよ!」

…やっぱりね。ナルトは努力をして強くなった。努力が実るってことを知ってほしい、カイザさんはただの見せつけのために殺されたのではなく、最後まで自分の意志を貫いて死んだということを知ってほしい。ってとこかな?いや、違うかもしれないけど、やっぱそういうところがナルトだよねー。私にはそんな感情ないけど、ナルトにはなくなってはダメなものなんだよ。…父さんにそういうところそっくりなんじゃないのかな?とセツナは少し思い、出ていくナルトの背中を微笑みながら見ていた。

 





どうでもいいかもしれないけども、早く波の国終わらせて中忍試験とか行きたい。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。