とある武偵の未元物質   作:victory

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第八・五弾  正体不明

垣根が去ってから暫く経った廃墟内には一人の人物が佇んでいた。

 

 

「ん~、中々どうして!ん~素晴らしい!」

 

 

東京武偵高 諜報科教官 服部瞬蔵である。

服部は今回の第二試験において、垣根帝督という受験生の監視を任され、事実監視に当たっていた。

 

「ん~、途中で蘭豹先生からの通信があった際にはヒヤヒヤしちゃいましたが・・・」

 

 

垣根が正体不明の爆発を起こし、異変に気付いた蘭豹からの通信。そして何故かテンションが上がり思わず声が大きくなってしまった。

諜報科としてあるまじき失態だ。

 

 

「ん~、まぁ始めから気付かれていたとは思いますが!ん~、私もまだまだですねぇ~!いや、まだまだだね!!ですねぇ!!ん~ん~」

 

 

しっかし、彼はなんなんでしょうかね~!ん~!

始めから私の存在に気付くとは・・・驚きのあまり思わず前屈みになりそうでしたよ!!ん~

 

そうそう、謎といえば・・・羽賀先生との闘り合いの中で見せた白い翼。

あれも興味深いですねぇ!!ん~、私気になります!

無駄に気配消した甲斐があったってもんですよ!!

 

 

垣根は服部の存在を途中から認識出来なかった・・・

服部の持つ術によって感知されない存在として監視を続けていたのだ。

諜報科のプロ、それが本来の服部瞬蔵だ。

 

 

「体力使うからあまり好きじゃないんですけどねぇ~。ん~、彼も彼で私を警戒してたみたいですし・・・仕方ありませんね!!」

 

 

 

しかし、と服部はヘラヘラした態度から一転真面目に思考し始める。

 

 

正体不明の爆発を起こし会場を破壊した垣根・・・

 

羽賀が放った高威力の電撃を受けても傷一つ付かない垣根・・・

 

長い諜報活動の中でも見たことのない異常な存在の垣根・・・

 

そして、極めつけは白い翼。

あの時異様な空気が周囲を包んだ・・・

思わず震えてしまった程に。

あれはこの世界には有り得ない力・・・の筈。

 

なら・・・彼はもしかして・・・

 

 

「ん~・・・事実は小説より奇なりと言いますしね。有り得ないなんて事は有り得ないって奴ですかね~!ん~」

 

 

そう言う、服部の顔は心底楽しそうだ。

 

 

「アレを見たまま伝えるのは・・・面白くないですし!・・・それに、まだ早いですね・・・」

 

 

服部は独り呟きながら出口に向かって歩き出す。

羽賀及び気を失った生徒達を引きずりながら・・・

 

 

「しかし、彼もえげつないですねぇ・・・」

 

服部は羽賀の両腕を見ながら呟く。

羽賀の両腕は通常では有り得ない方向に捩曲がっており、どう見てもかなりの深手を負っているのが分かる。

 

 

「ん~・・・まぁ、どうでもいいか!」

 

心底どうでも良さそうに言う服部の眼は心なしか冷たかった。

 

 

 

さて、蘭豹先生にはどう報告しますかね・・・ん~

 

白い翼・・・興味深いですが・・・黙っておくのもアリですねぇ~!

 

『彼の実力は大したもんだ!』

『正体不明のステルスを使った!』

『訳が分からないよ!』とでも言っておきましょう! 

あ、今のどこぞの地球外生命体みたいですね!

 

 

服部は一人納得し、フンフン鼻唄を唄いながら歩みつづける。

 

 

「いや~、正体不明のステルスを使う謎の編入生!ん~、またまた前屈みになりそうな位テンション上がってきましたよ!!」

 

そんな事を言いながら出口に差し掛かった辺りで服部はふと違和感を感じた。

 

ん・・・?誰かいるんですかね~?ん~・・・

 

術を使い周囲を索敵してみるが、何も引っ掛からない。

 

ん~・・・何か居たような気がしたんですが・・・気のせいですかね!!

 

 

「ん~!!帰って録画したアニメでも見ますかね!!深夜アニメも見ないといけないし・・・ん~、時間がない!!」

 

服部はそう言うと、廃墟を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

廃墟内のとある一角には、正体不明の存在がいた。

その存在は極めて異質な存在・・・この世界にはいるはずのない存在だ。

 

 

『・・・・・・垣根・・・帝督』

 

垣根の名前を呟くとその存在は笑ったかのようにも見えるが、よく分からない。

 

 

「・・・・・んな・・・ッダが・・・・ない。・・・・しかし・・・・・見つけた・・・」

 

言葉は途切れ途切れ。

そんな正体不明の存在は終始、この試験を観察していた。いや、正確には垣根帝督をだ。

 

何が目的で、何故垣根を知っているのか分からない謎の存在は不思議な事に数瞬するとスッと姿を消した・・・

 

まるで、始めから存在していなかったかのように・・・

 

そして、廃墟内に存在するものはいなくなった。

 

 

新たな武偵 終わり。

 

 

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登場人物紹介(オリキャラ)

 

服部瞬蔵

 

21歳。諜報科の教官。

かの有名な服部半蔵の子孫。服部家に代々伝わる忍術を活かした諜報活動が得意。

 

口癖は『ん~』

 

アニメヲタクで、影響を受けやすく日常会話の中にでもよくアニメのキャラの台詞をよく取り入れる。 

ロボット物からハーレム物まで内容は問わず見る。が、基本的には美少女キャラが登場しないとテンションは上がらない。

ハーレム物も好きといえば好きだが、どちらかといえば百合っぽいものが好み。

 

深夜アニメもリアルタイムで見ており、    睡眠時間は短い。短いが、基本的には常にハイテンション。

理想のタイプ美少女っぽいアニメ声の娘     恋人は二次元と豪語する。

 

一部の生徒には人気があるが、 

その他の生徒達からはウザがられている。    

 

垣根の第二試験の監視及び報告担当者。

 

報告内容は以下の通り。

 

1 認識出来ないステルスを使う。

 視識出来たのは正体不明の爆発のみ。

                                       

2 戦闘力、状況判断力に秀でている。強襲の適性あり。

 

3 Sランク相当。だが、性格及びステルスには危険性あり。要注意する必要がある。

 

 

4 試験において、教官を撃退する。  

 

 

 

 

 

 

 

羽賀雷人  

 

25歳。強襲科教官。

強襲科の教官としては蘭豹には劣るが優秀な存在。

 

ただ、思い込みが激しい一面や頭に血が昇りやすい一面もあり生徒達からはあまり人気はない。 

また、普段は丁寧語だが頭に血が昇ると暴言が飛び出る。

 

ステルスは電撃。

応用が利き、ステルスを使った強襲が得意

 

垣根に敗れ両腕をへし折られる等悲惨な目に遭った。

垣根との戦闘はトラウマとなっており、何も語らない。

 

19歳の妻と2歳の娘がおり、家族仲は良好らしい。

 

サングラスは妻からのプレゼントで常時着用している。            

 

垣根と同じ武偵病院で治療を受ける事になる。




次話から2章です。
『未元物質と武偵殺し』突入します!

と言っても9月からですが・・・

更新遅くなりますが、頑張りますのでよろしくお願いします

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