とある武偵の未元物質   作:victory

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ふとやりたくなりましたので始めます。
更新ペースはまちまちです・・・週に一話は更新出来るようには考えていますが・・・

ちなみに禁書は新訳は読んでないので悪しからずご了承ください



新たな武偵
第一弾  不可解な目覚め


ーー似合わねェな、メルヘン野郎

 

 

 

ーー心配するな。自覚はある。

 

 

ーーオーケー。クソと一緒に埋めてやる。

 

 

ーー俺の【未元物質(ダークマター)】に常識は通用しねぇ!

 

 

ーー三下だな。美学が足りねェからそんな台詞しか出てこねェんだよ、オマエは

 

ーーそもそも俺とお前がどォーして第一位と第二位に分けられてるか知ってるか

 

    その間に、絶対的な壁があるからだ

 

ーームカついたかよ、チンピラ。これが悪党だ。

 

 

ーーyjkp悪wp

 

 

ーーそうか。・・・そういう事か!テメェの役割は・・・!

 

 

 

「・・・ちっ、最悪だな」

 

少し長めの茶髪の髪にホスト風の顔立ちとも形容される端正な顔を持つ少年、【垣根帝督】は開口一番そう呟いた。

 

 

ホント最悪だな・・・

思い返す事すら忌ま忌ましいあの出来事を夢にまで見るとは・・・

 

あの日、俺は【アレイスター】との直接交渉権を得る為に【一方通行(アクセラレータ)】と戦い、そして敗れた。

 

抜かりはなかった筈なのにな・・・

【ピンセット】の回収、未元物質による一方通行の攻略までは上手くいっていた。だが、上手くいったのはそこまでだ。それから先は、一方通行による未元物質の攻略、一方通行から発生した黒い翼・・・それを見て未元物質のなんたるかを理解したものの、最後は押し迫る黒い奔流に飲み込まれた・・・

 

「・・・っつーか、ここどこだ?」

 

忌ま忌ましい記憶に苛立つ気持ちを抑え、垣根帝督はベッドから身を起こし周囲を見渡す。

 

彼がいるのは白を基調としたこじんまりとした簡素な部屋だ。

そのこじんまりとした部屋にあるのは、小さな窓、白いカーテン、椅子と棚・・・そして彼が今使用しているベッドのみ・・・

 

それらの視覚情報からここがどこかの学区の医療施設ないしは病室かなんかだろうと結論付ける。

 

 

「・・・いや、待て」

 

そう結論付けたもののどうも腑に落ちない。

 

 

今更だが、俺は何故無事でいる?

 

 

あの時、俺は一方通行に敗れた。

文字通り一方的に叩きのめされた・・・押し迫る黒い奔流に飲み込まれた際に聞こえたのは俺の身体が潰れる音。死を予期した筈だ。

あの忌ま忌ましい出来事を夢に見る状況すら訪れない筈だ。                     

 

身体を動かしてみるとやや軽い痛みはあるものの、なんの支障もなく動いている。

得に目新しい傷はついていない。

 

待て待て!?可笑しいだろ!?

確かに学園都市には【冥土返し(ヘウ゛ンキャンセラー)】っていうブラックジャックも真っ青な凄腕の医者がいるって話だが・・・そんな奴でも出来る事と出来ねぇ事があるはずだ!科学の世界にも不可能という言葉は必ず存在するもんだ!

 

一命を取り留めた俺を仮に冥土返しが執刀していたとしても『手術痕もなく、潰れた身体を何事もなかったかのように元に戻す』

なんて事出来る訳がねぇ!!

 

ならどうして!?何故!?

 

今の状況を理解しようとするが、理解出来ないものは理解出来ない。情報が全くない。記憶も曖昧な部分が多い。

理解出来たのは、ここがどこかの病室である事と自分が生きているという事実のみ。

 

「ちっ、まぁいい。後で裏の連中に問い詰めりゃ分かるこったな」

 

はっ、俺とした事がこんな事で取り乱すなんて情けねぇ・・・

 

なんて事を考えながら今出来る事を行う為に俺は視覚情報以外の情報を得る為に未元物質を発動させる。

いつものように発動する自身の能力に僅かばかりだが、安堵する。

 

能力が発動し、周囲の状況を探りに取り掛かる。

 

だが、どうもおかしい・・・

能力は発動しているが、演算の乱れに加え妙なノイズが生じている。また、形容しがたい違和感を感じる。

学園都市らしからぬ雰囲気を感知している。まるで、学園都市とは違う地にいる、そんな気に陥ってしまうような奇妙な感覚だ。

 

 

「はっ、情けねぇ」

 

病み上がりの影響かなにかだろうと思い、学園都市に存在する能力者の中で7人しかいない超能力者の第二位として君臨し続けてきた、絶対的な自信を持っていた俺の思いも寄らぬ不甲斐なさに思わずそんな言葉が零れてしまう。

 

  

しかし、いつ他人が来るか分からないこの場で目立つ事をするのはどうかと考え直し、能力を解除し、ふと気になったことを思い出した。

 

「そういや・・・あれからどの位たった?」

 

 

あの日・・・アレイスターとの直接交渉権を得る為の一件、つまりは一方通行に敗れたあの日からどの位たったのか・・・

 

それを確認する為、俺は先程周囲を確認する際に壁に電子式カレンダーがあるのは確認していたので、改めてそちらを見てみる。

 

目を寄越した電子式カレンダーにはこう表示されていた。

 

『2009年4月8日』と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・どういう事だ、オイ」

 

そんな言葉しか出て来ない。

垣根帝督に吐き気と動悸が襲いかかる。

 

「・・・・・・どういう事だ、オイ!!」

 

二度も同じ言葉が出てしまうが、それほど垣根帝督は動揺していた。先程不可解な自身のおかれた状況に動揺した際とは比べものにならない程。

 

 

どういう事だ、オイ・・・

洒落になんねぇし、笑えねぇぞ!!

俺が一方通行と殺りあったのは10月だぞ!?

それが・・・今が4月!?馬鹿いうな!?

ありえねぇだろ!!

 

垣根帝督が一方通行に敗北を喫したのは10月9日。

そして電子式カレンダーに表示されている現在の日付は4月8日。

4月と10月・・・半年近くの期間の差がある。だが、彼が動揺しているのはそこではない。半年近く眠っていた訳ではない。なら、何に彼は動揺したのか?

 

問題なのは垣根帝督が一方通行に敗れた日が『2009年10月9日』であり、電子式カレンダーに表示されている現在の日付が『2009年4月8日』である事だ。

この事が意味する事、それは垣根には受け入れがたい事だ。いや、垣根でなくともだ。

 

「俺の記憶違いか・・・!?いやいや、んな訳ねぇ!?

あの一件は学園都市の独立記念日に行ったのは間違いねぇ!!」

 

だが、手術やら入退院やらでスケジュール管理が徹底されている医療施設が間違った表示のカレンダーを置くか!?置かねぇだろ!?

 

落ちつけ!落ちいて考えろ!冷静さを失うな!!

クール、クールな俺に戻れ!

                                                                                               

 

そう自身に言い聞かせるが、こればかりは落ち着いてはいられない。

 

「どういう事だ、オイ!!」

 

理解出来ない状況が重なり苛立ちから声をあげ、怒鳴り散らしながら近くにあったごみ箱を蹴り飛ばす。

 

ゴン!!

 

とごみ箱は壁に当たると少量だが、中に入っていた紙ぐずやら何やらを零しながら床を転がる。

 

「はっ」

 

転がるごみ箱を見て垣根は自嘲気味に笑う。

 

訳わかんねぇからって物にあたるなんてただのガキじゃねーか。違うだろ・・・垣根帝督って人間はそんな奴じゃねーだろ・・・ガキなんて生易しいもんじゃ・・・

 

等と理解出来ない自分の状況に苛立ちは感じるものの幾分か冷静さを取り戻すと、ふと病室の外からこちらに近づく足音が聞こえてくる事に気付いた。

 

っべーな、大方、さっきのごみ箱を蹴り飛ばした時の音か怒鳴り声に誰かが気付いたって所か?

 

そうこうするうちに扉の前で足音は止まり数回のノックと共にこちらの返事を聞くまでもなく扉は開かれた。

 

 

 

「病室で騒ぐとか暴れるとかあんた、馬鹿なの?常識がないの?どっちなの?」

 

見た目20代前半~30代前のやや危うい雰囲気を漂わせた女性は開口一番そう言い放つのであった。

 

 

この女性との出会いが後に垣根の人生の分岐点になることになるのだが、この時の垣根にはまだ、知るよしもなかった。

 

続く




垣根帝督が好きなので、やっちゃいました・・・

禁書目録はアレイスターが60年前云々といった表記とアリアとの兼ね合いで2009年でも問題ないと判断しました。問題ない・・・はず?

感想や評価、指摘等お待ちしております

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