外の世界は現在第二次世界大戦真っ只中。それでも幻想郷は平和である。
平和である故に白夜叉はザッハークとチェス(ザッハークと紫ぐらいしか強いヤツがいない)を指して2勝2敗の結果を出したり、ディストピア、コッペリアとポーカーで全敗(ディストピアが全勝)したりして遊んでいた。
そんなに暇なら働けよと言う人も居るかもしれないが、総合神様連盟(略して"SGL"だったり神様連盟だったり)が誕生してから白夜叉の仕事は倍増している。主に白夜叉は神様連盟神道部のご意見番かつ下界科主任を担当しているため書類がわんさか届く。それを全てこなした上で時間が余ったから遊んでいるのだ。白雪姫曰く、
「白夜叉様は意外と働き者だ。私が同じことをしろと言われたら肝を貫いて死にたくなるくらい嫌だ」
さて、幻想郷には様々な妖怪がいる。東洋系のみならず西洋系まで。
西洋系の中には白夜叉のことを知らずに博麗神社に喧嘩を仕掛ける者もいたが全て返討ちにあう事もしばしば。
しかし、最近それを統率する者が幻想入りしてきた。数多いる妖怪の種でも群を抜くほどの力を持ち、夜とカリスマの具現とも呼べる妖怪、吸血鬼である。今は一人だけである。名を、レティシアと言った。しかもただ幻想入りしただけではなくて実力で幻想郷を取り巻く妖怪の群を突破してきたと言うのだから怖い。
レティシアは一度白夜叉会った後に森に館を立てて暮らしている。
レティシアは名をレティシア=ドラクレアと自ら名付け幻想郷にいい影響を与えたと言える。が、幻想入りする者全てがいい影響を与えるもは限らない。
今現在、幻想郷では事件が起きていた。それは、『幼女を狙った神隠し』である。もう一度言う。『幼女を狙った神隠し』である。
しかもそれが人里のみならず妖怪の群の中でも発生していると言うのだから不思議である。
これは博麗神社も深刻な案件として受け止めており、白夜叉の『大抵黒幕といえばランキング』のぶっちぎりトップの紫を問答無用で締め上げた。が、冤罪だった。
(・・・幼女を狙った神隠し、誘拐事件か・・・そういえば私もときおり何者かの視線を感じたりするの・・・)
そう思い白夜叉は博麗神社の至る所に罠を仕掛ける事にした。それも魔術や霊術的なものではなく物理的なものだ。
かすみ網、トラバサミ、巨大ネズミ捕り、落とし穴など。その中でも最もふざけているとしか思えないのが、箱罠。
箱罠とは、動物が入り込むと、作動装置の働きにより入り口が閉じて動物が閉じ込められ生け捕りにする箱である。普通ならば作動装置に仕掛けるエサは肉や魚なのだが今回は幼女の『
この箱罠はふざけておいたもので白夜叉本人もこれで捕まるとは思っていない。
思っていなかったのだが。
翌朝罠を見たときに衝撃的な光景を白夜叉は見てしまった。
「なん・・・だと?」
箱罠に何かがかかっていた。ものの見事に。動物ではなく妖怪が。
「・・・なんだおんしは?」
箱罠にかかった妖怪はよく見るとイタチの妖怪であることがわかった。しかもイケメン。でも片手には例の本が。
「人は私を変態と呼ぶ・・・」
このセリフで白夜叉はコイツが犯人だと断定した。が、一応話は聞く事にした。
「・・・貴様、妖怪のテンだの?」
テンとは。イタチ科の動物であり、妖怪のテンは『狐七化け、狸八化け、テン九化け』と言われ、化かす事に関しては他の追随を許さないほどの実力をもつ。
「ご名答!私テン!怪盗紳士である!」
もちろん、変態と言う名の紳士である。まぁ、唯の変態である。
白夜叉は棒で彼の股間を突いて拷問を始めた。
「ゴブァ!よくも私の黄金の大砲を!」
「何故幼女を狙ったのだ?と言うか殺してはいないだろうの?」
「まさか。幼女を手にかかることはない。幼女を集め俺は———幼女大帝国を作る・・・」
キリッとした顔で言うがカッコよくともなんともない。「幼女は西の洞窟に閉じ込めてある」
ベラベラと時間の詳細を言い始めたが何故言い始めたのかわからない。
「なるほどの・・・それが計画というわけか・・・幼女のハーレムを築こうとした唯の変態だの」
テンはその言葉を聞いてムッとした。
「私の名誉のために一つ訂正させてもらう」
テンは目をカッと見開き、
「私は幼女のハーレムを作りたかったわけでわない!幼女のハーレムも作ろうとしたのだ!」
「ほう、そうなのか。よし死ね」
「愛の妖怪には歳の差など関係無い!俺は生まれたての赤子も盲愛するし一次成長期を迎えた幼女の肢体の僅かな起伏も溺愛するし第二次成長期を迎えて女性としての自覚を持ち始めた初々しい乙女心と若々しい身体も好ましいし成人して熟れた果実のように瑞々しく育った女の肉も好きだし結婚して年を重ねた熟女との禁断の不倫愛にも大いに情熱を燃やす事ができる徹頭徹尾揺るが無い完璧なっ!愛の妖怪・・・いや、神なのだっ!」
「そうか。早く死ね。苦しんで死ねとは言わ無い。早く死ね」
「我が人生に恥なし!愛の神の博愛主義万歳っ!博愛主義万歳っ!」
「だが・・・一番好きなのは幼女であろう?」
「否定はしないッ!!!!」
そう叫んでテンは箱罠を破壊し外に出てきた。
「故に!私はまだ散る訳にはいかない!」
そう言って白夜叉に光線を発射した。それを手で受け止めた白夜叉だがこの場合は下策だった。
なんと、体が飴玉に変化した。
「これこそ私の能力!"化かす程度の能力"!これによって体は飴玉に変化した!よし、美味しく頂こってゴハァ!」
飴玉が唐突にテンの股間に飛び込んできた。
『甘いの。たかだか姿と肉体構成を飴玉に変えただけであろう?ならば問題ない・・・ただ単に世界で一番強い飴玉になっただけのこと・・・」
白夜叉は飴玉の身体から妖力の砲撃を浴びせてテンを吹き飛ばした。
こうして、幼女たちの未来は守られた・・・