東方白夜王   作:ザイソン

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決戦

和耶戦争。日本神群とキリスト教関連の神群(神はヤハウェだけだが神霊という種族は多数いる。以後聖書神群)のあいだに起こった戦争の事である。

 

聖書神群は古来より迫害、弾圧された歴史が多く存在する。故に殺られる前に殺るという事で戦争を仕掛けたのだろう。

 

それを白夜叉は分かっていた。だからその行為を否定しない。だが、自分の大切な仲間達を守るため、白夜叉はヤハウェと刃を交えるのだ。

 

出会い頭に白夜叉と白髭の神、ヤハウェはお互いの真意を理解し言葉も交わさず戦闘に入った。

 

ヤハウェは神雷を携えた剣を振り、白夜叉は灼熱の刀で迎え撃つ。

 

周囲に激しい音が響き二人が高速で動く衝撃で壁や柱に亀裂が生じる。

 

ヤハウェは雷を直接白夜叉に浴びせるが甲冑の効果で無効化されてしまう。

 

其処でヤハウェは強硬策に出た。

 

「時よ、停滞せよ」

 

そういうと世界から色が消える。落ちる木の葉はその場で静止し、白夜叉は動きが止まる。

それは全能たる力の一部を行使し時間を止めたのだ。

 

その間にヤハウェはナイフをある所に投げて配置する。時が止まって空間で投げた物は停止する。例の吸血鬼もしてたよね。ほら石仮面の。

 

時間が再び動き出し白夜叉に向かってナイフが飛ぶ。この程度白夜叉なら反応出来るのだが身体に当たらない方向に飛ぶので無視しようとしたら、そのナイフが甲冑の帯やら紐やら能力がかかってないところを切り裂き、甲冑が白夜叉から落ちた。紐が切れた以上着れないので仕方なくギフトカードにしまう。

 

ヤハウェは神雷を天から呼んで白夜叉に浴びせる。甲冑の加護が無くなったためにそのダメージをモロに受ける。

威力は凄まじく白夜叉の肌を焦がし、右脚一本失う程であった。

 

「あっ・・・ぐっ・・・」

 

右脚を失った白夜叉は激痛に顔を歪める。泣き叫ばなかっただけ御の字である。

 

白夜叉は激痛を舌を噛む事で紛らす。白夜叉は確信した。本当に全知全能の神であると。自分が初めて劣勢に立たされた。それが証拠だ。

 

「中々強いな・・・ならば跡形もなく消し飛ぶが良い!」

 

ヤハウェは両手を突き出し、

 

「"バイブル"起動 唯一を流転の中心とせよ擬似創世図!」

 

(擬似創世図・・・!不味い!)

 

ヤハウェの両手に光の竜巻が集まり、白夜叉に向かって放射した。

 

辺りは光に包まれ、吹き飛んだ。

 

ヤハウェは勝利を確信した。この擬似創世図"バイブル"は神を消すという能力がある。更には相手の擬似創世図に必ず勝てるという能力もある、宇宙観否定の擬似創世図である。

 

光が収まり土煙が晴れると、そこには白夜叉が浮いていた。

 

「何ッ⁉︎」

 

無傷ではなく口から血を大量に流しら手は力なく垂れている。しかし生きている。

 

「ハハッ・・・私は神である前に星霊でもある。私の神力と神としての霊格は消し飛んだが星霊としての部分は残っておる・・・」

 

更にこの時代、白夜叉の霊格を構築する"天動説"の宇宙観はキリスト教に支持されている。つまりはキリスト教の宇宙観でもある。キリスト教の宇宙観を示す"バイブル"で消し飛ばないのだ。

 

神としての部分は消し飛んだが時間が経てば信仰によって回復する。一時的に白雪姫の神格も消えているかもしれないが大丈夫だろう。

 

「だが既にお主は満身創痍。私の勝ちだ」

 

ヤハウェはそう言った。

白夜叉は無言でギフトカードを掲げた。

 

空間が割れたかと思うと水平に回る太陽と雪原が広がる世界になった。白夜叉がゲーム盤を起動したのだ。

 

「ここは⁉︎異空間か⁉︎」

 

ヤハウェは辺りを見回す。

 

「現世では周囲に迷惑をかけるのでな・・・ここならば周囲の心配もする必要もない」

 

白夜叉は手に力を込め、

 

「おんしが初めてだ!私が力を全て開放するのは!!!!」

 

白夜叉は抑えていた力を全て開放した。

少し開放しただけで天災を引き起こしかけたその力。ソレを全て開放する。

 

ヤハウェは吹き飛び地面にはクレーターができ、地盤が捲れ、太陽は滅茶苦茶に回り始め隕石はおち、巨星堕つな星図を作り上げる。

 

既存の天体法則が狂うほどの力を持つのだ。

 

「ウオオオオォォォォォ!!!!」

 

「ッッッ!!!!」

 

ヤハウェは白夜叉に殴られた。殴られたらしい。白夜叉のスピードを認識できなかった。気が付けば自分は宙に浮いていた。なぜ?満身創痍の輩が何故超スピードで移動できるのか?

 

それは、人類の試練。人類最終試練"天動説"。白夜の星霊 白夜王だからとしか言いようがない。

 

白夜叉は追撃としてプロミネンスを浴びせ、太陽風で吹き飛ばす。それでも全知全能の神。タフだった。

 

白夜叉に滅多打ちにされようと、狂った天体法則を操って隕石をぶつけられてもなお、ヤハウェは負けなかった。自分を信じてくれる人がいる、部下がいる。息子もいる。多くの物を背負った神は負けなかった。

 

「頼むからこれで終わってくれ・・・!」

 

ヤハウェの背負う物の重さに気づいた白夜叉は万感の思い込めて札のついた矢を弓にセットして引いた。

 

「頼むから!!!!これで・・・皆のため、おんしのため、おんしの背負う物のために・・・終わってくれ!」

 

白夜叉は能力でホーミング機能をつけてヤハウェを放った。

 

札のついた矢がヤハウェの肩に刺さる。その瞬間、ヤハウェは違和感を感じた。

 

(まさか・・・霊格が下がっている⁉︎)

 

一体なんなのか、理解できなかった。

 

「"全能の逆説"・・・この逆説により・・・おんしを縛った・・・もういいだろう?」

 

全能の逆説。問題児シリーズにおいて神々を縛るパラドックスである。これにより一元論・一神教を基軸とした宇宙観を構築することが許されないのだ。

 

「私の勝ちだ・・・もういいだろう?戦いは終わったのだ」

 

和耶戦争 終戦。

 




擬似創世図"バイブル"は完全にオリジナルです。

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