東方白夜王   作:ザイソン

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夜襲作戦

第三連隊へのヘルプは白夜叉が気合いと根性でなんとか収めた。

 

他の連隊もなんとか追い返す事に成功した。

 

敵味方共に多大な被害を出した一日であった。

 

本陣では思兼神が新たな作戦を出していた。

 

「相手の長が間接的に介入しただけでこの被害。故に短期決戦をしたい。そこでだ。少数で敵陣に乗り込んで敵を討つ・・・夜襲をしようと思う」

 

そこにいた神々はざわめき始めた。

 

夜襲は問題無い。ただ、誰が行くのかが問題であった。

 

「夜襲作戦を決行するにあたり指揮権を与える者を決める。よろしく頼むぞ」

 

思兼神がスッと指を指す。

 

指を指した方向に全員が向く。

 

そして白夜叉は自分の背後をみる。おかしい。誰もいない。

 

「白夜王、よろしく頼むぞ」

 

「私か?」

 

「恐らく・・・敵の長を倒せるのは規格外中の規格外で規格外な白夜王だけだ」

 

確かにそうかもしれない。第三連隊を壊滅させるだけの大洪水を引き起こせる全知全能の神。渡り合えるのは・・・白夜叉だけだろう。

 

「指揮権を与えるから連れて行く者を選んでくれ」

 

白夜叉は少し考え、選んだ。

 

先ず神奈子と諏訪子。この二人は白夜叉とは結構長い付き合いなので連携も取りやすいだろう。

 

神奈子を連れて行くので必然的に建御雷神はお留守番である。敵地で喧嘩とかフザケンナ。

 

そして須佐之男と月夜見。三貴神の二人なら結構な戦力だ。

 

そして一部の兵。

 

「夜までまだまだ時間がある。各自警戒を怠らないように」

 

思兼神の作戦は簡単て大まかだが意外としっかりしている。

複雑で困難な作戦はとらない。失敗でもしたら大変だ。

 

そして現場と現実は違う。現実を思兼神が見て作戦を出して、現場が実行し臨機応変に対応する。

 

これが中々うまくいくのだ。

 

 

 

 

キリスト教本陣 丑三つ時

 

相手は西洋風で京都の御所の様な形でをした城を建築していた。

 

周囲はよく清掃されており、門番が居らず、見張りもいない。さらに門が明るく照らされ、()()()()()()()()()()()()()

 

白夜叉達は少し離れた林の中で様子を見ていた。

 

「門が開けっぱなしにしてあるの・・・なるほど、"空城計(くうじょうのけい)"か」

 

「くーじょーのけい?」

 

諏訪子が首を傾げる。

 

「諏訪子よ。これから攻め入る相手が門を開けっぱなしにしていたらどう思うかの?」

 

「だらしないねぇ、と思う」

 

沈黙。静寂。狼の遠吠え。

 

「・・・罠かもと思う」

 

神奈子が口を開いた。

 

「門が開けっぱなしなのは入られたほうが都合が良いから、人がいないのは中で待ち構えているから」

 

空城計。心理戦の一種である。

諸葛亮が野戦で魏に敗れた際、諸葛亮の軍は魏軍と比べて圧倒的に兵力が少なかった。諸葛亮は一計を案じ、城に引きこもって城内を掃き清め、城門を開け放ち、兵士たちを隠して自らは一人楼台に上って琴を奏でて魏軍を招き入れるかのような仕草をした。魏の司馬懿は諸葛亮の奇策を恐れてあえて兵士に城内に踏み込ませなかったという。

 

しかしこれには弱点がある。

 

敵方に見破られた場合は全滅の危険性があるということだ。

 

「このまま堂々と正面から入っても大丈夫って訳か・・・」

 

月夜見はウンウンと頷く。

 

白夜叉は他の兵に指示し、真正面から堂々と中に入った。

 

その刹那、雷の様な爆音が響き、白夜叉達をレーザー光線が襲った。

 

白夜叉は瞬時にレーザー光線を全て叩き落とした。

 

それと同時に敵兵がわらわらと現れる。

 

「しまった・・・!これは空城計を利用した本物の罠かッ!」

 

「おおぉい!白夜王!」

 

須佐之男は慌てながら敵兵をぶっ飛ばす。

 

どうやら相手にもやり手の軍師がいるらしい。

 

(知恵者で相手の神群に当てはまる者は・・・大天使ラジエルか!)

 

大天使ラジエル。神の玉座を取り囲むカーテンの中に立ち、全てを見聞きする。ゆえに他の天使達の知らない地上と天界の全ての秘密を知り尽くしており、その宇宙の神秘についての知識を一冊にまとめた書物、"ラジエルの書"を所持しているという。

つまりはとんでもなく頭がキレて知恵者であるということ。

 

しかしこちらの準備も抜かりは無い。

 

本当はもっと奥地に進んでから使うつもりだったが。

 

白夜叉は懐に忍ばせたスマホの境界門を起動させるすると、境界門から第一連隊の兵が全て現れる。

 

「進軍開始!諏訪子、神奈子、須佐之男、月夜見は私について来い!」

 

白夜叉達は敵兵を粉砕しながら先へ進む。敵地はいきなりの大軍で大混乱である。

 

先へ進んでいると、突如現れた高い神力と霊格を持つ天使に阻まれた。

 

「「「「ここから先は通しはせぬ!」」」」

 

風格も他の天使とは違う。どうやら翻訳の能力を持つ道具が何か持っているらしく日本語で話している。

 

「四人の大天使?そうか・・・天使長ミカエル、破壊天使ウリエル、聖告天使ガブリエル、聖癒天使ラファエルの四大天使か!」

 

四大天使。ミカエル、ウリエル、ガブリエル、ラファエルの四人の事であり、"神の御前に立つ四人の天使"である。

 

つまりはもうすぐヤハウェにたどり着くというわけである。

 

「白夜叉!先に行け!」

 

神奈子がそう叫んだ。

 

「させると思うか?」

 

短髪の天使、ウリエルが白夜叉を抑えにかかるが、

 

「ハイハイちょっと待った」

 

諏訪子が左手の鉄の輪でウリエルの剣を受け止めて右手の鉄の輪でウリエルを弾いた。

 

「ここは私たちに任せて!」

 

ドンと胸を張る諏訪子。小さいが頼もしく見える。

 

「すまんの!頼んだ!」

 

白夜叉はダッシュで先に進んだ。

 

「待て!」

 

「おっと、私と遊ぼうか」

 

ウェーブのかかった長髪の天使、ミカエルが追おうとするがそれを月夜見が、

 

「少し俺と殺りあおうぜ」

 

ストレートの長髪を持つ天使、ラファエルを須佐之男が、

 

「久々の強敵の予感でワクワクするね」

 

外はねのショートヘアーの天使、ガブリエルを神奈子が、

 

それぞれの戦いが今、始まった。




ミカエル、ラファエル、ウリエル、ガブリエルの容姿は"聖☆おにいさん"と同じと思ってください。

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