なよ竹のかぐや姫
奈良時代 平城京
白夜叉と白雪姫は月夜見のお願いを果たすべく、先に平城京に人間に化けて住み始めた。蓬莱山輝夜、なよ竹のかぐや姫に会うには貴族と人が多い平城京の方が探しやすいからだ。
平城京に住むにはとりあえずそれなりの地位が必要だった。
この時代付近でようやく金銭が発行し始めた。その金銭の使い方がわからない人がいたため、政府は手を打ち、
銭を貯めた人に位をあたえたり、役人の給料に物でなく銭をあたえたりした。更に土地の売買には必ず銭を使うようにさせた。
白夜叉と白雪姫は、所有者の居ない土地を星霊パワーで開拓して売りさばいた。
すると銭が溜まる溜まる。政府の政策に則って地位が手に入るというわけだ。
とはいえ、何かしないと流石に怪しまれるため万屋を始めた。
万屋は現代でいうコンビニとか雑貨屋。あと、依頼された事を請け負う事もしている。
お店の名前は、『
「今月の売り上げは、このようになっています」
「雑貨は少々赤字だが、依頼の方の売り上げを含めると、黒字だの」
それなりに儲かっていた。雑貨は家にあると便利なDAIS○とかに売ってあるような安物が多いので売り上げはあまり良く無い。
全て能力で作っている。何故に赤字かというと、売り上げで米を買ってその米を食べた分で回復する妖力量よりも能力使用の時に使用した妖力量が多いからである。
「あ、新しい依頼が届いたのですが、とにかく珍しい物が欲しいそうです。二週間後に取りに来るそうです」
「ふむ、珍しい物・・・」
白夜叉は一考して、水飲み鳥を作って説明書を添え、はこに包んだ。
「二週間後にコレを渡せば良い。とゆうか依頼者誰だ?」
「ええと、常連の
さかきの造。竹取物語におけるかぐや姫を見つけた翁である。便利だからとちょくちょく雑貨を買いに来る常連さんである。白夜叉は人の良いお爺さんと思っている。
最近、急に裕福になったそうだ。俗に言う成金だが性格は変わらず良いお爺さんだ。
(そうか月夜見の連絡からもう7年。かぐや姫を見つけて何かプレゼントをしようという魂胆か。たしか翁も二ヶ月ほど前に女子を見つけたとか言ってたの)
竹取物語が確かなら三ヶ月で成長する筈である。
「あと、」
「ん?他にもあるのか?」
「貴族から白夜叉様に結婚の申し込みが・・・」
「・・・・・」
白夜叉(大人バージョン)は、美人である。故に、身分なんか関係なく結婚申し込む貴族がいる。
(はぁ、貴族共は白夜叉様を一体なんだと思っておるのだ・・・)
(なんでこうなったかのー)
二人は呆れかえっていた。
そしておよそ二週間後。
平城京はかぐや姫の噂で持ちきりになった。
白夜叉とかぐや姫。二人合わせて『都の二大美女』とか呼ばれてるのは本人にはナイショだ。
「・・・では、翁の所に行ってくる。恐らく住み込み警護になる。故に、白雪よ。店を頼んだぞ」
「分かりました。行ってらっしゃいませ」
白夜叉は注文の水飲み鳥を包んだ箱を持って翁の屋敷に向かって出発した。
道中、かぐや姫に求婚に行く五人の貴族の牛車にばったり出くわした。
追い越したりすると短期な貴族は起こるため後ろから歩いていく。
屋敷に着くと扉が、スーッと開いて翁が出てきた。
「お待ちしておりました。どうぞ中へ」
翁は五人の貴族を中にいれた後、白夜叉に気づいた。
「おぉ、これはこれは・・・女将殿。これから注文の品を取りに伺おうと思っていたところです」
「最近、平城京でかぐや姫の噂が持ちきりでの。ちょっと会ってみたいと思っていた」
「五人の貴族様達と同伴ですぞ?」
「かまわん。私は他の貴族にも顔がきく。いざとなればなんとかする」
翁は白夜叉を中にいれ、五人の貴族とともにかぐや姫のいる部屋に招いた。
翁曰く、注文したのはかぐや姫の贈り物だから直接渡して欲しいとのこと。
全員並んで座り、対面には顔を隠してはいるがかぐや姫が座っている。翁は部屋の隅に座っている。
貴族達は我先にと自分の良いところをアピールし始めた。白夜叉は求婚しに来たのではないので静かに聞いているが、正直うるさいと思った。そこそこの歳した男達が五人もわいのわいのしてたらそりゃあ耳障りだろう。
そうこうしていたら、こんなにうるさい中でも良く通るかぐや姫の声が聞こえてきた。
「皆さん、有難うございます。とても楽しいお話でした」
(絶対嘘だの。楽しいわけあるか)
これに関してはナレーションも同じ意見である。
かぐや姫の声を聞いて貴族達もなんかデレッとした顔になった。単純な男共である。
「もう少しあなた方のお話を聞いていたい気分ではあるのですが、残念ながらあまり時間もございません。なのでこうしましょう」
貴族達は身をの乗り出して言葉に聞き入る。ここまでくると少し呆れてくる。かぐや姫は続きを話した。
「これから私はあなた方一人一人に一つずつ問題を出します。見事達成出来た方と結婚いたしましょう」
貴族達は歓声を上げた。何回もここに通い続け、やっと結婚の話が出てきたからだろうか。それにしたって恥じらいは持った方がいいと思う。うん、良い年したおっさんが何してるんだ。
白夜叉は呆れて様子を見ていたが、かぐや姫が白夜叉に向けて話しかけた。
「時に、そこの貴女」
「私か?」
「はい。あなたは求婚しに来た訳ではない。なんとも不思議な感じのお方。名前はなんですか?」
「万屋『千眼堂』店主の真白だ」
真白は白夜叉の偽名である。
「今日は翁からの注文の品を届けに来た。ついでにかぐや姫と二人でお話できたら良いなと」
白夜叉は箱を前に出した。
ここで護衛の話をしないのは貴族と翁が居るからと面白いからである。
「ふ、ふふふ、あははははは! 私とお話する為に来たとは。いいでしょう。それでも願いの一つであることは変わりありません。ならばあなたにも問題を出しましょう。どれもこれも実現するのは至難の技。あなたたちに解けますか?」
かぐや姫は竹取物語どうりに五人の貴族に五つの難題をふっかけた。
「真白様にはこの五つの品のどれか一つ持ってきてください」
かぐや姫の五つの難題。仏の御石の鉢、龍の首の珠、火鼠の裘、燕の生んだ子安貝、蓬莱の玉の枝の五つである。
「さあ、期限は一週間後です!良い結果をお待ちしておりますよ」
かぐや姫がそう言って今日はお開きになった。
「さて、五つとも集めたい気分だがの・・・可能性があるのは三つ。仏の御石の鉢と火鼠の裘、龍の首の珠か・・・」
心当たりがあるのか白夜叉は境界門を開いて天竺に向かった。
ちなみに白雪姫の偽名はそのまま白雪です。