神道側、仏教側ともに3勝3敗。互角の戦いをしていた。
そして、この戦争はこの二人に託された。
最終戦 白夜叉 対 帝釈天
帝釈天は。青い髪を後ろで纏め手に金剛杵を持つイケメンだが、
「天照大神よ。今度俺と甘茶でも飲みに行きませんか?」
ナンパしていた。
「やめい」
白夜叉は帝釈天をつかんでぶん投げる。
「む、貴女も中々に美しい!今度俺と甘茶でも「嫁に殺されても知らんぞ」・・・」
これは戦闘だという事を忘れてしまう。
気を取り直してTake2。
「俺は護法十二天の長、帝釈天」
「私は白夜の星霊にして戦闘、学業と家内安全の神徳をもつ神、白夜叉・・・あ、そっちの夜叉と混同するの。名前は白夜王の方で覚えてくれ」
白夜叉はギフトカードから極夜双頭剣を出し、神力弾と妖力弾を浮かべる。
帝釈天は金剛杵を構える。
そして、
「雷を落とせ!
帝釈天が先に動き青い稲妻を金剛杵から放出する。
雷の速度はおよそ秒速200km。凄まじいスピードだが、白夜叉にとって反応できないスピードではない。白夜叉はそれを難なく避ける。
帝釈天が次に繰り出したのは蹴り。高さ的にはミドルキック辺りだが、ヒットすると同時にその反動を利用しつつ軸足を逆方向に回転させる事で踵落としを横薙ぎにした様な蹴りを連続で入れる。普通ならば蹴りと蹴りの間にタイムラグが発生するが、流石は最強の軍神(笑)である。タイムラグは殆ど無い。
「神格解放・・・軍神槍
金剛杵の青い稲妻は炎を帯びて紅い稲妻となる。これを双頭剣で受け止めると爆発する。当たり前のように白夜叉は無傷である。
(爆煙と砂煙りで視界を一時的に封じるのか)
一瞬、視界が封じた事によって白夜叉に隙ができる。そこに、
「オラァ!」
帝釈天は神鳴りを纏った蹴りを繰り出す。
帝釈天の能力の一つは『神鳴りを操る程度の能力』である。神鳴り、すなわち雷の上位変換である。神鳴りはどの地域でも力と高位の象徴とされる場合が多い。
その神鳴りを纏うという事は身体能力が上昇し同時に神鳴りの属性ダメージが入る。
さらにさらに、帝釈天には『戦いを司る程度の能力』がある。戦闘に関しては最強の軍神の名にふさわしい。
そんな帝釈天の大地を穿つ一撃を、
「っとと」
白夜叉は苦もなく受け止め、双頭剣で一閃。しかしそこは流石軍神。受け止められた事に驚愕しながらも紙一枚で避ける。
「その紅い稲妻は陽動に使うにはちと贅沢すぎはせんか?」
「そもそも俺の蹴りを難なく受け止めた奴の言う言葉じゃねぇな!」
帝釈天は負けじと金剛杵から青い稲妻を連続して放出し、白夜叉を後ろに追いやる。なにが目的なのだろうか?
「軍神槍 金剛杵!」
紅い稲妻を前に放出したかと思うと青い稲妻を数本放出。
それを、紙鳴りの速度で動く帝釈天はタイムラグも殆どなく同じように同じような攻撃を360度全ての方向から打ち出した。
(成る程。回避は・・・普通なら不可能だの・・・)
しかし白夜叉は違った。
双頭剣を回転させながら振り回しその衝撃波と風圧で青い稲妻を打ち消し紅い稲妻は直接双頭剣で弾く。
デタラメな方法だが意外と効果的だった。
傍目から見ても帝釈天の焦りは明確だった。短期決戦をするつもりで金剛杵の最大出力で攻撃したのに悉く避けられてしまう。いや、正確には少しは当たっているのだが大して効いていない現実があった。
青い稲妻を衝撃波で打ち消す腕力。インドラと呼ばれてた頃の太陽神との闘いから遠距離での戦闘は不利である事。つまり、圧倒的不利。
そこで、
帝釈天はかつて神軍を一撃で滅ぼした奥義を使う事にした。
「軍神炎・・・インドラの炎!」
インドラの炎。かつてアスラ神群、ラーヴァナの大軍をたった一撃で滅ぼした最強の炎。とゆうより莫大なエネルギーを持つ神鳴りは白夜叉を襲う。
「コロナ砲」
白夜叉は諏訪大戦の時よりも太いレーザーを打ちこれを押し返す。
(・・・これは・・・押し返しすぎると・・・帝釈天ごとここが消し飛ぶの)
白夜叉はコロナ砲を打ち止めにし、インドラの炎を神力妖力で包みその包みを下から上にけりあげた。無論、こんなことができるのは白夜叉だけである。
上空で爆発するインドラの炎の光量に帝釈天は目がくらむ。その隙に、白夜叉は太陽の棍を組み合わせて檻を作りそれで帝釈天の周囲を囲った上で脳天に双頭剣を突きつけた。
「・・・最強の軍神も形無しだのう」
「・・・白夜王がデタラメなだけだクソッタレ」
勝者、白夜叉。戦勝 神道。結果 白夜叉はデタラメ
「さて、日本においての仏教の処遇ですが・・・どうします?白夜王に丸投げします」
「オイオイ。天照。おんしは仮にも高天原の主神の名を預かっておる身だぞ?」
「確かに預かってますけど、その地位は父上及び神世七代、別天津神、造化三神から与えられたものであってゴニョゴニョ・・・」
どうやら自分に自信がないようだ。実際才能に恵まれて生まれ、才能溢れる才色兼備である。
だが、自信がない。
「もっと自信を持たんか!・・・まぁそれは置いといて、別に仏教は布教しても良いと思うぞ」
「それは何故ですか?」
「おんしが神格を与えた神武天皇だが・・・その神格を持つ一族、つまり日本の頂点が仏教を保護し始めた。ゆえに、我々が帝釈天らの布教を止めても勝手に人間達が布教するから無意味。なら別に問題なかろう。日本には神武天皇の時代から天皇崇拝が根強いゆえに神道の信仰に関しても問題ない(どうせ神仏習合で同一視されたりするしの)」
天照は納得がいったらしく頷く。
白夜叉は紙を生み出し筆で今言った事を纏めたモノを書き上げて帝釈天に渡した。
「・・・オイオイ、これは・・・俺たち負けたのにありえない処遇だな」
「理由は書いてあるとおりだ。この国で自由に布教する事を許可する。が、信仰を他の土着神から勝手に奪うのは言語道断だ」
その後、後の処理を天照に押し付けて白夜叉は白雪姫と諏訪子の待つ守矢神社に帰っていった。
今回で仏神争乱の章は終わりです。え?短いって?知らんな。
因みに帝釈天は暫く出てきません。
俺は戦闘描写苦手なので結構辛かったです。
え?東方色も少ないって?すいません。次章からは更に薄くなってしまいます。一応関係性は出しますけど。
次章は問題児シリーズ色が強いです。
これからもよろしくお願いいたします。