東方白夜王   作:ザイソン

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仏神争乱 あっけなく終わる四天王

会議が終わって出雲大社から出る白夜叉と白雪姫は諏訪子に声をかけられた。

 

「ところでさー、暫く守矢神社に来る?」

「そうだの、なるべく共に行動した方が良いだろうな。よしそうしよう。ところで、神奈子はどこだ?」

「えっと・・・あ、彼処だ」

 

後ろを振り返ると、

 

「テメェぶっ飛ばしてやる!」

「んだとテメェ!やんのかオラ!」

 

オンバシラを装填する神奈子と雷を纏う建御雷神。喧嘩である。

 

「はぁ」

 

白夜叉は石ころを拾い、

 

「この馬鹿もんがァァァァァ‼︎」

 

第三宇宙速度(秒速16.7km)でぶん投げた。

石ころは神奈子と建御雷神の目の前を通り、木々をなぎ倒していった。

 

「「・・・」」

「さて、拳骨を喰らうかこの摂氏6,000度の炎を喰らうかどちらが良い?」

「それ以外の道は「あると思っていたのか?」

 

そして、夜の森に二人の悲鳴が木霊した。

 

 

 

守矢神社

 

守矢神社に着いた四人。神奈子と諏訪子が不在なのに人の気配がするのは訳がある。

 

「お初にお目にかかります。私はここの巫女となりました東風谷青菜と申します」

「巫女、雇ったみたいだの」

「うん・・・私達じゃどうしても家事という難問を解決できなくてね・・・」

 

なんとも情けない理由である。

 

「白夜叉様と白雪様の事は神奈子様と諏訪子様から聞いています。ところで、神奈子様はいったい何が・・・」

 

青菜はタンコブを抑えて項垂れる神奈子を見た。

 

「まぁ、気にするな。あれは神奈子様がわるいのだ」

「は、はぁ。白雪様がそう仰るのなら・・・」

 

 

 

守矢神社 居間

 

「それでは大陸神の対策会議を始めようかの」

「え?なんで?」

「おいおい、相手に対して何も対策を立てない方がおかしいだろう?」

 

白夜叉は紙に今回出てきそうな神霊を纏めた。

 

毘沙門天(多聞天)、広目天、増長天、持国天らが所属する四天王。

十二天の中でも特に力の強い、帝釈天、梵天。

地獄の王、焔摩天(閻魔大王)。

帝釈天に比肩するとされる迦楼羅天。

仏門に帰依する前の破壊神シヴァを調伏した降三世明王。

明王のトップ、不動明王

仏門に帰依したシヴァ(大黒天)。

 

「・・・私が見ても分からないんだけど・・・」

「すまんの、説明を加えるべきだったの」

四天王 東西南北の守護者。特に軍神である毘沙門天には注意。

帝釈天 雷神であり軍神。しかし同じような霊格を持つ建御雷神とは出来が違う。一撃で相手の軍勢を焼き払った。

梵天 インド神話における創造神。所持するブラフマーストラという投擲武器には要警戒。

焔摩天 インド神話における最初の死者にして地獄の王。嘘は見破られる。

迦楼羅天 帝釈天に一度勝利している神鳥。対神、対龍の翅の炎を操る。

降三世明王 殺戮者の意味を持つ。少なくとも最高神級。

不動明王 青き炎を操る明王。炎は魂ごと焼きはらう。

大黒天 シヴァが仏門に帰依した姿。破壊神だった。

 

「こうしてみると・・・強敵だな・・・なんだよ帝釈天。相手の軍勢一撃・・・」

「と、思うだろう?帝釈天にも弱点はある。それは、浮気性という点。下手すると奥さんに殺されるの」

 

他にも人妻に手を出して全身に女性器をつけられた伝説がある。さらに、その陰部が美女を見たときに目に変わりことなきを得たとか得てないとか。

 

「あとは梵天のブラフマーストラは相手が何者にも破られぬ楯を以てしても、世界そのものを改竄し、あらゆる概念を凌駕する力を引き出す力を持つ。これは宇宙真理<ブラフマン>の語源を持つ最高神だからこその力と言えるの。さらに勝利の運命を宿しておる。対策方法は・・・」

「「「対策方法とは・・・」」」

 

神奈子と諏訪子、白雪姫はじっと白夜叉を見つめる。

 

「避けるかブラフマーストラ級の力でなんとかするかの二通りある」

 

例えば須佐之男の天叢雲剣は効果があるだろう。異能、能力、魔術などの霊格を不能にする万物調律の神剣であるこの剣は例えブラフマーストラであってもその能力を不能にしてくれる。

 

「私は避ける以外に防ぐ手立てを持っておらぬ。だから避けるしかないのだ」

「強すぎだね・・・」

 

もっとも、この時から1,000年後に更に脅威の敵と戦うのだが、それをまだ彼女らは知らない。

 

翌日、白夜叉の元に天照が通信用の神具(以下、念話機)

で連絡が入った。

 

『白夜王ですか?攻めて来ましたよ』

「予想より少し早いの。防衛隊の戦況は?」

『相手は強い神力および大きな霊格を持つ神霊が四柱、その他の中級神霊級の神霊が多数です。防衛隊は劣勢ですね。主に四柱のせいで』

「よし、相手が誰か予想できた。防衛隊にはあれを持たせてあるの?」

『はい。指示通りに』

 

白夜叉は空を飛びながら念話機を切る。

更に加速し、速度を上げる。

 

「念話機番号1231番、境界門(アストラルゲート) 起動」

 

念話機のボタンを選択し、スイッチを押すと白夜叉の目の前に空間の穴ができ、白夜叉が飛び込むと、白夜叉は一瞬で戦線に到着した。

境界門。白夜叉が念話機に宿らせた能力である。念話機に番号を入力するとその番号の念話機の場所までワープするというもの。詳しくは『教えて!白夜叉先生!』でどうぞ。

 

「・・・貴様・・・何者だ・・・?」

 

白夜叉の目の前には多くの神霊と四人の神霊がいた。

 

「私の名は白き夜の魔王、白夜王。白夜叉と言う名もあるがそちらの夜叉達と混ざるので覚えなくても良い。そうだろ?多聞天、いや?毘沙門天かの?」

「・・・そうだ。私は毘沙門天。他のは持国天、広目天、増長天だ・・・」

 

片手に宝塔、片手に神槍を構えた毘沙門天。

左手に刀を持ち、背中に琵琶を背負う持国天。

宝剣と戟を持つ増長天。

左手に羂索、右手に三鈷戟を持つ広目天。

その他の神霊は夜叉、羅刹などの眷属達である。

 

「出来れば引いてくれるといいんだがの・・・ひかなそうだの・・・」

「そりゃそうだ。ここまで攻めきた意味が無い」

「釈迦が指示してるとは思えんがの・・・仕方ないの・・・『太陽風』」

 

突如、白夜叉から熱風が吹き荒れた。

 

「不味ッ!」

 

毘沙門天はとっさに金剛鉄で出来た分厚い壁を作り出し風を防ぐ。壁の表面はほとんど昇華している。更に、眷属達のみならず他の四天王もなすすべもなく直撃し、海に落下している。

 

「まさか・・・日天をも超える太陽の力・・・?」

「太陽風の熱量はおよそ摂氏10万度。四天王程度では話にならぬ。見逃してやるから帝釈天に連絡するなり釈迦如来に謝るなりするがよい」

 

毘沙門天は白夜叉を睨みつけるが白夜叉は全く動じていない。

白夜叉はそんな毘沙門天をチラッと見て再び境界門を開いて帰還した。


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