浮遊城でも俺の青春ラブコメはまちがっている。   作:空奏葉

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今回は番外編です。25層の時の話です。

シリカ編を書きたかったんですが、頭にこの案が出てきたので、先にこっちを出します。

本文いきます。


番外編 〜 25層 彼と黒ローブ男は出会う 〜

現在25層まで進んでいる攻略線はクウォーターポイントと言われる言わば、4分の1とまあキリのいい層で今まで以上の難易度を誇るボスがいると言われている。

 

俺は、そんなボス戦に若干ながら怯えつつ25層北部に存在する、《冷酷の山》にきている。この山には自然と言える草木が一切なく、崖、谷、岩など、殺風景な景色ばかりだ。

 

なんで俺がこんな所にきているかと言うととある噂を耳にしたのだ、

どうやらこの層になってきてレッドプレイヤーの存在が確認されてきた。数が少ないため知らない奴が多いが、今日俺はアルゴに調査を頼まれここにきている。

 

 

勿論、俺一人で行きたかったのだが。

 

 

「比企谷くん、そろそろ休まないかしら?もう10分も歩いているわ。」

 

 

そうこの女、雪ノ下だ。

 

「お前休憩何度目か分かってる?5回目だよ。普通のプレイヤーは登りきるのに1回ぐらいしか休憩しないからな。あと、比企谷じゃなくてハチマンな、この世界ではリアルの名前だしたらダメだからな、ユキノさん。」

 

「ごめんなさい。でもそのユキノさんって言うのやめてもらえるかしら。気持ち悪い。」

 

「はいはい分かったよユキノ。」

 

 

 

本当になんでついてきたんだよ。

 

 

本来この依頼はアルゴが俺だけにしてきたものだったのだが、それを聞いていたアスナが「一人は危ないよハチくん。私も行く。」と言ってきたのだが。あとから来た雪ノ下が「あなたは、今日の迷宮区攻略メンバーに入ってるはずよ。しっかりマッピングしてきてちょうだい。」と言って代わりに雪ノ下が俺と共に依頼を受けた。

 

 

「はあ、なあユキノ。嫌だったら帰ってもいいぞ。」

 

「いいえ、大丈夫よ。 ハアハア、、、」

 

はあ、ほんと頑固な奴だ。

 

 

この時の俺のレベルは47でユキノが45だ攻略組の中では、かなり上の方だろう。

 

 

そこから歩く間はなにも互いに話す事はなかった。

 

それでも俺はこの沈黙すらも幸せに感じた。

 

〜冷酷の山 頂上 〜

 

「よし、ここらへんでいったん別れて行動するか。なんかあったら叫ぶなりしてくれ。」

 

「分かったわ。」

 

こうして俺と雪ノ下は一旦別れる。俺は山にある、洞窟や小さな穴とかを探してみるが見つからない。

 

本当にいたとしても、もしかしたら気づいてどっかに行ったかもしれないしな。

 

やっぱそう簡単には、見つからないよな。

 

 

俺は心の中で諦めをつけ雪ノ下にメッセージを送ろうとした時だった。

 

 

ガキィン!!ガキィン!!

 

 

不意に剣と剣が交わる音が聞こえた。

 

 

まさかな・・・・。

 

 

不安になりパーティメンバーの体力が映っている。視界の端を見た。

 

 

ユキノのHPが削られているのが分かる。

 

 

もしかしたら、武器を所持している型のMobかもしれないと思ったが心配になって音がする方に全力で走る。

 

 

 

音がする所に着くと衝撃的な場面を見た。

 

 

ユキノのHPがイエロー状態になりながら、黒いローブの装備をした男の前で膝をついて倒れていた。

 

 

 

そんな、、あの雪ノ下が負ける?そんな馬鹿なことが。

 

 

実際、雪ノ下はレベル、プレイヤースキル、どちらも高く、レッドプレイヤーに負けるはずがないと思っていた。

 

 

「おいテメェ、やめろよ!!」

 

俺は黒ローブの男に叫ぶ。

 

黒ローブのHPはまだ8割ほど残っている。

 

「あぁ?誰だお前、邪魔するなよ。今からショウタイムが始まるっていうのによ。」

 

 

黒ローブは高く片手斧を上げ、雪ノ下に振りかざす。

 

 

やばいっ!! キィン!!

 

 

雪ノ下は咄嗟に刀で防ぎ、黒ローブに素早く斬りかかる。

 

 

雪ノ下の取っているスキル。《早業》は納刀している武器を出すのが速かったり、剣を振る速度を速くするスキルだ。

 

 

「ハアァァァー!!」

 

 

雪ノ下が鋭い剣さばきをするが、黒ローブはそれを防いでいる。

 

 

黒ローブは雪ノ下の刀を上に弾き次に雪ノ下の手を抑える。

 

人並み以上に強いとはいえ、筋力にあまり降っていない、雪ノ下は抵抗ができない。

 

黒ローブはそのまま体術スキルで雪ノ下を蹴り飛ばす。

 

 

なんて威力だ・・・。

 

 

体術スキルは本来、剣を落とした時に拾うまでの護身やたまに不意打ちで使う程度で威力は高く設定されていない。

 

だが、やつの蹴りは圧倒的に俺の使う体術の威力を超えている。

 

おそらく、スキル熟練度と筋力値を上げてると思う。

 

 

俺は雪ノ下と黒ローブの間に入り、追撃を阻止する。

 

「残念だが、ここからは俺が相手をする。」

 

「ほー、いい目してるじゃん。お前みたいなやつはレッドプレイヤーになるのをお勧めするぜ!!」

 

 

そういって黒ローブは走ってくる。

 

 

やってやる!!敵のアイコンはオレンジ攻撃しても俺のアイコンは変わらんし、こいつはおそらく人を殺しているレッドプレイヤーだ。

 

 

躊躇うな!!

 

 

 

 

黒ローブは片手斧で横切りをしてくる。俺は盾でそれを防ぐ。隙だらけの敵の左側にソードスキル、レイジスパイクを放つ。

 

 

 

黒ローブの顔がチラリと見える。そいつは笑みを浮かべていた。その瞬間黒ローブは身をくるりと回しスキルを躱す。

 

 

レイジスパイクは外れ反動だけが残る。

 

黒ローブは片手斧を構えスキルを放つ。

 

片手斧スキル 《Vジャドシス》敵の体をVの字に切り裂くこのスキルは2連撃と少ない割に威力が高い。

 

俺は飛ばされ岩に背中を打ち付ける。

 

HPの3割を削られた。

 

 

黒ローブは追撃のため走ってくる。

 

同じように横切りをしてくる、同じ手には掛からない。

 

 

俺は盾で防がずに剣を滑らせて防ぎながら敵を刺しにいく。

 

グサッ!!

 

剣はみぞおちに刺さる。

 

「グゥッ!!」

 

 

黒ローブは小さく唸る。

 

 

剣を抜き、体術スキル閃打で敵の前頭部に衝撃を与える。

 

黒ローブは一瞬怯む。

 

俺はその間に距離を取る。

 

「ふっ、なんだよ、そんなもんか?」

 

俺は挑発する。

 

 

「フー、やるじゃねぇか。いくぜ!!」

 

 

俺は崖を滑り降りる。黒ローブも付いてくるのを確認する。

 

 

ホリゾンタル・スクエア!!

 

 

この急で足場の悪い坂でかわせないだろ黒ローブやろぉー!!

 

 

 

しかし、相手は狙っていたかのように片手斧を構えている。

 

 

 

アース・ジャック!!

 

 

片手斧、上位スキル。刃の部分を相手に向け。スキルアシストによって俊敏が倍になり、凄まじい速さで突進する。

 

 

さらに、一度発動すれば、ダメージを与えても中断されない。

 

 

ズジャキンッ!!!

 

 

「ガァーー!!、、、、、ははっ、やべぇな。」

 

 

俺のスキルは黒ローブに当たったがそのまま突進され盾を持つ左腕が切り落とされる。

 

 

 

ハッ、、本格的にやばくなってきた。

 

ここから巻き返すための策を考えるが、崖以外何もないため、試行錯誤のしようにも案がない。

 

 

 

単純なPKスキルでは勝てない・・・・。

 

 

 

絶望的な状況に置かれていることを改めて自覚する。

 

足元にある俺の左腕は耐久値がきれたのか、パァンリィーンと消滅する。

 

 

再び腕が再生するには、何分かかかる。

 

 

 

死ぬ?ゲームオーバーなのか?俺はこのまま死ぬのか?

 

 

 

はぁーーー

 

 

深呼吸をし再び考える。この崖という状況を利用し逆転が出来るのか?

 

 

どのスキルを使えば倒せる?

 

ストライクダイブ?

 

レイディアント・アーク?

 

ヴォーパル・ストライク?

 

どれも一撃で仕留めるには乏しい。

 

仮にこの崖を利用しストライクダイブをぶつけたとしてもおそらクリティカルして一撃という感じだろう。

 

クリティカルするには急所に剣で防がれずに当てる必要がある。

 

それにそんな高さから行い、落下してる最中にバレて防がれたら仕留められず、かわされたら俺は死ぬ。

 

 

「おいおい、作戦はもう尽きたか?」

 

 

あぁ、分かった。俺はプレイヤーを殺すことに戸惑っていたのか。躊躇うなって決めたけど、恐れていたんだ。

 

鎧も来ていない人間の首を斬ることも心臓を貫くことも。

 

もう殺ろう・・・・。

 

 

「いやぁー。やっぱどこかでプレイヤーを殺すことに躊躇してたみたいだ。次は本気で殺しにいってやるよ。」

 

 

黒ローブは、ほぅと笑う。

 

 

「It's show time !!」

 

 

黒ローブは首に斬りかかってくる。

 

 

俺の反応速度はそれを捉えることができ、しゃがんで躱す。

 

 

レイディアント・アーク!!

 

 

俺の切り上げは直撃し黒ローブの腰から肩にかけて赤いエフェクトがかかる。

 

まだだ、黒ローブ。

 

俺は反動がとけるとすぐに次のスキルを構える。

 

 

ヴォーパル・ストライク!!

 

 

レイジスパイクの強化版であるこのスキルは距離を調節でき、威力は高い。

 

俺は黒ローブの心臓を狙って突進する。

 

 

黒ローブもやっと立て直したが時すでに遅く、急所は外させたが、肩を抉る。

 

 

「フゥ〜、やるじゃねぇか。油断させようとしてたのか?」

 

 

俺のHPはあと、2割。黒ローブも同じぐらいだ。

 

互いにHPがレッドゾーンに入る。

 

 

 

「フゥ!これはまずいな。こんな痺れる戦いは久しぶりだが、こっちもまだ死にたくねぇからな、ここらで消えさせてもらうぜ。一応名乗っといてやる。俺はPoHだ。」

 

そう言って、崖から降りていく。

 

 

 

逃がすかよ。

 

 

 

俺は投擲スキルで、トライショットを放つ。

 

3本のナイフは、片手斧で弾かれそのまま崖を降りていき姿を消した。

 

 

 

クソッ!!

 

 

俺は悔しいと感じた。レッドプレイヤーと同じように殺しにいかなければ、いとも容易く殺されていた。

 

 

俺はこのゲームで本気で人を殺そうとしたことが悔しくてたまらない。

 

 

 

黒ローブ、、いやpohは俺にこうなるように仕向けたのかもしれない・・・。

 

 

 

俺は雪ノ下の所に帰るべく崖を再び上がっていく。

 

 

「比企谷くん!!大丈夫だったのね。良かった。」

 

 

そう言って雪ノ下は抱きついてくる。

 

 

ちょ、えっ?、雪ノ下さん大丈夫ですか?

 

 

すぐに自分のしていることに気づいた雪ノ下は俺からパッと離れる。

 

 

「今のはその、お化け屋敷のようなもので、さっきまで殺されそうになっていた恐怖が、比企谷くんの目をきっかけに思い出してしまい、咄嗟に近くのものに抱きついただけだから。本当によ。」

 

 

雪ノ下は頬を赤く染めながら早口で言う。

 

 

 

まあ、さっきまで死にそうだっなしそんなもんか。

 

 

 

俺は頭で納得する。

 

「じゃあ、俺らも山降りるか。」

 

「えぇ。」

 

 

こうして俺たちは冷酷な山を降りていく。

 

 

アルゴにはメッセージで状況を詳しく説明しておいたから、きっと直ぐに対処するだろう。

 

 

 

 

だが、俺はまだその時、レッドプレイヤーの存在が今後の攻略に及ぼす影響をまだ知らなかった。




pohでましたね。

彼の存在は今後どうなるのか考えつつ。

シリカ編も書きます。

感想等待ってます。

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