Fate/Fairy Tail 錬鉄の英雄【無期限休載中】 作:たい焼き
今週末までにもう一話投稿したい・・・
追記:やっぱり無理そうです。次回は年末予定です。
2017年8月20日
二騎のサーヴァントの死闘は、広大な樹海から自然を根こそぎ奪い去った。
膨大な魔力を持った爆発や光に何度も焼き払われた自然が大きなダメージを受けからだ。この先百年単位でこのまま荒野の状態が続くであろう。
ニルヴァーナに大したダメージが入っていないのが幸か不幸か。六魔将軍は兎も角、ナツ達に被害が出ていないのならば幸いだろう。
だがあくまでも英霊同士の戦闘でダメージが入っていないだけだ。ニルヴァーナでもある古代人の遺跡や内部の動力源の一画では激しい戦闘が行われており、ダメージを受けていた。
光と闇を反転させてあらゆるモノの性質を反転させるニルヴァーナを止める方法は存在する。
それは地中の魔力を吸い上げている魔水晶を全く同じタイミングに全て破壊することだ。魔水晶が一つでも残っていれば残った魔水晶の魔力を使って自己修復してしまう。
それを達成するべく魔導士達は己の限界を超えて体のダメージを顧みずに己の最善を尽くし続ける。
放たれかけたニルヴァーナの第一射は辛うじて修復された青い天馬の爆撃魔導艇『クリスティーナ』によって標的を逸らされた。
だがその一撃で蛇姫の鱗のリオンとシェリーが、青い天馬のヒビキとレンとイヴがリタイアとなった。
ニルヴァーナの六本の足の魔水晶の破壊に必要な六人が集まり、内の一人のナツは地図を頼りに目的地、残ったマスター・ゼロがいる足に辿り着いた。
戦闘を開始した二人であったが、ナツは今までの戦いで蓄積したダメージがあり、残る魔力も万全には程遠いうえにゼロとの実力差もあった。
ナツの攻撃は届かないうえにゼロは容赦なくナツを破壊していく。ナツは確実に追い詰められていき、最早意地だけで立っているような状態であった。
だがその窮地を救ったのは、かつてエルザと楽園の塔を巡って敵対したジェラールだった。
記憶を無くして今まで己の犯してしまった罪に苦しみ葛藤するなか、その罪を償うためにナツに協力した。
自身の全魔力を炎に変えた『咎の炎』を食べたナツは楽園の塔の時と同じくドラゴンフォースに覚醒した。
自身をドラゴンと同じ戦闘能力まで引き上げて昇華させるそれによってゼロすら凌ぐ戦闘能力を得たナツがゼロを追い込んで行く。
だが使い慣れていない力を扱いきれずに互角の域は抜け出せなかった。
ナツはドラゴンフォースに自身のゼロに対する激情と仲間達の想いを背負ってゼロの最強の魔法を迎え討つ。
「紅蓮爆炎刃!!」
「ジェネシス・ゼロ!!」
ゼロが放った死者の魂を呼んで相手の全てを喰らい尽くす魔法がナツを飲み込むが、ナツの金の炎はその魔法すら燃やし尽くし、ゼロ本人に迫る。
「滅竜奥義『不知火型』!!紅蓮鳳凰剣!!」
派生して発動した奥義がゼロごとニルヴァーナを何階層もブチ抜いて魔水晶ごと破壊した。
それと同時に残り五つの魔水晶が破壊される。
支えも魔力供給も失って、ニルヴァーナは重力に従って崩壊していった。
更地になって森が全て消え去った樹海のとある一画。騎士王は上半身から腹部にかけて二つの斬撃による傷を受けて倒れ伏していた。
「終わったようだな。まさかゼロを倒すとは思わなかった」
決して浅くない傷から大量の血と魔力の粒子が漏れ出しており、何の処置もしなければこのまま現世から消え去るのみだろう。
そこにセイバー以上のダメージを受けた男が寄って来る。目の焦点も定まっておらず、セイバー以上に血と魔力を消耗した彼の体は、現在進行形で修復と補給が進んでいた。急激な消耗に対応出来なくても、時間さえあれば体内にある聖剣の鞘が彼を癒やす。勿論騎士王本人が近くに居ればこその回復力ではあるが。
「どうだ?存外今の魔導士達も見下ろせる者ばかりではないだろう?」
「やはり貴方も真作を持っていたのですね」
「第五次とは違うぞ。どこぞのお人好しのあかいあくまからの贈り物だ」
「そうですか・・・。さあ、早くトドメを。どの道私は余り長く保たない」
「・・・そうか・・・」
セイバーのすぐ横で膝をつき、投影した
「!?それはキャスターの・・・」
「・・・投影、開始・・・」
セイバーとマスターを結ぶ魔力の契約が初期化され、繋がりが絶たれる。次いでエミヤは己の体内にある鞘の取り出しを開始する。厳密には投影ではなく、ただ取り出すくするための暗示のような物だ。
「
ただ埋め込まれた鞘を取り出しただけだが、そこで鞘の加護を失ったエミヤの回復は止まる。
代わりに鞘を返還されたセイバーの体は本来の持ち主の元に戻ったことにより瞬く間に体が全快近くにまで回復する。だがあくまでサーヴァントとしての外殻のみだ。内面の霊核や霊基はまだ損傷が残っている。
「なぜですかシロウ!?そんなことすれば貴方の方が!!」
初期化の短剣は反転させられたセイバーの性質を本来の物に戻した。色素が抜けた金髪と目が本来の鮮やかな金髪と碧眼に、同じく真っ白に変色した肌は生気を取り戻したように見覚えのある色に戻り、黒のドレスは青と白のドレスになり、ようやく本来のアルトリア・ペンドラゴンを取り戻したような感覚を覚える。
そこでエミヤの体は態勢を崩してセイバーの隣に横たわる。
「シロウ!?」
「あまり叫ばないでくれよセイバー。傷に響くじゃないか」
致死量一歩手前まで迫ったエミヤに死神の手が肉薄するように消滅が近づく。
「何故貴方はいつもそうなのですか!?他人を救うだけ救って自分だけその中から除外するんですか!?」
「それがオレなんだよ・・・。全てと自分を秤にかけたら躊躇なく自分を捨てるように、結局は借り物の理想を貫き通すことしか取り柄のない男だ」
「ッ、貴方はリンに言われたのではないのですか!?貴方自身も幸せになれと言われたのではないのですか!?」
「ッ・・・。ああそうだよ。確かにオレは自分も他人も幸せにしろと言われたさ。だがな、正直オレにはどうすればいいのかサッパリ分からなかった。無駄に現界し続けたにも関わらず、結局人を救っている時が一番幸福なんだよ。オレは。それにそれが間違っているとも思わない。それがオレが得た答えなんだからな。君もそうだったろう?」
「・・・貴方はあの時から何も変わっていないのですね。初めて私と貴方が出会った時から、今の今まで、悠久の時を存在し続けていても、貴方は正義の味方であり続けるのですね」
今度はセイバーがエミヤの隣で膝を着く。
「貴方はかつて言いましたね。
「何を言って・・・!?」
「今は眠りなさい。貴方はもう暫くは休んで良い」
エミヤの意識が急速に離れていく。セイバーは生前からあまり強力な魔術を使えないが、ここまで弱りきった相手を眠らせる程度の魔術ならばあのいたずら好きの老人から習っていた。
「さて、全て尊き理想郷よ」
セイバーは返還された鞘を再びエミヤの体の中に埋め込んだ。今それが必要なのは自分と彼とどちらなのかは考えるまでもないからだ。
「ようやく、ようやく会えました。貴方が私に会いに来てくれたことが本当に、本当に嬉しい」
微かに赤みを帯びた顔が消耗しきって深く眠りに落ちているエミヤを見下ろしている。
「ですが、まだ終わっていないのでしたね」
セイバーはエミヤを抱え上げ、目的地を見定めて歩き出した。
Next Sabre's ヒント
Fate/stay nightには三つルートがあり、同じ人物でも三つのルートではそれぞれ違う結末を辿っている。
ではアーチャーは一体どのルートから生まれたのか。
厳密には何れアーチャーに至る衛宮士郎はどのルートから生まれたのか。
既存の3ルートのどれかか、それとも・・・