転生して主人公の姉になりました。SAO編   作:フリーメア

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 はぁい皆さんお待たせしましたぁ!!今回からエクスキャリバー編スタートです!!


エクスキャリバー編
集合


 十二月二十八日日曜日の午前。ALO内イグドラシル・シティ大通りにある《リズベット武具店》。そこに12人+1匹もの妖精と小さいドラゴンが集まっていた。ここに、買い出しに行っている2人+1人が加わるので、2パーティ分の人数が集っていることになる。

 現在彼らは待ち時間を潰すために雑談をしていた。

 

「クラインさん、もう正月休みですか?」

 

「おう、昨日からな。働きたくてもこの時期は荷が入ってこねーからよ」

 

 そう話すはイツメンのシリカとクライン。彼女の問いに答え、そのまま流れるように社長の悪口を言い始めたが、その実かなり恩義を感じていることを知っている。まぁSAOに2年間も囚われていた彼の面倒を見て、生還後即座に仕事復帰できているのだから、実際に良い企業なのだろう。

 

「キリハ!誘ってくれてありがとう!」

 

「落ち着け、サチ。俺からも礼を言わせてくれ」

 

「こちらこそ、来てくれてありがとうございます。3人には謝った方がいいでしょうか?」

 

「アイツらは自業自得だ」

 

 次に『月夜の黒猫団』からケイタとサチの2名。ちょくちょく遊んではいるが、攻略に誘われたということでか、サチのテンションが少々高い。他の3人は次のテストがやばいということで勉強だそうだ。後はまぁ、単純に人数制限があるのも理由の一つだが。これは後に語るとする。

 

「今日はヒーラー出来る人結構いるし、私も前に出ようかなー」

 

「いつも出てない…?」

 

「なんか言った?」

 

「何でもないです!!」

 

 ニッコリ笑顔のリーファから、すぐさま顔を逸らすレコン。リーファの前で失言してしまうレコンはいつも道理なので、誰も助け船を出さない。

 

「…」

 

「アレン…私の背後に隠れないでよ…」

 

 店の隅におり、更にシノンの影に隠れるアレン。知り合いが半数を占めてはいるが、今日初めての人物がいるということで、人見知りが発動してしまっているらしい。

 

「もう!なんでアタシしか鍛冶師いないのよ!」

 

 文句を言いながらも全員分の武具の耐久地を回復させているのは、この面子で唯一の鍛冶師であるリズベット。2パーティ分もあるので大変そうだ。

 

「これ、僕は場違いじゃないかい?」

 

「活躍、期待してますよ」

 

 苦笑しながら呟いたクリスハイトに、コウが笑顔でそう言った。今回の面子のほとんどが脳筋、つまり魔法を使わないビルドだということで、魔法ビルドである彼が呼ばれた。後はまぁ、死銃(デス・ガン)事件のことをつついて、今度はこちらを手伝えという背景もある。

 以上にキリト、アスカ、ユイの3人が加わったのが今日のメンバーとなる。

 

「おうキリハ。今日の目的取れたら『霊刀カグツチ』取りに行くの手伝ってくれよ」

 

「それはキリトに言ってください。今日の主催はあの子です」

 

「あ、じゃあ私あれ欲しい。『光弓シェキナー』」

 

 クラインの言葉に、キリハがこの場にいない妹に責任パスすると、シノンが片手を挙げながらそう宣う。そのままの流れで次々とあれが欲しいこれが欲しいと言い始める面々にキリハは苦笑した。しかも欲しいと言っている物が大体『レジェンダリー武具』だ。それを言ったらキリハだって正直欲しい。というかいつもの面子はともかくクリスハイト、どさぐさに紛れて言ってるんじゃない。シノンとアレンに至ってはALOを始めて2週間でそれを欲しがっている。それを指摘すると。

 

「リズの作ってくれた弓も良いんだけど、できればもう少し射程が…」

 

「あのねぇ、この世界の弓は槍以上魔法以下の距離で戦うものなの!100メートル離れた所から狙うなんて普通しないのよ!」

 

 シノンの言葉に、全員の武具の耐久値を回復していたリズがそう返すと、「欲を言えばその2倍は射程が欲しいところね」と肩を軽く竦めた。元々GGOでは二千m離れた場所から狙撃していたので、その十分の一程度の距離では物足りないのだろう。まぁ、ALOではまずありえない距離なのだが。

 ついでだ。新参者2名(シノンとアレン)の戦闘方を紹介しよう。

 アレンは早々に飛び方のコツを覚え、空中戦闘に適応した。“足が地についてないから落ち着かない”とのことで本人的には苦手と言っているらしいが。因みにアレンの種族は闇妖精(インプ)、主要武器は片手剣で、動き回りながら斬りつける戦闘を行う。主要武器が変わっただけで、戦闘方法自体はGGOからそこまで変わっていない。まぁ移動しながら魔法詠唱出来たことには相当に驚いたが。jobシステムはALOには無いが、もし付けるとしたら近接よりの魔法戦士、と言ったところか。ホントに基本は近接しかしないので、本人が思い出しては魔法を放つくらいしかしてない。

 シノンの場合、自他ともに飛ぶのは苦手だと認識しているが、飛翔自体は問題なく出来るし、弓で正確無比に()を撃ち抜いていくのでそこまで問題になっていなかった。彼女の武器は長弓(ロングボウ)。全武器中最大射程距離を誇る弓だ。長弓に限らず、この世界の弓は適正距離ならシステムアシストである命中補正が働く。それ以上の距離から放つと、風や重力の影響を受けて狙った場所に飛ばない。だが彼女は、GGOで培われた狙撃手としての技術を《システム外スキル》として扱っており、命中補正の働かない距離からでも敵を針鼠にしていく様は圧巻だったし、正直引いた。これが地上戦になると、猫妖精(ケットシー)という敏捷力最上位の種族特性を生かして動き回り、ゼロ距離で矢を放ったりするので全く油断できない。遠距離武器とは何だったのか。なお、種族を選んだ理由は『視力が一番良い』だったことを記しておく。

 さてここで、面子を集めた理由を説明しよう。単刀直入に言うと、《聖剣エクスキャリバー》を獲得するためだ。

 発端は昨日、《MMOストリーム》が載せた記事だ。内容は、《エクスキャリバー》がとうとう発見されたこと。その文字が写真と共に載せられていたのだ。

 この武器は今まで、公式サイトの武器紹介ページ最下部に名前と写真が載せられているのみで、場所・取得方法などを知る者はいなかった─正確には6人だけ、知っている者はいた。言わずもがな、キリハ達だ。最初に見つけたのはリーファとアスカ、ユイ。情報を共有されたのがキリハ、キリト、コウだ(見つけた方法は割愛する)。それが今年の一月なので、およそ一年にわたって秘密が保たれていたことになる。この間に《エクスキャリバー》を取得しに行かなかったと聞かれれば、勿論行った。だがあっけなく失敗したのだ。

 それがあるのは、地下世界《ヨツンヘイム》に存在する、世界樹の根にぶら下がる逆ピラミッド型ダンジョン。そして、そこにいたのは邪紳モンスターだ。それらがひしめくダンジョンをたったの5人で攻略出来るわけもなく。今度は人数集めて挑戦しようとなっていたのだが。

 が、そこからは色々とタイミングが合わなかった。GGOの事や、ALOのアップデートによる新要素。中でも『新生アインクラッド』の攻略にかかりっきりになったことが原因だろう。ヨツンヘイムにはたまに素材を取りに行ったり、トンキーと遊んだりする程度で、エクスキャリバーに関しては『どうせ誰も見つけることが出来ない』と思っていたこともあり放置していた。

 しかし、MMORPGにおいて永遠に発見されないアイテムなど存在しない。実際にエクスキャリバーが見つかってしまった以上、現在ヨツンヘイムにはPLが押しかけているだろうし、一部は空中ダンジョンに乗り込んでいるだろう。

 だからと言って諦める気は全くない。だからメンバーを集めたのだから。

 

「ただいま」

 

「待たせたな」

 

 そう言って扉を開けて入ってきたのは、ポーション等のアイテムを買い出しに行っていたキリトとアスカだ。2人が購入してきたアイテムをテーブルの上に広げていく中、キリトの頭の上に座るユイが口を開く。

 

「買い物ついでに情報収集をしてきたのですが、まだあの空中ダンジョンに到達したパーティ及びプレーヤーはいないようです」

 

「何故ですか?」

 

 キリハが問うと、ユイは答える。

 どうやらアスカ達が発見したトンキーのクエストとは別種のモノが発見され、そのNPCが報酬として提示したのがエクスキャリバーらしいとのこと。更にクエストの内容は、『○○を何体倒せ』などというタイプの虐殺(スローター)系。おかげで今、ヨツンヘイムはmobの取り合いで殺伐しているらしい。

 そこまで聞いてクリスハイトが首を傾げる。

 

「そうなると可笑しくないかい?《聖剣エクスキャリバー》はダンジョンの一番奥にあるんだろう?それをNPCが報酬として出すっていうのはどういうことだい?」

 

 彼の言う通りだ。最難関に位置するであろうダンジョンの奥地にあるモノを、報酬として提示するのは些か可笑しな話だ。ダンジョンまでの移動手段が報酬だというなら分かるのだが。まぁ行けば分かるだろう。

 そうこう話していると、工房の奥からリズベットの叫びが聞こえた。

 

「よーっし!全武器フル回復ぅ!」

 

『『お疲れ様(です)!』』

 

 労いを全員で昭和。新品の輝きを取り戻したそれぞれの武具を手に取り、身に着ける。次いで2人が購入してきたポーション類をポーチに収納。オブジェクトで持ち切れない分はアイテム蘭に格納する。

 時間を確認すると、午前11時。どこかのタイミングで昼食休憩などを入れる必要がありそうだが、その前にダンジョン内の最初の安全エリアまでは行けるだろう。

 全員の準備が完了したこと確認し、今回主催のキリトがぐるりと見渡した。

 

「今日は急な呼び出しに応じてくれて感謝する。このお礼はいつか必ず返す」

 

 そこまで言って、二っと葉をむき出しにして笑う。

 

「堅苦しいのはここまでにして─全員、気合入れていくぞ!!」

 

『『おぉー!!』』

 

 全員で腕を突き上げ、キリトの声に応える。そして工場の扉を開け、目的地目指して踏み出した。




 ここまで見てくれてありがとうございました!誤字脱字、または可笑しな表現等がありましたらご報告よろしくお願いします!!
 後今更ですが、感想待ってます!!

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