転生して主人公の姉になりました。SAO編   作:フリーメア

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皆さんこんにちは、ナナシ猫でっす

最近、FGO、シャドバに続き艦これも始めてしまった…。まぁ時雨が可愛いから、いっか。
和葉「友達からロリコン扱いされてましたよね」
しょうがない…、と思う…。友達曰く駆逐艦は中学生位までの女子しかいないらしいし。だが初月は中学生に見えないのは俺だけなのか
和葉「知りませんよ」


ではどうぞ


ヒースクリフ

「『死神兄弟は死神姉妹だった』『血盟騎士団副団長アスカとの関係は?』その他もろもろ…。おいおい顔写真まで載っかってるじゃねぇか。大変なことになったな、キリハ」

 

 そう言ってエギルはアインクラッド新聞から、目の前で苦笑しているキリハへと視線を移した。

 

 

 

 

 先日のあの後、七十五層の門をアクティベートしてからホームへ帰宅したキリハは予想以上に疲れたのかそのままベッドに身を投げ入れ就寝してしまった(因みに生存した軍のメンバーはそれぞれお礼を言ってから帰って行った)。

 翌日、起床して窓から外を見てみると、キリトの言葉が見事にフラグ回収されたのか、記録結晶を構えたプレーヤーが何人もいたのだ。親しい人物にしか教えていないはずだがどうやってかぎつけたのだろうか。

 とりあえず、このまま外に出るのはまずいと考えたキリハは迷わず転移結晶を使いエギルの店まで逃げてきたのだ。現在は二階にいる。

 

「本当にどうやってホームの場所がわかったのでしょうか。あれですか、今までホームを出入りするときは女の格好をしてたのでバレませんでしたが、キリハ=女というのがバレたからですか」

 

「それが一番納得できるな。つーか、現実(リアル)だろうと仮想世界(ここ)だろうと記者っていうのは怖ぇな。主に情報収集のことで。バレたの昨日だろ?」

 

「えぇ昨日ですよ。それ以前は攻略組にしかバレていなかったはずです」

 

 言ってて自信がなくなってきたが、これ以上は考えるのをやめた。

 因みにキリトとアスカはKOB本部に行っている。昨日の報告をしにいっている。そろそろ帰ってくるだろう。ほら、階段を駆け上ってくる音が聞こえ…。

 

(…?駆け上ってくる?)

 

「「(キリハ/姉さん)!一緒にKOB本部まで来てくれ!!」」

 

 音がするほど勢いよくドアを開けたキリトとアスカは、開口一番そう言った。

 キリハは頭痛を抑えるかのような仕草をした。

 

「…二人が厄介事を持ってきたようですが、何がありました?」

 

「「厄介事を持ってきた前提!?いやそうなんだけど!!」」

 

 二人の言葉をまとめると、先日の報告をしたまではよかったそうだ。だが、アスカがこれからはキリハ達(というよりキリト)と一緒にいると言ったあたりから空気がおかしくなったそう。で、そこからは互いが言いたい放題言いまくったらしい。収拾がつかなくなりそうな所でKOB団長ヒースクリフがキリハを呼んでくるよう伝えた、と。

 自分が巻き込まれたことに関して何も言うことはない。いつものことだからだ。ただ一つ言いたいことがあるとすれば。

 

「アスカ…君、一応は副団長なんですからそう余計なことは言わないでくださいよ。お互いに攻略組なんですから嫌でも一緒にいるでしょう」

 

「そのことについて反省してるが言ったことに後悔はしていない」

 

「でしょうね」

 

 キリハは一つため息をついてから立ち上がった。

 

「とりあえず行きましょうか。僕もヒースクリフさんに言いたいことがあるので」

 

 

 

 

 

 そう言うことで現在五十五層の主街区、グランザムにあるKOB本部に来ている。一つ言っておくと、キリハとヒースクリフはそこまで親しいわけではない、どころか攻略関係以外で話したことすらない。なので

 

「やぁキリハ君、わざわざ来てくれて感謝する」

 

「そう思うならここまで呼ばずに貴方がこちらに来ればよかったのでは?それと、人を呼ぶならメールでも何でも貴方が自分で呼ぶのが当然だと思うのですけどねぇ」

 

 と若干…、若干?喧嘩腰になるのは仕方ない…と思う。因みにこれ、ヒースクリフのいる部屋に入ってから十秒も経たずに起きたことだ。キリハの言いたいこととはこれのことである。

 キリハの言葉でこの場にいるKOB幹部達が立ち上がったが、ヒースクリフが片手を上げて制した。

 

「その点については謝罪しよう。しかし、私にも立場というものがある」

 

「その立場を考えない人が横にいるのですが…」

 

 チラリと横を見ると、立場を考えない人物(アスカ)がすまし顔で立っていた。

 

「話がそれてしまったな。君をここに呼んだのはこれからのことを話し合いたかったからだ」

 

「これからのこと…ですか」

 

 ヒースクリフは頷く。

 

「そうだ。先程アスカ君はこれからは君達と一緒にいると言った。それは、血盟騎士団を抜けるという解釈であっているかな?」

 

「はい?」

 

 何故そうなるのか。その疑問はすぐに解消された。

 

「アスカ君のことだ、君達とは四六時中いることにするだろう。だがそうするとこちらに手が回らなくなる」

 

 なるほど。確かにそれだと、たとえKOBを抜けなくともそちらに手が回らなくなればそれは抜けた事とあまり変わらないだろう。

 

「しかし、アスカ君が抜けなくとも君達と一緒にいることは出来る方法がある」

 

 その言葉で幹部達がまさかとざわめきだした。

 

「それはつまり、僕とキリトにKOBに入れ、と?」

 

 キリハの言葉にヒースクリフは、そうだと頷いた。

 つまり、ここにキリハを呼んだ理由はこれを聞くためだったということだ。

 

「お、良いじゃんそれ。入ってよキリト」

 

「えぇ…事務処理とか面倒くさそうじゃん」

 

「黙りなさい二人とも」

 

「「アッハイ」」

 

 睨みながら一言で二人を黙らせたキリハはヒースクリフへ視線を向ける。何故かこちらを微笑ましそうに見ていたヒースクリフはすぐに表情を改めた。

 

「どうする?キリハ君」

 

「そうですねぇ…」

 

 手を顎に当てて考える仕草をするキリハ。やがてその仕草をやめたキリハはニッコリと笑ってこう言った。

 

「お断りします」

 

 ピシッと空気が凍った気がした、と言っても凍ったのは幹部達のみなのだが。恐らく、まさかSAO最大ギルドの誘いを断るわけないだろう、と思っていたのだろう。

 

「ふむ、理由を聞かせて貰えるかな?」

 

 しかしヒースクリフは、まるでそう言われるのが分かっていたかのようにそう返す。それに少し疑問を感じたが今は置いておく。

 

「そもそもギルドに入ったところで僕にメリットはありませんからね」

 

 「あと僕が入るとしたら風林火山か月夜の黒猫団ですね」と言いながら肩をすくめた。

 

「そうか、それは残念だ。それでは、キリト君はどうだ?」

 

 少しも残念な様子を見せずにキリトに顔を向けるヒースクリフ。

 

「俺も入らないかなぁ。ギルドとか性に合わないし、規律とか面倒くさいし」

 

 実際KOBの規律は少々厳しいらしい。アスカが愚痴ってたので多分間違いない。アスカと四六時中いれるなら入ってもいいと思うが恐らく無理なので断る。

 

「キリト…入ってくれないのか…?」

 

 が、キリトの返事を聞いたアスカがあからさまにシュンとしてしまった。何故だろうか、アスカの頭と腰に犬の耳と尻尾が見える。まるで主人に会えなくて寂しがってる犬のようだ。

 うっ、と言葉に詰まる。なにせキリトはアスカのこの表情(仕草?)に弱い。これがわざとなら逆にぶっ飛ばせるのだが、今のこれは無意識でやっている。

 

「ではキリト君、私とデュエルしないか?」

 

 遂には顎に手を当て悩み始めたキリトにヒースクリフは提案した。疑問符を浮かべるキリト達に説明する。

 

「簡単な話だ。デュエルをして君が勝ったらアスカ君はそちらに行って構わない。無論、抜けるかどうかも自由だ」

 

 キリトとアスカは目を軽く見開き、幹部達は驚愕の声を上げた。何人かが立ち上がろうとしたが、それをヒースクリフは手で制す。

 

「逆に私が勝ったら、君には血盟騎士団に入ってもらう。どうかな?」

 

 ヒースクリフは笑みを浮かべ、キリトはアスカに目を向ける。その瞳は、お前はそれでいいか?と聞いていた。アスカは勿論頷いた、満面の笑みで。アスカとしてはギルドだろうがなんだろうが、キリトといられればそれでいい。キリトはため息をつきながら後頭部をかき、それを承諾した─

 

「いいぜヒースクリフ、その勝負乗った」

 

─強者と戦えることに笑みを浮かべながら。

 

 

 

「ほぼ勢いでデュエルを受けちまったなぁ」

 

「いいんじゃない?どちらにしろ一緒にいられるんだから」

 

「まぁな」

 

 デュエルの日日はまた後日という話になったのでKOB本部から出た三人は帰宅路についていた。二人が楽しく会話しているのに対し、キリハは考え事をしていた。

 

(ヒースクリフさんは、何故佳奈にだけデュエルを申し込んだのでしょう。それも佳奈にとってデメリットがない条件で)

 

 それだけ負けない自信があるのか、それとも他に狙いがあるのか。ただ、気になるのはヒースクリフが浮かべたあの笑み。

 

(まるで、あの条件なら佳奈は勝負を受けるだろうと()()()()()()()のような…)

 

 そこまで考え、それはないとかぶりを振る。このゲームが始まったときから常に二人は一緒にいた、そのことを知っていればもしかしたらとは思うかもしれない。だが確信までは持てないだろう。ただソロプレイヤーがくっついていただけとも考えられるのだから。もし確信を持っていたのだとしたら、現実(リアル)で自分達のことを知っていなければ─待てよ?

 

(もし()()()()()()()()()()()…?)

 

 もしヒースクリフが手鏡を使っておらず、あの顔が現実(リアル)の顔ではなかったとしたら?そしてヒースクリフの正体が自分達の知っている人物だとしたら?それならあの笑みの意味に納得がいく。

 

(もしこの考察が合っているとしたら、あの人は─)

 

「おーいキリハー、なぁにしてんだよ置いてくぞー」

 

 キリトの言葉に顔を上げると、二人と相当離れていた。どうやら足が止まってしまっていたらしい。

 キリトに返事をしてまた思考を始めようとしたが、やめる。これ以上考えても結局は予想でしかない。

 

(まぁ、佳奈とのデュエルを観察すれば何かわかるかもしれません)

 

 キリハはそう気楽に考えた。




ここまで見ていただきありがとうございます。誤字脱字また、おかしな所がありましたらご報告お願いします。

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