今回も投稿が遅れてしまい誠に申し訳ございません。これからもこのようなことが多々ありますのでよろしくお願いします
作者はどうしたかって?足元でバラバラになっていますが、それがなにか?」ニッコリ←(血で濡れた刀を持ち笑顔の和葉の足元でモザイクがかかっているのを想像してみてください。それが今の状況です)
「まさか、フラグ立てでこんなに時間食うとは思わなかったぞ…」
「ホントよね…」
五十五層に移動してきた三人は噂の金属を落とすと言われるドラゴンの山に行くために村の村長から話を聞いたのだが、予想以上に話が長く朝から来たはずなのにもうすぐで日が沈む。キリトとリズがへとへとになっているのに対し、キリハはいつも通りだった。まるで話が長いことを知っていたかのように。キリトがギロリとキリハを睨む。
「キリハ、まさかと思うが話が長いことを知っていたんじゃないだろうな?」
それに対し、キリハは口元に笑みを浮かべ
「ん?えぇまぁ、知っていましたよ?やはり情報収集は大切ですよねぇ」
と言い切りやがった。ニヤニヤと笑いながらこっちを見ている様はまるで、事前に情報収集をしない君達が悪いんですよと言われているようで、というか実際キリハはそう思っている。それが分からないはずがないキリトは、当たり前のごとくブチ切れた。ついでにリズもブチ切れた。
「「分かってたんなら先に言えぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!!」」
得物を持って襲いかかる二人、それを笑いながら山の方へ逃げるキリハ。この時、キリトとリズの二人は本気でキリハをぶった斬る、ぶっ叩くつもりだった。それを分かっていたキリハは笑いながらも本気(と書いてガチと読む)で逃げていた。
さて言い忘れていたが、ここ五十五層は氷雪地帯である。そうなるとドラゴンのいる山は必然的に雪山となる。つまり、何が言いたいかというと─
「びぇっくし!!」
─とてつもなく寒い。どのくらいかと言えば、真冬の東北地方並だろうか。因みに今くしゃみをしたのはリズだ。キリトとキリハは一度この階層に来ているので寒さに慣れているが、リズはそうでもないらしい。
「毛布とか持ってきてないのか?」
キリトの問いにリズは首を横に振る。この層が氷雪地帯だということを失念していたので防寒アイテムを持ってきてないのだ。キリトは軽く溜息をつき、アイテム欄から毛布を出しリズに渡した。有難く頂戴して二人に問いかける。
「あんた達は大丈夫なの?」
「「(慣れているので/精神力の問題だ)」」
キリハとキリトは別々の答えを出した。どちらも間違えではないが、リズ的にはキリトの答えに若干イラッときた。
そういえば、とリズは気になったことを聞いた。
「そういえば、あたしの店を出るときキリトがキリハのこと『姉さん』って呼んでたけど、キリハって女の子なの?」
顔を見合わせるキリトとキリハ。一秒程で結論が出たのかキリハが答える。
「えぇ、そうですよ。一応男と偽っているので誰にも言わないでくださいね」
「と言っても攻略組の半分近くとアスカは知ってるんだがな」
リズは「へぇ~」と納得しながらも「ん?」と疑問に思ったことがあった。
「じゃあ隠してるならなんでそんな簡単に答えてくれたの?」
「「アスカが信頼してるから(です)」」
即答する二人。リズは「お、おう…」としか反応できなかった。
道中、リズの強さはこの階層で充分に通用することが確認できた以外は特に何事もなく、山頂まで着いた。そこにある水晶に歓声を上げているリズにキリトが声をかける。
「リズ、転移結晶を用意しておけ」
突然の言葉に驚くも、当たり前のことだと思いリズは大人しくエプロンのポケットに転移結晶を入れた。
「後、ここから先は僕とキリトだけでやります。リズベットさんは水晶の陰に隠れていてください」
しかし、それに対しては自分の実力が信用されてないのかと思い反論する。
「なによ、あんた達も見てたでしょうけどね、あたしだって戦え─」
「─駄目だ」
否、反論しようとしてキリトに遮られた。その声があまりにも真剣だった為、リズは首を縦に振るしかなかった。キリトはニッと口元に笑みを浮かべ「じゃ、行くか」と言った。
「念の為に言っておきますが、別にリズベットさんが足手まといになるなんて思ってませんよ。ただ僕達は、アスカが信頼している貴女に死んで欲しくないだけです」
補足としてキリハが言った。だがそんなこと言われなくともリズには分かった。そして、二人と自分の認識の違いにも気づかされる。リズはどちらかと言えば遊び感覚でこの階層に来て、命の危険など考えていなかった。しかし二人は違う。常に死と隣り合わせの最前線で戦っている。故に、二人は命の重みを知っている。
リズは混乱した気持ちを抱えたまましばらく歩くと、すぐに山頂に到達した。周りを見回してもまだドラゴンはまだいないようだった。そのかわり、水晶に囲まれた空間に巨大な穴を見つけた。
「うわぁ…」
「こりゃあ深いな」
直径はおよそ十メートル程、下は闇に覆われていて底が見えない。キリハが水晶を穴に投げ入れる。それは一瞬だけ光ったと思ったらすぐに見えなくなり、何の音も帰ってこなかった。
「「…」」
「これ落ちたら底に雪が積もってないかぎりほぼ確実に死にますね」
二人が思ってても言わなかったことを、さらりとキリハが言った。その直後、猛禽を思わせる高い雄叫びが空気を切り裂き山頂に響き渡る。と同時にキリトとキリハの二人は臨戦態勢をとり、リズは指示されずとも水晶の陰に入る。攻撃パターンは言わない。二人とも分かっているはずだからだ。
二人はリズが物陰に隠れたのを確認できたとほぼ同時に、前方の空間が揺らぎポリゴンが集まり始める。それらが全て集まり巨大な体が完成した─ところで再度雄叫びを放つ。姿を現したのは、氷のように輝く鱗を持つ白龍。巨大な翼をはためかせホバリングしながら、その紅玉のような瞳で三人を見ている。
キリトは背中にかけてある漆黒の剣─エリュシデータ─を抜き放ち、キリハは腰に差してある刀を鞘ごと抜き左腰に構える。それが合図だったかのように白龍は大きく口を開き、白いブレスを放つ。
「ブレスよ!!避けて!!」
リズは思わずそう叫ぶ。しかし、キリハがキリトの後ろに移動しただけでキリトはそこから動こうとせず、ただ右手の剣を前に構えた。何をするつもりなのか、その答えはすぐに分かった。剣が薄緑に光りキリトの手を中心に風車のごとく回転を始める。片手剣ソードスキル《スピニングシールド》、剣を回転させ防御するソードスキルだ。白龍のブレスを見事に防ぎきり、ブレスが途切れた瞬間キリハが飛び出し白龍へと突撃する。通常、飛行している敵に対してはポールアーム系や投擲系などのリーチが長い武器で地面におろし、それから叩く。しかしキリハは、相手が飛んでるのがなんだと言わんばかりに白龍の目の前まで飛翔、そして空中で六連激刀ソードスキル《窮寄》を放った。空中で連続ソードスキルを使った場合、終わるまで地上に降りることはない。ソードスキルは全て白龍の顔にあたり、HPの三割を削る。ソードスキル後の硬直があり、キリハは自由落下している。それを白龍は逃さず爪を振るう。しかし、キリトはそれを許さない。キリハを踏み台にして更に飛翔するキリト。踏み台にされたキリハはその勢いで下に行き、爪があたることはなく綺麗に着地する。そして跳び上がったキリトは四連激片手剣ソードスキル《バーチカル・スクエア》を放つ。硬直が終わったキリハはまた跳び上がりソードスキルを放つ。これをひたすら繰り返す。
白龍を倒すのは時間の問題だ。そう考えたリズは物陰から出る。するとキリトがまるで後ろに目が付いてるかのように叫ぶ。
「バカヤロー!まだ出てくるな!」
「なによ!もう終わりじゃない!」
二人が言い合いをしてる最中、一瞬の隙をつき白龍が飛翔、ついでその巨大な翼をおもいきりはためかせ風を起こす。突風攻撃、それ自体にダメージはないが人を吹き飛ばすには充分な威力を持っている。
「あ…」
結果リズは吹き飛ばされ、穴に落ちる。何かを掴もうと手を伸ばすが届かない。死、リズの脳裏にその言葉が浮かんだ。
「リズ!」
「キリト!待ちなさい!」
キリハの静止を無視し、リズの名前を叫んだキリトは穴に飛び込み、自身が下になるようにリズを抱え二人は穴の底へ落ちていった。キリハは穴を見るがもう既に二人の姿は見えない。せめて生死だけでも確認しようとフレンド一覧からキリトを探そうとするが、その前に白龍がブレスを吐き邪魔をする。
「邪魔をしないで欲しいんですが…ね!!」
ブレスを避けたキリハは、いつの間にか変えていた大鎌のソードスキル《デスサイス》で白龍にトドメをさした。
(よかった…。死んでないようですね)
フレンド一覧のキリトの名前に横線が入っていないことでキリハは安心した。しかし名前の色はグレー、つまりメッセージを送信することが出来ず、キリトからこちらに送信することも出来ない。となると、キリト達が脱出してくるのを待つしかない。
(…しばらく待ってみましょう)
三十分後
あれから全く連絡が来ない。ということは
(結晶無効化空間ですかねぇ)
結晶無効化空間とは、その名の通り結晶が使えないフィールドを表す。つまり転移結晶も使えない、ということだ。
(さて、どうしましょうか)
このままここで待つか、キリト達を向かいに行くか。
何故向かいに行くという選択肢が出たのか、それはこの世界を創った茅場明彦を信頼しているからだ。一件脱出不可能な場所だとしても、何かしらの方法がある。レベルが高くてクリア出来ないというのは合っても、脱出不可能などの確実にプレイヤーを殺すステージは創らない。それがキリハ達の知っている茅場明彦という人物だ。
(行きますか)
結果、キリハは下に行くことにした。明彦を信頼してるほかに、今回目当ての金属が手に入らなかったからだ。白龍を倒しても出てこない。ならば少しでも可能性がある穴に落ちてみよう、キリハはそう考えた。戸惑いなく穴に飛び込んだキリハは、ある程度下降した時点で壁に鎌を突き刺して落下の勢いを消し、そのまま下降を続ける。七十メートル程下に行くとやっと底が見えた。見えたのはリズと、フードを外しているキリトだった。
「キリト、リズベットさん」
「あ、姉さん。来たんだ」
「ちょっキリハ、何であんたまで落ちてきてんのよ!?」
着地したキリハが二人に声をかけるとリズが突っかかってきた。それをキリトが、まぁまぁと落ち着かせる。リズが落ち着いたところで先程の質問に答える。
「白龍を倒しても手に入らなかったので、少しでも可能性のある穴に落ちただけですが?」
「それで出られなかったら元も子もないでしょうが!!」
「そりゃあそうだろうけど、あいつの事だから何かしらの脱出方法があるだろ」
キリトが言ったあいつという言葉にリズが反応した。
「あいつ?」
「茅場明彦ですよ、この世界の創造主の」
「!?茅場明彦って…って事は、あんた達が噂のビーター!?」
「気づいてなかったのか?」
「気づくわけないでしょ!?」
普通は気づく。黒ずくめで刀と片手剣を使っているのなんて二人しかいない。しかしリズの場合、アスカからの紹介ということだけが頭にあったので、ビーターが来ることは可能性から除外していたのだ。だがリズにとっては希望になった。リズは口を開こうとして─
「先に言っておくが、ここからの脱出方法は知らないぞ」
「えっ!?何でよ!?」
─先回りされた。キリハが肩をすくめながら説明する。
「僕達は主にソードスキルや圏内などの攻略とは直接関係ない事を設定しました。ですから明彦がこのフィールドを創ったことも、あの白龍を配置したことも知らなかったんですよ」
「何より、攻略法を最初から知ってるゲームなんてつまらない。そういう理由で俺達は攻略に関することは知らない。…まぁデスゲームになるって知ってたら別だったが」
「…」
リズは落ち込んだ。唯一の希望だと思ってたものが違ったのだから当然だろう。
「それよりキリト、フード外しているということはばれたんですか?この数十分で」
「ここに落ちた時フードが外れたんだよ」
「なるほど」
すると先程までの落ち込みはどこへやら。リズが思いっきり食いついた。
「そうよ!!どういうことよ!?キリハだけじゃなくてキリトも女の子だなんて!!」
「SAOをやる前からネナベでやってたんだよ。で、ホントだったらSAOでも男キャラでやるつもりだったんだよなぁ。…まぁ手鏡のせいで出来なくなったが
…アキの野郎ぶっ飛ばす…」
最後の発言はスルーした。
「って事はキリハも?」
「いえ、僕は女キャラでやるつもりでした。ただ、元から最前線で戦うつもりでしたから、女だと目立つと思ったので男装してました」
「ふ~ん?じゃあ口調は?男装するためにその口調にしたの?」
「元々この口調ですよ」
「…へ?」
「まっ、そんなことはいいだろう。ほらリズも飲むか?」
そう言ってキリトが差し出したのは、いつの間にか作っていたホットミルクだった。因みにキリハは既に飲んでいる。
「…頂くわ」
本当は何故そんな口調なのかとか、ホットミルクを作る時間がどこにあったのかとか、ツッコみたい所がいろいろあったがリズは考えるのを放置した。
和葉「誤字脱字、またおかしな所がありましたらご報告お願いします
あぁそれと、僕の刀の名前がないのは駄作者が考えられなかったからです」