転生して主人公の姉になりました。SAO編   作:フリーメア

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和葉「遺言はありますか?」
先月も投稿出来ず誠に申し訳ございませんでしたぁぁぁぁあ!!!!?…チーーーン

和葉「ではどうぞ」


あの日の出来事 ※修正

 キリハはジョニーを黒鉄宮に送り他の全員と合流した。そこには顔を明るくしている者が大半であった。キリハとキリトが女だったことに驚いている者もいる。人数を確認した結果、こちらに死者はいないようだ。どうやら話を聞くかぎりキリトも一人殺しらしい。キリハが殺した三人と合わせて四人ラフコフに死者を出してしまった。もちろん、いざとなれば殺す覚悟はあった。自分は良い、がキリトにまたしても人殺しをさせたことにキリハは胸を痛めた。一部の者、《風林火山》《月夜の黒猫団》はキリハの顔を見て何かを察したのか心配して声をかけてきた。それに大丈夫と答え、キリハはその場を去った。

 

 

 現在キリハは十四階層にある小さな泉のそばに立っている木に寄りかかり、立て膝で座っている。今、キリハの胸の中は後悔で埋め尽くされていた。何故左手を切り落としてそのまま奴を斬らなかった?何故最後に奴と言葉を交えて斬らなかった?何故何故何故何故何故。

 しかしそれと同時に、PoHを殺さなかったことに安心している自分がいることに気付く。そして、何度もチャンスがあったにも関わらずPoHを斬らなかった理由も分かった。キリハ(和葉)はこれ以上、人を殺したくなかったのだ。フッと、自嘲気味に笑う。

 

(滑稽ですね…。家族の為なら戸惑い無く人を殺せる僕が、今更戸惑うなど…)

 

 そして瞑目しキリハ(和葉)は、自分とキリト(佳奈)が初めて人を殺してしまった“あの日”を思い出した。

 

 

 

四年前

 

 和葉と佳奈がまだ11歳の時の話だ。この時には既に自分達と桐ヶ谷家は本当の家族ではないと知っているが、家族は家族と割り切り仲は良好だ。

 この日は和葉、佳奈、それに妹(実際は従姉妹)の直葉とで三人は仲良く(しかし本気で)剣道をしていた(因みに和葉が圧勝した)。三人が休憩している時に母の桐ヶ谷(みどり)が剣道場に顔を出した。

 

「三人とも~、私ちょっと仕事で忙しくて手が離せないから、代わりに郵便局にこれ出してきてくれない?」

 

と言って何かの(十中八九仕事の物の)資料を手渡してきた。それを三人は了承し出かける準備を始める。汗だらけになっていたので三人で風呂に入り着替えをして、翠から渡された資料を持ち家を出た。

 

「「「行ってきます」」」

 

「行ってらっしゃ~い、気をつけてね~」

 

 そうして三人は銀行に出かけていった。家から郵便局までそこそこ距離があるので自転車だ。

 事故にも遭わず無事に郵便局に着いた。人がそこそこいるので少しばかり待つことになりそうだ。翠にお遣いを頼まれることは今までもあった。だから今日もいつも通りに終わると思っていた。三人の男が入ってくるまでは…。

 黒い帽子黒い服に身を包んだ三人は入ってくるなり、懐から拳銃を取り出し上に向かって発砲した。

 

「動くなっ!!指示したこと以外で動いたら撃つ!!」

 

 どうやら彼らは強盗犯のようだ。

 和葉と佳奈は11歳とは思えない冷静さで反撃の隙をうかがっていた。まだ子供ではあるが日頃から鍛えられてる二人は信じられないほど戦闘力が高い。和葉と佳奈の二人でなら一般の成人男性三人程度、向こうが油断をしていれば気絶させることが出来る。直葉も鍛えられてはいるが和葉達より幼い為、恐怖している。それが普通だ。では和葉達に恐怖心が無いのかと聞かれれば、答えはNOだ。和葉達とて恐怖心はある。しかしそれ以上に、家族を守る、という気持ちが強いだけだ。

 男性の職員が少しずつ動き始めた。緊急用のボタンを押すようだ。しかし、それに気付いた強盗犯の一人は容赦なく発砲した。

 

「動くなと言ったろうが!!次動いた奴は頭を撃ち抜くぞ!!」

 

「あのやろっ…!!」

 

「待ちなさい」

 

 突撃しようとした佳奈を和葉が肩を掴んで止めた。

 

「あの三人が使っているのは銃ですよ…?今突撃するのは危険です」

 

「でも「僕だって佳奈と同じ気持ちなんですっ…。だから、チャンスが来るまで待ってくださいっ…」…」

 

 そこで佳奈は気付いた。和葉の腕が怒りで震えていることに。和葉は男性の撃たれた箇所を見て、急いで応急処置をしなくても助かる、と判断した。だからと言って安心は出来ない。出来ることなら今すぐ応急処置をした方がいい。だが、今それを行えば強盗犯に警戒される可能性がある。

 

─何故こんな子供が応急処置が出来る?─

 

 だから出来ない。今ここで突撃するか、来るか分からないチャンスを待つか、和葉は天秤にかけ後者を選んだ。

 佳奈は大きく息を強盗犯に聞こえないように吐き、自身を落ち着かせた。落ち着いたことが分かった和葉は、佳奈の肩から手を離す。

 不意に和葉の袖がクイッと引っ張られた。そちらを見ると直葉が不安げにこちらを見ていた。和葉は薄く笑いながら頭を撫でる。

 

「大丈夫ですよ、直葉。君に怪我はさせません」

 

 その言葉に直葉は「違う」と首を横に振った。

 

「和ねぇと佳奈ねぇは、危ないことしないよね…?」

 

 頭を撫でる手がほんの一瞬止まる。そんなことはしない、とは言えなかった。恐らく、いやほぼ確実に二人は危険なことをするだろう。

 どう答えるか迷っている時、佳奈が口を開いた。

 

「言っておくけど、あの三人が隙を見せたら姉さんが止めても突撃するからな」

 

「…それなら構いません」

 

 心の中で和葉は、少しだけ佳奈に感謝した。おかげで直葉の問いに答えなくてすんだのだから。

 

 

 

 その頃、桐ヶ谷家と郵便局の道のりを二人の少年が自転車で走っていた。一人は結城明日加。もう一人は明日加の兄である結城浩一郎。二人は焦っていた。和葉達が強盗に巻き込まれたことを知ったからだ。

 二人が桐ヶ谷家に来たとき、翠が焦りながら暗器などの武器を仕込んでいるのだ。ただごとじゃないことを察した二人は翠に声をかけた。

 

「「翠さん!!」」

 

 明日加の声に翠はバッと振り向いた。

 

「明日加君、浩一郎君…」

 

 声をかけられようやく翠は二人に気付いた。いつもの彼女では考えられないことだ。彼女がそれだけ焦るということは、和葉達になにかあったとしか考えられない。

 

「佳奈達になにかあったんですか!?」

 

 一瞬言葉に詰まった翠だったが、今さら明日加達に隠し事をしても意味ないと判断し、何があったのかを話す。

 

「和葉、佳奈、直葉の三人が強盗に巻き込まれたのよ」

 

「「!?」」

 

 二人は目を見開き驚愕した。が、すぐに身を翻し自転車に乗り、郵便局まで走り出す。

 

「あ!二人とも、待ちなさい!!」

 

 翠の制止は二人に聞こえなかった。いや、聞こえたとしても止まらないだろう。二人はそれぞれ、最愛の少女を頭に浮かべていた。

 

 

 二人が郵便局に着いたとき、そこは人だかりが出来ていた。二人はまだ小さな体を利用して最前線まで躍り出る。すると、見えてきたのは郵便局を囲む警察官の人達。盾を構えている者もいることから機動隊もいるようだ。

 

「二人とも、待ちなさいって言ったでしょ」

 

 二人に追いついた翠は木刀を持っており、そのまま何の戸惑い無く黄色のテープの中に入り、警察官をギョッとさせた。

 

「こ、困ります、一般の方はテープの中に入らないでもらわないと…」

 

「─おぉ!桐ヶ谷さん!お待ちしておりました」

 

 翠を止めようと一人の警察官が前に出たとき、違う警察官が翠のことを呼んだ。そのことにまたしても警察官はギョッとする。

 

「連絡ありがとうございます、警部さん」

 

「いえいえ、こちらこそ毎度毎度すいません。本来なら()()()一般人の貴方方に事件の解決を協力してもらうのはマズイのですが…。我々も人質の安全を最優先にしているので」

 

 二人が親しげに話しているのを見て、周囲の警察官は唖然としており、表向き、と言う言葉は耳に入ってこなかった。

 翠、というより桐ヶ谷家は()()仕事柄、権力を持っている人物とのコネを持っている。警察を例にするなら、警部だけでなく警視総監ともコネを持っている、ということだ。

 

「いえ、構いません。どちらにしろ来るつもりでしたので」

 

 翠の言葉に警部は眉をピクリと吊り上げる。

 

「…どういうことですか?」

 

「私の娘達が郵便局の中にいるんです。警部さん、知っている限りでいいので情報を教えて下さい」

 

「分かりました」

 

 警部は防犯カメラの映像から強盗犯は三人、使っている拳銃は黒星(ヘイシン)、人質の一人が撃たれてしまったこと、和葉達はまだ無事なことを話した。

 

「ありがとうございます、では─」

 

 翠がこれからどうするかを言おうとした時、発砲音が一回、遅れてもう一回聞こえた。瞬間、明日加と浩一郎の二人はテープをくぐり抜け郵便局の中に入ろうとした。鍵がかかっていて入れないのだ。少し遅れて翠と警部が追いついた時、更にもう一回銃声が聞こえ、次いで悲鳴が上がる。

 

「全員退いてください!!」

 

 そう叫んだ翠の手には木刀が握られていた。いや、翠が持っているのは仕込み杖だ。

 その場の全員が退避したのを確認した翠は扉に向かって一閃、斬った。そして扉を蹴り破り中に入った。そこで目にしたのは、血を流して倒れている黒い服に身を包んだ男性三人、血で濡れて震えている少女、そして─

 

「佳奈…」

 

「和葉…」

 

─倒れている二人の男の側で拳銃を持ち肩で息をしている佳奈と、ナイフを持ち血塗れになり無表情の和葉の姿があった。

 

 

 

数分前

 

 

 思ったよりも早く、チャンスは訪れた。強盗犯の一人がある女性に拳銃を向けたとき、女性の近くに居た和葉達と同じくらいの少女が強盗犯に突進したのだ。いくら体格差があっても不意打ち、しかも腹への衝撃は来るものがある。

 強盗犯は拳銃を落とし、その拳銃を少女が拾い上げ、強盗犯に向ける。その男は拳銃を取り返そうと少女に向かっていく。少女は恐怖のあまり引き金を引いてしまった。撃たれた弾は男の腹に当たる。だが男は血を吐きながらも拳銃を取り返そうと少女に向かっていく。少女は「ひっ」と悲鳴を小さく上げ、また引き金を引いた。今度は男の額に当たってしまい、男は死んだ。場が静寂に包まれる。

 

「このガキっ!」

 

 最初に動いたのは男達だった。二人の強盗犯はその少女に拳銃を向ける。今がチャンスと思い和葉の佳奈は突撃を開始する。和葉と佳奈はそれぞれ男の手首の内側、つまり血管があるところを跳んで蹴り上げた。蹴り上げられた男達は拳銃を落とし、間髪入れず今度は二人の顎を思い切り殴る。脳を揺さぶられたことにより男達は床に沈んだ。

 

「ふぅ、なんとかなりましたか」

 

「注意がこっちに向いてたらヤバかったけどな」

 

 和葉は大きく息を吐き撃たれた職員のもとに向かう。応急処置をするためだ。

 一方の佳奈は少女のもとに向かった。佳奈が近付いてきたことに少女は体をビクつかせる。佳奈は少女と同じ目線までしゃがんで言葉をかけようとした、その時─

 

「和ねぇ佳奈ねぇ、後ろ!!」

 

─直葉の叫びが聞こえた。二人は後ろに振り向くと先ほどの男達がナイフを持ち襲いかかってきていた。佳奈は反射的に少女から拳銃を奪い取り男の額へ向けて撃った。

 和葉は、先よりも速く、強く、正確に、手の血管を突く。男はナイフを離し、そのナイフを和葉が取り、そして、そのまま、男の頸動脈を切り裂いた。

 この時、和葉と佳奈は焦ってしまった。的確に顎に攻撃し、脳を揺らしたはずなのに男達が起き上がるのが早かったからだ。冷静のままでさえいれば、殺さずにすんだ。

 咄嗟にとはいえ、人を殺してしまえば多少は恐怖があるはずだ。実際、佳奈の手の震えは恐怖から来ている。だが、和葉は一切恐怖心を抱かなかった。それは何故か、和葉自身は分かっていた。

 

─家族を守れた─

 

 この感情が和葉に恐怖心を抱かせなかった。

 何かが壊れる音が聞こえた。二人がそちらを向くと母の翠、明日加、浩一郎、青年二人がいた。いや、目に映ったのは佳奈は明日加、和葉は浩一郎だけだった。そして、二人は糸が切れたように倒れる。皆が名前を呼ぶが二人には聞こえなかった。

 

 

 

 

 和葉が目を覚まし視界に映ったのは自身の部屋の天井だった。

 

(緊張の糸が切れて気絶、というところでしょうか…)

 

 恐怖心はなかったが、緊張はしていたようだ。体を起こそうとすると重みを感じる。体を起こして腰当たりを見てみると、そこには浩一郎がいた。恐らく付きっきりで看病してくれたのだろう、寝てしまっている。だが、和葉が起きたときの振動で目を覚ましたようだ。ゆっくりと体を起こし、和葉の顔をボーッと見る。数秒経つと完全に覚醒し心配の声をかける。

 

「和葉!大丈夫?怪我はない?どこか痛むところは?」

 

「どこも痛いところはありませんから、少し落ち着いて下さい浩一郎」

 

「あぁごめん、起きたばかりなのに煩かったね」

 

 和葉がそう言うと浩一郎はすぐに落ち着いた。

 

「そうだ、佳奈達に和葉が目覚めたこと伝えてくるよ」

 

 浩一郎が部屋から出て行くのを黙って見送った。どうやら佳奈のほうが早く目を覚ましたようだ。

 和葉は先程の浩一郎の態度が嬉しかった。浩一郎が自分のことを心配してくれていることが分かったからだ。

 和葉にとって浩一郎は兄のような人物であり、そして─

 

(…?)

 

 今、何を思った?

 

(僕が、浩一郎のことが好き…?)

 

 ありえなくはないが、それはない、と和葉は断言する。この好きも家族に対しての好きと同じだ。絶対に、そうだ。そもそも、自分は桐ヶ谷家の次期当主になる。相手は自由に選べないだろう。誰に聞かされたわけでもないがここの家は一般の家庭と違う。だから和葉は、その感情に気づかないフリをした。

 

 

 しばらくして、浩一郎が佳奈達を連れてきた。直葉は扉を開き和葉が起きてることを認識した瞬間、飛び込んできてそのまま泣き始めてしまった。直葉をあやしながら、あの後どうなったかを翠に聞く。

 

「撃たれた男性はなんとか命を落とさずにすんだわ。強盗犯の三人は全員死亡、これに関して貴方達は正当防衛として扱われたわ」

 

「…あの女の子は?」

 

「あの子はうちの管理下にある病院に行かせたわよ。そこでメディカルチェックを受けさして、特に問題なかったからお母さんと一緒に帰らせたわ」

 

「そうですか」

 

 明日加が何かを思いついたような顔をして、言った。

 

「和葉が目覚めたことを確認したことだし、俺らは退室するよ」

 

「それもそうだな、姉さんゆっくり休んでろよ。一番無茶したのは姉さんだからな」

 

「佳奈ねぇも無茶してたからね?自分のことを棚に上げないの」

 

「うぐっ…それを言われるとキツい…。しかもスグに…」

 

「佳奈ねぇ?それどういう意味?」

 

「まぁまぁ、貴方達喧嘩しないの。でも和葉、佳奈の言うとおりゆっくり休んでなさいよ。回復したらまた鍛えるから」

 

 明日加の発言をこの場にいる全員(浩一郎と和葉を除く)が酌みそれぞれ一言言ってから退室していった。

 

「変な気をつかせてしまいましたね」

 

「うん、そうだね」

 

 沈黙が流れる。そして唐突に和葉はこう言った。

 

「君は、僕を軽蔑しますか?」

 

「え?」

 

 浩一郎は和葉の顔を見ようとしたが、顔を俯かせていて表情は見えなかった。

 

「僕は家族を守るために人を殺してしまいました。そのことを後悔はしています。恐らく捕まえることも出来たでしょうから」

 

 ですが、と和葉はつなげる。

 

「恐怖心、罪悪感、そういうものが一切出てこなかったんです。異常、ですよねやっぱり」

 

 和葉が苦笑する気配がした。だから、浩一郎が自分から離れていくのかを聞きたい、と和葉は言った。和葉からしたら、離れてくれた方がいい。殺人を犯したという噂が広がれば和葉は、いや、佳奈も虐められるだろう。佳奈の方は心配していない。明日加がいるからだ。もうすでに二人は婚約者だ。二人が離れることはありえない。だが、浩一郎はどうだろうか。自分と彼はただの幼馴染み。だが和葉は浩一郎の事を兄のように慕っている。だから和葉は浩一郎に離れて欲しいのだ、迷惑をかける前に。

 だが浩一郎は和葉の顔を両手で包み自分に向かせ、こう言った。

 

「僕は離れないよ、絶対に。ありえないことだけど、和葉が道を間違えたら僕が戻す。君が独りになりたいと思ってても、独りにしない。約束するよ、僕は絶対に和葉から離れていかない」

 

 浩一郎は知っているのだろうか。その言葉で、和葉がどれだけ救われたのかを。

 だから、と続けて浩一郎は言った。

 

「和葉、約束してくれ。もう君の“技”で人を殺めないと。君のその顔を、僕はもう見たくないんだ」

 

 そこで和葉は、自分が泣きそうな顔をしていることに気づく。しかし和葉は、そのまま軽く笑みを浮かべ「善処します」と言った。

 

 

 

(あ~、あの言葉を思い出したら顔が熱くなってきました)

 

 キリハは浩一郎の言葉を思い出し顔が若干赤くなった所で回想をやめた。

 

(まったく、我ながら子供ですね。今更あの時の言葉を思い出しただけで赤くなるなど)

 

 溜息をつき、立ち上がったところで声をかけた。

 

「キリト、アスカ、いるんでしょう?出てきなさい」

 

 すると近くにある草むらから二人出てきた。キリトとアスカだ。因みに、近くに他人がいるかもしれないのでPLN(プレーヤーネーム)呼びにしている。

 

「やっぱバレたか」

 

「まぁ当たり前だよなぁ」

 

 覗き見していたことを全く反省していない様子の二人にキリハは苦笑する。

 

「それで?なにか用があって来たんですよね?」

 

「あぁ、これから《風林火山》と《月夜の黒猫団》と一緒に打ち上げやるから呼びに来たんだよ」

 

「向こうに死者を出しちまったけど、暗いままだとこの先思いやられる、ってクラインがな」

 

「納得です」

 

 あわよくば、サチと仲良くなろうという魂胆だろう。二人と一緒に歩き始める。

 後で聞いた話だが、桐ヶ谷家の結婚相手は自由にきめていいそうだ。そのかわり、相手にも鍛えてもらうが。だから、キリハ(和葉)は思った。

 

(このゲームを無事にクリアしたら、浩一郎にこの気持ちを伝えましょう)

 

─たとえ自分に気持ちが向いていなくとも、構わない。伝えよう、好きだと─

 

 

 

余談、草むらにて

 

「なぁ明日加、姉さんの顔が赤くなってんだけど、何を思いだしてると思う?」

 

「ん~、なんだろう。多分兄さんのことじゃないかな?」

 

「やっぱそうだよな。あの二人早くくっつけばいいのに」

 

「それ、家族全員が思ってるよ。どっからどうみても相思相愛なのに焦れったい、って」

 

「姉さんからしたら、妹のような扱いをされてると思っていて」

 

「兄さんからしたら、兄のような扱いをされてると思っていて」

 

「「ホント、早くくっつけばいいのに」」




幼い頃の和葉の頭が良すぎますが、これは桐ヶ谷家の次期当主として知識を叩き込まれてるからです。不自然だろうがなんだろうがそういうことで納得してください。
(※2021/1/28、拳銃の知識を消しました)

因みに、浩一郎の年齢は和葉達の三つ上、ということにしています。

※以下は5/21に追加した後書きです

和葉「君が面白い展開が思いついたって、このことですか」
正解~、和葉と浩一郎をくっつける展開を思いついたんだ♪最初は誰ともくっつけるつもり無かったんだけどね~

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