転生して主人公の姉になりました。SAO編   作:フリーメア

13 / 90
えー、今回の話を詰め込んだらいつもの二倍の長さになってしまいました
つまり長いです

ではどうぞ


死神兄弟

「そういえば、お二人はなんで迷いの森にいたんですか?」

 

 街に戻りながらシリカは二人が迷いの森にいた理由を聞いた。

 

「ちょっとスキルのレベル上げを」

 

 そういえば、さっき助けてくれた時に見たことない武器を持っていた気がする。

 シリカがそれをきいたら、二人は周りを見渡し、「「秘密(ですよ/だぜ)?」」と言い

 

「俺はユニークスキルの《二刀流》だ」

 

「僕もユニークスキルの《大鎌》です」

 

 シリカは驚いた。

 ユニークスキルは普通のスキルと違い一つのスキルにつき、一人しか獲得出来ない。

 今確認されているユニークスキルは血盟騎士団団長、ヒースクリフの《神聖剣》のみだ。

 噂によればクォーターポイントの二十五層のボス戦で活躍したらしい。

 

 

 

 街に戻ったらキリハ達、正確にはシリカによってきたプレーヤーがいた。

 

「シリカちゃん、パーティー抜けたんだって?」

 

「今度は俺達と組もうよ」

 

と言ってきたがシリカは

 

「えぇっと、お誘いは嬉しいのですが...。

しばらくこの人達と組むことになったのでお断りします」

 

と言った、まぁ当然のごとくキリハ達を二人のプレーヤーはじと目を送った。

 

「おいあんたら、この子とは俺達が先に約束してたんだけど」

 

「そんなこと言われましても...成り行きですし...。

それなら貴方達も行きますか?四十七層」

 

 二人は四十七層と言う言葉に驚き、なにも言えなくなった。

 

「私が頼んだんです、ごめんなさいっ」

 

 三人はそのまま立ち去った。プレーヤーはなごり惜しいのか「また連絡するねぇ」と言っていた。

 

「すいません、迷惑かけちゃって」

 

「シリカは人気者なんだな」

 

「いえ、マスコット代わりにされてるだけですよ、きっと...。

それよりキリトはさん達はどこに泊まるんですか?」

 

 暗い雰囲気を変えるためかシリカは話題を変えてきた。

 それに気づかない二人ではないので

 

「僕たちは上層に拠点があるので今日はここに止まっていきましょうか」

 

「戻るの面倒くさいからな」

 

「本当ですか!ここのチーズケーキすごく美味しいんですよ」

 

と話していると前から一人の女プレーヤーが来た。

 

「あら、シリカじゃない」

 

「ロザリアさん...」

 

 前から来たプレーヤーの名前はロザリア、シリカと喧嘩したプレーヤーだ。

 

「無事で良かったわねぇ。

あら?あのトカゲはどうしたのかしら、もしかしてぇ」

 

 ロザリアはわざとらしく言う。

 テイムしたモンスターはどこにもしまうことは出来ない、常にそばにいる存在なのだ。

 そばにいないということの意味をロザリアが知らないはずがない。

 

「ピナは死にました。でも!必ず生き返らせます!」

 

「あんたの力で行けるのかしら」

 

「行けるさ。そこまで難易度の高いダンジョンじゃあないからな」

 

 さすがに黙ってるのが嫌になったのか、というよりも黙っていられなくなったのであろうキリトは、口をはさんできた。

 

「あんた達もたらし込まれた口?あんまり強そうに見えないけど」

 

 シリカを侮辱する言葉を放つロザリア、キリハ達が嫌いなタイプだ。

 まぁ、当然キレるわけで

 

「...人を見た目で判断しない方がいいよ、おばさん」

 

「んなっ!何を・・・っ!?」

 

 キレているキリハはロザリアに殺気を向けた。その殺気は周りのプレーヤーも体を固めた。

 キリハは殺気を沈ませながらシリカに

 

「行きましょうか」

 

「あ、はい」

 

 キリハ達は宿屋に向かった。後ろからの視線、否、周りからの視線を感じながら。

 

 

 

「なんで、あんな意地悪をするのかな」

 

 シリカは宿屋の中で先ほどのことを思い出しながら言った。

 

「君はMMOはSAOが初めてなのですか?」

 

 シリカは頷いた。

 

「どんなゲームにもキャラクターに心を移せばキャラが変わるプレーヤーはいる。そしてゲームの中なのだからと何でもしていいと思う奴もいる。

それも真実だが、このデスゲームになってもそう思う奴が多すぎるっ!殺していいなんてルールがあっていいはずがないんだっ!」

 

 いきなり立ち上がったキリトにシリカはビクッとした。

 それをキリハが落ち着かせ、キリトは「済まない」と言いながら座った。

 

「キリトさんはいい人です!私を助けてくれましたから!」

 

 キリトは一瞬ポカーンとして微笑んだ。

 

「慰められちゃったな、ありがとう、シリカ」

 

 その後、シリカに明日の予定を教えて各自部屋に戻り就寝した。

 

 

 

 四十七層『フローリア』別名フラワーガーデンと呼ばれている。

 そこのフィールドにキリハ達はいる。キリハ達二人はレベル的に問題なく、シリカもレベルが上がっており装備も強いので問題はないはずなのたが...

 

「キャアアアアっ!?」

 

 シリカはフィールドのモンスターを見て悲鳴を上げた。

 一言で言うと歩く花、正確には花の根が足になっており花の部分には口がある。

 正直に言えばキモチワルイ。

 このモンスターを初めて見たときはサチが悲鳴を上げていたので予想はしていたがシリカは関係ない方向にソードスキルを放っていた。

 

「落ち着け、シリカ。

そいつは根の白い部分を叩けば倒せる」

 

「は、はい!」

 

 その一言でシリカは落ち着き、言われたとおりにモンスターの弱点を攻撃した。

 短剣連続ソードスキル《ラビットバイト》で花のモンスターはポリゴンになった。

 そこからはシリカも慣れたのか普通に倒していた。(顔は引きつっているが。)

 

 

 そんなこんなで三人は思い出の丘に着いた。

 そこにはテイムモンスター蘇生アイテム《プネウマの花》があった。

 

「これでピナが生き返るんですね」

 

「えぇ、でもここだと危ないので街に戻りましょうか」

 

 三人は思い出の丘をさり、街への道を戻っていった。

 街が見え、石橋を渡っているなか、キリトはシリカの肩をもち止めさせた。

 

「キリトさん?」

 

「そこにいる奴ら、出て来い」

 

 キリトがそう言うと木から一人のプレーヤーが出て来た。

 その顔はよく知っている者だった。

 

「ロザリアさん!?」

 

「私のハイディングを見破るなんて索敵能力が高いのね、剣士さん。侮っていたかしら。

その様子だと首尾良くプネウマの花を入手出来たみたいね。おめでとう。

それじゃあ、その花を渡して貰いましょうか」

 

 ロザリアは途中から声色を変えて脅すように言ってきた。

 

「そうはいきませんね、ロザリアさん。

いえ、タイタンズハンドのリーダーさん、と言った方がいいですか」

 

 キリハがそう言った瞬間ロザリアの笑みが消えた。

 

「え、でもロザリアさんのカーソルはグリーンですよ...」

 

「オレンジギルドといっても全員のカーソルがオレンジな訳じゃない。

今回のようにギルドの何人かはグリーンのギルドもいる。

相手を安心させるために」

 

「じゃ、じゃあ、私達のパーティーにいたのもっ」

 

 ロザリアはもう隠す必要がないからか

 

「えぇ、そうよぉ。

あなたを選んでいたのだけど途中で抜けたからどうしようかと思ったわ。

でもプネウマの花をとりにいくって言うじゃない。

でも、あんた達もそこまで分かっててのこのこ行くなんて馬鹿なの?それとも本当にたらし込まれちゃった?」

 

 またしてもシリカを侮辱する言葉を放つロザリア。

 シリカが飛びだそうとするのを止めながらキリトは言った。

 

「いや、俺達もあんた達を探していたんだよ。

お前らが殺したギルドの生き残りのプレーヤーが依頼してきてね。

それとさっさと他の奴らも出したらどうだ」

 

 ロザリアは舌打ちをし、手を上げ指を鳴らし他のメンバーを呼んだ。その数ざっと十人。

 

「キリトさん、キリハさん、人が多すぎます。

逃げましょうよ」

 

「大丈夫だよ」

 

「キリト、僕がやるよ」

 

「キリハさんっ!」

 

 シリカは逃げようと提案するがキリハ達はオレンジギルドを潰すつもりだ。(それに、キリハがキレている。)

 シリカが言った名前が聞こえた瞬間、何人かがうろたえた。

 

「キリハ?それに、さっきキリトって...。

『神速』に『黒の剣士』?」

 

「やばいよロザリアさんっ。

こいつらビーターの攻略組で、死神兄弟だ!」

 

 シリカはビーターと死神兄弟という言葉を聞いたことがあった。

 ビーターは情報を独占するプレーヤー、死神兄弟はPK(プレーヤーキル)をするギルドを中心に犯罪ギルドを黒鉄宮送りにするプレーヤー二人のこと。

 

─それがまさかキリハさんとキリトさんだったなんて─

 

「攻略組がこんなとこにいるわけないじゃない!それにこの人数に勝てる訳ないわ!」

 

「そうだ!それに本当に攻略組だったらすげぇアイテム持ってるぜ!」

 

 攻略組に勝てるわけないという思考はもはやこいつらにはない。

 

「死ねやーー!!」

 

 一人のプレーヤーがソードスキルを出しながら飛び出し、他のプレーヤーも飛び出した。

 だがキリハは慌てず装備を刀から大鎌に変えた。

そして腕を横にふり─

 

「「えっ?」」

 

─容赦なく二人のプレーヤーの首を切り落とした。

 本来ならここでポリゴンに変わるはずだが、斬られたプレーヤーは転移した。

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

「これは僕のユニークスキルの特殊能力。

この能力をONにしていると斬られたプレーヤーは強制的に黒鉄宮送りにされる。

たとえ首を斬ろうともね」

 

 キリハは淡々と説明しているが声は冷たかった。

 先ほどまで余裕を見せていたのは相手がこちらを斬ることがないと思っていたからだ。

 だが相手はこちらを容赦なく斬る、それだけのことで敵は土気を失った。

 

「さて、ここには依頼者が全財産をはたいて買ったコリドー結晶がある。

お前達にはこれで黒鉄宮にとんで貰う」

 

 もうタイタンズハンドには戦意が失われている。

 コリドーで開いた道にメンバーは入っていく。

 一部の者は斬りかかってきたがすぐにキリハが斬り、黒鉄宮に送った。

 後はロザリアで最後だが、あがくつもりのようだ。

 

「やってみなよ、私を斬ればあんたがオレンジに...」

 

「残念だがこれでグリーンを斬っても僕はオレンジにはならない。

入りたくないんだったら僕が送ってやるよ。

じゃあな」

 

 キリハはロザリアを斬り、黒鉄宮に送った。

 

 

 しばらくは誰も口を開かなかったが

 

「すいませんシリカ、君を囮にするような真似をしてしまって...。

街まで送りますよ」

 

 

「いえっあの...腰が抜けちゃって...」

 

 その一言でキリハ達は笑い、シリカをおぶり街に戻っていった。

 途中シリカが

 

「あのぉ...とても言いにくいのですが、素顔を見せてもらえないでしょうか」

 

 二人は迷わず頷き、フードをとった。

 シリカの第一印象としては、二人とも顔が似ている、次にキリハは左目を隠している、最後に

 

「お、女の人ぉぉぉぉぉお!?」

 

 ...しまらない終わり方である。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。