「以上が、マーシア孤児院の放火から始まった一連のクエストの顛末です」
王国軍相手に一通りの事情説明を終えて、市長邸からルーアン支部に戻ってきたヨシュア達は受付のジャンに口頭報告する。
土壇場での軍介入は前回と同じ顛末だが、ボースの時とは意味合いは異なる。今回はギルハートの自供で純然たる司法の兵が差し向けられたので、エステル達の手柄が横取りされることはない。
「まさか本当に先輩が自供していたとは予想していませんでした。やはりエステル君の『世界を広げる可能性』に触れた成果でしょうか?」
「何となく判る気もするわ」
意外そうなクローゼに対して、ヨシュアが恒例のジト目でエステルを眺めながら、悔い改めた彼女の心理状態の変化に一定の理解を示す。
エステルという少年は、時に磁場のような求心力を発揮し周囲の人間を魅了する。
こういうのを世間では所謂『主人公体質』と呼ぶそうで、不器用ながら身体を張り親身になってくれる姿は異性からはさぞ頼もしく映るらしく、あまり良縁に恵まれなかったであろう秘書さんがその魅力に抗するのは困難。
(本人には全然そのつもりがないから、より一層性質が悪いのよね。長い付き合いのティオとエリッサがチャームの魔法を掛けられたのは自然な流れだけど。これからの旅中で訪れた都市でフラグを乱立させるつもりなのかしら?)
そう呆れたが、恋の魔術云々はヨシュアも例外ではない。何よりもフラグというなら当人の方はジョゼット、クローゼ、オリビエ、(エジル?)など枚挙に暇がないが、こっちはキチンと相手の好意を理解した上で体よく遇うつもりなので、エステルのような無意識化の罪を重ねることはない。
「それよりも気になったのは、その黒いオーブメントね。父さん宛の曰く付きの一品であるのは判っていたけど、まさかアーティファクトを無効化する程の性能を備えているとは想像以上だわ」
エステルが抱えている漆黒のオーブメントをヨシュアは薄ら寒そうに見つめる。そのおかけで貞操の危機を脱したのではあるが。まあ、それはそれということで。
金属の艶具合から最近製造されたものであるのは間違いないが、大陸法で登録を義務づけられた
となれば既に推薦状も手にしてマーシア孤児院を巡る陰謀にも決着をつけたので、例のメモ書きのR博士と思われるラッセル博士に解析を急いでもらう必要があるかもしれない。
「ふーん、それじゃあ名残惜しいけど、今度こそ本当にツァイスに出発するわけかい?」
「はい、只その前にこの街でお世話になった人達にお詫びも兼ねて挨拶したいので、この場で簡単なホームパーティーを主催させてくれると有り難いのですが」
詫びというのは、損な役回りを押し付けたマリオとカンナバーロの二人だろうから、その催促をジャンは快く承諾する。クエストの事後処理を受付に一任すると、ヨシュアは築地に鮨ネタの買い出しに行く為に一階に降りていく。
ただ、この時のヨシュアの顔色があまり良くないように見受けたエステルは、荷物持ちの手伝いをしてくるという名目で後を追い掛けた。
「おい、ヨシュア…………」
一階に降りた途端、尋常でない義妹の姿を発見したエステルは、慌ててヨシュアを抱き締める。まるで氷点下の寒空に裸で身を乗り出したかの如くガタガタと震えていて、触れた肌を通じて少女の恐怖心が直に伝わってくる。
「どうした、ヨシュア? 顔色が真っ青だぞ」
「エステル、私本当に怖かった…………」
ダルモアの前で辱められた時すら鉄面皮を維持していた孤高の戦士が、信頼する義兄と二人っきりになった刹那、初めて年相応の少女らしい弱みを見せる。
「こんな…………恐ろしい思いをしたことは、ほとんどなかった。自分の力でどうにもならない事態に放り込まれるなんて、今日までの人生で二回ほどしかなかったから……」
気丈な筈のヨシュアの意外な打たれ弱さにエステルは面食らう。なまじ巨大な力を有するが故に起算の範囲内で終結しない運任せの事象に追い込まれた体験が絶対的に不足していた。
毎回出た所勝負で綱渡りのような半生を生き抜いてきたエステルからしてみれば、大層贅沢な悩みではあるのだか。
(親父が言っていた、強いけど弱いってのはこういう意味か)
今度の事件は多くの修羅場を潜ったように見せて、その実、出来レースを消化していたに過ぎないヨシュアが味わった掛け値なしの窮地。そこまで少女を追い詰めたのは敵のダルモアではなく、義妹の無謬性に頼りきっていたエステル自身である。
だから、在り来たりの慰めの言葉を掛けずに無言のまま強くヨシュアを抱き締める。本当の意味で家族を守れるように、今以上に強くなろうと心に誓って。
「最初から、僕が入り込める隙間は無かったということですか。本当に思わせぶりな態度でヨシュアさんも人が悪い」
階段の陰から血の繋がらない兄妹の抱擁の一部始終を見届けたクローゼは、二人に声を掛けることなく二階に戻る。
既に骨身に染みていたことであるが、『白い花のマドリガル』に次いで市長邸での一事で彼女の義兄が替えの効かないたった一人の思い人である現実を再度思い知らされ、ズキリと失恋の古傷が疼いた。
まだ、二人の仲を無条件に祝福できるほど大人になれそうにないが、せめてルーアンからの門出だけでも笑顔で見送ろうと胸中に秘める。
◇
その夜、ギルドの二階でささやかな送別会が催された。
お題目は明日ツァイスに旅立つ兄妹のお別れパーティーであるが、実質は戦略上貧乏籤を引かせてしまったカンナバーロ達を労う慰安祭。主賓のヨシュア本人が接待役を務めている。
ただし、マリオらの見解もアガットと等しく、失態を招いたのはあくまで自分たちの未熟さに起因するので、謝罪の必要は無いと笑って水に流してくれた。
シクシクと真珠の涙を零しながら懺悔するヨシュア(※当然嘘泣きだが)を面前にして真っ当な感性の殿方が強く出れよう筈もなく。ボースで少女の別人格のカリンから情報を根こそぎ強奪された件といい良いように弄ばれている感があるが、対価として時価一万ミラ相当の江戸前寿司をご馳走になったので収支はトントンといった所であろうか。
「ヨシュアが鮨を握ると聞いた地点でもしやと……思ったけど、やっぱり招待されてない客が何人か混じっているな」
結局、学園では食べ損なってしまった大トロをがぶ喰いして脂の乗り具合を堪能しながら、義妹の周囲に集ったアウトローをチラ見する。
「もう、ヨシュアさん、酷いですよ。あの場でいきなり放置プレイを喰らって、わたくし穴があったら入りたい状態でした」
今度はマトモな私服姿のメイベル市長が好物のイクラを頬張りながら、ツンツンとヨシュアの左側の頬を突っ付き、メイド服姿のリラが主人に倣って右頬をプニプニと引っ張る。
あんな醜態を演じて負け犬のままオメオメとボースには帰れないと、未練がましくルーアンの地をうろついていたら、再びお寿司にありつけるという慎ましい幸運に恵まれたようで、市長さんの行動原理はもはやお笑いキャラの域に昇華しつつある。
「ダルモア市長とギルハート先輩のことは本当に残念でした。汚名返上という訳ではないですが、これも何かの縁ですしマーシア孤児院の再建はわたくしに任せてはいただけないでしょうか? もちろんキチンとした契約書も用意させますわ」
「メイベル市長になら、安心して託せます。これで後顧の憂いなくルーアンを旅立てるしご厚意に感謝します」
「こういう時は篤い友情に感謝しますと言ってくださいまし。わたくし達は親友でしょ?」
何とも心温まる会話が聞こえてきた。営業スマイルでなく照れ笑いしている家族の微笑ましい光景に、エステルも嬉しくなってくる。
やはり人間孤高を気取るよりも、数は少なくとも気心の知れた友人を作った方が良いのは議論の余地すらない。
「ふっ、仲良きことは美しきかな。メイベル市長のような大物を懐柔するとは流石は僕の未来の花嫁だね」
やはりというか、呼ばれてもいないのにさも当然のようにオリビエもこの場に顔を出し、優雅な手付きで煮汁タップリの穴子鮨を摘む。
守備範囲が極めて広い博愛主義者は、ついさっきまではマリィに本気でモーションを掛け、将来嬢王を志す幼女から軽くあしらわれていた。
クエストの関係上、保護者のシェラザードは既にロレントに蜻蛉返りしたので、まさかヨシュアに小判鮫のようにツァイスまで同行するつもりかと勘繰ったがそれは杞憂のようだ。
「ふっ、本来はそのつもりだったが、やはり文無しで旅をするのもどうかとヨシュア君に諭されたのでね。観光も兼ねてこの都市でバイトをすることにしたのだよ。僕の特技を活かした上でお寿司が食べ放題という僕好みの仕事があるらしくてね」
オリビエはジュルリと舌舐りし、逆にエステルは不審そうな表情を隠せない。
腹黒娘の紹介という地点で胡散臭さ爆発。長老も学園の鮨模擬店の大繁盛振りを聞いて築地に寿司店舗をオープンさせようか検討しているそうだが、職人の配備など現実的な問題が山積みなので当分先の話だ。
故に現在リベールには回転寿司すら存在せず。だからこそメイベルのような金持ちですら、あの手この手で忍び込んでくるのだが、無い鮨をどう食べさせるのやら。
ましてやオリビエの芸能は演奏なのだろうが、それがどう古風の寿司店と結びつくのかさっぱり想像もつかない。善良なクローゼですら、保身の為に身につけざるを得なかった『疑う心』をヨシュアに対して持ち合わせていない道化者は、食い放題という薔薇色の未来に心ときめかせ舞い上がっている。
◇
同じ頃、ロレントに帰参したシェラザードは居酒屋アーベントに顔が出した。お気に入りの地酒をたらふく浴びると、メイドのバイトをしていた幼馴染み二人に旅先のヨシュアから預かっていた手紙と荷物を手渡す。
手紙は部屋でゆっくりと読むとして、早速プレゼントの中身を検分。エリッサは「あら、可愛い」と表情を輝かせて、逆にティオは首を傾げる。
エリッサのギフトはジェニス王立学園のジェニスブレザーで、実はヨシュアのお手製。
お古を台無しにしたヨシュアの所業(※というよりは寸胴について馬鹿にされたのを)を根に持ったジルが校則を盾に常時ブルマ姿を強要させたので、男子生徒の好奇と視姦の視線に耐えきれなくなったヨシュアが学園生活を乗り切る為に自作した。
ジョゼットの着ていたレプリカよりも遥かに精巧で本物と寸分違わぬ出来栄えだが、学園祭のクエストも満了し必要なくなったので親友に贈呈することにした。
「エリッサのはまだ判るけど、私には何よ? もしかして黒下着?」
ティオに手渡されたのは、白いシャツとある意味学園祭の真の主役だったブルマとのセット。ご丁重にシャツの胸部分には、『2-5 ティオ』という名札まで縫われている。
不可解そうな仕種でブルマを掲げたティオは当初のエステルと全く同じ感想を抱いたが、シェラザードから学園の女子は皆この姿で体育をしていると聞いて唖然とする。
『今日まで散々恥ずかしい思いをしてきたと思うけど、これからは特別にバイト中のブルマの着用を許可する』
との簡単な添え書きがあり、ティオは怪訝そうな表情をしながらメイドスカートの上からブルマを履いてみる。
一応オーバーパンツということだが、普通に生下着を見られているのと大差ない気がするのは本当に錯覚なのだろうか?
まあ物は試しということで、翌日の営業から二人は馴染みの猫耳メイド服でなく、ヨシュアのプレゼントに着替えてみることにしたのだが。
「ますますお客の目が嫌らしくなってきたよぉー」
以前とは比較にならない視姦の集中豪雨に晒されたティオは、必死にシャツを伸ばしてブルマ隠しを継続しながらも、泣きそうな顔をする。
「おおっ、まさか王立学園に続いて、こんな辺鄙な場所でもブルマを拝めるとは」
「都会娘もいいけど、素朴な田舎娘の太股も風情があって良いものですなー」
「田舎娘言うなー!」
ティオは真っ赤になって抗議したが、反って相手を興奮させるだけ。給仕のお盆でブルマを隠したまま縮こまってしまうが、そういう初々しい恥じらいの反応はますますマニア心をソソル。
彼らは例の学園祭を訪れた帝国客だ。折角リベールを訪れたのだからと隣街にも足を運んでみたら、更なる僥倖に巡り逢えた。しばらく、のんびりとこの街に滞在しようと心に誓う。
もしかするとヨシュアはこれを狙って学園アイテムを贈りつけたのかは不明だが、親友を辱めようという悪意ではなく苦難を分かち合うのか真実の友情なので、自分がルーアンで味わった羞恥心を心の友にも共感してもらおうと思ったのだろう、多分。
「いやー、流石はヨシュアちゃんだ。最近猫耳メイドもマンネリになったのか少し売上が落ちていた所だし、しばらくはティオちゃんはそのブルマの恰好をユニフォームにするか」
満足そうにウンウンと頷いていたエリッサの父親のデッセル店長がとんでもない命を下し、ティオはガーンという擬音を発して石化する。
ただ、ティオにとって不幸中の幸いなのは、清楚な都会の女子制服に着替えたエリッサにもブルマニスト以外の真っ当な男性客から再注目を浴びるようになり、邪な視線が以前より幾らか分散されるようになったことだろうか。
おかげで居酒屋アーベントの収益は黒字決算で盛り返せたが、幼馴染みの少女たちの受難は続く。
◇
翌日、ツァイス地方へ向かうために、カルデア隧道という地下トンネルのあるエア=レッテンの関所を二人は訪れる。見送りはクローゼ一人だけ。
「長いようで過ぎてみると本当にあっという間だったけど、実りのある学園生活だったな」
「勉強は今でも苦手だけど」と付け加えるのを忘れずにエステルは感慨にひたり、クローゼも同調する。
「確かにそうですね。けど、何だか全てが遠い夢物語だったような気もします」
穏やかだけどどこか退屈だったここ二年の灰色の学園生活に比べて、この一月はあまりにも充実して壮大な出来事が起こりすぎた。全てはアラビアンナイトのような架空の絵空事だったのではと正気を疑ったが、ヨシュアは柔らかい手でクローゼの掌を握りその温もりが現実であるのを訴える。
「夢譚なんかじゃないわよ、クローゼ。学園祭で色々頑張ったことや紺碧の塔での大冒険も含めてね。この海都での主役は紛れもなくあなただったからもっと自信を持ってもいいのよ」
「ヨシュアさん……」
「さよならなんて、しんみりとしたお別れの言葉は言わないわよ。私たちが最後の推薦状を目指して王都を訪れる頃は多分生誕祭の季節。その時にグランセル城でまた会える。そうでしょう、クローゼ?」
「もちろんです。今度は逃げないで頑張ってみます」
去年までの生誕祭を欠席し続けた引き籠もりの王子様は、そう生真面目に誓約する。
今年こそは王太子殿下が五年ぶりに公の場に姿を現す記念すべき年になりそうで、その際にはエステルは親友の本当の真名を知ることになる。
かくして別れはあくまで一時的なものということで、手を振るクローゼに二人は挨拶し、意外にあっさりと導かれし者たちは袂を分かつ。
エステル達がクローゼと再び巡り逢うのは、王都が未曽有の繚乱に包まれる時である。
◇
「はて、ここがヨシュア君が地図で書き記してくれた所だが、それらしきバイト先は……」
「おい、そこの帝国のチャラチャラした小僧。お前が嬢ちゃんお墨付きの演奏家が? ならボサッとしてないでサッサと船に乗れ!」
築地市場の船着場で困惑するオリビエに、長老がガナリ声をあげながら漁船を指差す。
船内では古参の船乗りにどやされながら、レイヴンの面々が必死こいて船出作業手伝わされている。
先の事件は冤罪ではあるのだが、司法が魔眼による洗脳云々の与太話を信じてくれるなら、カプア一家がハイジャックの罪を問われることもない。
マノリア村の多くの人間が彼らの襲撃を目撃し、普段の悪評も相まって保護観察処分は免れず。結果、更生活動の一環として過酷な漁船労働に服して、海人に一から根性を鍛え直してもらうという話の流れとなる。
いみじくも、以前にエステルが発案したニート矯正法が採用された形となった。
「彼らは分かるとして何で僕が? 僕の得意の演奏を役立てた上で寿司食べ放題というから、僕はここに来たんだよ」
「実は最近、クラーケンに関する古文書が見つかってな。何でも『人魚の子守歌』という曲目を奏でると海の悪魔は退散するそうなんじゃが、音楽の嗜みのある漁師などいるはずもなく、そこで嬢ちゃんがお主を推薦したんじゃ」
鮪は釣れた都度好きに食すれば良いが、漁船に貴賓席など存在しない。クラーケンが出没しない限りはレイヴンと同じ見習いの待遇で馬車馬のように働いてもらうと、気取り屋のオリビエには死刑執行に等しい宣告が成される。
「冗談じゃない。デリケートでナイーブな僕がこんな男臭くて揺れ捲くる不衛生な漁船に乗せられたら、三日でストレス死してしまう」
顔色を青ざめさせながら脱兎の如く逃げ出そうとしたが、両腕を屈強な船乗りに掴まれて強引に漁船内へと拉致される。
「あいにくとレイヴンの連中の分も含めて、紹介料の代わりに既に嬢ちゃんには寿司ネタを手渡したから今更キャンセルは効かないな。まっ、とりあえずはお前さんが昨日食べた寿司分はきっちりと落とし前をつけてもらうぜ」
昨日の立食パーティーで振舞われた数万ミラ分の鮨の材料費は、オリビエ達の仲介手数料から賄われたらしい。
相変わらず要領が良いというか、それとも悪辣というべきか。ヨシュアに誑かされた殿方はマグロ漁船に売り飛ばされる悪女伝説は真実だと立証された。
「謀ったな、ヨシュアくぅーん? けど、そんな容赦のない小悪魔みたいな君もまた好きさー」
たらふく寿司を平らげたオリビエは前払い分ということで、自業自得の面がなきにしもあらず。リュートでドナドナのメロディーを奏でる辺りまだ余裕があるみたいだが、レイヴンの面々は以前の恨み分も含めて沸騰する。
「あのアマ。ふざけやがって。陸に舞い戻ったら草の根分けてでも探し出して、絶対に仕返ししてやる」
「ひゃーはっはっはっは。可愛さ余って憎さ百倍。次に会ったら、その短いスカートを捲っちゃうよ」
「右に同感だが、それまで俺たち生きていられるのだろうか? うぷっ、揺れが激しくて早速吐き気が……」
一応エステル達の活躍とヨシュアの計らいで彼らは最悪の監獄入りを免れたのだが、物事の表面的な事象しか認識できない単細胞たちはそんな裏事情は露気づかずに各々報復を決意。その復讐心を糧に必ず生きてルーアンに地を踏もうと心に誓った。
かくして、オリビエとレイヴンを乗せた漁船はルーアン港を旅立った。彼らもクローゼと同じタイミングで王都に出没し、後の騒動に一役買う事になる。