ほんとにお久しぶりです!
三ヶ月ぶりくらいでほんとにすみません(。-_-。)
なんとか書き上げましたのでよければよんでください
それでは久しぶりの38話ですどうぞ!
ガタンガタンと車体は揺れ、窓の外の景色は足早に移り変わっていく。
車体が揺れるたびに、つり革につかまった俺の体もグラグラと揺れる。
あの日、最後に先輩に会ったあの日から、俺の中の何かがグラグラと揺れている。
涙で頬を濡らしながら告げた先輩の気持ちに俺は答えを出すことができるのだろうか。
今まで感じることのなかった感情が俺の中にグルグルと渦巻いている。
電車はいつしか速度を落とし、車掌が停車駅を告げるアナウンスが流れ始める。
プシュッ、という音とともに扉が開き、乗車していた人が吐き出されると入れ替えに、冷気が車内へと入っていく。
人混みに紛れるように改札へと向かう階段を降り、切符を通して改札を出る。
目的地へと進む足取りは重く、だんだんと進んでいるのかもわからないようなスピードになっていく。
それでもやっとの事で待ち合わせ場所である海浜幕張駅前の丸い木のもとへと着いた。
しかし、困ったことに待ち合わせより大分早く着いてしまった。
どこから伝わったのか、昼前から小町が溢れんばかりの早く行けオーラを出していたので、予定より早く家を出てしまった次第である。
だいたいなんで冬なのに待ち合わせ場所が外なんですかね?
そんなことをグチグチと考えながら、首に巻いたマフラーに口元を埋めると、再びあの日のことを思い返していた。
× × ×
コミュニケーションの内、言語によって行われているのは3割程度だという。
では残りの7割はなんなのか。
コミュニケーションの大部分を占めるのは目の動きやちょっとした仕草だと言われている。
つまり、人とコミュニケーションをとるならば直接顔と顔を合わせなければ本来の3割程しか伝わらないということである。
この事からメールなどは、とても不完全なコミュニケーションの仕方であり、メール機能など無くなればいいと俺は考えている。
俺はこう結論付けると、頭を抱え込むようにして見たくない現実へと意識を戻した。
「ぐぬぬ……」
帰ってきて早々、俺は机に肘をつきながらスマホの画面に映る1通のメールを睨みながら悩んでいた。
『こんにちは三神です。チョコレート受け取りましたか?別にホワイトデーのお返しとか要らないので日曜日の2時に海浜幕張に来なさい。来なかったら……分かってるよね?』
こ、こえぇよまじで!
だいたいどこで俺のメアドをゲットしたんだよ!
知ってる人なんて数えるほどしか居ないのに……
俺のプライバシーはどこへ行ったのだろうか……
先輩のからの全てを曝け出すかのような告白を受け、妹以外からバレンタインにチョコレートを貰うという、人生で初めての事が2回もあっただけでもういっぱいいっぱいなのに、今度はこのメールである。
なんだか運や悪運を全部使い果たす勢いである。
取り敢えず今日は金曜日だ。
まだ明日がある。
できないこと、やりたくないことは先延ばしに。人類が生まれてからこの方ずっとやってきたことだ。
なんなら国のトップだってやっている。これは逆説的に全国民にそうやれと言っていると捉えて間違いない。
なんなら社会に出るのも先送りにしたい。
というか、専業主夫になって一生社会に出ないまである。
俺はそう結論付けると、小町の作った晩飯を食べるべく、部屋を出てリビングへと向かうため、冷気の漂う廊下を歩く。
リビングの扉を開けると、美味しそうな匂いが鼻をくすぐる。
キッチンでは、マイエンジェル小町な鍋の前で鼻歌を歌いながら楽しそうに調理をしていた。
「小町、晩飯できたか?」
俺の問いかけに小町は顔を上げることすらなく、もうちょっと〜、と答える。
小町ちゃん?こっちをチラリとも見ないのは料理に集中してるからだよね?お兄ちゃんを蔑ろにしてるわけじゃないよね?お兄ちゃん分かってる。
心に少しだけ大ダメージを受けながらもモソモソと炬燵にあしを入れた。
あれ、炬燵に入ったからかな、目から汗が……
だいたい少しだけ大ダメージってどっちだよ。
そんな1人寂しく脳内小芝居をしていると、あしの上にポフッと重みを感じた。見れば我が家の飼い猫のカマクラが体を丸めて、フンスと鼻を鳴らしていた。
どうやら撫でろといることらしい。
普段は近寄ってすらこないのにこういう時に限って甘えてくる。
「おにーちゃんっ!」
カマクラをもふっていると料理ができたのか小町が呼ぶ声がした。
見上げると小町が腰に手を当てて、俺を見下ろしていた。やだかわいい。
「んだよ」
「お兄ちゃんはやく美香先輩に返事返してきなさい。じゃないとご飯無しだからね」
フンス、とカマクラの様に鼻を鳴らしながらなぜか自慢気に言う小町が、ピッと俺の部屋へと続くリビングの扉を指差していた。
「お兄ちゃんのことなんて全てお見通しなのです!」
俺はカマクラをそっと傍に下ろし、炬燵を出ると「お兄ちゃんのこと分かってる小町って小町的にポイント高いっ!」などと言っている小町の頭に、微笑みながらそっと手を置いた。
「犯人はお前だったのか、小町」
そして俺は思いっきり小町の頭をつかんだ。
「い、痛いよお兄ちゃん!」
× × ×
あれからメールの返事をさせられ今に至るという訳だ。
丁重にお断りさせてもらおうかとも考えたのだが、後が怖いのでその考えは一瞬で霧散した。
ふと時計を見ればもうあと数分で待ち合わせの時刻である。
時計から顔を上げて駅の出入り口をみると、見知った顔が手を振りながら歩いてくる。
「おっまたせ〜!なに食べに行く?ケーキ?ドーナツ?パフェ?」
「食べることしか頭に無いのかよ……」
黒の細身のパンツとベージュの薄手のコートに身を包んだ三神先輩がキラキラと目を輝かせながら俺に問いかけてくる。
しっかしこの人も美人だよな。
そこはかとなく香る残念さが玉に瑕だが……
「ほら、いくよ比企谷くん!」
俺が失礼なことを考えていた事には気付かずに、三神先輩は俺の肘あたりをガシッと掴むと半ば引きずるように、目をつけていたのであろう店へと向かい始めた。
「はぁ……ちゃんとついていきますから離してください」
そう言って手を離してもらうと、俺はウキウキと店へと向かう三神先輩の後ろをトボトボと歩き始めた。
「肘のつかみ方が男らしすぎるんだよなぁ……」
そう呟いた俺の声は誰にも聞かれることもなく寒空の下へと消えていった。
× × ×
目の前にあったケーキは無くなり、未だ他愛もない話しかしておらず、俺はなんのために呼ばれたのかと疑問を抱く。
まさかほんとにケーキが食べたかっただけなのだろうか?
まぁ、俺が支払いをすると言った途端にケーキを3つたのんだのを見るあたり、この人は本当にケーキが食べたかっただけなのかもしれないが……
満足そうな顔でコーヒーを啜る三神先輩をチラチラと見ながら俺もコーヒーを口に含んだ。
三神先輩はコトリ、とカップを置くと、何故だか少しだけ微笑んだ。
俺が口を開くより少しだけ早く三神先輩が言葉を発した。
「香奈に告られたんでしょ?」
「……はい」
なんとも言えない雰囲気に、なにも疚しい事などないのに、何故だか少しだけ言いよどんでしまう。
「そっか」
三神先輩は消え入りそうな声でそう呟くと、目尻を少し抑えた。
呆気にとられてなにも言えないでいる俺に、三神先輩は視線を合わせた。
強い意志を感じる、言うなれば覚悟を決めたかのような視線から俺は目を離すことができなかった。
「比企谷くん、聞いて欲しいの。私の過去と勝手な願望を」
そう言った彼女の目からは一粒の涙が伝っていた。
いかがでしたでしょうか?
ちょっと書き方忘れてたりしたところもあって大変でした笑
自業自得なんですがね(笑)
続きもはやく書きたいと思ってます(。-_-。)
更新してない間にも感想や評価をくださった方、ほんとうにありがとうございます!!
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感想や評価、お気に入り等お待ちしております
読んで頂きありがとうございました!